放置しすぎて最後の注文でリタイアだなんて、運営はどうかしていますよ!
ま、2回目でダイヤを2回使った上でクリアはしましたがね。
そんな愚痴はどうあれ、トーラの街に何故かあいつらが来ますよ。
リーフとバルダが二人でデインを支え、四人は街を出て行き始めた。
デインの目は暗く、虚ろだった。
足はよろめき、引きずっていた。
額には冷や汗が浮かび、酷い震えがまだデインの細い体を襲っていた。
リーフはデインの苦しみを痛感したが、心のどこかでデインの衰弱ぶりに疑問を抱いていた。
ヴァージニアはデインが邪悪な存在だと理解していたが、口には出さなかった。
デインはトーラで両親に会える事を願っていたが、叶わなかった。
まるでトーラの石のように心が砕かれ、緑の炎のように魂の光が消え去ったかのようだった。
四人は歩き続けた。
デイン以外の全員が、通り過ぎる家々を左右に見渡していた。
きらきらと輝く窓から、消え去った命の悲しい痕跡がはっきりと見えた。
作られた日と変わらぬ新鮮な食べ物、
美しく絵付けされた皿や食器、刺繍の施されたクッションや掛け物。
ほとんど全ての家に機織り機があり、驚くほど繊細な布が掛かり、
遠い昔に姿を消した機織り機の帰りを待っていた。
機織り機を見たリーフは、母親を思い出した。
リーフは、母親が衣服や日用品のために布を織っているのを何度見た事だろう。
アンナが使う糸は粗く鈍いので、宝石のように輝くトーラの糸とは比べものにならない。
母親が作った中で最も素晴らしいものは、リーフが今、着ているマントだった。
そこには、母親の最高の技術、愛、思い出がこもっている、と母親は言った。
「母さんはどこにいるんだ? 誰よりも、僕こそがデインの悲しみを理解できるはずだ」
愛する両親を恋しく思い、不安に駆られる気持ちはよく分かるが、希望を捨てていなかった。
絶望に身を任せ、心身を病むような事はしていない。
ジャスミンは両親が連れ去られた時、屈服して死んだわけではない。
バルダは母親が殺され、友人達が惨殺された時、絶望していない。
そしてヴァージニアは、元の世界で両親が殺された時、敵討ちのために正義を磨いた。
リーフは、人にはそれぞれ長所と短所がある、と自分に言い聞かせた。
トンネルの入り口が目の前にあった。
涼しい木陰に入ると、リーフは再び不思議なうずきが全身を駆け巡るのを感じた。
リーフは夢の中を歩き、後悔しながら太陽の中へと歩みを進めた。
「ほら、デイン。大丈夫だよ」
リーフとバルダはデインをそっと地面に降ろした。
デインは寒さで震え、大きな目で明るい空をぼんやりと見つめていた。
「ほら、デイン、もっと強くなるんだ。君は自分で病気になっているんだ」
バルダがその言葉を何度も繰り返すと、ようやくデインが返事をした。
虚ろな目はゆっくりと焦点を取り戻した。
デインは唾を飲み込み、乾いた唇を濡らした。
「ごめんなさい。街が空っぽだったのは……本当にショックだった。
でも、それは言い訳にならない」
クリーは金切り声を上げ、警戒するように羽ばたいた。
「誰かが来てるわ!」
「えっ、ええっ?」
ジャスミンは叫び、短剣を抜いた。
ヴァージニアは慌ててメイスを構える。
リーフは湖の向こうを見渡したが、湖は動かなかった。
危険は陸からやってくるのだ。
街の脇や向こうにそびえる丘から。
クリーは上空に舞い上がり、調査の準備を整えた。
「駄目よ、クリー! 相手は弓矢を持っているかもしれないわ! 一緒にいて!」
クリーはしばらく空中に留まり、それから渋々地面に戻ってきた。
