氷室古織の分裂 mottoⅢ   作:苗根杏

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#8 MISERY

 

『貯めるぞチャージ!! エネルギー!!』

『僕のエネルギーも分けるよッ』

 

 “ヒゴ”を操りつつ、俺は杖にエネルギーを貯める。

 

 柊が俺の杖の先端にある水晶に触る。すると、元々あった赤いエネルギーにドス黒い色が混ざり、不健康な血のような色になる。

 

『さあ行け、柊!!』

『くっ……“デジタル☆タトゥー”ッ!!』

 

 柊がそう技名を唱えると、麗赤の出すビームのような、赤黒い色の衝撃波が杖の先から放たれ、怪物を襲う。すると、怪物はピタリと動きを止める。

 

『ぐおおっ……なんか来た……!?』

『禍々しっ!』

 

 三体の巨人が暴れ回り、氷の怪物をボコボコにする中、演者の一部はそのモワッとしたオーラに気圧される。

 

 柊のエネルギーが入ってるからな。精神への影響は俺の魔法の中でも最大だろう。

 

 真夏日に涼しいイオンモールから出た時に感じる、うだる暑さのような、鬱陶しく湿度のあるオーラが周りにも軽く充満している。

 

『みんなしてヒドイ言い様!』

『褒めてるんだぜ』

 

 ただし効果としては、黒歴史を思い出させて麻痺させるだけだ。悪いな古織ちゃん、少しだけ耐えてくれ。

 

 俺は“我らが旗艦”の強化技である“我らが旗艦・LO砲”をチャージしている横で、“叉紋創着”のまま戦う山科と水無月が俺らに声をかける。

 

『ごめんね、麻琴ちゃん達』

『何がだ!』

『ニジガク、優先的に潰してって言われたの。だからああやって襲いかかって……』

『……すまなかった。正面突破もまたうちの戦法であることを、忘れていたのだ。俺たちは』

 

 巨人とアイドルが頭を下げる。シュールな光景だ。

 

『立派な作戦だ。俺は何も思ってねーよ』

 

 こんな所で言うな。まあ数秒後には死んでるような世界だ、今のうちに言っておこうってのは分からんでもないが。

 

 グリッドマンを“ヒゴ”越しに肘でつつき、俺は首が痛くなるほど見上げる。

 

『グリッドビーム、頼んだぜ。光の巨人さんよ』

『……応ッ』

 

 そして、俺より背が少し下のアイドルプリンセスにも、俺は目を合わせる。

 

『今度、教えてくれ。プリティーシリーズ。俺、アイカツしか知らないんだ』

『!! ……っ、ええ! ミニスカートからアイプリまで、気になる世代をピックアップしておくことねッ!』

 

 すっかりいつもの勢いを取り戻したふたりは、またもや妙な“叉紋”をして駆け出していく。水無月の手には、トランシーバー。山科の手には、発煙筒が握られていた。

 

 元ネタをそこまで知らないんだが、そういった回があったのか? 

 

『成田の意地を見せよう』

『そうね。こんな所で終われないわ』

 

 いっぽう、その横で薫は社交ダンスのような動きでクルクルと回り、俺のように呪文を唱える。

 

『ムッシュ・ムラムラ!! クルリンパの、ヤ────ッ!!』

『ウオオオ────ム……』

『ギャァァァァッッ……』

『ケ────……ン』

 

 巨人たちは怪物を囲むと、手元を光らせる。巨人越しに薫が“叉紋”したのは、アツアツに湯気のたつおでんだった。

 

 汁の染み込み、したたる大根が美味そうだ。卵も色がよくついているし、こんにゃくだってプルプルで……こういうの見ると、春でも食べたくなるよなー。おでん。

 

『部長もそう思いません?』

『大きすぎるとあまり……』

『しかもあれ……攻撃用、だよな』

 

 もちろん。氷を解かすためのものだろうからな。

 

