ヴァージニアとデルトラクエスト   作:アヤ・ノア

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ちょうどの時間にうごめく砂編を終わらせたいので、
来週の木曜日と再来週の木曜日は投稿しませんのでご注意ください。
今日でまた年を重ねちゃったよ……。


第27話 危険な砂漠

 うごめく砂で、リーフは夢の中のように、砂浜へと歩みを進めながら考えた。

(もしかしたら、ベルトが危険を感じているのかも)

 しかし、リーフはデルトラのベルトに手を出す勇気はなかった。

 オパールに触れたら――もし未来をもう一度見たら――

 踵を返して逃げ出すだろうと分かっていた。

 リーフは目を閉じ、不毛の大地と灼熱の空を遮った。

 しかし、瞼の下にはまだ赤い砂が見えていた。

 そして、この場所にある全てを、全てを自らに引き寄せるように、

 リーフを引き寄せる貪欲で嫉妬深い意志は、かつてないほど強くなっていた。

 リーフは最初の砂丘を登り始めた。

 波打つ砂に足が深く沈み込み、一歩一歩が力強くなった。

 リーフはもがきながら進んだ。

「ああ!」

 ジャスミンの叫び声が聞こえた。

 彼女の声が夢の中に入り込み、リーフは目を開けた。

 しかし、リーフは立ち止まらなかった。

「僕達はただ進むだけだ」

 リーフは振り返らずに叫んだ。

「番人はすぐ近くにいる。探す必要はない。きっと見つけてくれる」

 

 四人はすぐに高い砂丘に囲まれ、岩が見えなくなってしまった。

 しかし、四人の足跡ははっきりと後ろについていたので、迷子になる心配はなかった。

 四人は、砂丘が思っていたほど生命の無い場所ではない事を発見した。

 彼らが通り過ぎると、赤いハエが砂から這い出て舞い上がり、

 彼らの手や顔、腕、首に止まり、噛みついたり刺したりした。

 青い長い舌を持つアカトカゲが、見えない穴から這い出し、ハエを次々と捕食した。

 

「でも、トカゲは何を食べるの?」

 ジャスミンは尋ね、短剣を抜いた。

 

 それから間もなく、四人は砂の上に横たわる奇妙な物体を通り過ぎた。

 それは丸く、革のような、平らで、しわが寄っていた。

 まるで空の袋か、片側が割れた巨大なブドウの実のようだった。

「何かの種子の鞘かな?」

「今まで見た事のない種子の鞘だわ」

 バルダはそれを眺めながら、不思議に思った。

 フィリが不安そうに耳元で話し、肩に乗ったクリーが心配そうにコッコッという音を立てた。

 リーフの頭皮がチクチクした。

 誰かに見られているような気がして、リーフは苛立っていた。

 しかし、ハエとトカゲ以外、何も動いていなかった。

 低くかすかな単調な音以外、何も聞こえなかった。

 風は感じられず、砂は静かだったが、リーフは砂丘の周りの風の唸り声に違いないと考えた。

 

(……もしかして、ここには何かが飲み込まれているのか……?)

 三人は一つの砂丘の底に着き、ちょうど別の砂丘を登り始めた時、

 先頭に立っていたジャスミンが立ち止まり、挙手した。

 最初は何も聞こえなかった。

 そして、静かな空気に漂う中、声が聞こえた。

 それは刻一刻と大きくなっていた。

 

「2号! ハエは気にするな。進み続けろ!」

 リーフは必死に後ろを振り返った。

 砂の上に四人の足跡がくっきりと残っていた。

 足跡は矢のように、四人の位置を示していた。

 隠れる場所などどこにもないし、逃げ場もない。

 単調な音が少し大きくなったように感じた。

 まるで風が四人の恐怖を煽るかのようだった。

 

 ちょうどその時、リーフは町でよくやった手品を思い出した。

 かつて影の憲兵団を騙した手品で、もしかしたらまた騙せるかもしれない。

 ヴァージニア、バルダ、ジャスミンに先について来るように合図すると、

 リーフは自分の足跡に慎重に足を合わせながら後ずさりし始めた。

 砂丘の底に着くと、リーフは横に飛び移り、かすかな影の中にじっと横たわった。

 三人はリーフの動きを一つ一つ真似した。

 皆が身を寄せ合うと、リーフはマントを纏った。

 リーフはすぐに砂に溶け込んでしまった。

 四人は石のようにじっと待っていた。

 

 重たい靴を履きながら、影の憲兵団が現れた。

 影の憲兵団は砂丘の斜面を駆け下り、次の砂丘へと足跡を辿り始めた。

 そして影の憲兵団は困惑して立ち止まった。

 砂丘の中腹で、足跡は完全に途切れたように見えたからだ。

 

「連れ去られた!」

「8号、言った通りだ。うごめく砂へ足跡を追うのは無駄だと言っただろう。

 危険に身を晒しているのは……」

「黙れ! 分からないのか、この馬鹿者!

