都市のフィクサー   作:くらんち

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遅くなってしまい申し訳ありません
拙者、遅筆故に許して給う


03_サンドウィッチ_1

 

 

昨日はなかなか寝付くことができなかった。

 

あなたはベッドの上で呆けながら、ズキズキと痛む肩を見た。

刃物を鉄パイプに括り付けた即席の槍で抉られた肩は、寝返りをうつことすらも困難にさせる。

その槍も錆びて切れ味が悪かったため、傷口は荒れている。

あれから一晩が経ち、あなたはどれぐらい回復しただろうか。

 

 

 HP回復

 あなたの肉体は、あなたが体を休める時に回復させる(欠損などを除く)

 基本回復量は体力ステータス+1d体力ステータス

 安静にするなどの選択肢を選んだ場合、全回復

 

 

回復量:1d28=23+28=51

現在のHP:5+51=56 (MAX)

 

あなたはあの死闘を通じて、俄然闘志が湧き上がってきたのか肉体は驚くべき修復力であなたを支援した。

昨晩、傷口が焼けるような痛みを感じたのはあなた自身の活動のせいだった。

あなたは治療器具を外しながら、部屋に置いてある姿見で全身をくまなくチェックする。

赤黒く汚れた包帯が巻かれた肩も、ギプスによって固定された脚も、その他細かな傷も全てあなたの体から綺麗さっぱりなくなっていた。

 

手足が自由に動く。痛みがない。

 

何気ない自由にあなたは感動していると、ふと、鏡の中のあなたと目が合った。

 

 

 SP回復

 精神を回復させるには他者からのメンタルケアが必要

 もしくは発狂した後に落ち着くこと(WHITE武器でも可)

 今回のあなたは発狂後のため全回復

 

 

現在のSP:12 (MAX)

 

特にこれといった珍しさもない普通の目だ。

傷1つない白い肌には薄っすらと隈ができており、焦茶色の虹彩と似たような暗い髪色。

なるほど確かに、裏路地で潜伏して過ごすには最適な体だと言える。

あなたの生存能力が高いのも、これが要因の1つなのだろう。

あなたは有り余る元気さから、ベッドから飛び起きまずは顔でも洗おうと部屋を出た。

 

 

廊下は薄暗くまだ太陽が昇っていないことがわかった。

電球などの照明はなく、雲で隠れているのだろうか月明かりもない。

今は何時だろう。既に夜は過ぎたのだろうか。

そんなことを考えつつ、歩くたびに木が軋む音を奏でながら風呂場まで向かうあなた。

外は静かで虫の鳴く声すら聞こえない。

あなたは何もためらうことなく風呂場まで進み続ける。

すたすたとあなたの軽い足取りに対して、ぎぃぎぃと緩慢な音が廊下に響く。

 

すたすた、ぎぃぎぃ。

すたすた、ぎぃぎぃ。

 

廊下の静寂をあなたの足音と床の返答が打ち消していく。

あなたにとってここまで静かなのは珍しい体験だろう。

基本的に裏路地は捨て犬の怒号とネズミの悲鳴、人差し指の指令に嘆く声や殺し殺される凶器の音など、たくさんの音と振動で溢れかえっており無音とは程遠い場所だった。

しかし、あなたは静かなことに一切の興味を持たず、ただ歩き続ける。

 

すたすた、ぎぃぎぃ。

すたすた、ぎぃぎぃ。

 

どれほど歩いたのだろうか、いくら歩けども目的のところまで辿り着かないことに違和感を感じたあなたは足を速めた。

この事務所は小規模ながらも多くの依頼を受けている事務所だ。

代表が工房製の武器を持っていることから、設備面でも空間拡張をしていてもおかしくはない。

あなたは自身にそう言い聞かせながら歩き続けた。

まだ、明かりは見えない。

 

すたすた、ぎぃぎぃ。

すたすた、ぎぃぎぃ。

 