「ジャスミン、たくさんいるのか?」
バルダが鋭く言った。
以前も何度もそうしていたように、ジャスミンは跪いて耳を地面につけた。
「多分二人だけよ。二人とも背が高い。片方がもう片方より重いわ」
デインはジャスミンをじっと見つめていた。
明らかに感銘を受けているようだった。
リーフはデインの手足の震えが和らいでいるのに気づいた。
何か他に考え事があるというのは、まさにデインに必要な事のようだ、とリーフは思った。
しかし、デインは少し苛立っている事に気づいた。
もし自分がまだトーラの中にいたら、怒りではなく、むしろ冷静でいられるだろうと気づいた。
街の呪いが解けつつある、とリーフは思った。
もうすぐ元通りになる。
そしてついに、トンネルのうずきが何を意味するのか理解した。
16年以上もの間、トーラが無傷のままでいられる理由が分かった。
「リーフ! 早くしろ!」
「ああ!」
リーフは剣を抜き、ヴァージニア達のところへ急いだ。
四人は肩を並べて立ち、丘から近づいてくる二人の背の高い人影とデインの隔壁を作っていた。
人影は眩い陽光に煌めいているように見えた。
「まさか盗賊? それとも、オル?」
「トーラを守る魔法のトンネルはあらゆる邪悪を払いのける。
そこに戻れば、何者も我々を傷つける事はできない」
「じゃあ、デインが体調不良になったのは、やっぱり……」
バルダはリーフをちらりと見て、それから街の輝く城壁を見つめた。
リーフは、バルダが心の中で距離を測り、
危険を冒して引き返して安全な場所へ逃げるべきか判断しようとしているのが分かった。
しかし、遅すぎた。
見知らぬ者達は四人に気づき、足早に歩みを進めていた。
デインはよろめきながら這い上がり始めた。
「こら、デイン、トーラのところへ戻れ」
バルダは命じた。
しかし、デインは頑固に首を振り、短剣を探った。
「デイン! 行って!」
「もし彼らがオルなら、ボクが助ける。ボクはキミと共に立ち向かうか、さもなくば死ぬ。
もう弱気なのは我慢の限界だ」
デインは歯を食いしばって言った。
彼はジャスミンの隣に立ち、近づいてくる見知らぬ者達に眉をひそめた。
そして突然、デインは目を細められ、口元を固く結んだ。
「ジョーカーだ!」
デインは呟き、背を向けた。
ヴァージニア、リーフ、バルダ、ジャスミンは驚きながら、デインの言う通りだと悟った。
近づいてくる見知らぬ男の中で背の高い方が、ジョーカーだと分かった。
ジョーカー、レジスタンスの拠点で最後に見かけた男だ。
3日間も彼らを監禁していた男だ。
驚いた事に、ネリダがジョーカーと共にいるのが分かった。
近づくにつれ、リーフはネリダの唇が歪んで微笑んでいるのに気づいた。
しかし、ジョーカーの表情は険しかった。
「気を抜くな! もしかしたら、オルが俺達を騙そうとしているのかもしれない」
明らかに、デインはそうは思わなかったし、リーフもそう思っていなかった。
しかし、それでもリーフは剣の柄を握りしめた。
ジョーカーは、ジョーカーなりのやり方で、
どんなオルにも劣らず危険な存在である事を示したので、信用できない。
四人のところに着くと、ジョーカーは挨拶の言葉も発しなかった。
「それで、デイン。お前は望んでいた場所にいる。満足か?」
「分かっていただろう! トーラが何なのか、最初から分かっていただろう、ジョーカー。
ボクに嘘をついたな!」
「もちろんだ」
ジョーカーは冷たく言った。
「お前を強く保っていたのは希望以外に何があった?
