氷室古織の分裂 mottoⅢ   作:苗根杏

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#3 夢の島思念公園

『独壇場と言っていたけど、どっちの?』

 

 水無月が浮遊ステージで、山科のまわりを飛び回りながら言う。すると。

 

『ん? 俺に決まっているだろう。お前は雑魚を片付けぇ』

 

 山科が当たり前のように言うので、水無月は目を丸くしたのち、お上品に笑い出す。

 

『あなたは図体がバカデカいのだから、雑魚の殲滅に向いてるわ。ここはユリースが主戦力殲滅をしようじゃない!』

『その図体を活かすのがここだと言っているんだ。お前は身体も脳も小さいんか?』

『あんたがデカくなっただけで、ユリースが小さいわけじゃないわよ!?』

 

 気づけば、ヤツらのその目は俺たちではなく、互いに向けられていた。しかも睨みが効いている。

 

『俺だ』

『いいや、ユリースがやるわ』

『役割分担は大事だろうがぃ』

『やだ!』

『やだって何だよ、任せとけよ』

『やだやだやだ〜!! ユリースがやるわ!!』

『俺だと言っているッ!!』

『ユリース!!』

『俺!!』

 

 隣のバラダギ先輩も、柄にもなく『仲間割れ……か……?』と驚きと困惑を隠せていない様子。

 

 そんな先輩の肩に、骨ばった手が置かれる。見ると、そこにはバラダギ先輩と同じくらいの高い背をした、白ランがニヤケ顔でうずうずしていた。

 

『よく分からんが、今のうちだ。行ってこい』

『お……おう! アイツらやっつけたら、次はお前だからな!』

『好きにしろ』

 

 バラダギ先輩の背中を押すは、海老原学院附属高校の三ノ宮 光良(さんのみや-みつよし)さん。

 

 バラダギ先輩は、アメリカンクラッカー片手に走り出し、グリッドマン・キャリバーと言うらしいドデカい刀にクラッカーの片方を巻き付ける。

 

 その片方紐を引っ張り、地面を蹴って空を飛ぶ。登ってグリッドマンの首をやろうって算段か。

 

『アイツらもエゴイストだな』

『……ですねー』

 

 それに気づいた山科は、水無月に『……一時中断か』と言い、水無月も『そうね、みんなギラギラし出したわ。ジュエルバズリウムみたいね』と俺らを見て言う。

 

 いつの間にか、麗紅は麗赤と共に構え、花火は刀をふたたび抜き、部長も羽根を大きく広げている。光良さんも三節棍“狙いうち”を持ち、ヤツらを睨んでいる。

 

『こうなったら!!』

『ああ』

『『先に潰せたモン勝ちッッ』』

 

 同時に動き出した山科と水無月。グリッドマンの膝ほどまでたどり着いていたバラダギ先輩はというと。

 

『どわああああッッ』

 

 バランスを崩して地面に落下。頭から花畑に突き刺さった。

 

 暴れ出す巨人を前に、俺たちは走って逃げながら様子を見て攻撃する。

 

『もそっとジッとせんか、斬るぞ』

『小回りがきかないデカブツは黙ってなさい!』

 

 水無月は全員に向かってリップ型のファンネルを出して飛ばす。

 

 それをいなしているうちに、水無月は俺の真ん前に来ていた。浮遊ステージの上にスタンドマイクを“叉紋”して、それで俺に殴りかかってくるものだから、俺はとっさに杖を両手で持ち、横にして前に出す。

 

 木の杖と、金属のスタンドがぶつかる。あまり現実では聞いた事のない音と共に、俺たちは鍔迫り合いをする。

 

『ぐっ……ぬぬぬ……』

『杖で受けるなんて……やるわね』

 

 どんな魔法で打開しようか。そんな俺の思考は、次の瞬間に凍りつくことになる。

 

『“氷結・5%”!!』

『!!?』

 

 そんな声と共に、マイクごと水無月は凍りつく。

 

