デルトラの世継ぎは一体誰なのか?
リーフ達は影の大王からデルトラを守り切れるのか?
ヴァージニアとワソは最後までリーフに協力します。
リーフ達が秘密のトンネルから這い出し、
礼拝堂を隠していた大理石のタイルを元の位置に戻した時、礼拝堂は冷たく空っぽだった。
震えながら、リーフは礼拝堂の扉を押し開け、その先の暗い階段を上った。
ヴァージニアとワソもリーフの後ろについていった。
クリーはリーフの腕にしっかりと乗っていた。
リーフには全く計画はなかった。
しかし、どういうわけか、ここにいるのは正しいように思えた。
この物語が始まった場所で、ここで終わるのだろう、とリーフは思った。
「僕は……バルダ達を助けられるだろうか」
「いや、助けられるじゃない。絶対に助けるの。
……私はリーフに助けられたんだから、今度は私がリーフを助ける番だよ」
「大丈夫ですわ。わたくしとワソを信じてくださいませ」
「……ジニー、ワソ、ありがとう」
ヴァージニア達は階段の暗闇から、その先の広大な空間を覗き込んだ。
城の1階は誰もいないようだった。
しかし、最上階へと続く巨大な階段を下りていくと、遠くからざわめくような音が響いていた。
大勢の群衆の音だ。
ヴァージニア達は、その音がどこから聞こえてくるのか知っていた。
それは2階の大広間の、大きく開いた窓から聞こえてきた。
デルの人々は城の庭園の向こうの丘に群がっていた。
ヴァージニア達は処刑場を見上げていた。
それは大きな柱が支える木製の台で、大広間の窓から城の庭を取り囲む壁まで伸びていた。
灰色の背景に赤い手が描かれた影の王国の旗が、その真上の旗竿に掲げてあった。
この場所は、影の大王が来た時に建てられた。
遠くからでもその光景は、幼い頃からリーフを凍えさせた。
幼い子供達でさえそこで行われる処刑を目撃させられ、目を背ける事を禁じられていたからだ。
影の大王はデルの人々に、反逆の代償を知らしめようとした。
そして彼らはそうして知った。
年に一度か二度、彼らは処刑場で恐ろしい光景を目にしたが、
その間もそれは常に彼らの心に刻んであった。
その下の地面には骨が積み重なっていた。
壁には頭蓋骨が突き刺さっていた。
そして、壇上の端には、ぶら下がり腐乱した死体が分厚い縁飾りで吊るされており、
それぞれに影の大王の印が押してあった。
「デルの人々よ! 裏切り者どもを見よ!」
か細く鋭い声が階段をかすかに響く中、ヴァージニア達は武器を握りしめた。
ファロー自身が広場に立って群衆に語りかけていた。
通常、処刑は影の憲兵団の一人が行う。
しかし、今回は特別な機会だった。
ヴァージニア達は秘密の道を駆け抜け、あっという間に城に到着した。
丘を登る長い道のりを苦労して登ってきたので、
鍛冶場を襲撃した影の憲兵団はまだ到着していないはずだ。
しかしファローは、最も狙っている者達の捕獲の知らせを待つ間、
群衆に見せるための例を他に六つ持っていた。
ヴァージニア達は素早く周囲を見回した。
城の中から広場に辿り着く事は不可能だと分かっていた。
衛兵や使用人達は、いつも舞台の端にある窓に群がっていた。
しかし、父親から聞いた話では、厨房は近い事を知っていた。
そして、使用人達は皆、二階にいるため、厨房は空いているはずだ。
厨房を走り抜け、外へ出て、広場のそびえ立つ場所まで行く事もできる。
舞台を下から支えている柱に登る事もできた。
しかし、広場はいつも明るく照らされていた。
舞台の端に立つ影の憲兵団は、
ヴァージニア達が頭を出した瞬間にヴァージニア達を見つけるだろう。
彼らも皆、三角巾に火ぶくれ弾を隠し、背後の箱には十分な物資を詰め込んでいた。
仕事は、少しでも服従しない兆候があれば、群衆に火ぶくれ弾を投げつける事だった。
「クリー、君みたいに飛べたらいいのに。そうすれば、上から彼らを驚かせるのに」
「わたくしの奇跡もここには役立ちませんわね……」
腕に硬直して止まっている鳥を一瞥しながら、リーフは呟いた。
クリーは瞬きをして首を傾げた。
その時、リーフは自分が何をすべきかに気づいた。
「……そうか」
「何か分かりましたの? リーフ」
「あのね……こうするんだよ」
たちまち、ヴァージニア達は外気に出た。
暗赤色の雲が重々しく頭上に垂れ込め、大地を不気味な光で照らしていた。
ファローの声がはっきりと聞こえた。
「……偉大なる指導者を倒す陰謀に加担した。
あらゆる悪が必ず失敗するように、この陰謀も必ず失敗する」
(急ぎますわよ!)
