ヴァージニアの出番はまだまだ回想シーンだけですよ。
集会所の暖炉に盛大な薪を焚き、炎がリーフ達の顔を不気味な赤い光で照らしていた。
何時間も彼らはそこに立ち尽くし、フィリの捜索を無駄に続けていた。
ネズヌクは厳しい表情で三人を見張り、
刻々と時間が経つにつれ、ネズヌクの目はますます暗く、険しくなっていった。
疲れ果て、沈黙したまま、リーフ、バルダ、ジャスミンは運命を待っていた。
三人は今や、議論したり、怒ったり、嘆願したりしても無駄だと学んでいた。
毛皮の動物をチュルナイに連れてきた事で、三人は最も忌まわしい罪を犯したのだ。
ついにライが口を開いた。
「では裁判を始める」
ゴングが鳴り響き、黒衣の人々がホールへと入ってきた。
彼らはリーフ達と向き合い、列をなして整列した。
リーフは、罰から救った給仕の少女、ティラが最前列、自分のすぐ近くにいるのを見た。
彼はティラの目を合わせようとしたが、ティラはすぐに地面を見た。
ライは皆に聞こえるように声を張り上げた。
「あの不浄なる者達のせいで、チュルナイには邪悪が蔓延している。
彼らは我々の最も神聖な掟を破った。無知が犯したのだと主張している。
私は彼らが嘘をついていると思う。彼らは死に値する。
清浄委員会の残りの者達は奴らを信じ、投獄するべきだと考えている。
故に、聖なる杯に判決を委ねる」
リーフ、バルダ、ジャスミンは互いに視線を交わした。
これは一体どんなおかしな事なのだろうか。
ライは暖炉の上の棚から輝く銀の杯を取り出した。
恐らく、かつてはワインを飲むのに使っていただろう。
「杯は真実を明らかにする」
「クリーンチュルナイ」
次に、ライは二枚の小さなカードを見せた。
それぞれのカードには「生」と「死」と書かれていた。
ライはリーフ達の方を向いた。
「お前達の中から一人、杯からカードを1枚引くんだ。さあ、誰にする?」
「僕が引きます」
「では前を向け」
リーフは言われた通りにした。
ライはリーフとネズヌクから顔を背けると、手袋を嵌めた手を杯にかざした。
リーフは、ティラがライをじっと見つめているのに気づいた。
突然、ティラが青い目を驚きと恐怖で見開いた。
ティラはリーフをちらりと見て、音もなく唇を動かした。
リーフは口の動きで言葉を聞き取ると、顔が赤くなり始めた。
(どちらのカードにも「死」と書いてある?)
ティラは、ライが「生」のカードを、
袖か手袋に隠した2枚目の「死」のカードに差し替えるのを見たに違いない。
ライは、よそ者達は必ず死ぬと決めていた。
背の高い赤い人影は、杯を高く掲げ、リーフの方を振り返った。
「選べ!」
リーフはどうしたらいいのか分からなかった。
杯には「死」のカードが2枚しかないと叫んだところで、誰も信じないだろう。
試練に立ち向かうのが怖いだけだと誰もが思うだろう。
ライやティラの言葉を信じる者は誰もいないだろう。
それに、もし異議を唱えれば、ライは簡単にカードの順番を入れ替えられる。
(……そういえば、ヴァージニアが以前になぞなぞを教えてくれたような……。
確か、チョコボールとゲーム機……)
リーフは服の下に指を滑り込ませ、ベルトのトパーズを握りしめた。
以前、このトパーズはリーフが答えを見つけるのを助けてくれた。
今回も、このトパーズが役に立つだろうか。
いや、ヴァージニアがくれた知識も助けてくれるかもしれない。
背後で炎が轟き、目の前の背の高い人影を不気味な光で照らした。
銀の盃は、燃え盛る炎のように赤く輝いていた。
(……そうか! こうすればいいんだ!)