希望が空しく終わった事で、気分は良くなったか、悪くなったか?」
デインの表情は明らかに答えを示していた。
ジョーカーは苦々しく頷いた。
「お前が要塞に来てからずっと、お前の両親を探していたんだ、デイン。
お前がトーラにいない事を知る前に、見つけようと願っていた。だが、お前は待たなかった」
「違う、待てなかったんだ!」
デインは反抗的に叫んだ。
「でも、それはボクのせいじゃない。ボクは真実を知らなかった。
ボクは守られ、おとぎ話で満足する子供じゃない!
キミはボクを騙して、こんな事をさせたんだ!」
ジョーカーは長い間、デインを見つめた。
すると、驚いた事に、ジョーカーの険しい顔が和らぎ、微笑みにも見える表情になった。
「かつては大人にあんな風に話さなかったのに。
初めて会った時は、とても礼儀正しく、大人しい子供だったのに」
「ボクは子供じゃない!」
デインは激怒して叫んだ。
「いや、どうやらそうではないようだ。もしかしたら……」
ジョーカーは考え込んでいるようだった。
「もしかしたら、俺が間違っていたのかもしれない。滅多にない事だが、可能性はある。
頼むから、要塞に戻ってきてくれないか? お前がいなくて本当に寂しい」
デインは躊躇い、不安そうに体を揺らした。
ヴァージニア、リーフ、バルダ、ジャスミンは顔を見合わせた。
皆の心の中では、デインがジョーカーと一緒に行く事に同意すれば、
多くの問題が解決するだろうという考えが浮かんでいた。
しかし、ジョーカーの安全を確かめなければならなかった。
リーフが前に出た。
「最後に君と会ってから学んだが、見た目を鵜呑みにするのは賢くないな、ジョーカー」
ジョーカーは落ち着いた声で言った。
「デインがどうするか決める前に、君とネリダにもトーラに入ってもらいたい」
ジョーカーは暗い瞳をリーフに向けた。
そして今、その瞳には温かさもユーモアもなかった。
「少しの間だけでも留まる必要はない。
トーラのトンネルは、君の試験室よりも遥かに早く悪を見抜く」
「それで、トーラの秘密を暴いたのか! おめでとう!
だが、もし俺がお前の要求に応じなかったらどうする? その時はどうなる?」
「その時は……」
「わたくしが、何とかしますわ」
ネリダはジョーカーの傍らに立った。
バルダとジャスミンはリーフとヴァージニアの傍らに立った。
両者は睨み合った。
そしてバルダが口を開いた。
「もしトーラに入る事を拒否するなら、
俺達は君達をオルと見なし、それに応じた行動を取らなければならない」
ジョーカーは、剣を瞬時に握った。
「駄目だ!」
デインはバルダの前に身を乗り出し、叫んだ。
「戦っちゃダメだ! キミ達は敵じゃない、仲間じゃないか!」
「まだ確信が持てない」
ジョーカーの表情は変わらず、厳しい口調で言った。
「わたくし達もあなたを全然信用できませんわ」
「もしあなたが本当にジョーカーという男なら、あなたは私達を酷く扱ってきた」
「わたくし達はあなたを信用していませんわ」
「そしてもしあなたがジョーカーの姿をしたオルなら、あなたは私達全員にとって危険よ」
ヴァージニアとジャスミンの言葉に、ジョーカーの目が煌めいた。
明らかに、ジョーカーはヴァージニアとジャスミンの言葉の意味を理解していた。
それでもジョーカーは剣を下ろさなかった。
「お前が見かけ通りの人間だと証明しても、何の害になるというんだ?」
リーフはわざと低く、落ち着いた声で言った。
「私達は何も証明する必要はないわ!
