夜の帳が降りる頃、都市の外縁部――倉庫街の上空を、一機のヘリが低空で滑っていた。
その腹部が開く。冷たい風の中、そこから一人の少女が飛び降りる。
「
空中で展開された装甲が煌めき、彼女の身体を包み込んでいく。
蒼の剣士――風鳴翼。
ノイズ殲滅のために呼ばれた、“現役最後の装者”だった。
翼の着地と同時に、ノイズの群れが動く。
刹那、蒼い閃光が夜を裂いた。
「蒼野一閃!」
抜刀と同時に、五体のノイズが爆ぜる。
群がるノイズを翻弄するように、翼の刃が風を巻き上げる。
⸻
その数キロ離れた都市部。
主人公・板羽弓美は、異変を感じて空を見上げていた。
「また、ノイズ……か」
体が疼く。胸の奥、眠っていたザインの力が微かに反応する。
けれどそれは呼応ではなく――不快なざわめき。
乙姫の気配は、まだ戻ってこない。
「……今の私は、エルフしか使えないんだ」
弓美は苦笑する。力を制限され、かつてのような爆発力はない。
それでも、戦場に赴く理由が消えたわけではなかった。
「行くしかないよね、結局」
そして彼女は、夜の街へと歩き出す。
⸻
舞台はリディアン音楽学院。
私立ながら学費補助のあるその学校に、立花響は進学していた。
孤独で苦しい響にも高校へと進学した時、嬉しい出来事があった。同じクラスに親友の小日向未来がいたのだ。
「どうして……未来、あの時……」
届かない答え。口にできない想い。
響は、胸に押し込んだまま、ただ今は彼女との再会を喜んだ。
⸻
放課後、響は未来と町へ出る。
翼の新曲CDを買いに行く――それだけの、平凡な時間のはずだった。
だが、町の片隅。
そこに“炭化した死体”の山があった。
「……ノイズ……」
響の視界が揺れる。震える手で、唯一生き残っていた少女を抱き上げる。
逃げなきゃ。
この子だけでも、助けなきゃ。
その一心で、響は街を駆け出した。
⸻
一方その頃――
ノイズ群の一部が逃走ルートに逸れ、リディアン方面へと流れ込んでいた。
翼は追撃に向かう。
その戦場に、すでに“もう一人の戦士”が立っていた。
「unknown……!」
蒼い装甲――マークエルフを纏った弓美が、すでに戦闘を開始していた。
翼は目を細める。
見覚えのある動き、見知らぬ力。
「再び……共闘することになるとはな」
言葉はなかった。けれど、刹那、動きが揃う。
交錯する刃と拳。ノイズを挟み撃ちにし、動きを封じていく。
「左、任せる!」
「了解」
会話は一瞬。
けれど、それだけで十分だった。
⸻
一方、逃走中の響は、追い詰められていた。
路地裏。壁際。
泣き叫ぶ少女。響の脚は震えていた。
「ああ、もう……足が……動かない……」
視界に浮かぶ、あの日の記憶。
爆発。炎。歌声。
「生きるのを――諦めるなっ!」
奏の声が、耳元で響いた。
“あの人は、命を燃やして私を救った”
響の中で何かが、目を覚ました。
「――歌が……聞こえる」
ふらつきながらも立ち上がり、響は震える声で呟いた。
「わたしを……わたしを、守ってくれた……その人みたいに……!」
その瞬間、光が奔った。
⸻
場面は二課の本部。
オペレーターが叫ぶ。
「アウフヴァッフェン波形照合――このパターンは……!」
「ガングニールだとぉ!?」
弦十郎の声が本部に響く。
“失われたはず”のギアが、再び現れた。
⸻
響の身体が、変わっていく。
蔦のようなものが血管に絡みつき、神経が剥き出しになる。
機械のパーツが皮膚を突き破り、装甲へと再構成されていく。
その一瞬、背に現れかけたのは――黒き翼。
まるで、マークニヒトのような“虚無の片鱗”。
だが、それはすぐに砕け、
代わりに、赤きギア――ガングニールが響を包んだ。
「これは……!」
翼も、弓美も、一瞬だけその光に目を奪われた。
新たな装者の誕生。
それは、“残された者たち”が新たな物語を歩み始める合図だった。
主人公とアニメの板羽弓美は別人
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同一人物
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