リリザの街を後にする直前に、大きな問題が発覚した。
喫茶店にてお茶を飲もうとしていた時、とんでもない事実をつきつけられてしまった。
「にぃさんは、何にするの?私はレモンティーでいいよ」
とメニューをサリーから渡されたが、この世界に突然きたため、文字の読み書きができない。
急に冷や汗が出てきたのがわかる。いくら何でも、王族の人間が文字を読み書きできないとか、
メニューがあることを察するに、一般的にも識字率はたかそうだし・・・
「・・・・サリーと同じやつでいいや」
と周りに悟られない様に言葉を濁して答えたのだが、何やら勘づいた妹が、そっと内緒話をした
「にぃさん、お城に着いたら、文字の読み書き、教えてあげようか?」
思わず、
「おまえ、エスパーか?」
とツッコミをいれてしまったが、
「なにそれ、わかんない」
と妹のサリーにあっさりかわされてしまった。
サマルトリアに向かう途中でも、戦闘を中心に
妹が色々サポートしてくれて、こちらとして楽ではあるが、
「にぃさんは、もっと私を頼ってくれてもいいんだよ」
「でも、兄の威厳がなぁ・・」
ため息をつきつつも、サマルトリア城に入っていった。
早速、王子の大盾を作るべく、商人や、兵士長に話をした結果、だいたい1か月もあれば
オーダーメイドで大きな盾を作ることが可能であると、わかり、さっそく依頼をしたあと、
王子を客室に招き、自分は妹に読み書きを教えてもらう事にした。
この世界には、【ひらがな】に相当する50文字と【カタカナ】に相当する50文字があり、
それを覚えれば、ほぼすべての書物を読むことができる。
数時間で基本の100文字を暗記した後、世界の地図や、王家の歴史など、一カ月で読めるだけの本を読み耽っていた。
そんな自分の後ろ姿をみた妹のサリーが
「なんか、テスト前に徹夜で勉強している姿見たいで、おもしろい」
妹は自分と違い、赤ん坊の頃に転生したらしく、かれこれ12年はこのゲーム世界にいるという。
ただ、リアルの時間の流れもわからないし、そもそも大神官ハーゴンを討伐したあと、どうなるのかも不明だ。
偶然なのか、神の思し召しなのかはわからないが、とにかく今は必要な知識を叩き込んでいくことした
約一カ月たったころ、兵士の一人が盾の完成を知らせてきた
140cmくらいはあろう立派な大盾をローレシア王子が軽々と持ち上げると
「なんか、しっくりくる。ライト、ありがとう」
いつの間にか呼び捨てされる中になっていた。
クラスメイトと言うよりも、別の学校だが、同じ道場に通っている、同年代の友達のような感じがし
ちょっとだけうれしく思った。
王子の盾を使った戦闘の連携を高めるため、一度、【銀の鍵】が隠されていると言われる洞窟を目指して
サマルトリアから西にむけて歩いていた
「防御はまかせろ、ライト」
「王子ナイスブロック。サリー、3倍スクルト頼む」
「にぃさん。いくよ!」
「くたばれ、化け物!!」
幾度なく、モンスターと戦闘を繰り返し、少しばかり連携もよくなってきた。
なにより、パーティ戦闘しているのがとても気分がいい
この洞窟では鍵を取るよりかは、パーティの連携を強化する目的ために入っている。
お互いの長所を出せるように、声をだし連携を図るように提案したが、案外すんなりとできた。
やっぱり、年齢的に近いからだろうか
「いい感じだね。にぃさん」
「ああ。」
【銀の鍵】も回収し、洞窟より地上に戻ると、妹のサリーが
「あっレベルアップしたみたい。新しい魔法覚えた。これは、ルカナン?」
「おお、妹もルカナンを会得したか」
「サリー姫、これで連携の幅も広がりますね。」
ローレシア王子の言葉に
「うん」
と笑顔でうなづくサリーをみて、ローレシア王子もおもわず、固まってしまった。
「この笑顔、犯罪です。サリー姫」
まるで、はしゃぎながら下校している学生のように、【ローラの門を】を目指して歩いていくのであった。