心臓がドキドキと高鳴りながら、リーフは手を伸ばし、杯に指を浸し、カードを選んだ。
すると、稲妻のようにリーフはくるりと振り返り、よろめきながら後ずさりし、
燃え盛る炎の中にカードを落とした。
炎は一瞬燃え上がり、カードは燃え尽きた。
「不器用で申し訳ありません」
リーフは、群衆の驚きの溜息を遮るように叫んだ。
「でも、僕がどのカードを引いたかは簡単に分かります。
杯の中に残っているカードを見てください」
ライは困惑と怒りで身動き一つ取れなかった。
他のネズヌクの一人が杯にまだ入っていたカードを抜き取った。
「残っているカードは『死』です」
「囚人は『生』のカードを引いた。杯が語ったのだ」
リーフはバルダの手が肩を掴むのを感じた。
膝が震えながら、リーフはバルダとジャスミンの方を向いた。
しかし、バルダとジャスミンはリーフがわざとカードを燃やしたのではないかと疑い、
その理由を尋ねていた。
「ヴァージニアが教えてくれたんだ。確か、こんななぞなぞだったよ」
リーフはバルダとジャスミンに小声で話した。
沈黙の森でジャスミンと出会った時、ヴァージニアはリーフになぞなぞを出していた。
「では、問題ですわ! ゲーム機を買ってほしい息子が母親に頼むと、母親はこう言いましたわ。
『この袋の中に赤と青のチョコボールを一個ずつ入れるわ。
中を見ないで赤を取ったらゲーム機を買うけど、青を取ったらもう諦めなさい』
ですけど、息子は後ろを向いた母親が、
袋の中に青のチョコボールを二個入れるのを目撃してしまいましたわ。
これでは、どのチョコボールを取っても青が出ますわ。
さあ、息子がゲーム機を買ってもらうためには、どうすればいいんですの?」
数分後、リーフはこの答えを言った。
「その息子は、袋の中からチョコボールを取り出すと同時に、一つ食べたんだ。
残ったチョコボールが青だから、その母さんはゲーム機を買ったんだよ」
「正解ですわ!」
「そういう事だったのね」
「まさに逆転の発想だな」
バルダとジャスミンはリーフの言葉を聞いて納得した。
しかし、ライは冷たい声で雷鳴のように言った。
「三人を牢獄へ連れて行け。そこで犯した悪を悔い改め、一生を過ごすのだ」
他の八人のネズヌクがリーフ、バルダ、ジャスミンを取り囲み、ホールから連行し始めた。
ひそひそと声を上げていた群衆は、彼らを通すために道を空けた。
リーフは首を捻り、黒衣の人影の中にティラを探したが、姿は見えなかった。
ホールを出ると、ライが再び声を張り上げ、人々に語りかけるのが聞こえた。
「我々の街を汚した怪物の捜索を続けろ。日が暮れる前に見つけ出し、殺さなければならない」
リーフはジャスミンを一瞥した。
ジャスミンは口を開かなかったが、顔は青白く、硬直していた。
リーフは、ジャスミンが追われ、怯えているフィリの事を考えているのがわかった。
ネズヌクはリーフ達を、明るく照らした迷路のような廊下を通り抜け、
曲がりくねった石段を下りていった。
石鹸の匂いが辺り一面に漂い、足元の石は磨かれて滑らかになっていた。
階段の下には大きな空間があり、金属製の扉が並んでいた。
それぞれの扉には、食事を載せたトレイを通せるように細いフラップが付いていた。
先頭のネズヌクが扉の一つを勢いよく開けると、
彼らはリーフ、バルダ、ジャスミンをそこへ引っ張っていった。
