ヴァージニアがいたら、それなりに旅は簡単になっていたと思いますが、
それでも簡単に宝石を渡さないのが、このデルトラの世界の理なのです。
円の中は薄暗い。
芽吹いた百合の金色の先だけが、暖色を放っていた。
他は全て暗い茶色か、鈍い緑だった。
リーフとバルダは、騎士の前に無力に立ち尽くしていた。
動く事も、戦う事も、逃げる事もできなかった。
唯一ヴァージニアだけは睨んでいたが、彼女もまだ、動けないでいた。
(僕はここで、死ぬのか……)
ゴールは剣を高く掲げた。
リーフは、腰に巻いたベルトの事しか考えられなかった。
ここで殺されれば、ベルトは骨と共に忘れ去られてしまい、宝石は二度と戻らないだろう。
デルトラの世継ぎは見つからず、この地は永遠に影の大王が支配するだろう。
そんな事はあってはならないと思ったが、リーフは何も分からなかった。
その時、バルダとヴァージニアが話し始めるのが聞こえた。
「ゴール、お前は騎士の鎧を着てはいるが、本当の騎士ではない」
「騎士の癖して、正々堂々としてませんのね!」
リーフは、危機的状況ながら堂々としているバルダとヴァージニアに逆に恐怖した。
しかし、ゴールは二人の言葉が通じたのか、大剣を手の中で震わせた。
「私は命の百合を守らなければならない」
ゴールは不機嫌そうに言った。
「昔、花びらから黄金の蜜が落ちるのを見た瞬間、私は自分の運命を悟った」
「だが、これを見たのはお前だけじゃないはずだ、ゴール」
バルダは力強く大胆な声でゴールに言った。
「沈黙の森には一人で来たわけではない。仲間がいたはずだ」
どうやらバルダは、ゴールの戦意を奪うために、彼を説得しているらしい。
その証拠に、ヴァージニアの手が、少しだけだが震えていた。
「ゴール、仲間に何があった?」
「私の兄弟が二人、命の百合の方に走った。そして、奴らを殺した」
ゴールの声は大きく甲高い悲鳴にまで上がった。
「やらなければならなかったんだ! 皆で分け合うのは、到底無理だった!
私には蜜がたくさん必要だった。皆もそれを知っておくべきだった」
ゴールは頭を下げ、独り言を言いながら円陣を歩き始めた。
「兄弟達が私と戦って自分達を守ろうとしている間に、百合は枯れ、蜜は泥の中に落ちた。
しかし私は絶望しなかった。百合は私のものであり、私だけのものだった。
私がしなければならなかったのは、百合が再び咲くまで待つ事だけだった」
ゴールの力でできた鉄の鎖が緩み、再び自由に動けるようになったのを感じて、
リーフの心は躍った。
どうやら、バルダのおかげでゴールの力は弱まったようだ。
バルダが剣に手を伸ばし、ゴールは三人に背を向け、
鎧を纏った手で絡み合った蔓の葉や茎を撫でていた。
まるで、誰かが一緒にいる事を忘れているようだった。
「泥の中から新しい芽が出てきたから、侵入者から守るためにその周りに壁を立てたんだ。
私はよくやった。私の世話がなければ蔓はこんなに強く育たなかっただろう」
バルダはリーフとヴァージニアに無言で合図を送り、
三人は武器を構えてゴールに向かって忍び寄った。
三人とも、チャンスは一度きりだと分かっていた。
公平な戦いにはならない。
ゴールを不意打ちしなければ、再びゴールは拘束し、今度こそ命を奪うだろう。
「覚悟なさい……!」
ヴァージニアがメイスを構えて突進する中、
ゴールは茨の葉を撫でながら、まだ独り言を言っていた。
「私の蔓に抵抗した木の枝は切り落とした。私は蔓に敵の死体を与えた。
男、女、鳥、獣など、敢えて蔓に近づいた者達だ。
そして宝物を安全に保管した。花が咲くのを長い間待っていた。
だが、私の時が近づいているのは確かだ」
バルダは力強い叫び声と共に突進し、剣を突き刺した。
ゴールの兜と鎧の間の薄く暗い隙間だ。
そしてヴァージニアもまた、メイスを振り回してゴールの頭を殴りつける。
