そこそこ広い防音室。そこに複数枚あるモニターの中では、俺が操作するキャラクターがデカいモンスターを狩っている。
お隣のモニターではこのゲームプレイ配信のコメントが流れ、下の画面では共に協力プレイをしている
「ねえ、
「なに
大きめのゲーミングチェアに座った俺を背もたれ代わりにしながら、開いた股の間にちょこんと収まってゲームの操作をしている小柄な彼女に話しかけたのだけれども、よほど集中してるのか返事はおざなりだ。
「もう俺眠いよ……」
「何言ってんの、まだ3徹しかしてないよ?それより早く回復薬ちょうだい?」
……まあ、こう言われるのはわかってた。恋ちゃんはちょこっとブレーキが壊れてるからね。
「世間ではそれはまだとは言わないんだ。……あっ……意識が……」
「羽金、回復薬まだ?私やられちゃうから早くして!……羽金、羽金?」
結局、俺は恋ちゃんからの再三の回復要請を子守唄代わりに意識を失った。
……とまあ俺、
――――
さて俺と恋ちゃんは古くから馴染む友達、いわゆる一つの幼馴染みなわけだが、その出会いは幼稚園まで遡る。
俺の両親は俺が三歳くらいまで転勤族だったそうで全国各地を転々としていたそうなのだが、物心ついたのを機に腰を落ち着けるために転職し定住するようになったんだそうな。
そして定住するようになったお陰で、めでたく俺は幼稚園に通う運びとなった。
通園初日、俺は先生に連れられておっかなびっくり教室へと行ったのを朧気ながら覚えてる。同い年のガキんちょ達の視線に晒されながら何とか挨拶をすると、直ぐに自由時間になって揉みくちゃにされた記憶。まあ子供の興味なんか長くは続かないから、じきに解放されて床にへたり込んだんだけども。
少し時間が経ち、幾らか気力が回復したあと自分も遊ぼうと周りを見回したけれど、既にみんな庭に出ていくか友達と固まっているかしていて仲間の輪には入れそうもなかった。そんな閑散とした教室の隅で身動ぎ一つせずにじっと虚空を見つめている幼女が一人。
そう、その幼女こそが我が第一の友人にして幼馴染みの恋ちゃんだった。
これはチャンスと当時の俺が思ったかどうかは朧気で定かではないが、とにかく俺はその機に飛び付き、意を決して恋ちゃんに話しかけた。
「ねえねえ、何してるの?」
「…………」
「…………?」
「…………」
返答はおろか反応も何も無かった。なんなら今思い返せば瞬きもしてなかったと思う。
恋ちゃんは当時からびっくりするくらい可愛かったんだけども、ぴくりとも動かず無表情で何かをじっと見つめてる彼女は正直ほんのちょっとだけ怖かった。
それだから園で友達も出来ず園児達からは恐れられ遠巻きに、もっと具体的に言えば居ないものとして扱われていた。のちに聞いた話では、大人達の間では何か病気なんじゃないかと疑われ検査までしてたらしい。
そんな彼女に話しかけた所で当然反応が返ってくるわけもなく……。
そうして友達の輪にも混じれない内気な俺は彼女と根比べをするハメになったんだ。
動かない恋ちゃんの前に陣取って、その可愛い顔をじっと見つめる。反応があれば勝ち、無くても可愛いものを愛でられる。不幸中の幸いと言うべきか、どっちに転んでも俺が一方的に美味しい勝負だった。
まあ、結果がでるまで
注意事項として、思い付いた順に書いていくので時系列はバラバラになると思われます。