 

……、ぎぃぎぃ。

 

 

1つ、あなたの歩みより音が多かった。

 

あなたが今、わざと脚を止めたことであなたの疑心は確信に変わった。

ここには"何か"がいる。

 

感覚(2以下で成功):1d10=5

 

速くなる鼓動を抑え、誰か居るのかと振り向こうとしたがそれはできなかった。

 

「見なくてよいものは見ないままがいいんですよ」

 

なぜなら、廊下の奥から来た先輩に抱き着かれて視界を塞がれたからだ。

先程までシャワーを浴びていたのか触れる体は温かく髪は少し湿っている。

先輩の腹に顔を埋めるような形であなたは抱き着かれている。

息苦しさを感じ、身動きを取ろうとするとあなたの背中を抑える力が強くなりさらに動けなくなった。

 

「おはようございます。調子はどうですか?」

 

あなたに話しかけているのか、視線の先に話しかけているのか分からないがとりあえずあなたも挨拶をした。

 

「怪我は大丈夫そうですね。さ、もういいですよ」

 

先輩は眠たそうにあくびをしながらあなたを解放した。

先程の現象について聞きたいことはあるがそれが藪蛇だと理解したあなたは先輩へ心配の言葉を向けた。

そして同時に問題ないことを見せつけるように腕を振り回して無事をアピールした。

もし気に掛けるなら、多少寝不足気味だということだろう。

 

「それは重畳です。それと、私については安心してください」

 

「トゥルーサイトがありますから」

 

先輩は眼鏡を光らせながらそう語った。

 

 

000

 

 

シャワーを浴びてすっきりしたあなたは朝食のため一階に来ていた。

相変わらず散らかったリビングだが最低限の生活スペースと仕事場はあるようで、あなたが朝食を食べるのに苦労はしなさそうだ。

代表のセンスなのかモダン風に整えられた薄緑色の空間は未だ陽光差さず暗いままであなたを出迎える。

さすがに照明は付いており、あなたは人工の光の下、テーブルに置いてあるサンドウィッチを手に取った。

包み袋にはハムハムパンパンと印字されており、スペシャルサンドウィッチという商品名だと分かった。

美味しそうな匂いがするそれを手に取った時、あなたは何と思ったのだろうか。

 

美味しそう。いい匂い。他にないかな。

 

封を開けるとみずみずしい野菜とチーズ、そしてつやつやなハムが見えた。

まずは一口、あなたは口を開きスペシャルサンドウィッチを迎え入れた。

 

 

しばらくして、あなたが我に返ったとき、それはあなたの指についたサンドウィッチのくずを舐めとっている時だった。

あなたは今までで味わったことがない、そしてこれから味わうことはもう無いだろうと言わんばかりの風味に興奮していた。

先程まで暗かった空は紫がかった雲が占領していて、あなたがどれ程の間サンドウィッチに夢中だったのかを雄弁に語っている。

朝食にしては豪華なものを食べたあなたはこれから何をするべきか一度考えることにした。

昨日は依頼の途中で意識を失ってしまい護衛の依頼を達成できたとはお世辞にも言えない状況だった。

あの後女店主が無事かどうかはまだ聞いていないが、恐らくあなたが暴れている内に先に進んでいたことだろう。

少なくとも、あなたの庇護が必要な程弱くないことは感じていた。

 

ならば、あなたがするべきことは何か。

それは、自己研鑽だろう。

あなたはイスから立ち上がり、自身の武器を素早く確認すると地下室へと歩いていった。

 

 

2日ぶりに地下室へ来たあなたは1人でできる手頃なトレーニングを考えた。

幸い、ここにはサンドバッグ、ダミー人形や木人椿など1人稽古で使うことができる器具が多くあるので鍛錬の方法に困ることはなさそうだ。

あなたのどこを鍛えようか。

 

 

 鍛錬

 鍛錬で上昇するステータスは筋力・体力・上限速度・器用の4つ

 3d4を振り該当する選択肢のステータスを1d3だけ上昇させる

 

 

何をしよう?

