本当はいない船乗り。 作:℃M
『なあ、○○。お前、将来どんな事をしたい?』
夢に出てくる父との記憶。
「海にいきたい!」
『そうか、海にいきたいのか。海にいって何がしたい?』
「船にのりたい…かな。」
『船にのりたいのか!よーしっ!』
『14歳になったら海を操るぐらいの立派な船乗りにしてやる!』
「やった!!」
なんて適当なことを言う父。それでも、自分は信じていた。
「14歳になりました。てなわけで、かっこいい船乗りになるために異世界にいってもらうぞ」
そんな父が、またもや適当なことを言っていた。
「ってまてい!どういうことじゃい!」
「いやな、ちょうど船乗りを探してる世界がだな」
「どういうことなの…!!」
「そーんなことはどうでもいいんだよ!早く、異世界にいくぞ!」
「えー…てかその前にどうやっていくんだ?」
「そこに冷蔵庫がある」
……ん?
「その冷蔵庫にはコンセントがありません。」
……?
「そもそもそれは冷蔵庫ではありません」
……!?
「それは異世界への扉(消費アイテム)です。」
「消費アイテムってなんだよ!」
「仕様だよ!」
「えー……」
「つべ!こべ!いわずっ!とっとといけぇい!」
そんなふざけた事を言って、父は俺を冷蔵庫(仮)に押し込んだ。
「そんなんしても寒いだけ……え?なにこれ下がないどどどどういうことなななののののぉぉおおぉおおお!!」
こうして俺の船乗り生活がはじまる。
「まってっ!あたしはここにのこるわ。」
……誰だこの五人組!!
「ど、どうして!?せっかくここまで来たのに。」
ごりごりのおっさんがそういうと
「無理じいはよくないわ。だれかが船にのこってたほうがいいかも知れないし……。」
金髪美人がそう返す。
「じゃあバーバラ。留守番おねがいね。」
金髪美人が、『バーバラ』という茶髪の女性に向けていうと
「うんっ!」
と元気に返していた。
しかしすぐに
「わがまま言ってごめんね。」
と謝る。何か事情があるのだろうか。
と、そんな事を考えていると、青髪のツンツン頭がこっちに向かってくる。
えっと……話の内容から察するに危ない事をするのかね。
「…どうかお気をつけて。」
別に語尾にはてなマークはないんだからねっ。
自分が放ったその言葉に青頭は
「はいっ!」
と元気よく答えた。
そして、茶髪以外の四人-残りの一人は黄色の人間-は船からおりる。
残るのは、呆然としている俺と何やら悲しい顔をしている茶髪の少女だけ。
えっと……
「……いい天気ですね」
やべぇ!失敗した!なにこれ死にたい!
「ふふっ、そうね。たしかにいい天気だわ。」
茶髪の彼女はこちらを向いて微笑んだ。
その美しく、しかし悲しげがある笑顔に俺は見とれていた。
ちなみに自分はバーバラ=ドラゴン説でやっていきまする。