ジャスミンは扉の向こうにある、窓のない陰気な独房を一目見るなり、激しく抵抗し始めた。
リーフとバルダもまた、自由を求めて必死に抵抗した。
しかし、無駄だった。
武器も、ネズヌクの鞭から身を守るものもなかった。
鞭は顔の周りを罅割れ、脚や腕を刺すように痛かった。
ネズヌクはリーフ達を独房に押し戻すと、背後で扉をバタンと閉ざし、重い閂を打ち込んだ。
三人は扉に飛びつき、拳で叩いた。
しかし、ネズヌクの足音は既に遠くへと消えつつあった。
三人は必死に独房内を捜索し、弱点を探した。
しかし、片方の壁に固定された狭い木製の寝台は動かす事ができなかった。
もう片方の壁に固定された空の水槽は、岩のように硬かった。
「奴らは戻ってくる」
バルダは厳しい口調で言った。
「我々は死刑ではなく、生きる刑に処せられたのだ。
奴らは我々に食料を与え、水槽を満たさなければならない。
我々をここに置き去りにして飢え死にさせたり、渇きで死なせたりするわけにはいかないのだ」
しかし、悲惨な時間が過ぎても、誰もやって来なかった。
皆が不安な眠りに落ちたその時、ドアを引っ掻く音が聞こえた。
リーフは目を覚ました時でさえ、あの臆病な音は夢だったと思った。
しかし、また音が聞こえた。
リーフは寝台から飛び降り、ジャスミンとバルダがすぐ後ろについてドアへと走った。
食事用の蓋が押し開けられていた。
そこからティラの青い目が見えた。
「主席ネズヌクは、自分だけが食べ物と水を運んでくると命じました。
でも、もしかしたら……忘れてしまったのかもって心配だったんです。ご飯は食べましたか?」
「違うわ! ティラ、ただ忘れただけじゃないと分かってるでしょ? だからあなたは来た。
ライは私達をここで死なせようとしてるのよ」
「そんなはずはありません!」
「杯があなたに命を与えました」
「ライは杯の事なんて気にしない! 奴は自分の事しか考えていない。
ティラ、ドアの閂を開けてくれ! 出してくれ!」
「できません! 勇気がありません!
あなたは私達の館に邪悪を持ち込んだのに、未だに見つかっていません。
夜勤の料理人以外は皆、寝ています。
だから私はこっそり逃げ出しても見つかりませんでした。
でも人々は恐れ、多くの人が寝言を言っています。朝になったら、また捜索が始まるでしょう」
狭い隙間から覗くティラの目は恐怖で曇っていた。
「僕達の故郷では、フィリのような動物は邪悪ではない。
フィリをここに連れてきたのはわざとじゃない。フィリはジャスミンの友達だ。
だが、もしこの牢獄から出してくれなければ、僕達は破滅する。
ライが僕達を飢えと渇きで死なせるだろう。誰にも知られずに。君以外には」
返事はなく、かすかなうめき声が響いた。
「お願いだ、助けてくれ!」
「ティラ、お願い!」
一瞬の沈黙があった。
すると目が消え、閂が滑る音が聞こえた。
扉が勢いよく開き、三人は牢獄から押し寄せた。
松明の光に青ざめた顔で、ティラは三人に水を差し出し、三人は喉を渇かせながら飲んだ。
三人が感謝してもティラは何も言わず、三人が逃亡を隠そうと背後で扉に閂をかけると、
ティラは震え上がり、両手で顔を覆った。
明らかに、ティラは何かとても悪い事をしているような気がしていた。
しかし、石段の脇の割れ目に隠されていたリュックサックを発見すると、
ティラは驚きの声を上げた。
「これはあなた達と一緒に牢獄に入れられたと聞いています!