 チャンピオン1名と決勝進出者2名、そして予選敗退者1名を逃がした。

 奴らを連れて行かない限り、我々の命は何の価値もない――無に等しい。

 連れ去られたわけではないかもしれない。砂に埋もれていたかもしれない。掘れ! 掘れ!」

 8号は両手で砂に穴を掘り始めた。

 2号はぶつぶつ言いながら、しゃがみ込んで8号に加わった。

 その時、突然、影の憲兵団の足元で砂丘が噴き出したかのようだった。

 そして、衝撃的な速さで、崩れ落ちる砂の中から巨大で醜悪な怪物が飛び出し、

 影の憲兵団を掴み、足元から引きずり落とした。

 影の憲兵団は恐怖に叫び声を上げた。

 衝撃で身動きが取れなくなり、自分の目が信じられず、

 ヴァージニア、リーフ、バルダ、ジャスミンはマントの下で硬直した。

 怪物は砂丘に完璧に隠れていた。

 待ち伏せしていたのだ。

 あと一歩踏み出せば、影の憲兵団ではなく、四人がその餌食になっていただろう。

 リーフは茫然とした恐怖に目を奪われた。

 その怪物は八本足で、小さな頭はまるで鏡のような目をしていた。

 地面に転がっていたのと同じ、革製の袋が何十個も体からぶら下がっていた。

 関節や裂け目からはまだ砂が流れ出ていた。

 恐ろしいほどの力で捕らえられた者達がもがき、振り回されているのを、

 怪物は興味もなく見つめていた。

 そして口を開け、身を乗り出した。

 すると突然、ありがたい事に、叫び声も、もがきも止まった。

 

 全ては数秒のうちに起こった事だった。

 ヴァージニア、リーフ、バルダ、ジャスミンは見たものに吐き気を催し、

 マントの下にうずくまり、動く勇気もなかった。

 その怪物がウネウネしていなかったのが幸いだった。

 もしヴァージニアがウネウネした怪物を見たら、恐怖のあまり見境なく行動するのだからだ。

 

 怪物はハサミを使って、まるで鳥がカタツムリの殻を剥くように、

 獲物の死骸から衣服を丁寧に剥ぎ取った。

 四人は、服、靴、金貨が入った袋、ジャスミンのメダル、火ぶくれ弾が入った金属製の容器、

 パチンコ、棍棒、そして水筒が砂の上にドスンと落ちるのを見ていた。

 すると、その生き物はとげとげした腰を下ろし、時間をかけて食べ始めた。

 何千匹ものトカゲやハエが砂の中から這い出し、その口から落ちる食べ残しを貪り食った。

 リーフは両腕に顔を埋めた。

 彼は影の憲兵団に好意を抱いていなかった。

 しかし、こんな事を見過ごすわけにはいかなかった。

 

 降り注ぐ黄色い雲が太陽を完全に覆い隠し、リーフは時間の感覚を失ってしまった。

 何時間にも感じられた間、ヴァージニア、リーフ、バルダ、ジャスミンは、

 その怪物が腹いっぱいに食べ、体からぶら下がっている袋がゆっくりと膨らみ、

 まるで茎からぶら下がっている巨大なブドウの実のように見えた。

「あれは胃袋だ!」

 バルダは嫌悪感を込めて息を吐いた。

 リーフとヴァージニアは身震いした。

 沈黙の森の怪物によく慣れているジャスミンでさえ、嫌悪感で鼻に皺を寄せた。

 ついに、ハエやトカゲが散り散りになり、怪物は立ち上がった。

 他のどの胃よりも大きく膨らんだ胃の一つを体から引きちぎり、

 砂の中に転がり落ち、ぼろぼろの切り株だけが残った。

 怪物は気にも留めない様子で、前に這い進み、その上に腰を下ろした。

 