 ざっ、ざっ。歩いてくるその足音は、実に堂々としている。

 

 今年入ってきたばかりとは思えないな。エリート高校にしごかれて顔つきも変わった新入りが、その歩みと共に春を想起させる花々を凍らせていく。

 

氷室 古織(ひむろ-こおり)……助太刀いたす』

『古織!!』

 

 その場の誰もが、彼女の名前を口に出したが、俺らの声は、その場でいちばん嬉しそうに叫んだ花火の声にかき消された。

 

 花火のやつ、どうやら今年度地区大会での古織の活躍を見てから、『見込みがある』だことの『彼女はいずれ光良さんに匹敵する脅威になる』だことの、好敵手として見ているフシがあるんだよな。

 

 花火は嬉々として彼女に駆け寄り、手のから出た氷をまじまじと眺める。

 

『その氷、俺の母さんのに似てるな』

『はい! 『燈花(とうか)さん』の演技を参考にさせてもらいました!』

『見たのは小学生の頃ぶりだな。ありがとう、懐かしい気持ちになったぜ』

 

 その言葉にピンときたのか、彼女は『じゃあ、もしかして!』と目をキラキラさせて花火に言う。が。

 

『俺は親父の技、ぜってー使わねーけどな!!』

『ずこーっ!』

『リアクションいいなあ』

 

 お前がずっこけさせたんだろ。花火。

 

 もう片方の親である、『穂村 燃(ほむら-もゆる)』の技を使うのではないか、という古織の期待を、花火は粉々に打ち砕いた。

 

『読めないなあ〜、空気が! この男は!』

 

 呆れている紅葉に、光良さんが諦めろとばかりに首を横に振る。親父を重ねられるのが嫌いなだけで、『燃さん自身』は尊敬してると思うけどな。

 

 やけくそ気味に、ずっこけた拍子に頭に花びらがついた古織はそれを取る。

 

 その手で顔を覆うように素早くなぞると、仮面があらわれる。出たよ、その技。

 

『“増女(ぞうおんな)”ァ!!!』

『!!?』

 

 くぐもった声でそう叫ぶと、グリッドマンが地面に軽くめり込む。アイプリになったユリースの氷も割れ、解放されて早々に『ぐえっ』と情けない声を出して潰れる。

 

 彼女の“増女(ぞうおんな)十二単(じゅうにひとえ)”は、花火たち曰く重力を何倍にもする技。まるで平安時代に着用された女性用の正装である、十二単を彷彿とさせる重さを食らわせるのだとか。

 

『すげえな古織ッ! あんなデカいのを!』

『次はあなたですよ! 油断しないで!』

『分かってるってばッ!』

 

 そうは言いつつも、また戦えるのだとニヤニヤが止まらない花火は、グリッドマンに二刀流で襲いかかる。

 

『少年!! 背中借りるよ!!』

『どわあっ!?』

 

 それを眺めて、さて、俺もそこの這いつくばったアイプリと戦うか、とエネルギーをチャージしようとした時、俺は部長に踏まれた。

 

 背中を思いっきりロイター板にした部長は、高く舞い上がる。花火ならありがとうと瞬時に言っていたことだろうが、あいにく俺はドMではない。ご褒美でもなんでもないな、こんなの。

 

 轢かれたカエルのように這い蹲る俺。そこに柊が近づく。

 

 起こしてくれるのか? と思って柊の方を見ると、なんと俺の杖の先端、魔力をチャージする部分に手を当て、それを吸い取っているではないか。

 

『エネルギー、ちょっともらうよ』

『なっ……ひ、柊までぇ!?』

『ごめんなさいねェ〜♪』

 

 麗赤がこちらにウインクし、謎のビームをグリッドマンに放つ。なにその攻撃。見た事ないんだけど。ちゃんとした攻撃もできるのかよ。

 

 と、いうか。

 

『……どいつも、こいつも……ッッ』

 

 エゴが強いのはいいことだが!! 