寝具と、少しでも快適に過ごせるように」
「誰がそんな事を言ったんだ?」
バルダは厳しい口調で尋ねた。
「主席ネズヌクです。自分で持ってきたと言っていました」
「でも、見ての通り、持ってきていないわ」
ジャスミンは鞄を背負いながら言い放った。
三人は階段をこっそりと上った。
上の通路は空っぽだったが、遠くから声がいくつか聞こえた。
「街から逃げ出さなければ。どこへ行けばいい?」
「出口はありません。丘の門は鍵がかかっていて、閂がかかっています。畑で働く者は毎朝連れ出され、夜に連れ戻されます。他の者は誰も出て行けず、処刑です」
「他に方法があるはずだ!」
ティラは躊躇い、それから首を振った。
しかし、ジャスミンはその躊躇いに気づき、飛びかかった。
「今、何を考えていたの? 何を考えているの?」
「あの穴は、突き詰めれば外の世界へ通じていると言われています。でも……」
「どこにあるんだ?」
「厨房の近くです」
ティラは身震いした。
「検査に合格しなかった食べ物を捨てる場所です。でも、それは禁止されているのです」
「そこへ連れて行って! 今すぐ連れて行って!」
リーフ達は廊下を泥棒のように忍び寄り、誰かが近づく音がするたびに脇道に飛び込んだ。
ついに小さな金属製の扉に辿り着いた。
「ここは厨房の上の通路に通じています。
この通路は、下の作業を監視するネズヌクや、厨房の壁を洗う者達が使います」
ティラは扉を少し開けた。
その向こうの空間からは、料理の匂いと、くぐもったガタガタという音が流れ込んできた。
「静かにしてください」
ティラは息を切らして言った。
「静かにしてください。そうすれば気づかれません。夜勤の料理人は急いで仕事をします。
夜明けまでにやる事がたくさんあります」
ティラは扉を抜け、リーフ達も後を追った。
目に飛び込んできた光景に彼らは驚愕した。
四人は狭い金属製の通路に立っていた。
遥か下には、チュルナイの大きな厨房がガタガタと音を立て、光り輝いていた。
厨房は巨大で――小さな村ほどの大きさで――ティラと同じ服装をした労働者で溢れていた。
皆、ピカピカの白い服を着ていた。
野菜の皮を剥いたり、果物を準備したりしている人もいた。
巨大なコンロの上で泡立つ鍋を混ぜたり、焼いたり、かき混ぜたりしている人もいた。
何千個ものケーキがラックの上で冷まし、アイシングとデコレーションを待っていた。
何百個ものパイやタルトが巨大なオーブンから取り出されていた。
片側では、調理済みの食べ物を箱やガラス瓶、石瓶に詰める作業員達がいた。
「でも、まさかこんな事が毎日毎晩続くわけないだろう?」
リーフは驚いて息を呑んだ。
「チュルナイの人達はどれだけの食べ物を食べるんだ?」
「調理された食べ物のうち、食べられるのはほんの少しです。
調理されたものの多くは検査に通らず、捨てられます」
ティラは溜息をついた。
「料理人は若い頃から訓練し、重宝されていますが、私はあんな風にはなりたくないです。
あんなに一生懸命頑張って、あんなに何度も失敗するのは可哀想だから」
四人は通路を忍び足で進み、下で繰り広げる様子を、見とれながら見下ろしていた。
5分ほど歩いたところで、ティラは立ち止まり、しゃがみ込んだ。
「ネズヌク!」
ティラは息を吐いた。
確かに、赤い服を着た二人の人影が厨房に大股で入ってきた。
「検査ですよ」
ネズヌクは、四人の料理人が両手を背中に組んで立っている場所へと素早く移動した。
宝石のように輝く何百もの砂糖漬けの果物の瓶がカウンターの上に並べられ検査を待っていた。
ネズヌクは瓶の列に沿って歩き、じっと見つめていた。
そして、端まで来ると、振り返ってまた戻っていった。
今度は彼らが特定の瓶を指差すと、料理人達はそれを拾い上げて別の作業台に置いた。
ようやく検査が終わると、果物の瓶が六つ、残りの瓶から分けられていた。
「あれは祝福されて人々が食べる瓶です。残りは捨てられます」
ティラは、落胆で肩を落とし、
不採用になった瓶を巨大な金属製の箱に詰め始めた料理人達を同情の眼差しで見つめた。
リーフ、バルダ、ジャスミンは恐怖に震えながら見つめた。
果物はどれも美味しそうで、体に良さそうに見えた。
「酷い!」
リーフは怒りを込めて呟いた。