だが、ゴールは倒れなかった。
低く唸り声を上げ、ゴールは振り返り、首の後ろからバルダの剣を引き抜いて投げ捨てた。
そして、リーフが衝撃と恐怖で叫びながら鎧を切り裂いた時、
ゴールの金属で覆われた手は攻撃する蛇のように飛び出し、バルダの首を掴んで跪かせた。
「じわじわと苦しみながら死ね、盗人!」
そして、ゴールは剣をバルダの胸に突き刺した。
「「ダメだ(おやめなさい)!」」
リーフとヴァージニアは叫んだ。
悲しみと恐怖の赤い靄の中、ゴールが剣を引き抜き、
軽蔑の呻き声を上げながらバルダを地面に蹴り倒すのが見えた。
リーフは、バルダが苦痛に呻き、その命が蔓の根に消えていくのを見た。
そして、ゴールがバルダの方を向き、ゴールの鉄の意志がバルダの骨を締め付けるのを感じた。
その場に凍りつき、ゴールが血まみれの剣を再び振り上げると、リーフは死を待った。
その時……。
「ゴール! ゴール!」
彼らの頭上高くから、鳥のように高くて荒々しい叫び声が聞こえた。
ゴールは驚いて怒りの唸り声をあげながら見上げ、頭を後ろに引いた。
リーフとヴァージニアも見上げ、驚いて、呼んでいるのがジャスミンだと分かった。
ジャスミンは大きな木の一番上からぶら下がり、蔓の屋根の隙間から彼らを見下ろしていた。
クリーはジャスミンの頭上に浮かんでいて、
まるでジャスミンを守るかのように、黒い翼をジャスミンの頭の上に広げていた。
「あなたは嫉妬と悪意で、この場所の善きものを悪しきものに変えたわ!」
ジャスミンは叫んだ。
「木々を縛り、奴隷にし、鳥を殺した。全ては、あなたのものではないものを守るためよ!」
ジャスミンは短剣で空き地を覆う蔓を切り始めた。
ぼろぼろになった葉が緑の雪のように落ち始めた。
怒りの叫びと共にゴールは腕を振り上げた。
ゴールが全ての力を上に向けたとき、リーフは手足が自由になったのを感じた。
「逃げて、リーフ!」
ジャスミンは叫んだ。
「真ん中に行って!」
上から大きな罅割れが現れ、引き裂かれる音がした。
リーフは安全を求めて飛び上がり、空き地の中央の泥の中に身を投げた。
ヴァージニアは結界を張って身を守る。
ちょうどその時、背後の大地が、轟く雷鳴のような大きな音で震えた。
長い間、リーフはじっと横たわっていた。
目をしっかりと閉じ、頭はぐるぐると回り、心臓は胸の中でドキドキしていた。
そしてついに、背中に柔らかいパタパタと音がし、温かさを感じた。
息を切らしながら、リーフは膝をついて振り返った。
薄暗さに長い間慣れていたリーフの目は、
上空の広い空から空き地に注ぐ明るい日光に目を細めた。
蔓の屋根は引き裂かれ、葉や茎は雨のようにまだパタパタと落ちていた。
ほんの数分前にリーフとゴールが一緒に立っていた場所に、大きな枝が落ちていた。
そして枝の下には、砕けた金の鎧の塊があった。
リーフは、突然何が起こったのか信じられず、見つめていた。
ベルトがリーフの肌に触れて熱くなった。
下を見ると、ゴールの剣が目の前に横たわっていた。
ほとんどぼんやりと、リーフはそれを拾い上げた。
柄のトパーズは透明な金色に輝いていた。
最初に見つかった宝石はトパーズ、つまり誠実の象徴だ、と考えた。
突然、リーフの心は晴れた。
リーフは空き地の端に横たわっている、動かず青白いバルダの姿を見つけた。
「……バルダ!」
リーフは飛び上がって彼のところへ走り、バルダの横で名前を呼んだ。
バルダは動かなかった。
彼はまだ息をしていたが、とても弱々しかった。
胸の酷い傷はまだ血を流していた。
リーフはジャケットとシャツを開け、傷を綺麗にしようとし、マントで血を止めようとした。
「わ、わたくしが何とか、奇跡を起こしますわ……」
ヴァージニアは目を閉じると、バルダの傷に向けて手をかざした。