城がヴァージニア達の頭上にそびえ立っていた。
暗いが、窓や装飾品、そして足場は豊富にあった。
ヴァージニア達は登り始めた。
上へ、上へ、一階の窓を通り過ぎ、二階の窓の下を通る狭い棚へと再び登った。
窓掃除をする使用人達は、きっとよくこの棚に座っていたのだろう。
しかしヴァージニア達は立っていた。
リーフは胃が締め付けられるような思いで、壁に背を向けて慎重に体を回した。
それからヴァージニア達は建物の角をそっと横切り、横に回り込みながら動き始めた。
そして下の方、リーフの左遥か下、処刑場が眩い光に包まれていた。
ヴァージニア達は、ゆっくりと近づいた。
処刑場は衛兵で溢れていた。
松明が炎を燃やし、暗闇を照らしていた。
舞台の両端には大きな赤い円錐が立っていた。
リーフはかつてそのようなものを見た事がなく、その目的も想像できなかった。
片側には燃え盛る炭の入った巨大な金属製の鍋があった。
リーフは歯を食いしばった。
その目的はよく分かっていた。
ファローは舞台の中央に立ち、
足元に横たわる二人の囚人の首に繋がれた二本の鎖を手に持っていた。
彼の後ろには、さらに六人の鎖に繋がれた人物が不揃いな一列に並んで立っていた。
グロック、ゼアン、マナス、ナニオン、グラ・ソン、ファーディープ。
全員が負傷していた。
ゼアンはよろめいていた。
グロックは立っているのがやっとだった。
ファローは骨ばった指で彼らを突き刺した。
「デルの人々よ、奴らが見えるか? この見知らぬ者達が見えるか?
醜い身体と、歪んだ邪悪な顔が見えるか?
怪物だ! デルの侵略者だ! 二重の烙印、そして死だ!」
吐き気を催すような眩暈がリーフを襲い、ヴァージニアはリーフを何とか支えた。
しかし、リーフは喉が締め付けられ、呼吸困難に陥った。
六人の影の憲兵団が闊歩し、鉄の焼印棒を炭火の鍋に突き立てた。
影の憲兵団は笑いながら、燃え盛る鉄に唾を吐いた。
いよいよ、処刑の番が来た。
群衆に向き合った影の憲兵団は、脅すように投石器を振り上げた。
「二重の焼印と死刑!」
人々は叫んだ。
リーフは、上を向いて叫ぶ人々の顔の海を絶望的に見つめた。
歓喜の笑みも、怒りのしかめ面も見当たらなかった。
顔は真っ白だった――希望も絶望も失った人々の顔。
「む?」
突然、ファローは背後の大広間の窓を見た。
影の憲兵団がそこへ移動し、
急いで通り過ぎる別の影の憲兵団の邪魔にならないようによろめきながら進んでいた。
新参者は興奮気味に頷き、ファローに後ろを指差しながら合図した。
ファローの顔色が変わった。
勝ち誇った笑みが顔に広がり、ファローは上を見上げた。
ヴァージニア達は息を呑み、さらに壁に体を押し付けた。
しかし、ファローはヴァージニア達に気づかなかった。
ファローはずっと高いところ、塔の方を見ていた。
塔の屋根には七羽の巨大な鳥が止まり、その残酷な湾曲した嘴が緋色の空に浮かんでいた。
(あれは、アクババ。影の大王のしもべですわね)
かつてデルトラのベルトがガラスケースに収まっていた城の内部では、赤い煙が渦巻いていた。
そして、影がじっと立っていた。
影はヴァージニアとワソを睨むと、二人の身体が痺れたように動かなくなった。
(あれが影の大王ですの……?)