1 ルームランナーで走り込み(体力)

2 懸垂などの筋トレ(筋力)

3 矢避け(上限速度)

4 組手(器用)

 

鍛錬:3d4=3.3.4

 

あなたは先の経験から大勢の相手をする場合はその集団よりも速く動かなければならないことを実感している。

そのため今回の鍛錬であなたが特に力を入れたのがあなたのスピードを強化するということだ。

あなたは地下室の一角にある部屋の中に入った。

そこは四方を大小さまざまな弩に囲まれており部屋のスイッチを入れると木棒の先端にゴムがつけられた訓練用の矢が発射される仕組みになっている。

解除にはそれぞれの壁にあるボタンを押す必要がある。

つまり、矢を避けつつ壁まで近づきボタンを押すというルールだ。

 

あなたは部屋中央に立ち、機械を作動させた。

 

―――バシュッ

 

風を切る音と共に勢いよく発射される矢は、各々のタイミングで放ってあなたに襲い掛かる。

いくらゴム矢といえど、あなたの体格を考えれば当たれば骨折はするだろう。

だが、あなたは一抹の恐怖をも抱かず、弩の一斉射を瞬時に観察すると体を通す隙間を見つけては矢をすり抜けていく。

あなたは縦横無尽に動き回り単調な動きにならないよう意識しながら飛び回っている。

そして一方向を避けた後に、残りの三方からも放たれる矢を避けていく。

発射の間隔はそれぞれ異なるので、あなたがいる場所が常に安全という保障はない。

現に、あなたが今居る位置へ三方同時に矢が放たれた。

あなたはそれを―――

 

あなたの速度:1d4=4

矢の速度:1d4=2

 

―――前へ飛び込むことで回避して壁へと迫っていく。

 

あなたの速度:1d4=3

 

1つ目の壁を攻略した後は壁伝いで隣り合う方へ向かう。

当然のことながら壁に近いほど発射から回避までの時間が短くなり、相対的に矢の速度が上がる。

あなたは寸前での回避を続けながらときに大きく跳躍したり、転がり這いつくばることで粘り続けている。

 

あなたの速度:1d4=4

矢の速度:1d6=5

 

しかし、それも長くは続かなかった。

あなた自身が出せる限界よりも矢の方が速かったからだ。

あなたの選択と判断は正しかったのだが、あなたが体をねじ込むより先にゴム矢があなたの腹部へ突き刺さった。

あなたは苦悶の表情を浮かべながらも前を向き、続く矢の回避を行いその場を凌ぐことができた。

だが、このまま続行するには少々苦しいだろうと考えたあなたはこれを区切りに別のトレーニングを行うことにした。

 

その時、あなたしかいないと思っていた地下室に声が響いた。

 

「お~い、体は大丈夫か~?」

 

太刀を背負った代表があなたのことを呼んでいた。

あなたは応えるため部屋を出ると声のする方へ向かった。

 

 

地下室のほぼ全体を占めるこの大きな戦闘空間はテストの時と同じく大きな照明で照らされている。

その中で佇む代表は身に着けているアクセサリーが光を反射して煌々と輝き、本人自身が明かりを放っているのかと錯覚する程だ。

代表は何度か瞬きを繰り返すとあなたの体について疑問を呈した。

 

「元気そうだな、傷は治ったのか?」

 

あなたが自信満々にうなずくと代表は訝しむような視線であなたと目を合わせた。

互いに何も発言しないが通じ合う何かが存在するのだろう。

しばらく見つめあっていると満足したのかいつもの柔和な顔になり、すぐにいつか見た厳かな表情で話し始めた。

 

「昨日言ってた依頼について、まずは謝罪する」

 