すると、バルダの傷はみるみるうちに塞がっていった。
「この力……まさか、魔法!?」
「そうですわね。バルダは瀕死ですわ。わたくしが治しますけど……」
ヴァージニアの言葉に、リーフは胸が酷く痛み、喪失感と孤独感と無力感に襲われた。
「リーフ!」
ジャスミンが息を呑むのが聞こえたが、バルダはまだ動かなかった。
「リーフ! 見て!」
ジャスミンはリーフの腕を引っ張っていた。
リーフが渋々頭を上げると、ジャスミンは空き地の中央を見つめていた。
彼女の顔は畏敬の念で満ちていた。
リーフは彼女が何を見ているのか確かめようと振り返った。
命の百合が咲いていた。
その蕾である金色のそれは、長い間拒まれていた日光の中で開いた。
今やそれは金色のトランペットとなり、その花びらは喜びに広がり、光を吸収していた。
そしてトランペットの中心からは豊かな金色の蜜が湧き出て溢れ、
甘い香りのする流れとなって黒い泥へと流れ落ちていた。
「もしかしたら、この百合があれば、バルダの命は助かるかもしれませんわ」
リーフは剣を投げ捨て、飛び上がると、泥の塊に駆け寄り、
両手をカップ状にして蜜の流れに突っ込んだ。
両手がいっぱいになると、リーフはバルダのところへ駆け戻った。
すぐに胸に蜜を注ぎ、残った蜜を青白い唇に塗りつけ、リーフは息を切らして待った。
「……大丈夫ですわ。信じてくださいませ」
ヴァージニアがそう言うと、5分後、バルダの瞼がぴくぴくと動き、目が開いた。
まるで夢を見ていたかのように、ぼんやりしていた。
「何だ? 何だ?」
頬に赤みが戻り始めると、バルダは胸の傷に手探りで近づいた。
「傷が自然に治ってる! こんなの見た事がないわ。ヴァージニア、でしたっけ?
あなたと命の百合の奇跡は素晴らしい!」
「そりゃ、わたくしは故郷の国で勉強してきましたもの」
リーフは大喜びで、傷が確かに治りつつあるのを目にした。
そしてリーフが見ていると、傷跡そのものが薄れ始め、細い白い線だけが残るようになった。
「バルダ、大丈夫か!」
「ああ、もちろんだ!」
唸り声を上げてバルダは起き上がり、絡まった髪に手を通した。
バルダは驚いて辺りを見回したが、再び落ち着きを取り戻した。
「何があったんだ? 気絶したのか? ゴールはどこだ?」
リーフは無言で倒れた枝の下にあるくしゃくしゃになった鎧を指差した。
バルダは枝に歩み寄り、顔をしかめた。
「これがゴールの鎧だ。でも、中には死体はない」
「どういう事ですの、リーフ?」
「ゴールの体はずっと前に粉々に砕け散ったと思う。
あの鎧の殻の中に残っていたのは、闇と魂だけだった。
だが鎧が壊れ、その魂さえも光の中では生き残れなかった」
バルダは嫌悪感で顔をしかめた。
「それで木の枝が落ちてきて彼を打ち倒したんだ」
「それは運が良かったな」
「違うわ!」
ジャスミンは憤慨して叫んだ。
「私は一番高い木に何をすればいいかを教えて、
もし私の言う事を聞いたらその木と他の木は蔓から解放すると約束したわ。
自由と引き換えに枝一本を犠牲にするのは小さな事なのよ」
バルダは信じられないというように眉を上げたが、
リーフは警告するようにバルダの腕に手を置いた。
「信じてくれ、ジャスミンの言う事は本当だ。ジャスミンは僕達の命を救ってくれたんだ」
「わたくしも奇跡を起こしましてよ」
「あなたはバルダの命を救ったのよ。太陽が百合を咲かせて、そして?」
ジャスミンは言葉を止め、すぐに振り返って命の百合を見た。
リーフとヴァージニアも見てみると、既に百合は枯れ始めていた。
しおれた花びらからはほんの数滴の蜜がまだ落ちていた。
ジャスミンは首にかけた鎖を素早く引っ張り、
服の下から銀色の蓋が付いた小さな白い瓶を取り出した。
ジャスミンは泥の塊まで走り、蜜の流れの下に瓶を持ち、