ジョーカーと私は要塞を出てからずっと一緒にいるわ。誓うわ」
ジョーカーはネリダを静めるために手を差し出した。
「誓ったところで何の証明にもならないぞ、ネリダ。
旅人は大抵二人一組で旅をするものだ、そうだろう?」
それから、ネリダの遮りがどうにかして決心を固めたかのように、
ジョーカーは肩を竦め、剣を鞘に収め、街の煌めく光に向かって大股で歩き始めた。
ネリダは明らかに驚きと怒りに震え、躊躇い、一瞬睨みつけた後、
くるりと振り返り、彼の後を追った。
四人も後を追った。
トンネルに着くと、ジョーカーとネリダが二人で先に進むのを待った。
リーフもトンネルに入りたくなったが、どういうわけかそれは賢明ではないと分かっていた。
今、情熱を全て消し去るわけにはいかなかった。
警戒を怠らないようにする。
ジョーカーのような相手には、警戒しすぎるという事はない。
そこでリーフは立ち止まり、見守っていた。
そして、そうでなければ見えなかったかもしれないものを目にした。
二人の人影がトンネルを歩いていくと、空気は色とりどりの火花で満ち、
太陽に照らされた塵のように渦を巻き始めた。
「歩いている時は何も見えなかったわ。ただ……感じただけよ」
「中にいる人には見えないんだろうな」
バルダは眩しい目を手でこすり、背を向けた。
数秒後、ジョーカーとネリダは揺らめく光の雲の中に消えた。
しかし、ほんの少しの間、二人は再び姿を現し、来た道をゆっくりと戻っていった。
陽光の中に足を踏み出すと、二人とも呆然としているように見えた。
顔は滑らかで、不思議なほど静かだった。
「それで――もう満足しただろう?」
ジョーカーは言った。
しかし、その言葉には何の痛烈さもなく、ジョーカーの目は途方に暮れているようだった。
呻き声を上げながら、ジョーカーは城壁に背を預けて座り込んだ。
ネリダ、デイン、そして他の者達は困惑した様子でジョーカーを見つめた。
ジョーカーは疲れたように顔を上げた。
「怒り、憎しみ、そして苦悩が消え去り、
他にほとんど頼りなく生きてきた男に残るのは、空虚だけか?」
ジョーカーはかすかな微笑みを浮かべながら尋ねた。
「だからこそ、俺はトーラを訪ねるのが好きじゃない。
一度だけ行った事がある――もう二度と行きたくない」
「ジョーカー、君は何者なんだ?」
リーフは突然尋ねた。
一瞬、ジョーカーは答えないだろうと思った。
すると、ジョーカーは肩を落とし、目を閉じた。
まるで断る力がないかのように。
「自分が誰なのか、分からない。名前だけでなく、何を失ったのかも分からない。
俺の記憶は影の王国から始まる。影の闘技場でブラールと戦っていた。
俺は負傷した。それ以前の全ては闇だ」
「影の王国……ですの?」
ジョーカーの手はゆっくりと顔のギザギザの傷跡に触れた。
影の王国というのは、ヴァージニアとワソをこの世界に飛ばした影の大王が支配する地だ。
「でも、逃げたのか?」
リーフが促した。
ジョーカーの今の弱みを利用して、ジョーカーについてもっと知るのは残酷かもしれない。
しかし、それは二度とないチャンスだった。
「影の闘技場から逃げたんだ。奴らはそんな事を予想していなかった。もう終わりだと思った。
俺は追われながら山々を逃げ延びた。
デルトラが故郷である事以外、はっきりとした知識は何もなかった。
恐怖の山で踵を返し、追っ手達と対峙した。
もう一度逃げ延びたが、大きな代償を払わなければならなかった」
ジョーカーは深く溜息をついた。
「生きているというより、死んでいるような旅を続けた。ようやく善良な男が俺を助けてくれた」
「キンが休む場所に住んでいた人ね」
ジョーカーはジャスミンを一瞥し、再び微笑んだが、その目には悲しみが宿っていた。