 薫はレイピアと片足をあげ、そして降ろしながらフェンシングのように踏み込む。

 

『三体同時攻撃!!! “ウィール・ラスト・ダンス”!!!』

 

 おでんたちが怪物に押し当てられると、古織に触れることなく、氷はみるみる解けていく。

 

 頭にきて怪物が生み出す氷柱もおかまいなしだ、巨人たちはアクロバティックにそれを避ける。

 

 まるで熱さに対するリアクションが足りないぞ、と怒っているベテラン芸人のように見える三体は、柊の合図で、うずうずとさせた足で地面を蹴る。

 

『なんでなんだぁ〜〜〜……!!』

『よッ!!!』

 

 全国民にお馴染みの合言葉で、巨人たちのみならず、俺たちは全員で跳ねる。そして、着地した時に出る地面のひび割れに、怪物は飲み込まれるのだった。

 

 烈海王みたいだな。救命阿(ジュウミンア)

 

『た、ただの地団駄がこんな威力を……!』

 

 驚く水無月を尻目に、俺は残りの魔力のほとんどを使い、『追い討ちィ!! “パレットアポロ、No.17”ッッッ』と叫ぶ。

 

 すると、赤いエネルギーの塊が杖の外へと出ていき、分割され、弾頭になってロケット花火のように飛んでいく。

 

『ロケットというかミサイルじゃあねーかッ!!』

『ハチャメチャな魔法だな……魔法か?』

『彼が撃つなら全てが魔法だ』

 

 山科の素朴な疑問に、かおちゃんが答える。適当なことを言っているように思えるが、実際そうだ。俺が杖から何を出そうと、それは魔法攻撃である。

 

 魔法然としていない物理的な攻撃に弱いのか、もしくはみんなが弱らせてくれたのか。怪物はミサイルをもろに受けて穴が空く。

 

 胸元にも穴が空けられたし、あそこから古織を引っ張り出せそうだ。

 

『よし、大打撃!』

『……すまない。強すぎたようだね』

『へ?』

 

 かおちゃんは黙って俺の手を握る。続いて柊、部長、バラダギ先輩、水無月……最終的には、円陣のように組んだ俺らを、山科がグリッドマンの大きな手ですくい上げる。

 

 それから間もなく、地面が崩れた。俺らはグリッドマンの掌の上で、孫悟空かってくらいに飛んで跳ねてとバウンドする。

 

『どわぁっ!?』

『なになに〜〜ッ!?』

『慌てるな。ただの地割れだ』

 

 身体がガタガタと地割れに合わせて揺れているが、山科は平静そのものだった。

 

 しばらくして揺れが収まると、俺らはめいめいに手の上から地上を見る。すると、凍った花畑の欠片は土に埋もれたのか、見る影もない。

 

 草がまばらに生える、段々になった無骨で飾り気のない岩たち、山々。まるで人為的に作られたような、それは……。

 

 それは半径数百メートルの、『採石場』のように見えた。

 

『……特撮でよく見る所だ』

 

 柊が俺の隣で言う。ああ、そうだな。ド派手なナパーム爆発が似合う。顔だけ出したイクサのコスチュームで、エンペラーフォームと一緒に走りたいぜ。

 

『おそらく全員が、心の中でヒーローを求めているんだ』

 

 バラダギ先輩は、血をブシュブシュと出しながらストレッチをする。痛くないの? それ。

 

 その流れで、先輩は真上を指さす。

 

『さ、来たぜ。みんなのヒーローがよ』

 

 あんた以外のヒーローが? と素直に思ってしまった俺は、空を見上げる。それとほぼ同時に聞こえてきたのは、心の叫びだった。

 

『古織ィィィイイイイイッッッ』

『みっ、光良……さん?』

『で、いいのかい? あれは……』

『まるで別人だね』

 

 部長は微笑ましそうに、怪物に向かって一直線に落ちていく光良さんを見る。他はみんな困惑しているが。

 

