じゅもんを入れ終わったと思った瞬間に、白い光に包まれると、なぜか自分は宿屋のベットに寝ていた。
見覚えある翠基調の服と細い剣・・・
「これ?サマルトリア王子じゃね?俺転生したのか?おっしゃ、」
ゲーム好きにとってどんな理由であれ、ゲーム世界の住人になれることは、かなり嬉しい
そのゲームが自分もよく知っている、いや、日本で知らない人はいないのではと思われるほどのゲーム
であることを考えると、喜びも倍増する。
「とりあえず、状況を整理したいけど、どうしたらいいのやら」
と細身の剣を取って、一振りする。
「竹刀と同じくらいの重さかな?少し落ち着こう」
とレイピアで素振りを始めた。細身の剣が空気を切り裂く音がビュンビュンとして、
かなりの現実味がある。
「これ、やっぱり夢じゃないな」
と思いながらも扉をノックされる
扉を開けようとすると、ついさっき起きたことがフラッシュバックされ
「今開けますよ」
と内心恐る恐る扉を開けると、リアルの妹にそっくりな、美少女とその後ろに、
蒼を基調とした服に身を包んだ、ガタイのよい男がいた。彼は開口一番、こう言った。
「君がサマルトリア国の王子のライト君だね。初めまして僕はローレシア第一王子のもょもとと言います」
「にいさん、ちょっと抜けているところあるから、絶対ここにると思ったよ」
と美少女がいうと、
「いや、リサ・・・えっと、うっ頭が」
リアルで親父に殴られたあの場所に痛みが走った。
妹が背伸びして頭を振れると
「ちょっとにいさん、ここにたんこぶができるよ。冷やした方がいいよ」
といわれ、室内に入って、頭を冷やし、現状の整理を行うことにした
現状を整理して、わかったことがある。まずは、ローレシア国に、ムーンブルグから使者がきて、
大神官ハーゴンを討伐するべく、王子もょもとが旅たち、紆余曲折しながらも、妹である、サマルトリアの王女サリー姫と一緒に
自分をここ、リリザの街に探しにきたこと。
王子は、パワー系の剣士、サリーは、補助呪文と少しの回復呪文が使える、サポート的な魔法使いだが、
呪文の重ね掛けができるチート能力を持っている事。そして自分は、一応剣道道場の息子であるので、剣術と見た目がかっこよく、
隠れて修練していた剣道二刀流を使える。
剣士でありながら、簡単な攻撃系の呪文を使うこともできる魔法剣士である。
また、あとからか直接聞いたことだが、サリー姫は実妹の柳本梨沙の転移した姿らしい・・・
どうして転移してきたのかは、なかなか教えてくれないが、なにより実妹と冒険するとかなんか新鮮に感じた。
あらかた、自分達の内容を共有したとき、ローレシア王子が自分に向けて
「君の実力がみてみたい。模擬戦、やってみないかい?」
と切り出された。持てる呪文は自由に使ってよいルールなので、
素早さの上がるピリオムを唱えることにした。
「ライト君、いくぞ」
うなり声をあげて、タックルをするように突っ込んでくるが、あまりに直線的過ぎる。
なにより
「おっそ!」
と王子のすねを狙って、素早く木刀をたたき込むと、
無残にも前のめりに倒れ込んでしまった。素早く頭の前に木刀をかざして
「勝ちです。」
と勝利宣言をする。とても悔しそうに今にも泣きそうな顔をしている王子
ただ、自分は気が付いていた、サリーの顔をチラチラ伺いながら模擬戦闘の準備をしていたこと
「・・・・きっとかっこいいところ見せたかったのかな?」
「やっぱり俺は鈍重で役立たずなのか……」
と落ち込んでいる王子をみていて、なんかイライラしてきた。
鍛え上げた、上腕二頭筋をみるに相当な修練を積んでいるんだろう
彼を生かす為、リアル世界のゲーム界隈では近年当たり前になってきた《タンク》の役割を王子に任せてみようと、思いつき
「前線で敵の攻撃を引きつけられるやつは、パーティに一人は必要だ。
王子なら、このパーティの盾になれるはず、どうだい?やってくれるか?タンク役を」
「……なるほど。じゃあ、俺が“壁”になる。ライト君とサリー姫を守る」
「それじゃ、盾を買いましょう。王子」
ひょっこり顔を出したサリーを見るや顔を赤くするローレシア王子
「にいさん。盾はどんなのが良いの?」
ひとまず、リリザの街を後にしつつサマルトリアに戻って盾を入手することにした。