(くっ……私達を召喚したからか、逆らえない……!)
リーフは棚に沿ってそっと進んだ。
ヴァージニアとワソは、痺れながらもリーフの後を追った。
今、リーフはまさに自分が行きたい場所にいた。
罰の場所の真上にある小さな石の台の上、影の王国の旗を掲げた金属の柱の横に。
震える手で命令を遂行させようと、リーフはベルトからロープを引き出し、
片方の端を旗竿に結びつけた。
優しく引っ張ると、しっかりと固定する事が分かった。
ファローは群衆の方を向いて合図すると、
影の憲兵団はバルダ達を乱暴に引き戻し、城の壁にもたれかかった。
「奴らの処刑は後回しだ!」
ファローは歓喜に震える声で叫んだ。
「今こそ発表する。我が命令により、我らの敵を捕らえた! こうなると確信していた!」
悪意と怒りで顔が曇り、ファローは屈んで足元に倒れた人々を持ち上げた。
リーフは、無力な二人が自分の両親だと気づき、息を呑んだ。
ボロボロに痩せ衰えた二人は、ファローの冷酷な手の中でぐったりと崩れ落ちていた。
ファローは犬が鼠を振り払うように、鉄の首輪を掴んで揺さぶり、そして再び立たせた。
二人はよろめきながら立ち上がった。
「この二人の悪党は、死ぬ前に息子に会う事になるだろう!」
ファローは唸り声を上げた。
「見よ! 裏切りの父と母だ! 今こそ、奴らが引き起こした悪とついた嘘の代償を払うのだ!」
リーフの耳には恐ろしい轟音が響いた。
ファローは群衆が囚人達を見つめているのを見た。
多くの無表情な顔が苦痛に歪むのが見えた。
彼らは鍛冶屋の炉辺で見かけた、優しく物静かな男と、優しく快活な女に気づいたのだ。
もしかしたら、名前さえ知らない者もいたかもしれない。
しかし、彼らは自分の本質を知っていた。
そして彼らは、これから起こる事を絶望的に嘆き悲しんでいた。
リーフはゆっくりとデルトラのベルトを外し、足元に置いた。
それはこれからの戦いで役立つはずだったが、
リーフはこれが最終的に勝てない戦いだと分かっていた。
もし死ぬとしても、ベルトを身に着けたまま死ぬつもりはなかった。
リーフは、ベルトが敗北と苦痛の一部となる事を許したくなかった。
あるいは、両親が死ぬのを見たくなかった。
「ねえ、待って、リーフ。デルトラのベルトの宝石……どんなものか知ってますの?」
「ジニー? ああ、そうか……そうだったのか!」
リーフは、彼ら全員をここまで導いた、貴重で神秘的なものを見つめた。
それは完成して、デインを倒したり、世継ぎを感じ取ったりするほど強力だった。
それでも……どういうわけか完璧ではなかった。
どういうわけか、彼らはその最後の秘密をまだ発見していなかった。
答えは目の前にある、もし見る事ができさえすれば、という思いにリーフは苛まれた。
宝石は鋼鉄のメダリオンの中で輝いていた。
トパーズ、ルビー、オパール、ラピスラズリ、エメラルド、アメジスト、ダイヤモンド。
リーフは、一人一人が勝利を収めた時の事を思い出した。
宝石を一つずつベルトに加えるたびに、リーフがどんな気持ちだったか。
頭皮がチクチクし始めた。
『デルトラのベルト』の、よく覚えている言葉がリーフの脳裏に浮かんだ。
「宝石を嵌める順番が、間違っていたんだ!」
リーフは短剣を引き抜き、ベルトの上に屈んだ。
指先がうずくように、リーフは短剣の先端を使って、宝石を一つずつ、素早く外した。
宝石は簡単に外れ、リーフを助けてくれたように思えた。
リーフがそれらを交換する際に、ヴァージニア達はリーフを手伝った。
デルトラのベルトの宝石の正しい順番は、
ダイヤモンド、エメラルド、ラピスラズリ、トパーズ、オパール、ルビー、アメジスト。
それぞれの宝石のイニシャルを順番に合わせると、DELTORA……。
つまり、この世界の名前「デルトラ」となるのだ。
「これが、真のデルトラのベルトだ!」
リーフはデルトラのベルトを手に輝かせながら立ち上がった。
呼吸が落ち着き、手元は安定していた。