最後の数滴の金色の滴がそこに落ちるようにした。
それからジャスミンは、命の百合が頭を下げてゆっくりと泥の中に倒れていくのを見守った。
「また花が咲くまでどれくらいかかるかなんて誰にも分からないわ」
ジャスミンは落ち着いて言い、ようやく他の花達のところに戻った。
「でも、少なくとも花は咲くわ。この後は太陽が照らすから。その間に、蜜が少し残った。
本当に素晴らしいご褒美よ」
「それを飲んで永遠に生きますの?」
「そんなものを望むのはバカだけよ。ゴールが言ってたけど、数滴じゃ永遠の命は得られないわ。
でも、蜜がバルダの命を救ってくれた事が分かったでしょ?」
「どうやって?」
バルダは困惑しながら尋ねた。
「たまたま、それが君の命を救ったんだ。でも、まずは……」
リーフはゴールの剣を手に取った。
巨大なトパーズは瞬いたように見え、剣の柄からリーフの手の中に綺麗に落ちた。
リーフはそれを持ち上げると嬉しそうに笑い、
太陽の光がその黄色い表面を照らし、金色に変えた。
「これがあなたが探していたものなの?」
「……あっ」
リーフは、興奮のあまり秘密を漏らしてしまった事に気付いたが、遅すぎた。
彼はバルダとヴァージニアが顔をしかめるのを見て、軽く頷いた。
「誠実の象徴、トパーズだ」
リーフは宝石をジャスミンの手に渡した。
すると、まるで太陽が雲の後ろに隠れたかのように、空き地は突然薄暗くなった。
同時に、濃い霧が渦巻き始めた。
クリーが金切り声を上げ、フィリが神経質にお喋りした。
ヴァージニア達は凍りついた。
霧の中から、揺れる白い人影が現れた。
それは、優しい顔をして微笑んでいる女性だった。
「それは……何ですの……?」
「魂だ……」
「トパーズ……」
霧が渦巻くと、女性の声がした。
「ジャスミン! 私の可愛いジャスミン!」
リーフは急いでジャスミンを見た。
ジャスミンはトパーズを前に差し出し、固く立っていた。
彼女の顔は霧そのもののように真っ白だった。
ジャスミンは目の前の女性を見つめながら唇を動かした。
「お母さん!」
ジャスミンは息を吐いた。
「お母さん? お母さんなの?」
「そうよ、ジャスミン。やっとあなたと話せるなんて、なんて素晴らしい事よ。
ジャスミン、よく聞いて。私にはあまり時間がないわ。
あなたと私が連れ去られてから、あなたはよく、とてもよくやってきた。
でも、今はもっとやらなきゃいけない」
「何? 何なの、お母さん?」
「リーフ、バルダ、そして修道女は正しい心を持った友よ」
女性の声は風の溜息のように柔らかだった。
「私達の国を影の大王から解放するために冒険をしているわ。
けれど、彼らにはまだやるべき事がたくさんあり、旅する距離も長い。
あなたは彼らに加わらなければならないわ。
森を離れて彼らと一緒に行き、できる限り彼らを助けて。それがあなたの運命よ。分かった?」
「……ええ。でも、どうして?」
「もう、あなたと別れなくてはならないわ」
溜息をつく声が言った。
「でも、私はいつもそうしてきたように、あなたを見守っているわ、ジャスミン。
そして、いつもそうしてきたように、あなたを愛している。
心を優しく保って、私の可愛いジャスミン」
霧がゆっくりと消えていく中、ジャスミンは動かずに立っていた。
ジャスミンがリーフの方を向いてトパーズを返した時、ジャスミンの目は涙で濡れていた。
「……どうしましたの、ジャスミン……? まさか、これも奇跡ですの……?」
「この石は何なの? お母さんを私に見せたの?」
「トパーズには、生者を霊界と接触させる力があると言われている」
バルダはぶっきらぼうに言った。
「信じてはいなかったの?」
「それで、私の母は死んだの。そう思っていたの? そう感じたの。
でも、それでも私は希望を抱いていたの……」
ジャスミンの唇は引き締まった。