 

『主人公は俺だぞッ!!!』

 

 花咲つぼみ風に言うなら、堪忍袋の緒が切れた。

 

 俺は魔力を杖へと急速チャージする。先端の球が破裂するほどに。ただ、この杖はある一線を超えると。

 

『俺一人で片付けられるっつーのぉぉおおおお!!!』

『なにこれ!?』

『デカっ……』

『“画竜点睛”』

 

 風船を膨らませる時のように、いきなり肥大化するのさ。

 

 俺はそれを味方・敵問わず薙ぎ払うために振り回す。

 

『俺らまで殺す気かーッ!!』

『ありゃあ完全にオカンムリね』

『あーあ、少年キレちゃった』

『お前らのせいだろ!!』

 

 光良さんだけか、俺を分かってくれるのは。

 

 ひとしきり暴れて、エシディシのようにスっとした俺は、杖を真上に掲げる。屋外なのに、天を突き破りそうなほどにそびえ立ったそれは、収縮していきエネルギーの塊になる。

 

『聴いてください。“走り始める前のワタシから”』

 

 技名を唱えると、杖はたちまちスタンドマイクに変わる。アイドルにはアイドルだ。

 

『何よ! あたしだけで十分だってのに!』と水無月は不満そうにこちらを一瞥する。

 

 みんな、山科を頼んだ。こっちは俺が片付ける。

 

『歌で負ける訳にはいかない!! こっちは私立パラダイス学園のスターアイプリよッ!!』

『そうか。俺はスターライト学園のヴァンパイアだ』

 

 ユリカ様。俺の初恋の相手にして永遠の憧れの人……どうか、見ていてください。

 

 これが俺の目指した、究極のアイドルです。

 

 

MATCH UP

 

青空ひまり

『パステルステップデイズ』

×

藤堂ユリカ

『硝子ドール』

 

 

『アイドルには同じくアイドルをぶつける! 貞子VS伽椰子の理論だね!』

 

 部長が女児心をくすぐられ、笑いながら言う。

 

 互いに持ち歌を熱唱する俺と水無月。その口から紡がれるメロディーは、コエカタマリンのように音符が具現化される。

 

 走り回って歌う俺の音符と、追いかけ回す水無月の音符。それらがぶつかり合っては、

 

『ぼっちじゃシーソーは乗れないわよ!! 一人であたしを倒せるかしら!!』

『一番星は孤独なのさ!』

『ッッ……この、真美夜チィがァッ!!』

 

 すまんな、俺はアイカツ派なんでその例えは分からん。ただデミカツは追ってるぜ。

 

『そんなに血を吸われたいか? クク……』

 

 身も心も藤堂ユリカになっている俺の横を、誰かが通り過ぎる。

 

『今のうちだ』

『えっ』

 

 かおちゃんと花火だ。

 

『おいで、子犬くん……』

『はっ……はい……』

 

 乙女の顔をした花火は、まんまとかおちゃんに手を引かれ、

 

『あいつ浮気してる!』

『しずくちゃんに言いつけるぞ!』

『違います!! 俺はしずく一筋です!!』

『私もまーちゃん一筋だ、安心してくれ!』

 

 おめえは意味もよく分からねえのに俺一筋とか言うな。恥ずかしい。

 

 主要戦力が2人も外れる中、唯一人、不敵な笑みを浮かべる男がいた。

 

『アイツが行くなら!! 俺がやっちまうぜェ!!』

『待てバラダギ、出しゃばるな!!』

 

 雄叫びながらグリッドマンに突撃するバラダギ先輩。制止する部長の声も彼の耳には届いていないようで、アメリカンクラッカー片手に無謀にも走り出す。

 

『愚かだな』

 

 その勇者を蛮勇扱いする山科は、グリッドマンキャリバーを大きく上へと掲げる。

 

 図体のデカさからは想像も出来ないほど、一瞬で振り下ろされる剣は、バラダギ先輩の頭上に真っ逆さま。プチッと潰される音も聞こえず、花畑にめり込む刀身。

 