「お前は奴の墓を見て、俺が奴の名を継いだ事を知ったな。
奴は俺を助けたが、俺が奴を殺したと言ってもいい。
恐怖の山で死ななかった影の憲兵団が、洞窟まで俺を追いかけてきた。
『ジョーカー』は平和主義者だった。奴らに勝つ見込みはなかった。
だが、奴のおかげで俺は再び強くなった。奴らを皆殺しにし、骨を撒き散らした」
最後の言葉を発するジョーカーの声には、かつての残酷さがかすかに残っていた。
リーフは、トーラのトンネルの効果が徐々に薄れつつある事に気づいた。
ジョーカーは一瞬沈黙し、次に微笑んだのは、ただ苦々しく唇を歪めただけだった。
「お前は俺を利用してしまったようだな。好奇心を満たした事を願う」
ジョーカーの口元は引き締まり、目は暗くなった。
険しく、見慣れた仮面が再びジョーカーの顔に降りかかっていた。
「ジョーカー、あなたが大変な目に遭ってきたのは知ってたわ。でも、まさか……」
ネリダは息を切らして言った。
ジョーカーが冷たい視線を向けると、ネリダの声は途切れた。
明らかに、ジョーカーはネリダの同情も称賛も望んでいなかった。
ネリダの顔は赤くなった。
そして、怒りに震えながら首を振り、二人から立ち去った。
「ジョーカー、単なる好奇心で君の事を聞いたんじゃない」
「違うのか?」
ジョーカーは長い間、彼の目を見つめていた。
それからデインの方を向いた。
「数日後に行商人のルーカスに会う予定だ。ルーカスは新しい物資を持ってきている。
一緒に行くか? それとも新しい仲間達と残るか?」
「仕方がない、ジョーカー。デインはジョーカーと一緒に行くんだ。
これから長く険しい旅が待っている」
デインの敏感な肌が赤く染まった。
「誰の重荷にもなりたくない。ジョーカー、ルーカスに会いに行くよ」
ジョーカーは短く頷いた。
そして、まるでデインをこんなに簡単に見捨てた事に、
心外にも憤慨しているかのように、片方の眉を上げた。
「一体どこへ向かっているんだ? そんなに大変な旅になるのか?」
ずっと後になっても、リーフは何故自分があんな事を言ったのか分からなかった。
それは一瞬の衝動だった。
信頼の証として、ジョーカーに何か情報を提供したいという衝動に駆られたのかもしれない。
あるいは、単に嘘に飽きていたのかもしれない。
「いましめの谷へ行くんだ」
リーフははっきりと言った。
バルダとジャスミンは、リーフがそんなに率直に話す事に驚き、リーフの方を向いた。
しかしヴァージニアはリーフの成長を感じ取っていた。
魔物の洞窟で自分を守った時から。
デインは好奇心に駆られた。
しかしジョーカーは頷き、顔を曇らせた。
「そうかもしれないと思った。
心から警告するが、この計画から目を背けるように。谷はお前のような者には相応しくない」
「谷について何を知っているんだ?」
バルダは唸った。
ジョーカーはネリダが湖の水面を見下ろしている方へ視線を向け、声を潜めた。
「そこは邪悪な場所だ。悲惨と迷える魂の地だ。
万人の宝である偉大な宝石を求めて、多くの者がそこへ足を踏み入れた事を俺は知っている」
リーフはバルダとジャスミンをちらりと見た。
二人とも驚き、用心深い様子だった。
最後の魔境というだけあり、非常に危険な場所だろう。
リーフは唇を濡らした。
「素晴らしい宝石か?」
ジョーカーは軽蔑にも似た視線を向けた。
「偽って俺を侮辱するな。お前の目的は分かっている。ダイヤモンドだと言われている。
かつて見た事もないほど大きく、力強い。美しく、純粋で、値段の付けられない宝石だ。
この辺りでは秘密ではない。その名声は、お前より前に多くの者を番人に誘い込んだ。
皆、希望を抱いて谷に入った。そして皆、それを見なければよかったと、酷く願った」
リーフは恐怖に凍りついた後、肩を竦めた。
