HG ガンダムビルド…ビビッドアーミー   作:星龜

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七尾島(ふるさと)(7)


 

 

天山(テンザン)流拳法

 

17世紀末、中国西部の成都にて、劉 天山が創設した武術である。

 

華美を排し、一撃必殺を旨とする実戦向けの武術であったが、当時の明王朝では採用されず、成都の自警団が採用し、細々と現代にまで継承されてきた。

 

現在でも、一部の愛好家が嗜む程度の、典型的な大成しなかった武術である。

 

(民明書房刊【大成しなかった武術】より)

 

 

「いつから、そんなのをやってたんけん?」

と訊くクレアに

 

「うん☆

まだ、始めて3年ほどじゃけん☆」

と言うヤン。

 

「で、内破(ナイハ)という技じゃけんど…。」

と、ヤンはどこにあったのか、発泡スチロールの板を2枚、ちゃぶ台の上に重ねて置く。

 

「静から動…

拳に捻りをくわえて突く…!!」

と、ヤンは発泡スチロールの板を

拳に捻りをくわえて

殴った。

 

すると

 

2枚重ねて置いた発泡スチロールの板の下側の板が砕け散った

のだ―!!

 

「これが

内破(ナイハ)☆」

と、自慢げな笑顔を見せるヤン。

 

ど…どういうことじゃけんッ!?

と、驚くクレア。

 

「空手でいうところの

裏当て

じゃけん☆」

と言うヤン。

 

「裏当て?」

と、首を傾げるクレア。

 

空手の知識が無いため、『裏当て』と言われてもわからないのだ。

 

「『裏当て』っていうのは

突きの衝撃が突き抜ける技

じゃけん☆

天山流では、それを

内破(ナイハ)

と呼んどるけん☆」

と教えるヤン。

 

突きの衝撃が突き抜ける…!?

と、驚くクレア。

 

「うん☆

拳で破壊するんじゃなくて

打撃の衝撃で体の内側を破壊する

んけん☆

だから、フェイズシフト装甲でも防げんけん☆

僕も、まさか、ガンプラバトルで内破(ナイハ)が使えるなんて、思いもせんかったけん☆」

と言うヤン。

 

「ヤン…

それ…

教えてほしいけん…!!」

と頼むクレア。

 

「いいけん☆

でも、クレアはGPベースが無いけん…。」

と言うヤン。

 

「なら、せめて、データだけでも欲しいけん…!!」

というクレアからの頼みを快諾するヤン。

 

ヤンは、GPベース内の

ガンプラアクションパターン

を、クレアのスマートフォンに送信した。

 

「ありがとう☆」

と、礼を言うクレア。

 

ヤンのガンプラアクションパターンを、自分のGPベースにインストールすれば

クレアの愛機(ガンプラ)も天山流拳法が使える

というわけだ―。

 

その直後

「ただいま〜☆

大家さんから

隣の部屋を使ってもいい

っていう許可もらってきたけん☆」

と、帰ってきたミン。

 

ヤンとミンが住むアパートは1DKなので、3人が寝るには窮屈だ。

 

そこで、ミンが大家に交渉して、空いている105号室を貸してもらうことにしたのだ―。

 

 

「客であるクレアを1人だけにするのは気がひけるけんどね…。」

と、クレアに詫びるミン。

 

「いえいえ。

こっちは邪魔しているのに、部屋まで貸していただいて、もうしわけないけん。」

と、頭を下げるクレア―。

 

 

その後、3人で夕食を食べた。

 

クレアにとって、多人数での夕食はひさしぶりだった―。

 

 

夕食後、105号室に布団を運び込む。

 

「本当にいいんけん?」

と、布団を床に置くヤン。

 

「いいけん。

1人で寝るのには慣れとるけん。」

と言うクレア。

 

「何事も無いと思うけど、何かあったら、隣だから、すぐに助けに行くけん。」

と言うヤン。

 

「それは心強いけん☆」

と答えるクレア。

 

 

実際、クレアもビビッ島で1人暮らしを始めた当初は、まわりに知り合いがいないため、何か起きても助けてくれる保証が無かったため、夜寝るのが怖かったのだ…。

 

 

風呂から出て

(そういえば、ミッドカップの結果は、どうなったけん?)

と、クレアはスマートフォンの受信メールを確認する。

 

(ぁいやぁっ★)

 

【ブルーノア】のメンバー達から、大量のメールが来ていた。

 

とりあえず、一番最初の、ケイからのメールを見る。

 

 

クレア、元気?

このメールを見て驚きなさい♪

ミッドカップ、3位だったんだよ♪

 

 

あいやっ!?

