ふっかつのじゅもんが ちがいます   作:鉄火場好太郎

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く~ん。く~ん。

ローラの門とは、先々代の国王の前くらいに、竜王を討伐したロトの血を引く勇者と

その最愛の人がムーンブルク方面に赴くときに、作られた海底洞窟《トンネル》につけられた名前である。

いまは、商人キャラバンなど、交通の要所として、色々な人が行き交っているが、魔物も時折出現するため、

冒険者等を護衛として、ローラの門を通っていく

 

「にいさん。先にいったキャラバン隊の護衛の戦士さん。女性だったけど、かっこよかったね。」

 

「えっ?そうだった?」

 

「・・・・にいさんらしいね。興味ない事は全く無視するとか、だから・・・・」

 

なにか言いたげだったが、何も言うことはなく、出口に向けてあるいていたが、

何か思いついたかのように、サリーがもょもと王子に話しかけた

 

「王子、もょもとは発音しにくいので、ここは王子の愛称とか二つ名【あだ名】とか考えませんか?」

 

笑顔で話す妹をみていると、妹が小学校に入った頃を思い出した。

 

「サリー姫がおっしゃるのであれば・・・・」

 

どこか嬉しそうに話すもょもと王子。

ひとまず、洞窟をでて、休憩がてら、もょもと王子の愛称を考えることにした

 

「やっぱり“もょもと”って呼びづらくない?なんかいいあだ名ないかなぁ」

 

「だな……戦闘中に“もょもと、左だ!”とか言ってる間に殴られそうだし」

 

もょもとも神妙な面持ちで

 

「さすがに、王子が二人もいると、ムーンブルク王女」

 

兄妹の会話はどこか軽い感じでいたが、ローレシア王子としては、

 

「じゃあ、“モーさん”でいい?」

 

「……まあ、それならわかりやすいし、なにより、サリー姫がつけてくれた呼び名だ、悪くない」

 

真面目に返事をするモーさん。結構気に入ってくれた様子でよかった。

休憩を終えて、ふと地面を見ると、

「あれ?日陰できてる?もう日が傾いてきたのか?」

 

異変に最初に気づいたのはサリーだった。

 

「……にいさん、影が……伸びすぎてない?」

 

 木々の合間から差し込む陽光とは明らかに逆方向。

 不自然に揺れる影が、まるでこちらを飲み込もうとするように迫ってくる。

 

「まさか、もう日が……いや、違う!」

 

 ライトが身を翻すと同時に、それは姿を現した。

 

 漆黒の毛並みに覆われた巨体。

 二足で立ち上がるその姿は、まるで戦士のように構えていた。

 異様に肥大化した前脚の筋肉。赤く光る目。裂けた口元から滴る唾液――

 

「マンドリル……!」

 

 その名を呼ぶやいなや、咆哮が森全体に響き渡った。

 

 ドン――!

 

 足元の地面が揺れた。踏み込み一歩。

 巨体からは想像もできない速度で、マンドリルが突っ込んでくる。

 

「くるっ!モーさん、サリー、構えろ!」

 

 ライトが叫ぶよりも早く、モーさんが前に出た。

 

「任せろ!」

 

 140センチの大盾を構え、全身で突撃を受け止める。

 ガキィン!という金属音と同時に、地面が割れるほどの衝撃。

 

「……重っ……!」

 

 咄嗟に踏ん張ったモーさんの膝が、一瞬だけ揺れた。

 

 その瞬間、マンドリルの左腕が振りぬかれた。

 

「ライト、危ないっ!」

 

 横合いから飛んできた爪が、ライトを真正面から捉えた。

 

 ――バキンッ!

 

 視界が白く弾けた。

 衝撃。回転。後方の木に背中から叩きつけられる。

 

「うっ、ぐあ……!」

 

 呼吸が詰まり、息が漏れる。

 身体が地面に崩れ落ちたのを、自分でも認識できなかった。

 

「にいさんっ!!」

 

 サリーが叫ぶ。けれど、その声は震えていた。

 

 目の前の“現実の凶暴さ”に、彼女の脚がすくむ。

 

「……あたし……こわい……」

 

 目が潤む。杖を握る手が震える。

 

 その肩に、モーさんがそっと手を添えた。

 

「サリー姫。恐れるのは当然です。でも……」

 

 静かに、彼は笑った。

 

「あなたの支援がなければ、俺たちは戦えません」

 