ついにベルトが本来あるべき姿になった事を、リーフは疑いなく確信した。
今やそれは、アディンが最初に作った時の姿で、
アディンの本当の世継ぎの手に渡る準備ができていた。
そして、ジャスミンがやってくる。
今にもジャスミンは壇上に引きずり出されるだろう。
リーフは今、自分とヴァージニア達が何故この場所に連れてこられたのかを悟った。
今、リーフには計画があった。
眼下の窓から突然、騒がしい音が聞こえた。
新たな捕虜達が通り抜けてきた。
ファローが命令を叫んだ。
影の憲兵団は赤い円錐に松明を当てた。
眩いばかりの白い光がシューシューと音を立て、燃え上がると、群衆は衝撃に息を呑んだ。
光が城に溢れ、囚人達の顔を照らし、
あらゆる影を消し去り、城の側面全体を屋根近くまで照らした。
リーフは輝きに包まれ、後ずさりしたが、隠れる場所はどこにもなかった。
そして、見上げていたデルの人々は、リーフを見る事ができた。
はっきりと見えた。
彼らが声をかけ、指さし、叫び声を上げるのを待ちながら、リーフの胃はむかむかした。
ファローが振り向き、ファローの視線が指を追い、
ファローの姿を見つけて、影の憲兵団に叫び声を上げるのを待った……。
しかし、辺りは静まり返っていた。
静寂そのものだった。
全くの静寂。
リーフは、母親の腕の中で目を大きく見開いた幼い子供が手を上げ始めるのを見た。
しかし、母親は素早くその手を押さえ、小さく呟くと、子供は静かになった。
リーフは息を詰めて見つめた。
デルの人々も、真剣な顔で彼を見つめ返した。
多くの人がリーフをよく知っていた――友人、両親、
リーフが父親と働いている間に鍛冶場を訪れた人々、そして異世界の住人。
また、リーフを見かけでしか知らない者もいた――
迷惑な存在、街中を友達と走り回る野生児として。
全く知らない者もいた。
しかし、彼らはリーフが自分達の仲間だと知っていた。
彼らはリーフの手に何があるかを見ていた。
そして、誰もリーフを裏切るつもりはなかった。
ファローは何も気づいていなかった。
フードで目隠ししたバルダ、ジャスミン、ジョーカーが重く鎖で繋がれ、
リーフの傍らに引きずり込まれるのを、リーフは見ていた。
リーフはジャスミンとの距離を目で測った。
彼は右手にロープを取り、左手にベルトをしっかりと握りしめた。
人々は静かに見守っていた。
リーフの幸運を祈っていた。
彼は彼らの考えを、まるで大声で叫んだかのようにはっきりと感じた。
それがリーフの中に流れ込み、リーフに力を与えていた。
「今だ!」
ファローは叫んだ。
「さあ、逃げるところだった三人の裏切り者を見せてやる。
傲慢で愚かな奴が、私の好敵手だと思い込み、
私が他の重要な任務に忙しい隙に、秘密の計画を実行に移したのだ」
ニヤリと笑うと、ファローはバルダとジャスミンのフードをひったくった。
しかし、ジョーカーを見ると、その笑みは消えた。
ファローは一歩後ずさりし、恐怖と怒りが入り混じった表情を浮かべた。
リーフは父親が振り返り、ジョーカーを見るのを見た。
父親の目が喜びと苦痛の入り混じった輝きを帯び、
少年時代の友人に震える手を差し伸べるのを見た。
そして、ジョーカーが見つめ返すのを見た。
傷ついた顔は、突然意識と記憶で燃え上がった。
それからあちこちと振り返り、辺りを見回し、見つからない誰かを必死に探した。
「この愚か者め!」
ファローは囚人を連れてきた影の憲兵団に激しく罵った。
「こいつらじゃない! あいつはどこだ? あいつは?」
影の憲兵団は混乱してぶつぶつ言い、後ずさりした。
「今だよ」
ワソの合図と共に、ヴァージニア達は飛び上がった。
頭上でクリーが金切り声を上げた。
クリーは外側に振り出し、ロープを放すとジャスミンのすぐ向こうに着地した。
よろめきながらも、再び立ち上がった。
リーフはベルトを手に、ジャスミンへと突進した。