『……何あれ……特攻?』

『ロケットダイブ戦法だ』

 

 バラダギ先輩の名付けたであろう戦法に、確かにな、と俺は納得する。

 

 誰か一人を、世界を巻き込んで救ってしまうのもまた……ヒーローなのかもしれない。

 

 

hide with Spread Beaver

『ROCKET DIVE』

 

 

『落ちてるのをいい風に言ってる……』

 

 そう言いつつも、柊はグリッドマンの手から降りて、“テラカド”で、おでんを駆使しつつ怪物を取り押さえる。

 

 俺とかおちゃんも続いておでんを出し、怪物の無力化をはかる。全員を降ろして、グリッドマンも大きな手のようなパーツと合体し、拘束に専念する。

 

『古織、目を覚ませッ!! 古織ィィィィッ!!』

『こっちよ、光良さん! ユリースについてきなさいッ!』

 

 光良さんは、水無月の浮遊ステージに乗って、綺麗に先程空いた穴の付近に着地する。

 

『あれは?』

『語りかけてんだろ』

『光良さんが一番、古織ちゃんに身近っスからね』

 

 彼の懸命な声とは裏腹に、怪物はじたばたと暴れている。

 

『ダメだ、“テラカド”と“ウエシマ”が!!』

『“ヒゴ”も限界か……くっ……!』

『フルパワーに合体しても、このままでは!南無三!!』

 

 フルパワーグリッドマンとやらになっても適わぬという山科の予測は間違いではなさそうだった。巨大戦力の拘束も虚しく、怪物は光良さんを振り落とそうと暴れるばかり。

 

 せっかくのおでんもキンキンに凍りついてしまう中、まだまだしがみつこうとする光良さんをみんなは心配する。

 

『光良さん!! 離れて!!』

『そうだぜ、このままだと……!』

『これで……これで!!』

 

 光良さんは、そんな声も振り払い、必死に声を張り上げる。

 

『これで終わってもいい!!! だから、古織だけは……せめて古織だけは!! 絶対に助けるッ!!!』

 

 あんなに必死な光良さんは見たことがない。そんなに彼女が、人間が好きになったのか、光良さん。

 

『あの演劇ゴーレムが……』

『サイボーグね?』

『……勝ち負けを、捨てた』

『ああいう奴が結局一番強いのさ』

『バラダギさんが言うと説得力あるなあ』

 

 全員が見守る中、一転して穏やかに光良さんは古織に語りかける。

 

『帰ろう』

『ッ……セン、パイ……!!』

 

 その瞬間。古織の声が、たしかに、全員に聞こえた。

 

『古織。迎えに来たんだ』

 

 氷の中の古織が、少しだけ安らかに笑う。

 

 かと思えば、苦しそうにその顔を歪め、叫び出す。それと同時に、氷の怪物は膨張する。光良さんの下半身が氷に包まれていく。

 

『ぐあああああああッッ』

『古織少女!! 光良!! ……くっ、彼女の暴走がこれほどまでとはッ』

 

 部長の言葉に、暴走という言葉に、心当たりがあったのか。柊は“テラカド”で自分の身を守りつつ言う。

 

『暴走じゃない。あれは……滅私です』

『滅私……?』

『リオネルっすか?』

『メッシね!』

 

 思っていたよりも、事態は前の事件とは違う方向らしいな。花火は緊張感がなさそうだが。

 

『言うなれば『自分マイナス100%型』……自分とは別の自分を作り、本来の自分を行き過ぎたくらいの理性で押さえ込んでいるんだと思います』

『麗紅の言う通りなら……あれもまたエゴか』

 

 バラダギ先輩が、エゴにまみれた怪物を見上げ、腕を組む。

 

『助けが必要かァ……?』

 

 そうニヤリと不謹慎にも笑うバラダギ先輩。半分氷漬けの光良さんは怒るでもなく、一瞥だけして。

 

『こんなの、どうってことない……古織の辛さに比べたら!!!』

 

