※見やすくする為、カード名を《》、用語を『』に変更しました。
以降も順次更新していきます。8/1更新。
君たちは『バトルカード』と言うゲームをご存知だろうか?
ーーえ?ご存知じゃ、無い…?
またまたご冗談を……
『バトルカード』は、この世界で広く知られている大人気ホビーであり。
時に世界の存亡をもかけるような絶対の法則…。
いや、
その実態は、特殊なフィールドの中で行われるリアルタイムコマンドバトルだ。
プレーヤーは3枚のカードを配られ、コストを払いながらそのカードを『
その際。
プレーヤーは、腕につけたカード収納機能がついたガントレット…『バトルバンド』を基点にして武器を実体化させる。
この時、裏でカードを『
そんな単純なルールだ。
まぁ、叩いて被ってじゃんけんポンの超進化系、だと思ってくれればわかりやすいか?
デッキ枚数は20枚〜30枚。
ライフも同数の20点だが、ここからが少々特殊だ。
『バトルエナジー』…このゲームにおけるライフポイントは、多くのカードゲームとは異なり。
同時に、カードを発動するためのコストでもある。
つまり、コスト5のカードを使用した場合の、ライフポイントは残り15ポイント。
その上で相手の攻撃を見極め、行動しなくてはならないんだ。
この見極めの難しさと戦略性が、このゲームをただのゲームでは終わらせない理由と言えるだろう。
また、当然の事ながら。
高い代償を払ったカードは強力だ。
コストが5のカードともなれば、2桁のダメージを叩き出すこともあるだろう。
ソレを上手く扱う事ができれば、相手は逆にコストを払いにくくなり。有利になる。
とはいえ、それだけ強力ならそれを一枚使うだけで良いのでは?と考える人もいると思うが、そこはコマンドバトル。
使用カードは一度『換装』すると相手プレーヤーまたは武器に接触するか、一定時間が経った段階で『強度値』が計算され、解除される。
それにより、盾を相手の武器にぶつける。
隙を見出し武器を振るう。etc…
…と言ったプレイングが生まれ、それ専用の道場ができることもあるのだ。
ーーーーそしてここ。
『次元流剣術道場』もその一つ。
「脇が甘い!次元流は中距離の剣術。その軸がブレれば、当たるものも当たらんぞ!」
「ひゃいー!」
ここ、『次元流剣術道場』はとあるカードを愛用し続けたプロバトラー。
つまりこの俺。『
その理念は単純明快。
《
「まったく…。まぁ、その慧眼は買うとしよう…なんて言ったって《次元斬》は…最強!だからな!」
《次元斬》とは、ライフを半分支払い発動する、盾破壊効果を持った宙を裂く斬撃。
命中すれば10点ものライフを削ると言う大技だ。
その唯一無二の効果から、愛用者は数万人に達し……
「んなわけ無いでしょ」
スパン!と、後ろから迫るハリセンを甘んじて受け、髪を整えながら振り返る。
そこには赤を基調にしたエプロンに身を包んだ一人の女性。呆れた様子の彼女はハリセンを光に散らしながら立っていた。
「うむ、相変わらず良い太刀筋。ウチに来ないか?カリン?」
「おあいにく様。私は販売専門よ。」
彼女は『
そしてレアカードである《秘剣ー
「それより、サッサと受け取りに来なさいよコレ。ストレージに入れとく訳にもいかないから邪魔なのよ。」
「とか言ってデッキに入れてるクセに〜?」
「…仕方なくよ。」
否定するつもりも無いのか、面倒そうにため息を吐くカリンからカードを受け取る。
そのカードは《ケムリ》。リーチもランダム、コストは0だが、攻撃力も0と言うなんとも言い難いノーマルカードである。
しかしコレは、その一言で表しきれない特異性を持っていた。
「カードの成れの果て…。なんて勝手な奴らの言い分。許してやる理由はないもの。」
「…そんなんだから迷い込むんだよなぁ…」
それこそが、デッキに迷い込む。というもの。
その際、他のカードに影響を与え、最悪の場合。
全て《ケムリ》にしてしまう…
要するに力を持ったカードなのだ。コレは。
彼女のデッキは、そんなカード達を活かす構築になっており、《秘剣ー緋華ー》はそんな彼女だからこそ手に入ったカードなのである。
そんな《ケムリ》を俺が欲したのは理由がある。
「まぁ、そんな奴らのおかげで、俺もコイツも宙を裂けるんだ。ありがたいくらいだろ。」
「そうね、過程はどうあれ、一つの『形』にしてあげられるなら、私も嬉しいわ。」
それが、このカードを『形』にする事。
もっと言えば、《次元斬》に昇華する事、である。
どういう事か、勘の良いカードバトラーの皆なら理解してくれると思うが、一応説明しよう。
この世界にはカードを手に入れる方法がいくつかある。
カードパックを買う、カードを拾う。と言った割と一般的な方法から…
迷い込む、描き変わる。と言った若干のオカルトに始まり…
無から創造する。と言う、理解に苦しむものまで様々である。
そうした中で最も、レアなカードを手に入れやすいのが、『昇華』。つまりカードの描き換えだ。
ある程度、力の籠ったカードを使い続けることで、ある日別のカードに描き換わる。
日常的に起こりうるこの現象を利用して《次元斬》のカードを創造するのだ。
そのキーカードが《ケムリ》。
遠距離武器に居場所を取られた、近接武器達の成れの果てである。
「まかせな。近距離武器なりの遠距離戦、見せてやるよ。」
「期待してるわ。…まずは一戦。見せてみなさい?」
そうして自然な流れで、カリンは『バトルバンド』にカードデッキをセット。
俺も、十分な距離を取る為に後ろに飛び退く。
「いくぜ?」
半透明な光のドームが、俺とカリンを中心に広がっていく。
その二つが天頂でぶつかり合い。
虹色の虹彩が降り注ぐのに合わせて、デッキに手を添える構えをとった俺たちは、戦士の装いに姿を変えながら。声を響かせる。
「「バトルスタート!」」
こうして俺たちの日常(カードバトル)は今日も始まるのだ。
「ようこそ。カードショップ『炎剣』へ」
「今回はカードの種類について説明するわ」
「まずは『アーツカード』。武器のカードね。バトルフェーズに換装して装備するわ」
「次が『エフェクトカード』。カードを引いたり、武器の力を高めたり。まぁいろいろね」
「そして最後が…あら?」
「…そう。もう無いんだったわね。忘れてちょうだい。」
「それでは次回もバトルスタート!」