『先輩ッ!?』

『柊、あの人に関しては心配するだけ無駄だ!』

『でもアレは流石に!』

 

 俺は知っている。あの人は、あんなのでやられる程に弱くはない。

 

『斬ったでしょッ、頸……ッ!』

『斬っただろうな』

『間違いなく斬った』

『斬りましたよね!?』

 

 常識的に見れば、そうだろうな。全員が、山科までもが『……斬ったな』と疑わなかった。

 

『ああ、斬られたな』

『!!?』

 

 その声が聞こえたのは、地面からだった。

 

 ビィ────……ン。

 

 地面からクラッカーの球を掴んだ手だけが出てきて、紐が張られる。それの上に乗せられたグリッドマンキャリバーは、羽根ほどの軽さしかないように跳ね上げられる。

 

 そのままバラダギ先輩は、起き上がってグリッドマンキャリバーを押し返す。

 

『馬鹿なッ、確実に頸をやったはずだ……』

『縦に割られちゃあ、その限りじゃあねーぞ』

『しかしなぜ生きているッッ』

『ごもっともだねえ……』

 

 紅葉部長は驚きつつも、グリッドマンの周りを飛び回り、肩に乗る。

 

『でもバラダギにその“なぜ”は通用しない。ゲキバトルの常識が通用しないからね』

 

 羽根のファンネルで、部長はグリッドマンの目を潰す。それにしてもめちゃくちゃだろ、とばかりにゾクゾクと興奮しながら。

 

 こんな常識もクソもないような世界の、さらに掟破りな存在。エゴの塊にして、とてつもない向上意欲と野心を持つ、原田木燦迅というアツい男なのだ。

 

『俺のターンだぁぁぁぁああああああッ!!!』

 

 片方の球を上に放り投げ、クルクルと剣に巻き付ける。手元に球を戻し、彼は紐の根元、球に近い部分を持って肩に背負う。

 

 グリッドマンに背中を向け、ぐぐぐ、と腕と背中と踏ん張る足に力を入れ、歯を食いしばる先輩。

 

『ぐおっ!?』

『どんだけえええええええええいッッッ』

 

 ふわっ。50mの巨人が、音もなく浮く。そして、向こうに見える山へと投げ飛ばされる。

 

『背負い……投げた……』

 

 麗赤は呆然と、消えていく“叉紋創着”のグリッドマンを見つめる。

 

 古織もそんな様を見て、決心したように拳を握りしめる。能面で顔は見えないが、『みんな、強いなあ』と無力感のこもった声を出す。

 

『私も頑張らなきゃ』

 

 くぐもった声をあげる古織は、氷をふたたび手から出そうとするも。

 

『くっ……?』

 

 うまくいかなかったようで、苦しそうに手をおさえる。

 

『どうした?』

『い、いえ! なんでもないですよ、なんでも……! 元気いっぱいですっ、えへへ』

『? ……そうか』

 

 光良さんは真剣な表情で古織を覗き込むが、元気に答える。

 

 山の方で、強い光が放たれる。何かと思えば、今度は赤い恐竜型ロボットにして先程のグリッドマンの続編メカであるダイナレックスを“叉紋創着”した山科が、こちらに向かってきた。

 

 涼し気な顔して、ずいぶんデカいエゴとイマジネーションを抱えてんじゃねーか。大したやつだ。俺が魔法を放つのを待たずに、古織はダイナレックスに手を向ける。

 

『“氷結”ッ!!!』

 

 叫び声と共に、ダイナレックスの足元が地面ごと凍る。

 

『ぬおおおおおおおおッッ……じッ……“10%”ぉぉおおおおッ!!!』

 

 細い腕を少し上に動かすと、永久凍土のように凍りついた土が浮かぶ。

 

『すげえ……』

『地面、持ち上がってンじゃんッッ』

 

 小さな島が如く、ダイナレックスごと浮いた氷の塊を、古織はハンマー投げの要領でぶん回す。

 