「何をしてるんだ?」

 リーフは黙っていられず、息が詰まった。

「胃に穴を開けて卵を産んでいるんだと思うわ。

 そうすれば、孵化したばかりの子は成長するまで餌をもらえるのよ」

「……ウネウネしてないのが幸いですわ」

 バルダは顔を背けた。

 しかし、怪物は既に産卵を終え、再び動き出していた。

 ゆっくりと、隠れていた荒れた砂丘をゆっくりと進み、

 次の砂丘に登り、すぐに頂上へと姿を消した。

 四人は、それが戻ってこない事を確かめるために少しの間待ち、

 それからぎこちなく立ち上がった。

 ジャスミンは躊躇う事なく、しかし短剣を握りしめたまま、

 トカゲやハエが衛兵の骨や血まみれのぼろぼろの服に群がっている場所へと急いだ。

 彼女は腐肉食者達を追い払いながら、ぼろ布を素早く選別し、使えるものを小さな山に分けた。

 影の憲兵団のパチンコや火ぶくれ弾、棍棒や水筒、金貨が入った袋など。

 しばらくして、ジャスミンは驚いて顔を上げた。

 

「金貨が入った袋は落ちた時に破裂したのよ。ほとんどの硬貨がこぼれ落ちたの。

 でも、もうここにはないわ。もうないの! 私のメダルも消えたのよ」

「そんなはずはない!」

「でもあいつの事だもの、全部食べてるはず……ですわ」

 バルダとヴァージニアはジャスミンに向かって歩き、捜索を始めた。

 リーフはよりゆっくりと後を追った。

 三人がしゃがんでいるすぐ向こうの、平らな砂地にリーフは目を奪われた。

 そこに見たものは、リーフの背筋を凍らせた。

 

「あの怪物は何時間も餌を食べながら私達の視界を遮っていたのよ。

 何か、あるいは誰かが人知れず這い込んできて……」

「そんなはずはない!」

 崩れた砂の上を無駄に探し回っているうちに、バルダは焦り始めた。

「見ろ!」

 リーフの声は、自分でも詰まっているように聞こえた。

 彼は咳払いをして、指差した。

 滑らかな砂地は、何百もの奇妙な円形の跡で覆われていた。

 以前はそこになかった跡だ。

 ジャスミンはじっと見つめた。

「こんな足跡は見た事がないわ。一体どんな生き物がつけたのかしら?」

「分からない」

「でも、それが何であれ、うごめく砂の怪物を恐れない何かで、

 光る物が好きな番人かもしれませんわ」

「うごめく砂の怪物が番人に違いない!」

「いいえ、うごめく砂の怪物の一匹だと思うわ。卵を産むところを見たばかりよ。

 それに、ここに来る途中で空っぽの腹皮を通り過ぎたわ。

 その孵化したばかりの子はもう自力で生き延びようとしていた。

 ここには何百匹、いえ、何千匹もの砂の怪物がいるかもしれないわ」

 バルダは小声で悪態をついた。

 低く単調な音がリーフの耳に響いた。

 リーフは砂の上の円を見つめた。

 まるでリーフを嘲笑っているようだった。

 リーフは目を逸らそうとしたが、目を引き戻し、無理矢理空を見上げたが、

 そこに安らぎはなかった。

 変わらない雲の屋根が、顔のない砂丘に囲まれ、リーフを圧迫しているようだった。

 そして、恐怖は絶えず、勢いを増して戻ってきたハエのように、リーフを襲い、刺し続けた。

 

うあぁぁぁぁっ!

「あっ、リーフ!」

 リーフはもう我慢できなくなった。

 くぐもった叫び声をあげ、リーフは道に飛び乗り、蹴りつけ、破壊し、

 踵を柔らかい砂に深く突き刺して、辺り一面に砂を撒き散らした。

「リーフ! 止まれ!」

 バルダの声が聞こえた。

 しかし、リーフには聞こえていなかった。

 リーフは叫び、地面に倒れ込み、地面を叩き、引き裂いた。

 ヴァージニア、バルダ、ジャスミンが駆け寄り、リーフを立ち上がらせようとしたが、

 リーフは三人を振り払った。

 

(まずいですわ……今のリーフは、わたくしがウネウネした生き物を見たような……

 つまり、恐怖に陥っていますわ!)