と、【ブルーノア】の3位入賞に驚くクレア。

 

チュージからのメールによると、【ブルーノア】は準決勝で【G.D.M.(ゴドム)】に敗れ、同じく準決勝で敗れた【サメ軍】との3位決定戦に勝利したとのこと。

 

『ニュータイプ』であるケイはもちろん、シンやショウの活躍がめざましかったという。

 

ヒロからは、自身が編集した動画を送信してきていた。

 

観てみると、チュージのメールにあった通り、シンやショウがめざましい活躍をしていた。

 

(みんな…

強くなっとるけん…☆)

と、胸の奥が熱くなる…

 

…と同時に、焦りのような感覚もおぼえる。

 

(私も…

負けていられんけん…!!

と、クレアは自身を奮い立たせるのだった―。

 

 

就寝して…

 

深夜に、ふと、目が覚めると…

 

女性の嬌声

がする…。

 

それも、近くから…。

 

104号室はヤンとミンの部屋なので、おそらく106号室に住んでいる人だろう…。

 

(勘弁してほしいけん…。)

と、うんざりするクレア…。

 

 

しかし…

 

 

(はて…?)

と、疑問に思うクレア。

 

気のせいか

嬌声(こえ)のする方向が、106号室側からではなく104号側から聞こえる

のだ。

 

(まさか…

ヤンとミン姉ぇが…!?

…って、いやいや★

そんなバカな話、あるわけないけん…。)

と、夏の夜の暑さと、聞こえてくる嬌声に悩まされながらも、眠りについたのだった…。

 

 

翌朝―。

 

 

(昨日の夜は、散々だったけん…★)

と、最悪な目覚めのクレア…。

 

(ん?)

と、外からヤンの声が聞こえる。

 

(何しとるけん、あの男…?)

と、外に出るクレア。

 

外では、ヤンが一人稽古をしていた。

 

(・・・・・・。)

 

一人稽古に励むヤンを見つめるクレア。

 

「あれ?

クレア?

おはようじゃけぇ☆」

と、クレアに気づくヤン。

 

「おはようじゃけぇ。」

と挨拶するクレア。

 

昨日の夜はごめんじゃけぇ★

と言うヤン。

 

(昨日の夜?)

と、首を傾げるクレア。

 

昨日の夜といえば…

 

例の嬌声だが…

 

なぜ、そのことについて、ヤンが謝るのだろうか?

 

「何で、ヤンが謝るけん?」

と訊くクレア。

 

「えっ…?

あっ!!

な…

なんでもないけんっ★

なぜか慌てる

ヤン…。

 

(何でヤンは、あんなにも慌てとるんじょ?)

と、クレアは首をかしげた…。

 

 

外に出たついでだ。

 

「ジョギングに行ってくるけん。」

と言うクレア。

 

「うん。

気をつけるんじょ。」

と、走り出したクレアを見送るヤン―。

 

 

数十分後―。

 

クレアは105号室に入ると、いつものように、朝の水の神への礼拝とシャワーを浴びるため、浴室に入る―。

 

 

浴室から出てくるのと同時に…

 

「クレア。

朝ご飯じゃけん☆」

と、ヤンが入ってき

 

「ひやぁッ!!」

と、悲鳴をあげるクレア。

 

ごごごごめんっ!!

と、慌てて外に飛び出すヤン…。

 

 

104号室での朝食時、その話を聞いたミンは大笑いした…。

 

「笑い事じゃないけん…ッ!!」

と怒るクレア。

 

その時、クレアのスマートフォンが鳴った。

 

「ごめんじゃけん。」

と電話に出る。

 

電話は、ユウキからだった。

 

墓参りに行く時間だ。

 

「なら、あとで送るけん☆」

と言うミン。

 

「ありがとうじゃけぇ☆」

と、礼を言うクレア。

 

 

朝食後、105号室に戻ったクレアは、リューコに着替える。

 

そして、外で待っていたミンが運転するサイドカーに乗る―。

 

 

ユウキが住むタワーマンション前で、ミンと別れるクレア。

 

(あっ…。)

と、エントランス前に、緑のリューコを着たユウキの姿を見つけるクレア。

 

「おはようじゃけぇ、お兄ちゃん。

あれ?

お兄ちゃんの彼女さんは?」

と訊くクレア。

 

「リューコを着た僕とは一緒に歩けないんだってさ★」

と、肩をすくめるユウキ。

 

(それって、つまり、バカにされてるってことじゃけん…★)

と、ユウキにあきれると同時に、七尾人の風習に理解を示さないミクに嫌悪感を抱くクレア…。

 

その後、クレアはユウキが運転する車に乗り、両親が眠る墓地に向かった―。

 

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