流石のヴァージニアも、ジャスミンには口を出せなかった。
それからジャスミンは深呼吸をして、顎を上げてヴァージニア達を真っ直ぐに見つめた。
「あなたがここを去る時、私も一緒に行く事になってるみたい。あなたが私を許してくれるなら」
ジャスミンは肩にしがみついている小さな毛むくじゃらの生き物に手を差し出した。
「でも、フィリを置いていくわけにはいかない。
それにクリーは私が行くところならどこにでもついて行く。それは分かってるわよね」
「もちろんですわ。フィリもクリーもあなたの家族ですものね」
リーフはバルダにちらっと目をやった。
バルダがゆっくりと首を振っているのを見て、リーフの心は沈んだ。
しかし、バルダが口を開いた。
「年を取ったのかもしれないな。あるいは、転んだ時に頭蓋骨を折ったのかもしれない。
物事があまりにも速く進みすぎている」
ゆっくりとバルダの顔に笑みが広がった。
「でも、いいアイデアを聞いた時にそれを認識できないほど速くはいかないよ」
バルダはリーフの肩に力強い手を置き、ジャスミンの方を向いた。
「白状する。旅を始めた時、リーフと、異世界から来たヴァージニアを連れて行きたくなかった。
でも、もし二人が俺の言った通りに家に残っていたら、
俺は今頃死んでいて、この旅は失敗していただろう。
二度と同じ過ちは繰り返さない。運命が俺達に四人いると定めたのなら、そうするしかない」
ベルトはリーフの腰の周りで燃えた。
リーフはベルトを外し、目の前の地面に置き、最初のメダルにトパーズをはめ込んだ。
ベルトは所定の位置に滑り込み、そこで輝いた。
命の百合の蜜のように純粋で金色、太陽のように暖かく金色だった。
ジャスミンとヴァージニアはベルトを好奇心を持って見つめた。
「メダルは七つあるけど、六つはまだ空ですわね」
「でも、一つは埋まっている」
リーフは満足そうに言った。
「最も長い旅は最初の一歩から始まる。そして、俺達が踏み出した第一歩。
次に何が起こるにせよ、今は祝うべき理由がある」
「僕は、木からこの呪われた蔓を取り除き始める事で祝うと思うよ」
リーフが剣に手を当てて言うと、ジャスミンは微笑んだ。
「その必要はないわ。闇はもうないという噂が広まっているもの」
ジャスミンが上を指差すと、蔓に覆われた木々に鳥が密集していた。
鳥達は鳴いたり歌ったりしており、喜んで嘴や爪で蔓をむしり、猛烈に働いていた。
そして、毎分より多くの、あらゆる種類の鳥がやってくる。
「動物達が来るわ。根や茎が好きな、かじりたがる小さな生き物達。
1時間以内にここにやって来て、蔓を味わうでしょう。1、2日で木々は自由になるわ」
四人はしばらく立ち止まり、頭上の素晴らしい景色を眺めた。
既にいくつかの枝は蔓から解放されていた。
最早縛られて重くのしかかる事もなくなり、枝は喜んで空に向かって伸びていた。
「ここはかつては美しい場所だったに違いない」
「そしてまたそうなるでしょうね」
「あなたのおかげですわ」
「君がここに来てくれて運が良かった。正直に言うと、しばらくは疑っていた。
でも、全部大成功したんだ」
バルダは疲れたように大きな腕を伸ばした。
「じゃあ、1、2日ここにいよう。休んで、食べて、木々が自由になるのを見るために」
「それから、先へ進みますわよ」
リーフは再びゆっくりとベルトを腰に巻き付けた。
彼の心は満たされていた。
たった今、起こった事を考えた時、リーフは驚きとある種の勝利を感じた。
これから起こる事を考えた時、リーフは興奮と熱意、そして恐怖のスリルを感じた。
しかし何よりも、リーフは安堵と深い幸福を感じた。
最初の宝石が見つかった。
そこから、デルトラを救うための冒険が始まるのだった。
ここからはか~な~り~長くなります。
よって土曜日にも更新をしますので、楽しみにしていてください。