ヴァージニアはメイス、ワソは刀で影の憲兵団を倒した。
衝撃で目を丸くしたジャスミンの顔を見た。
バルダの叫び声、群衆の咆哮、そしてファローが影の憲兵団に向かって叫ぶ声が聞こえた。
そして塔からは、怒りの叫び声が響き渡り、
ファローの肉体を貫き、骨を溶かし、ファローは膝から崩れ落ちた。
稲妻が沸き立つ空を裂き、ファローに向かって走ってきた。
ファローは跪いていた場所に稲妻を落とし、茫然自失で転がり落ちた。
木が割れるような悲鳴と共に、まるで巨人が力強い拳で叩きつけたかのように、
演壇の前面が崩れ落ちた。
巨大な滑り台のように、その二つの半分が互いに傾き、
一番近くにいた影の憲兵団は、叫び声を上げながら、大きな隙間に転げ落ちた。
白熱した炭が彼らの後を追ってこぼれ落ちた。
稲妻が何度も閃いた。
轟く雷鳴が震える大地を揺るがした。
そして雷鳴の中から七羽のアクババが舞い降り、
アクババのこの世のものとも思えない泣き叫ぶ声が血を凍らせようとした。
「くっ……あれは……!」
ヴァージニア達は傾く板に必死にしがみついた。
群衆は今、叫び声を上げていた。
ファローの氷のような手がリーフの首にかかり、リーフを上に引き上げようとしていた。
憎むべき、もがき苦しむ顔がリーフのすぐ傍に迫り、リーフが剣を抜こうと奮闘する中、
唇は勝利の唸り声に引きつっていた。
そして突然、その顔は後ろに反り返り、目を見開いた。
氷のような手が緩み、リーフの細い喉元に飛び移ると、リーフは再び後ろに投げ飛ばされた。
リーフは肉に深く食い込む絞め鎖を必死に引っ掻いた。
ヴァージニアとワソは必死で鎖を解こうとした。
その鎖の近くには……。
「父さん! 母さん! 気をつけろ!」
リーフは叫びながら、二人に向かって斜面を這い上がった。
ファローは短剣を探っていた。
「違う、リーフ!」
「ベルトだ! お前が?」
ファローの攻撃で、リーフの父親の声はかき消され、崩れ落ちた。
リーフの母親が彼を受け止め、二人は一緒に軋む板の上に倒れ込んだ。
彼女は片手を伸ばし、壇上の端にしがみついて二人を支えたが、
彼女の叫び声は吹き荒れる風とアクババの叫び声にかき消された。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ヴァージニアとワソは慌てて武器を振り回し、影の憲兵団を倒していく。
ファローも首に巻き付けられた鎖に捕まり、彼らと共に引きずり下ろされた。
彼は体をよじり、傾く板の上で身悶えし、息を切らし、立ち上がろうともがいた。
その時、赤い光の円錐がゆっくりとこちらに向かってくるのが見えた。
ファローはそれを掴み、根元を掴み、そして危険に気づいた。
遅すぎた。
ゆっくりと、ゆっくりと、円錐が傾いた。
燃えるような白い液体の光がファローの上に降り注ぎ、
ファローが叫ぶたびにジュージューと音を立ててファローを包み込んだ。
頭上で轟音が轟いた。
ヴァージニア達は見上げた。
塔から赤い煙が噴き出していた。
濃い灰色の縁取りをした赤い煙は、威嚇に満ちていた。
灰色の光がその奥底で円を描き、渦を巻いていた。
そして、その中心に巨大な形が形成されつつあった。
伸ばす手、復讐に飢えた目……リーフは振り返った。
「近い……近いですわ!」
「影の大王……私達を呼び出した、あいつが……うぅぅ、動けない……!」
ヴァージニアとワソの身体が痺れつつある。
リーフはバルダとジャスミンが演壇の反対側でうつ伏せになっているのを見た。
板がますます急に傾く中、ヴァージニアとワソも必死にしがみついていた。
ヴァージニア達の上では、爪を伸ばしたアクババが羽ばたいていた。
クリーはアクババの頭に突進し、黄色い目を光らせながら何度もつついた。
アクババは怒りに叫び、首を捻り、襲撃者から逃れようとしていた。
リーフは歯を食いしばり、人生最大のジャンプに備えた。
「僕は、あの大きな隙間を飛び越え、あの滑りやすい板を登れるのか?