ネズヌクは背を向け、厨房の別の場所へと大股で立ち去った。
「デルでは、人々は飢えて、残飯をかき分けている。
なのに、ここでは良い食べ物が無駄になっている!」
ティラは首を横に振った。
「良い食べ物じゃありません。ネズヌクは食べ物が不浄だと知っています。
検査によって、ネズヌクは人々を病気から守っています。クリーンチュルナイ」
リーフは言い返したかった。
ジャスミンも怒りで顔を真っ赤にしていた。
しかし、バルダは首を横に振り、黙るように警告した。
リーフは唇を噛んだ。
バルダの言う通りだと分かっていた。
ティラの助けが必要なので、ティラを動揺させても仕方がない。
彼女にはデルトラの他の場所での状況を理解してもらう必要はない。
ティラは自分の居場所と、自分が育った法しか知らないのだ。
四人は黙って通路を進み、ついに厨房の端に着いた。
急な金属製の階段が、ドアのすぐ手前に地面まで続いていた。
「穴はあのドアの向こうにあります。でも……」
ティラは言葉を止め、再びしゃがみ込み、リーフ達にも同じようにするように合図した。
砂糖漬けのフルーツを作った四人の料理人が、
不良品の入った瓶詰めの箱を二人で担ぎながら、下から見えてきた。
その箱は今や金属の蓋でしっかりと密閉してある。
彼らはそれをドアから運び、視界から消えた。
「ゴミ箱を穴に捨てるのです」
しばらくして、料理人達が戻ってきて、
また料理の準備を始めるために厨房の自分の部屋へと歩いて行った
ティラ、リーフ、バルダ、ジャスミンは階段をこっそり降り、
鍋やフライパンが並んだ棚を通り過ぎ、ドアをこっそりと抜けた。
四人は小さな、何もない部屋にいた。
左側には赤く塗られたドアがあった。
厨房の向かい側の壁には、金属製の格子が穴への丸くて暗い入り口を塞いでいた。
「赤いドアはどこに通じているんだ?」
「九人の寝室です。
九人の子達は交代で眠ると言われていて、検査の時期になるとこのドアから入ってきます」
ティラは不安そうに肩越しにちらりと見た。
「さあ、ここを出ましょう。あなたがそうしてほしいから連れてきたんです。
でも、いつ何時、不意を突かれるかもしれません」
四人は穴に忍び寄り、格子の隙間から覗き込んだ。
ぼんやりと、赤く光る石で覆われたトンネルの入り口が見えた。
トンネルの天井と側面は丸みを帯びており、非常に狭く、暗闇へと下っていった。
その奥深くで、何か長く低いものが唸り声を上げていた。
「中には何がいるんだ?」
「分かりません。穴に入って生き残れるのはネズヌクだけです」
「そう言われているんだ!」
リーフは軽蔑するように言ったが、ティラは首を横に振った。
「人生で二人、穴を通って街から逃げようとする人を見ました。
二人とも硬直して死んでいました。見開いた目で睨みつけていました。
手は裂けて水ぶくれができ、唇には泡が浮いていました。恐怖で死んだと言われています」
トンネルから再び鈍い轟音が聞こえた。
二人は暗闇の中を覗き込んだが、何も見えなかった。
「ティラ、武器はどこにあるか知っているか? 剣と短剣は?」
「炉のところで待っています。明日は溶かして、厨房で使う新しいものに作り変えるのです」
「持ってきてくれ!」
「できません! 彼らに触れるのは禁じられている。
それに、私は既にあなたのために酷い罪を犯したのですよ」
「ただここから立ち去りたいだけだ! それが君の民に何の害になるんだ?
それに、君が僕達を助けてくれたなんて、誰も気付かないだろう」
「ライは九代目の主席です。彼の言葉は法です」
「あいつは君に従わない。
あいつが嘘をつき、騙し、君の法を嘲笑っているのを、君自身が見てきたはずだ!
死に値する者がいるとすれば、それは奴だ!」
しかし、こう言うのはやりすぎだった。
ティラの頬は赤くなり、目を見開き、ティラは踵を返し、台所へと駆け戻った。
ドアがティラの後ろで勢いよく閉まった。
バルダは苛立ちながら溜息をついた。
「ティラを驚かせてしまった。口を慎むべきだった! これからどうするんだ?」
「最善を尽くそう」
リーフは決意を固め、トンネルの入り口の格子を持ち上げた。
これを見た時、「ん……? どこかで聞いたような……」と思いました。
なので、回想シーンは工夫して書きました。