代表は太刀を床に降ろし、腰から頭を下げてあなたと同じ高さまで姿勢を低くした。

突然代表が謝罪などと言い出したことにあなたは驚きで目を見開いている。

眩しい光で基本影はできないはずだが、今この瞬間においてはその眩しさすら感じることができなかった。

しばらく固まったままの代表に対し、あなたがおろおろしていると顔をあなたに向けて続きを話した。

 

「私は事務所の代表として君たちを守る責務がある。今回、君を初陣で危険に晒したのは私のせいだ。本当にすまない」

 

「だから、こうして元気にいてくれることがとてもありがたいよ」

 

「この件の埋め合わせは必ずする。何か欲しいものやしたい事でもあれば是非言ってくれ」

 

ここまで真剣な表情をする代表を見たことがないあなたは、たかが自身のためにここまでするとは想像すらできなかったようで、困惑を隠せない。

だが、あなたは真剣な人を笑うような性分ではないのであなたもその眼差しに影響を受けて真面目な顔つきで答え始めた。

 

あなたの都市の適性:94

 

確かに重症を負ったがそれは自身が至らないことに起因している。

それを誰かのせいにすることはできない。

全て自分で定めた道だから。

 

あなたは目を閉じて昨日のことを思い出しながらそう答えた。

痛い思いもした、死にたくないと思った、そして誰かの明日を奪った。

だからといってあなたは過去に囚われることはない。

この都市で生きていくには苦痛を負うことは当然で、その結果として不幸になるのも知っているからだ。

 

それはそれで、これはこれ。

 

あなたは不必要に振り返ることをしない。

今のあなたに必要なのは力であるから、あなたは早速埋め合わせの権利を行使することにした。

あなたの意見を聞いて閉口している代表に自身の鍛錬に付き合って欲しいと言った。

 

「ああ、俺でいいなら」

 

何度か瞬きをした代表はやがてため息を吐くと嬉しそうな声色であなたの願いを聞き入れた。

代表の立場で考えると権利はこれのためではなくもっと他の娯楽的なモノを願って欲しいといったところだが、あなたの性格上それを理解することはないだろう。

そしてそのことをこれまでの交流から読み取っている代表もまた、あなたに対してその追及をしなかった。

あなたが代表をある程度信頼しているように、相手もあなたを一定数信頼しているようだ。

 

あなたは鍛錬として組手がしたいことを代表に伝えた。

戦闘で敵の動きを読む力を身につけたいから、武器は使わずに素手での組手。

終了条件は頭・胴体の被弾、もしくは降参。

 

お互いにルールを話し合い、距離をとって向かい合う。

あなたはあのときの中断を認めていない。

今回こそは勝つ。

あなたは両腕を顔の前で構える、さながらボクサーのように。

先程のトレーニングで体は温まっており、体調も良い。

準備万端のあなたは細い目で敵を睨む。

対抗心を燃やしているあなたに対して、代表はいつもと変わらず隙が見えない立ち方だ。

あなたから向けられる熱量に少々困惑しているようだが、代表も都市で生きる人間だ。

深呼吸を1つすると目つきが鋭くなって、手を握り込む。

すると、腕に刻まれた強化刺青が一際蒼く光り始めた。

 

「コインを投げる。地面についたらスタートだ」

 

代表がポケットから記念通貨を取り出し、指で弾く。

真上に飛んだコインは表裏を見せつけながら重力に導かれていく。

そして―――

 

速度ダイス

あなた:1d4=1

代表:3d???=20

 

―――先に跳び出したのは代表の方だった。

まるであのときの焼き増しのように、また先手を取ったのは代表だ。

強化刺青による蒼い軌跡がこの眩しい空間でもくっきりろ見えるおかげでどのルートで攻めるのかが分かる。

だから、距離を詰められたあなたは退くのではなく迎えにいった。

高速で突っ込んでくる代表をいなすように迎え撃つのがあなたの勝機だ。

間もなくぶつかる。

 

マッチ

あなた:1d17=13

代表:3d???=20

 

代表は速度に任せた勢いある右ストレートで顔面を打ち抜こうとする。

それをあなたは正面から向き合わずに右手で代表の右腕を逸らして、引き絞った左フックで代表の顎を狙った。

 

―――ガンッ!