 そう、彼はあくまで、苦しんでいる古織を救出することを優先している。俺らもその作戦方針に従ってはいるが、一番彼女のことを想っているのは他の誰でもない、彼、三ノ宮光良だ。

 

 しかし、ここで答えも聞かず助けに行かないあたり、光良さんのことを心から信頼しているらしいな、先輩。俺らも力ずくが通じない以上、拘束に徹するしかできないのだが。

 

 ああ、そうか。そうなのか。それならオレにも、と光良さんは、氷にみるみると侵食されながら歯を食いしばり。

 

『古織ィィイイイイ!! オレは、お前が好きだァァァァァァ!!!』

『えっ!!?』

 

 一世一代のプロポーズをする。水無月は思わず、恥ずかしくなったのか顔を手で覆う。

 

『オレは……不器用で、クソ真面目なクセに少しズルくて、中途半端でダメダメな先輩だ!! だがッッ!!!』

『……言え。光良』

『やっちまえ!! 光良!!』

 

 うちの先輩たちの言葉に頷くまでもなく、光良さんは小っ恥ずかしい言葉をかける。

 

『お前が……雨に降られている時……傘は、さしてやれないかもしれない……しかし……共に雨に打たれることならッ!!!』

 

 すっかり後方腕組ライバル面の光良さんは、『エゴを押しつぶすのもまたエゴだな』と笑う。

 

 そんな言葉に、古織は苦悶の表情を浮かべつつも、呆れたように笑う。

 

『先輩……』

『!! ……古織……』

『先輩、私がいないとそんなにへこたれた顔になっちゃうんですね』

『……ああ!!そうだッ!! オレはお前がいないとダメなんだ!!!』

 

 段々と意識がハッキリとしていく古織に、首まで氷漬けになった彼は。

 

『お前が好きだ!!! オレと、付き合ってくれ────ッッ!!!』

 

 高校生の発せる、最大限の愛の告白をぶつけた。

 

『しょうがない先輩……♪』

 

 あわや彼の全身がカチコチに凍ってしまう、という時。

 

 ヒビが入り、大きな音を立てて、光良さんを覆う氷、そして古織を覆っていた氷が割れる。

 

 ゆっくりと落下していく古織を、光良さんはお姫様抱っこで抱えて着地する。

 

 そんな彼の頬にキスをして、今回の騒動の元凶は、ストレッチを入念に行ってホットミルクを飲み、10時間眠った後のような清々しい顔で、高らかに。

 

『新人ながら、只今ここに現着しました。今後も多分なるご迷惑をかけてしまう不束者ではございますが、暖かい目で見守っちゃってくださいな』

 

 ここの誰も見たことのない、彼女の本気の証拠である『名乗り』を叫んだ。

 

『海老原学院附属12期生、氷室古織!!! すみませんッ!!! 遅れましたッ!!!』

 

 そんなに爽やかに言われちゃあ、こっちも笑って許しちゃうよ、後輩。

 

 

nano.RIPE

『リアルワールド』

 

 

 憑き物が取れたように笑う彼女に、かおちゃんは叫ぶ。

 

『後ろ!!』

 

 倒れてきた怪物の亡骸が、古織に襲いかかっていた。単に操る古織がいなくなった怪物が、意志を失って倒れてきたのだ。

 

『“二刀流奥義・桜前線異常ナシ”』

 

 俺の背後から、そんな低い声が聞こえた。

 

 振り返ると、炎に包まれた『0%型』の花火の、刀が錆びていた。

 

 錆というのは、空気中の水素や酸素に金属が反応し、酸化鉄になることで起こるもの。

 

 彼──穂村花火の母親である燈花さんの氷の能力は、古織と同じく『空気の中にある水素を操る』能力を転じて氷系の能力としていた。

 

 花火は瞬時に水素を反応させたのか。そして、同じく『空気中の酸素を操り、火を起こす』という父親譲りの炎系の能力で、刀を錆びさせた。

 