 サリーがぎゅっと唇を噛んだ。震える手を胸元に寄せる。

 

「……にぃさん、守る。モーさんも、守る」

 

 その声と共に、サリーが詠唱を始めた。

 

「スクルト――!」

 

 銀色の光が仲間たちの身体を包み、空気が揺れた。

 

「ピオリム……ピオリム……!」

 

 足元に魔法陣が走り、仲間の体がふわりと軽くなる。

 その様子を見て、倒れかけたライトが目を細めた。

 

「……やるじゃねぇか、妹……」

 

 意識が朦朧としながらも、ライトは剣を杖代わりに立ち上がる。

 

「一か八かになってしまうが……やるしかねぇ」

 

「モーさん、サリー、聞いてくれ。ここにバイキルミンが三本ある――全部、俺が使う。全力で一撃に賭ける!」

「ヤツの眉間か目を狙うので、モーさんが俺をヤツめがけて投げつけてほしい。」

「妹よ、モーさんがケガをしないよう、できるだけ厚くスクルトを頼む!」

 

もともと、リーダー気質があったわけではないが、みんなが自分の意見を聞き入れてくれる。

信頼できる仲間がいるなかで、ライトは成長を感じつつ、攻撃のタイミングを見計らっていた

 

「よし、今だ!」

 

掛け声とともに、大盾をマンドリルに投げつけ、ひるんだすきに、

モーさんがライトの足をかかえ、プロレス技のジャイアントスイングを行っている。

十分に回転をした後、マンドリルに向けて再びなげつけたが、さすがにマンドリルも

飛んでくるライトに気がつき、殴りつけようと大きく振りかぶった

 

「にぃさーーーん」

 

妹が叫ぶそのとき、後方から、

 

「おれだ、俺が相手が、」

 

素早く横に移動していたモーさんから赤いオーラがでている。

それを見たマンドリルも攻撃目標をモーさんに変えた時に、マンドリルに隙がうまれた

 

「いっけぇーーッ!」

 

当初の目標とは違ったが、マンドリルのこめかみ辺りに鋭く剣が突き刺さりそのまま、ゆっくりと倒れた

人間ミサイル・ヘッドショット作戦が何とか成功した。

 

「なんとかかてた。」

 

「ライト、今の戦闘で俺も特技を覚えたみたいだ【におうだち】か悪くない」

 

とモーさんがレベルアップを報告をしたあと、目に涙をうかべつつ

 

「みんな無事でよかった」

 

といいサリーがふらりと倒れた。魔力を使い果たし、気を失ってしまったようだ。

 

「ライト、とにかく、街へ急ごう」

 

妹を背負いながら、ムーンペタの街に急ぐことにした。

 

夕暮れ時のムーンペタの街は、どこか静けさに包まれていた。

石畳を歩く足音が、妙に大きく響く。

その時だった。

 

「……くーん。くーん……」

 

一匹の犬が近づいてきた。夕方だが、ちょっと汚れが目立っている。

意識が戻っているサリーを背中からおろして、犬をまじまじとみたあと、満面の笑みで犬を撫で始めた。

汚れを気にしないくらい、撫でまわしていた。

 

「にぃさんの病気はじまったかぁ。ものすごい犬好きで、軍用犬から野良犬までどんな犬でも懐かれる体質みたいで、ちょっとすごいけど、」

 

「ライト……まさか、その子を宿にまで……おい、ちょっと待てって!」

 

モーさんの忠告を無視して、宿屋の店主と話、なんとか滞在中は物置みたいな部屋に置くことを許された。

 

「まずは、この子を綺麗にしないとな」と言って、物置のたらいに湯を張り、一緒に身体を洗っている。

 

「きゃん。」

 

「そっか気持ちいいか」

 

楽しそうにしてるが分かるくらいに、廊下まで笑い声が響く。

サリーが食事をもって様子を見に部屋に、ライトはまじまじと犬の性別を確認していた。

 

「にぃさん何してるの?」

 

「いや、名前を付けようと思って、雄雌確認していたんだが?」

 

「ほんと、犬の事になると、周りの事とか考えないんだね。」

 

「よし、ミザリー……今日からお前は、この名で呼ばれるんだ。いい名前だろ?きっと、美人になるぞ」

 

ミザリーと言う名を付けられたあと、犬の耳がピックと動いたようにサリーには見えた

そして、ムーンペタの初日はゆっくりと終わっていった。

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