 

その瞬間にあなたは腰に衝撃を受けて右側へ吹き飛ぶ。

咄嗟に受け身を取り何をされたのか考える、前に追撃を阻止しなければならない。

 

マッチ

あなた:1d17=15

代表:3d???=16

 

急いで立ち上がり、あなたがお返しにと捻りを加えたパンチを繰り出すが、カウンターで右肩を殴られた。

あなたはふらつく体を歯を食いしばって奮い立たせる。

拳と手刀を構えたまま汗をかいていない代表に何か裏があるはずだとあなたは考える。

汗をかき消耗したあなたの荒い呼吸に混じって代表の規則的な深い呼吸音が聞こえる。

 

「スゥー、フゥー」

 

【知力ロール発生】

 

まずは何をされたのかこれは凡そ見当がつく。

あなたが右腕を逸らしたと同時に逸らされた方向への遠心力として使い、右脚で腰を蹴られたのだろう。

次に何が起きているのか。

あれだけ素早く動いているのにあんな深いゆったりとした呼吸で間に合うはずがない。

何か、あるはず。

そういえば、あなたの事務所はセンク協会の協力事務所でそれなりに有名だ。

センク協会の特徴は―――

 

代表の器用:??? 精神状態:余裕(マイナス補正なし)

1d???=5

あなたの器用:10

1d10=1

 

【知力ロール失敗】

 

あなたに考える余裕などはない。

いや、その余裕を与えないように代表が猛攻を続ける。

代表はあなたの五感、特に目が良いことはよく知っている。

だからこそ相手に情報を与えないようにするためには整理する暇を作らないことこそが効果的だ。

 

「作戦は決まったか?」

 

飄々としながら蒼い光線があなたを取り囲んでいる。

謎があるのはあの呼吸と、このわざとらしい軌跡。

本来ならどうにかして切り抜ける必要があるが、そんな時間はくれないようだ。

だが作戦など、とっくのとうに決まっている。

あなたは好戦的な笑みを零した。

 

ただ、ぶん殴るだけだ。

 

「それでいいなら否定しないが」

 

マッチ

あなた:1d17=4

代表:3d???=19

 

あなたは連撃を避けながら有効打を探る。

グオン、と轟音を耳に焼き付けて間一髪で避けてはローキックで対応する。

それを相殺されたらその隙にまた攻めていく。

瞬きすらできない状況であなたは極限の集中状態となる。

代表の両腕は蒼い光でその動きを見ることができるので、致命となるものだけを叩き落としてなるべく先制する。

1手、2手、徐々に次に向けられるであろう場所が分かるようになる。

これは集中と勘による予知的なものだが、あなたを助ける武器となっている。

この適応力には代表も目を見張るものがあり、ご満悦だ。

 

「そろそろ疲れてきた頃だろう。次で決めるぞ」

 

代表はそう言い放つと、右腕を大きく引いて見せつけるように構えた。

この右ストレートはフェイントで本命は右脚だろう。

いやしかし先程見せた動きをもう一度この男がするだろうか。

そうこうしている内に剛腕が稲妻を描きながら飛んできた。

あなたは想定通りに左へ動き、ストレートを避けて脚を警戒する。

右脚が動くと同時にあなたの鳩尾へ左腕が突き刺さった。

 

何が、起こった……?