 かすかな揺れと低い地響きがして、地面が動き始めた。

 リーフはバルダ、ジャスミン、ヴァージニアの叫び声を聞いた。

 そして、ちょうどその時、巨大な砂の柱が四人の周囲から突き上げ始めた。

 足元から崩れ落ちた四人は、砂が轟音を立てて震える中、無力に、盲目的に転がり落ちた。

 リーフはジャスミンがクリーを呼ぶ叫び声と、それに応える鳥の甲高い鳴き声が聞こえた。

 恐怖に呻く自分の声も聞こえた。

 何かがいる。

 リーフはそれを知っていた。

 刺すような砂に目を閉じていたため何も見えなかったが、

 周囲に恐ろしい、怒りに満ちた存在を感じていた。

 そして、それが何なのかも知っていた。

 それはリーフを引き寄せていたものだった。

 リーフが与えてくれると感じたものを渇望していたものだった。

 

(あいつら、僕のベルトを狙ってるのか)

 突然、リーフは力が弱まるのを感じた。

 そしてすぐに、始まったのと同じくらい速く、嵐は止み、地面は静まり返った。

 舞い上がる砂が雨のようにリーフの周りに降り注ぐ中、

 リーフはじっと横たわり、めまいと息切れに襲われていた。

 翼をばたつかせ、クリーはジャスミンの腕に降り立った。

 赤い粉塵が全身を覆っていたが、無傷だった。

 クリーは羽をくしゃくしゃにし、身を清めようとした。

 ジャスミンの服の中で、フィリが興奮してお喋りしていた。

 フィリはリーフに囁き、落ち着かせた。

 リーフは震える手でフィリの顔を拭いた。

 

「砂嵐だ。だからこの場所は『うごめく砂』と呼ばれているんだ。

 もっと早く気づけばよかったのに……」

「普通の砂嵐じゃなかったわ。

 砂嵐が始まった時にリーフがあの跡を蹴り飛ばしていたなんて、ただの偶然じゃないわ」

「リーフ、どうしてそんな事をしましたの? まさか、病気ですの?」

 ヴァージニアの質問にリーフは答えられなかった。

 リーフはぼんやりと辺りを見回していた。

 全てが変わってしまった。

 砂丘は崩れ落ち、また別の場所で形を変えかつて丘があった場所には大きな谷が広がっていた。

 以前、砂丘を汚していた足跡や痕跡は全て消えていた。

 崩れ落ちた砂丘も、影の憲兵団が命を落とした場所も、どちらも消え去っていた。

 ヴァージニア、リーフ、バルダ、ジャスミンは、まるで空から、

 見た事もない砂漠の片隅に落とされたかのようだった。

 低く唸るような音だけが、以前と同じだった。

「リーフは私に話しかけてくれない!」

 ジャスミンが怯えた声でヴァージニアに言うのが聞こえた。

 彼女の声は、とても遠くから聞こえた。

 太陽はまだ雲に覆われていた。

 リーフは東と西の区別がつかなかった。

 何度も振り回され、転がされたため、自分がどちらの方向から来たのかも分からなかった。

 これが始まりなのだ、とリーフは思った。

 リーフのぼんやりとした目は、自分が横たわっている場所のすぐ近くの砂の跡に留まった。

 彼はそれを見つめてその意味を理解すると、喉が閉まるようだった。

 

「これって、ジャスミンの短剣ですの?」

「……何だ?」

 リーフはバルダに肩を掴まれ、揺さぶられるのを感じた。

 唇を舐め、無理矢理言葉を絞り出した。

「心配しないで。大丈夫だ」

「大丈夫そうじゃないぞ。まるで正気を失ったみたいだ」

「ジャスミンが短剣をなくしたんだ。柄に水晶の彫刻をはめ込んだ短剣を」

「あら、見つかったの? よかったわ。砂嵐が終わる直前に落としてしまったの。

 お父さんが持っていた短剣だったの。もう二度とないと思っていたの!」

「そうだろうね」

 リーフは砂に描かれた絵を指差した。

 ジャスミンとバルダは言葉を失い、口をあんぐり開けた。

「嵐を引き起こした怒りの持ち主が、短剣を貢物として受け取り、

 それを持ち去る間、僕達を待っていたんだ」

「砂に刻まれた円! あれは足跡なんかじゃない、金貨とメダルの絵だったんだ!」

 バルダは歯を食いしばった。

「一体どんな生き物なんだ? どうして何を盗んだかを示す跡を残すんだ?」

「じゃあ、どうして彫刻家は石像を彫り、店主は窓に商品を並べ、

 愚か者は木や壁に自分の名前を書くんだろう?