 しかし、刀が錆びるのは副次能力。この奥義が示すのは、『花火が親の能力を借り、使うことに躊躇をしない』という彼の決心なのだ。

 

 日本刀“千本桜”・“桜ノ雨”は、錆びているにも関わらず、劣るどころかむしろ増した切れ味で、怪物を真っ二つにする。

 

 古織の入っていない怪物は、力任せに思いっきり斬るのに最適だったようだ。

 

『復ッ活ッ!!!』

 

 そして、そんな花火の声と共に、怪物は燃え上がる。

 

『花火!?』

『し、少年……?』

『氷室古織復活ッッ』

『アツさが最高潮だな、花火ッ』

『氷室古織復活ッッ』

 

 興奮して古織に駆け寄るバラダギ先輩、うろたえつつも、彼と同じく古織に向かって走る一同。

 

 俺は元ネタを知ってるから分かるぜ、花火。これは刃牙シリーズ第2部『バキ』の烈海王が、範馬刃牙が砂糖水を飲んだことで復活したことへの嬉しさのあまり、周りの目も気にせずテンションMAXで彼の全快を祝福するシーンのオマージュだろ。

 

 本当に彼女のことが、友達として好きなんだな、花火。

 

 気づけばみんなが思い思いに彼女を称え、励まし、労っている。光良さんだけじゃあない。みんな、本当に彼女のことを心配していたんだな。

 

『ふふ』

『氷室古織復活ッッ』

『……したいです』

『氷室古織復活ッッ』

『恩返し……したい、です』

 

 本当に果報者だ、とばかりに笑う彼女。俺は花火と、片方しかない腕で肩を組んで笑う。

 

『花火、古織ちゃんのこと結構贔屓にしてるよな』

『同学年でキチンとやりあえる貴重な相手ですからね』

 

 花火はそう笑いつつも、古織を見て真剣な表情を浮かべる。

 

『あと、アイツ……苦しんでたでしょう。ずっと、あの中で』

『ああ……そうだな』

『だから、このくらい祝ってやらないとカワイソーですよ。ははっ』

 

 そう言うと、俺を連れて花火も古織のもとに向かう。

 

『よく頑張った、古織!! 生きているだけで偉いッ!!!』

『ネットでよく見る褒め方!?』

『生きてるだけで偉いと思う花火です』

『駒形の方の花火じゃねえか!』

 

 総ツッコミを受けながら、花火は古織の肩を叩き、にやりと。

 

『……失敗するのは新人の仕事。赤ちゃんの仕事が泣くことと同じなように……ただ! 真の失敗とは、開拓の心を忘れ、困難に挑戦することと無縁のところに至ることを言うッ。これは失敗ではない、俺らの冒険なのだ』

 

 そんな言葉に、古織は泣きそうになりながら笑って返す。

 

『ありがとうございますっ、花火くん』

『後半はジョジョの奇妙な冒険の第7部であるスティール・ボール・ラン、第1話のスティーブン・スティールの記者会見より引用』

『3部を最後まで読んでから止まってるので、続きから読みます!!』

『好きなキャラは?』

『ワムウさん!!』

『ワカってんなあッ!! YEAAAH!!』

 

 ピシガシグッグッ。

 

 意気投合するふたりの間に、光良さんが嫉妬交じりの視線を送りつつ立つ。

 

『さて、これからどうしようか』

『あっ、そうですよね。これからまた普通のゲキバトルに戻らないと……ごめんなさい、先輩。皆さんも……』

『前はサラッとふたりの決闘に移っちゃったからねえ』

『かおちゃん、またするかい?腕相撲』

『いや……片方しかないからね、腕……』

 

 またもや起きてしまったイレギュラーに、これからどうしようかという一同の、学校の枠を超えた一時の団欒を。

 

『ウォオオ────────…………ム』

『!!?』

 

 燃えたはずの、怪物の咆哮が切り裂いた。

 

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