 

「別に、光を消すこともできるってだけだ」

 

あなたの想定不足だ。

両腕の光は能力の解放に必要な条件などではなく、ただの一騎打ちのための真剣さ。

そのために必要な道具だと理解したあなたは自身の不覚を悟った。

喉まで上がった胃液を飲み込み、閉じかける瞼を我慢するが―――

 

―――あなたの意識は暗闇へと葬られた。

 

 

000

 

 

あなたが目を覚ますと先輩が寝転がるあなたを覗き込んでいた。

長い髪があなたへ降り注ぎ寝覚めの悪さを演出している。

その瞳はあなたの体に向けられていて、起きたことに気が付いていない。

どうやらあなたはリビングのソファに寝かされていて介抱されていたようだ。

そろそろ動こうとしたそのとき、目が合った。

 

「あ、起きました」

 

「本当か!」

 

その言葉に反応した代表がものすごい勢いでこちらへ向かってくる。

あなたはすわ何事かと慌てて飛び起きると、そのままの勢いで代表と額がぶつかった。

 

「いてぇ!」

 

ちゃっかり避けていた先輩を目で追いつつ、あなたは痛みを堪えながら何かあったのかと尋ねた。

あちらも額を抑えつつ、代表は何か言いたげな表情で口をもごもごと動かし、さあ何を言わんとパクつかせて最初に出した言葉は―――

 

「―――俺のスペシャルサンドウィッチ、食べた?」

 

……。

…………。

…………………………。

 

あなたはそっと目を閉じた。

 

「おい!まさかとは思うが……」

 

あなたは戦闘中だと言わんばかりに頭をフル回転させ、この状況からの打開策を考える。

まずは状況を整理しよう。

あなたは今ソファに座っており体のどこにも違和感はない。

つまり動作に問題はない。

次に、代表はあなたの目の前で指を絡めて天に祈りを捧げる独特のポーズをとっている。

呟く言葉から察するに、あなたが盗み食いの犯人でないと願っている。

あなたの隣に座る先輩は代表の間抜けな姿を見て鼻息荒く笑いをこらえているが、ちらりとこちらの様子を伺っている。

救いを求めれば助け舟くらいは出してくれるだろう。あなたはそう信じている。

 

どうやらあなたが朝食として食べたサンドウィッチは代表にとってそれなりに大事なものであるらしいことは理解できた。

ではどうやって切り抜けるか。

選択肢はおそらく3つだろう。

 

 

1つ目、正直に話す。

あなたはセンク協会に属する事務所の一員として何事にも真剣に、正々堂々と取り組むことがこれから求められるだろう。

その練習の一環として罪の自白、懺悔をすることはできるだろう。

 

2つ目、うやむやにする。

確かにあなたは食べてしまった。しかし、悪いのは直接的行動をしたあなただけだろうか。

そんなに大事なものであれば、もっと見つからないような場所に隠すべきではないのか。

責任の所在を追及しあなたに降りかかる火の粉を少しでも減らすことが目的だ。

 

3つ目、誰かが食べた。

誰でもいい、あなた以外の人物がサンドウィッチを食べてしまったのだろう。

それは恐らく、掃除屋か、泥棒か、先輩か。

もしかして、廊下の"何か"が食べてしまったのではないか。

あなたは都市の人間らしく利己的に行動する。

そうしなければ、生きられなかったから。

 

 

どの策を選ぼうが選択はあなた次第だ。

あなたの性格が狡猾実直かは今後の行動に左右されていくだろう。

 

 

 あなたの性格

 あなたの行動はこれらの選択肢によって左右される。

 あなたの性格が狡猾になれば、戦い方や考え方などが効率的になる。

 あなたの性格が実直になれば、正義感や慈悲が生まれ人情的になる。

 

 

 

 

 

 






性格によってE.G.O発現できなくなるとかは無いのでご安心ください。
砕けて言えばドンキホーテになるかファウストになるかの違いです。
え、全然違うって?入れ替わったんだから一緒でしょ(鼻ホジ)

どうするあなた

  • 1 FACE THE SIN /実直+1
  • 2 FACE THE FEAR/なし
  • 3 誰か見つかりますように/狡猾+1
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