『ははっ……あははは!! 先輩!! 見てくださいッ!! 私、こんなに強く!!』

『力に呑まれるな!! 古織ッ!!』

 

 後輩の戦いぶりを見た光良は、賞賛より先に心配の言葉を吐く。ハッとした古織は、まだ足りないか! と、自分の足元すら凍りつかせる。

 

 その上を滑る水無月に、俺は追いつかれてスタンドマイクでぶん殴られる。

 

『ぐっ!?』

『人の心配をしている場合かしらァ!?』

 

 力に振り回されている古織を見ながら歌っていた俺に、不意打ちを食らわせた水無月は高笑いをして、何回も、何回も俺の頭に音符の打撃を浴びせる。

 

『麻琴さんッ!?』

『俺は大丈夫だ!! 古織ちゃん、そっちに集中していてくれ!!』

『ぐぬぬうっ』

 

 なんとか俺は起き上がり、“ファンシー・P・I・N・K・タイフーン”でその場を離脱する。

 

 そして見えたのは、ダイナレックスの『必焼大火炎レックスロアー』によって、焼き尽くされる氷と花畑。そして、その最中で絶叫しながらのたうち回る古織だった。

 

 花火の放つ炎系の技よりもよっぽど広範囲な攻撃だ。一度花火と渡り合った古織でも、流石に氷での反撃を許されない。

 

『いま助ける!! 古織ーッ!!』

 

 走り出した光良さんを待たず、古織はなんとか立ち上がった。どんな顔かは、どんな姿かも、炎の中で影しか見えないが、焼けただれているであろう身体でよくもそこまでやるものだ。

 

 頸をやられなければセーフとはいえ、あそこまで非現実的な威力の技を喰らえば、精神的ダメージもかなり大きいはず。

 

 ただ、彼女にとっては、この化け物の集う戦場において戦果をあげられないことが何よりの恐怖と痛みなのだろう。

 

『私だって……私だってぇぇぇぇぇッッ!!!』

 

 断末魔にも似た古織の叫びを聞き、俺はその場にすっ転んだ。

 

 驚いたわけではない。いや、少しはそれもあるかもしれない。が、最たる原因は『古織』だった。

 

『!!?』

『何が……起きたッ……?』

『南無三!!』

 

 春を想起させる花畑のフィールドは、白き氷に包まれる。気温だってマイナス何十度も下がり、花々も先程まで穏やかで暖かい風に吹かれていたのが、氷によってドライフラワーのように固まってしまう。

 

 足元はスケートリンクのように平たい氷になっており、俺はそこに杖を突き刺して、それを支えにしてなんとか立ち上がる。

 

 グリッドマンが吹っ飛ばされた何百メートル向こうの山までも氷に侵食されたフィールドで、光良さんは叫ぶ。

 

『古織!!! 力を抑えろッ!!!』

 

 返事は帰ってこない。レックスロアーの巻き添えを食らったのか、焼け焦げのアフロヘアーになったバラダギ先輩が深刻な表情でつぶやく。

 

『聞こえてねーみてえだな』

『…………』

 

 氷上をすっ転びながらだと、かっこつかないですね。先輩。

 

『うるせっ、俺スケート苦手なんだよ』

 

 そういう問題か? 

 

 いつの間にか、山科は再び元の姿に戻っている。体のあちこちを低温やけどでやられているのか、立ち上がることも困難な模様。

 

 それを踏みつぶそうとしているのは。

 

『あれは……何ですか……?』

『……オレの後輩だ。おそらく』

 

 

核P-MODEL

『崇めよ我はTVなり』

 

 

 向こう側が見えるような透き通った氷のボディ、そしてその胸の中にいるのは、磔になったような姿勢の古織。

 

 まさに氷の怪獣。いや、怪物。モンスター。古龍かもしれない。だが……。

 

 怪物と呼ぶには、あまりにも。

 

『かっけーじゃん、古織ちゃん』

『呑気!!』

 

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