片手に剣、もう片手にデルトラのベルトを握りしめて?」
「……できますわよ」
「大丈夫、あなたならできるよ」
「ジニー、ワソ」
リーフは、自分を見ているヴァージニアとワソを見て、不安が消えた気がした。
二人は異世界から来たが、不思議とこの世界に溶け込んでいた。
リーフは気を取り直し、剣を鞘に収めた。
ベルトを腰に締め……そして……時間が止まったかのようだった。
リーフの体に熱気が駆け巡った。
奇妙な、パチパチという音がした。
そして、ベルトが光と共に爆発したかのようだった。
激しい轟音が城を芯から揺さぶった。
赤い煙はシューという音を立てながら、沸騰する雲の中へと後退した。
しかし、デルトラのベルトの宝石は炎のように燃え上がり、虹色の輝きが外へと広がり、
空気を満たし、夜を消し去り、歓声を上げ、涙を流す人々の顔に踊った。
「あなたがデルトラの世継ぎだったんですのね!」
そして、その光の中心にリーフが立っていた。
ついに、デルトラの真の世継ぎ、リーフの姿が明らかになったのだ。
悲鳴を上げ、パニックに陥ったアクババは旋回し、塔へと舞い上がった。
しかし、塔には誰もいなかった。
そして既に赤い雲は影の王国へと戻りつつあり、その奥底では激しい悪意が唸りを上げていた。
「くっ……ならば、あやつらをこの世界に……!」
消える事のない悪意……影の大王。
だが、少なくともこの戦いに勝てない事は分かっており、
影の大王はせめてもの「置き土産」として、ヴァージニアとワソに見えない鎖を放った。
リーフはそれに気付く事なく、辺りを見回した。
母親がくすくすと笑い、泣きじゃくり、父親の頭を膝に抱きしめている。
そしてジョーカーが彼らの傍らに跪いている。
バルダとジャスミンが寄り添い合い、喜びと安堵で顔を赤らめている。
頭上ではクリーが甲高い声を上げ、フィリがジャスミンの肩の上で踊っていた。
振り返ると、マナス、グラ・ソン、ナニオン、
ファーディープが叫び声を上げ、歓声を上げていた。
ゼアンが顔を上げて目を輝かせていた。
そして、グロックは顔いっぱいに笑みを浮かべていた。
リーフは胸が張り裂けそうになりながら思った。
これで皆、安全になる。
残りの影の憲兵団は、箱から火ぶくれ弾を何十個も引き裂き、祝賀する群衆に投げつけていた。
しかし、人々は既に水とブーロンの樹液が無害である事を学んでいた。
間もなく、影の憲兵団は自らの危険に気づくだろう。
影の憲兵団は容赦なく見捨てられていたのだ。
力の源を奪われたオル達も、広場で破裂し、しわくちゃになって横たわっていた。
そこでようやくルーカスが穴から這い上がってきた。
イカボッドも、最後の食事でかじられた骨の上に、
血の気を失った赤い皮袋のように横たわっていた。
そして今、国中で同じ事が起こるだろう。
ベルトの輝きがリーフを満たすにつれ、リーフの目は闇と遠くを貫くようだった。
ララディンからリスメアまで、恐怖の山からいましめの谷まで、
はばひろ川からベタクサ村まで、恐怖は消え去っていった。
デルトラ中の人々は、敵が倒れ、邪悪な雲が逃げていくのを目撃していた。
人々は喜びに武器を捨て、隠れていた場所から這い出し、
愛する人を抱きしめ、空を見上げていた。
突然、驚くべき事に、奇跡が起こった。
そしてついに彼らは自由になった。
リーフはこれら全てを知っていた。
彼は自分がデルトラの世継ぎである事を知り、受け入れていた。
ベルトはそれを疑う余地なく証明していた。
(でも、どうして、僕が世継ぎだって分かったんだろう……)
こうしてデルトラの真の世継ぎが判明し、影の大王を撃退しました。
しかし……まだヴァージニアとワソの冒険は終わっていません。
次回で「ヴァージニアとデルトラクエスト」は一区切りとなります。
平和が戻ったデルトラで、ヴァージニア達はどうするのかを見てください。