バルダは剣に手を置き、岩のように立ち尽くしていた。
ヴァージニアはごくりと唾をのんだ。
しかしジャスミンは髪を後ろになびかせ、顎を上げた。
「それでも、行かなきゃいけないわ」
ジョーカーは手を伸ばし、ジャスミンの肩を掴んだ。
「ダメだ! いいか! お前の冒険は既に失敗している。もし執着すれば、お前も死ぬ。
何のために? 夢のためだ! 何もないのに!」
ジャスミンは身を振りほどき、リーフ、バルダ、ヴァージニアが後ずさりした。
ジョーカーはしばらく三人を見つめ、降参するように両手を上げ、そして再び下ろした。
「最善を尽くした。もう何もできない。無駄だった。お前には既に仲間がいる。
力を合わせれば民衆を奮い立たせる事ができたかもしれない。
影の大王に対抗して団結できたかもしれない。デルトラを救えたかもしれない」
「今は確かに別々の道を行くしかない。だが、時が来たら、共に戦うのだ」
「時が来たら……」
ジョーカーは背を向けた。
「友よ、お前達にその時が来る事は決してないだろう。今ではない」
険しい顔つきでリュックを肩に担ぎ、デインに頭を向けた。
「ネリダに帰ると伝えてくれ。俺はここで既に多くの時間を無駄にしてきた。
ルーカスは待ってくれないだろう」
ヴァージニア、リーフ、バルダ、ジャスミンを振り返り、
デインはよろめきながら水辺へと歩いていった。
「ジョーカー、あなたは話している以上に多くの事を知ってるわ!
もし、私達を助けられるなら、助けなさい!」
ジャスミンは叫ぶが、ジョーカーは首を横に振った。
「お前は俺が与えた唯一の助けを拒否したのだ。それ以上を求める権利はない」
ジョーカーは高みからジャスミンを見下ろし、眉をひそめた。
ジャスミンはジョーカーを見上げた。
緑色の目は怒りに燃えていた。
そして突然、ジョーカーは短く笑った。
「一つだけ、お前のためにできる事がある」
ジョーカーはポケットから暗い色の毛糸の帽子を取り出し、ジャスミンに投げつけた。
「お前とあの鳥のおかげで、お前達の仲間が誰だか分かる。これで髪を隠してくれ。
お前は既に男装している。しかもボロボロに。お前の髪がお前の正体を明かす唯一の証拠だ」
「まあいいじゃないですの。ジャスミンは勇敢ですもんね」
ジャスミンは贈り物を受け取るべきかどうか迷っているかのように睨みつけたが、
ついに理性がプライドを上回った。
彼女は髪をねじり上げ、帽子を被り、耳の辺りまで下ろした。
その様子はまるで、しかめっ面をした少年が目の前に立っているかのようだった。
クリーは甲高い声を上げた。
明らかに、クリーはこの変化を気に入らなかった。
しかしジョーカーは頷いた。
「その方がいい」
デインが近づいてくると振り返り、デインが一人でいるのを見て再び眉をひそめた。
「何故ネリダは一緒にいないんだ?」
「ネリダは……来ない。故郷へ帰ると決めたと言っている」
デインがどもりながら言うと、ジョーカーは怒って鼻を鳴らした。
「だから俺と一緒に来ると言い張ったのか!
きっと帰るつもりはなかっただろう。要塞での生活はネリダには合わない。
あまりにも過酷で、危険で、甘やかされたアスリートが慣れ親しんだ贅沢をする余裕などない」
「でも……影の憲兵団が追いかけるのを恐れていないのか?」
「きっと、少なくとも道中は護衛してくれるようお前を説得できると思っているのだろう。
そして、故郷に着けば安全だと確信している」
ジョーカーは首を横に振った。
「馬鹿だ! 警告を聞かない馬鹿がまた一人増えたな」
何も言わずにジョーカーは背を向け、丘に向かって大股で歩き始めた。
デインは少しの間、躊躇った後、急いで別れの挨拶を呟き、ジョーカーの後を追った。
次回は最後の宝石が眠る場所、いましめの谷に行きます。