『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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7話「引き継がれし光輪」後編

 

「でも〜、先輩のライフ余裕あるから!まだ大丈夫だよね!」

 

コトネの手に、新たに加わる手札。

カードが装填される音を聞きながら、《ボム》を《ヒカリ》と多重換装する。

 

「させないよ〜?ッ!うわっ!眩しっ!」

 

何とか転がしたボムの音を、聞き逃さず撃ち抜いたコトネ。

思惑通りフラッシュバンにやられた眼を瞑りながら、

彼女は、錆びついたショットガンを片手にコインを指で弾き、ソレをそのまま撃ち抜き始めた。

 

「んふふ、我は黄金。不屈の君〜♪」

 

…コレは、ダメだ。共鳴している…

…何と?

……。

…あぁ、思い出してきた。

《コイン》いや、《金朽の紡ぎ手アンクルズ》とだ。

 

パチパチと、小さな火花が脳裏に咲く。

全てを照らす光輪が、錆びついた十字架を破るのが記憶に蘇る。

 

「ゴホッ…換装(コンバート)!」

 

足元に集まる力。

紅色に染まる下駄を足元に叩きつけ、天高く飛んだ私は、宣言する。

 

「チャージ…イン!」

 

確認はきっと必要ない。

三枚のカードを装填し、全てを多重換装する。

 

「悪いけどコレが精一杯ッ…力を貸して!」

 

トリガーを引くと同時に現れたのは2本の剣。本来なら同時に換装されることのない2枚が同時に換装され。虹色のコーティングが、少しずつソレらを覆っていく。

 

「《ヒカリ》に《秘剣ー緋華ー》を『現実加工(リアリティコーティング)』!」

 

ソレら二つを重なり合わせ。

空中に光の円を描く。

 

それは、天輪であり、『サモン』を行うための古の魔法陣。

 

「『現実換装(リアリティコンバート)』!《神久の焔ソルシャール》!」

 

光り輝く空間からゆっくりと舞い降りたのは、真珠の様に白く丸い。ソレに手足がついただけの小さな幼天使。

天使が剣を手にすると同時に。

二つに分かれた天輪が、燃え盛る様なマントを構築し、天使を照らすヘイローと化した。

 

「んふ!さっすがせんぱーい!ならコッチも!」

 

対するは変わらず、瞳を閉じた黄金の女性。

彼女は、再び指でコインを弾くと銃を構える。

 

「《コイン》を《不滅の針銃》で『復元加工(リバイバルコーティング)』!」

 

その銃口に浮かぶのは黄金の針。

連続して放たれたソレは、一点。

《コイン》を貫き、十字架を描く。

 

ソレは永遠を目指す愚者の輝き。赦しを示す聖者の紋章。

 

「『復元換装(リバイバルコンバート)』!おいで!《金朽の紡ぎ手アンクルズ》!」

 

グルリと回転する十字架から、黄金のカケラがポロポロと零れ落ち。

積もった黄金に十字架が突き刺さると、黄泉還るのは玩具の兵隊。

十字架を守る様に並んだ兵隊は、その手の黄金を、見下ろす天使へと構えていた。

 

「さぁ!みんなの声を聴かせて!」

 

響き渡る無数の銃声。

アンクルズの効果により、主人の命を削る事で行われる復元換装は、彼らを永遠に続く無敵の軍団へと変えていた。

 

「ハハッ、悪いわね…呼んだのが私で。」

 

対する私は、焔を纏う天使に抱えられながら、地から天に降る金の雨の中を飛んでいた。

 

私の言葉に首…ないな。身体?を振って気にしていないアピールをする彼は。時折、飛来する黄金を切り捨てながら戦場の端へと、私を運んでいく。

 

お礼にならないかもしれないが、ガントレットをつけた手で、彼を撫でてあげると細められる瞳。

……やはり、この子達も生きているんだと。そう感じた。

 

ーーーー

 

幼天使ソルシャールは地面に降り立つと、光の剣をカリンの前に突き立て。燃え盛る剣を構え敵を見据えた。

 

彼の剣は、相手が換装した時の強度値だけデッキよりカードを燃やす追加強化。

燃え盛る炎剣は既に、その体積を何倍にも変え。

その一振りで、2体もの兵士が破壊されることとなった。

 

そうして始まるのは、一騎当千の殲滅戦。

無数のカードを換装し直すアンクルズに対して、その力に比例して強くなるソルシャール。彼らの闘いは苛烈を極めた。

 

獣の様な黄金が彼の翼に噛みつけば、燃え盛る翼がその身を溶かし。黄金のバリスタがその身を貫かんと迫れば、叩き切ったその矢尻を光の速さで投げつける。

無尽蔵に、黄金より蘇る軍勢の中にありながら。

燃え盛る純白の焔は染まる事なく。その全てを塵に還していった。

ついに、黄金のロボットさえも切り捨てた彼は、錆びついた黄金の十字架へと辿り着き。

剣を振り上げるーー

 

「さみしいよね〜。どうして無視するのかな?」

 

そんな声に、天使の動きが止まる。

振り向いた視線の先には。既にエナジースフィアを赤く染め、本来なら絶体絶命のはずの黄金の女性。

 

そんな彼女が錆びついた黄金銃を、主人であるカリンに突きつけていた。

 

…ライフ自体は問題ない。しかし、現実に影響するほど強度値が高まった己と敵。

その片割れが生み出した武器ともあれば、今の弱ったカリンでは…取り返しのつかないことになりかねない。

 

「ふふん!いい子だね!そのまま剣を捨てて?」

「いい、から。切りなさい!」

 

首を振り、敵の言葉に従い剣を地に刺す。

それに反応したのか、十字架から放たれた黄金の楔が、己をそのまま雁字搦めにする。

 

「んふふ!ありがと!じゃあ、コレで君も…」

 

そう呟き、こちらを見る黄金。

己は、それに抵抗している様に、過剰なまでに翼をはためかせ。天輪を輝かせる。

 

「おっと、元気だね!大丈夫ー!怖くないよー!」

 

そうして、ますます楽しそうな声でこちらを注視し始めた敵の後ろで、(ヒカリ》が瞬いた。

 

「よーし…ん?アレ?。んん?力が…」

 

ガクンと膝をつく女性。

それに数瞬遅れて。半分に分たれた球体『エナジースフィア』が地に落ち。砕け散る。

 

サラサラと宙に溶け始める黄金に、何か変だなぁと振り向いた彼女を見下ろすのは、天輪を纏う1人の巫女。

光の剣は黄金を覆い隠すほど鮮明で、キラキラと舞う光のカケラが、花びらの様に舞い降りていた。

 

「悪いけど…私の勝ちね」

「えへへ、やっぱり先輩は強いなぁ…」

 

そんな言葉と共に、意識を失い倒れ込む彼女を、慌てて抱え込んだカリンは、聞こえ始めた寝息に一つため息を落とすのだった。

 

 





「ようこそカードショップ『炎剣』へ」
「今回は『復元加工』について紹介するわ」
「このカードは、発動時に墓地のカードを一枚。ゲームから取り除き。」
「そのカードの強度値の分だけ、武器を強化するエフェクトカードよ」
「その際、1ターンのみ継続して存在できる様に加工されるわ。」
「例によって、ロマンカード研究所製のカードで…」
「とある事件で回収され。ほとんど世の中には出回っていないカードね」
「使った事があるプロファイターは一定数いると思うわ」
「それじゃ次回もバトルスタート!」
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