 それは、愛するものに見せるため。所有物を見せるため。

 そこを通る全ての人にメッセージを残すため」

「リーフ、変な事を言うのね。気に入らないわ。まるで知っているかのように話すのね」

「いや、よく分からないよ」

 十字路の石に刻んであった詩が、リーフの頭の中で何度も繰り返された。

 それは、うごめく砂と、その恐ろしい場所に集まる貴重なもの全てを支配していた。

 その領域を共有する恐ろしい怪物達は、犠牲者の肉を手に入れる事ができた。

 番人は、犠牲者が持つ宝物だけを欲していた。

 砂漠に入って以来初めて、リーフは服の下のベルトに触れ、

 留め具がしっかりしているか確認した。

 すると、指がトパーズに触れ、突然、リーフの意識は澄み渡った。

 まるで窓から埃っぽいベールが剥がれ、光と空気が差し込むかのようだった。

 しかし、どういうわけか、この閃光は長くは続かない事をリーフは知っていた。

 ここには別の力が働いており、それは古く、恐ろしいものだった。

 リーフはバルダの方を振り返った。

「進まなきゃ。光は薄れつつある。ベルトはまだ温まっていないし、目指す場所はここから遠い。

 だが、僕達は繋ぐ。離れ離れにならないように。僕は真ん中で、きつく縛る」

 バルダは厳しい表情でマザー・ブライトリーから買ったロープを使ってリーフの頼みに従った。

 ロープは軽かったが、とても丈夫だった。

 リーフはロープを試し、頷いた。

「何と言っても、放すな」

 ヴァージニア達は何も聞かずに頷いた。

 四人は少し水を飲んだ。

 そして、ゆっくりと闇が訪れる中、武器を抜き、命綱で繋いだ三人は出発した。

 

 その夜は月も星もなく、頭上には真っ黒な雲が垂れ込め、とても寒かった。

 松明に火を灯したが、光は弱く、影一つ見るたびに飛び上がってしまった。

 ヴァージニア、バルダ、ジャスミンは長い間、立ち止まりたかったが、

 リーフはいつも三人を励まし続けた。

 しかし、ついに三人はリーフの言う事を聞こうとしなくなった。

「リーフ、こんな風に生きてはいられない。食事をして、休むんだ」

「ダメだ」

 リーフは首を振り、足を揺らしながら立っていた。

 ただ横になりたいだけだったが、何故か眠ったら危険に晒される事を知っていた。

 しかし、ジャスミンは既にロープの端を解き、膝をつき、鞄の中を探り始めていた。

 あっという間に砂に浅い穴を掘り、影の憲兵団の棍棒をそこに投げ込んだ。

 ヴァージニアは今もなお、無言で警戒を続けていた。

「こんなに使い道があるなんて」

 ジャスミンは滑らかで硬い薪の上に松明を置き、

 念のためマザー・ブライトリーの火かき片も加えた。

「もうすぐ、立派で心温まる炎が燃え上がるわ」

 ジャスミンが手招きすると、リーフは最早抵抗できず、ジャスミンの隣に倒れ込んだ。

 バルダとヴァージニアもまた火の傍に来た。

 リーフがじっと横たわっているのを見て、

 バルダは安堵の呻き声を上げ、腰に巻いていた紐をほどき、伸びをした。

 ヴァージニアを縛っていた縄も緩んでいる。

 火はパチパチと音を立てて燃え上がった。

 重たい薪が赤熱し始めた。

 熱は次第に大きくなり、広がっていった。

 バルダは両手を差し出した。

「ああ、素晴らしい!」

「……リーフ!」

 バルダは満足げに溜息をついた。

 そして、それがリーフが聞いた最後の音だった。

 次の瞬間、大きな轟音が響き、砂が波立ち、周囲の世界が爆発したかのようだった。




来週はリーフが四つ目の宝石を取り戻すために挑戦します。
ここまで温存しているのは、お借りしているキャラのためなのです。
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