『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

14 / 33
大変お待たせして申し訳ありません。
今回は、主人公サイドではないので間話になります。
対戦よろしくお願いします。

※ゴールデンウィーク中は投稿頑張ります!


間話「電子の楼閣、ガウツ・コア・コンツェルン」

 

「全く…テルミも余計なことをしてくれる…」

 

白地に金のラインが入ったスーツを身につけた壮年の男が。

空中に浮かべたディスプレイから視線を切り、エンターキーを叩く。

 

彼の名は『ガウツ・C・マーデルング』

古くより続くマーデルング家の現当主であり、バトルカード市場に早々に目を付け。代々続く『マーデル社』をより強大な『ガウツ・コア社』へと躍進させた傑物である。

 

「少し休む。軽食を用意してくれ。」

「はっ!すぐにご用意いたします。」

 

そんな彼は、扉の側に控える秘書にそう告げると立ち上がった。

白髪混じりの歳を感じさせる頭髪をガシガシかきながら、タバコに火をつけ白い煙をただ楽しむ。独特の香りと清涼感が心地良さを運び…

 

ふぅ。と一息ついた彼は寄せた眉をもみほぐし。

手元の端末に文字を打ち込み始める。

 

「休むって言ったからには、休んだほうがいいぜ?オッサン。」

「…貴様。何処から入った。」

 

そんな至福のひと時を邪魔したのは一人の男。

雲を描いた深染の和服に、飾り気のない能面。漆黒の剣が鞘に納められ、時代錯誤な草鞋が乾いた音を鳴らしている。

 

「何処って、入り口からだな?」

 

カチャリと、鍔を弾いて音を鳴らした男が指したのは先程秘書が出て行った扉。

銀細工を施してある丈夫なそれが、真ん中から滑り落ち。ついに音を立てて床を傷つけた。

 

「ふざけたネズミだ。高く付くぞ」

「構いやしねぇさ、今日からここ。俺ん家だから。」

 

ーーーー

 

バトルも終盤。

エナジースフィアが赤く染まるコチラに対して、相手のスフィアは黄色。

しかも、その全てが、ライフコストによる自傷に過ぎない。

並のバトラーなら、ここから巻き返すのは不可能だろう。

だが…この私は違う。

 

「私は《コイン》に《電子の翼》を『電子加工(デジタルコーティング)』」

 

デジタルバンドを普及させ、集めたバトルエナジーにより、ようやく作り上げた新たなる『加工』カード。

コレにより、現実と電子の世界を繋げ…。

奴を呼び出す!

 

「ここに描くは我が世界。(ことわり)を超えて今現れよ」

 

コインが空中で金の光となり四散する。

それを包み込むのは、0と1からなる不安定なノイズの翼。

あくまで不安定な情報の塊でしかないそれは、一度大きく発光すると、光を中心に赤と青二つの天輪を顕現させ。

安定した金の光球に、一対の瞳が描かれる。

 

「《電子の双翼コア》!」

 

「『サモン』ユニットか…」

 

呼び出された電子の存在に、対面の男が警戒の色を濃くするのが見える。

当然の様に数週間前までは存在しなかったはずの『サモン』と言う概念を語る襲撃者に、やはり、コレが狙いかとあたりをつける。

 

「確かに貴様は強い剣士だ。その証拠に私のライフはレッドゾーン。」

 

コイツの狙いが、情報収集か、あるいはカードそのものかは分からない。

だがしかし、その獲物としてこの私を選んだのが運の尽きだ。

 

「しかし…!『コア』のエフェクト発動!」

 

宣言と共に、『コア』の翼から情報の渦が、私の方に流れ込んでくる。

赤、白、青、金…数えるのも億劫になる多彩な色彩が私自身に重なり、己の存在を情報の塊へと近づける。

 

「私は、20点のシールドを換装し、以降。コアの攻撃時にそれを復元する!」

 

それは、擬似的なライフポイント。

自らに重なる無数の情報が無限の残機となり、バトルカードと言うゲームの理を超えて、新たな世界を生み出した象徴。

世界は無数の情報に変わり、全ては情報によって支配されている!

 

「コレで貴様の攻撃は通らない!」

 

不確定で、しかし安定した電子の翼は、何より強い存在感でもって。この私を照らしていた。

 

「ハッ呆れてものも言えねぇな。それでアイツを再現したつもりか?」

 

対する男は、その輝かんばかりの存在を気にも留めず。

デッキから、カードを引く。

そのふてぶてしい態度に頭に血が上り、片手に持つステッキを地に打ち付け、辺りのホログラムをさらに書き換える。

 

「再現だと?ふざけるな、コレは私の世界だ!」

 

光脈が走る鋼の神殿。

姿を変えたここは、いつか生み出す現実であり。一から作り上げてきた努力の証。

私の人生そのものだ。

それをよりにもよって、再現。紛い物だと!?

 

「そうかよ。なら、一つ教えてやるぜ。」

 

男が、言葉と共に剣を振るう。

所詮は量産品に過ぎず、強度値もないそれが、『コア』の放つ光弾を弾き、逸らし。

男の前面に空間を作る。

 

「無限の盾程度なら地を這う獣すら止められないってな!」

 

地を滑るような前傾姿勢。弾かれた様に前進した男は。

飛び交う光弾の中、片腕を中身がない鞘に添えたまま。針を縫う様な正確さで駆け抜けてくる。

 

「『コア』!やれ!」

 

故に選択するのは、範囲攻撃。

空中に浮かぶ光を、全てコアの前に集約し。

虹の光彩が、あたりを照らし。見えなくなる。

 

…そして…

 

「換装《次元斬》」

 

放たれた極光を、一筋の線が両断した。

地を裂き、空を目指す様な斬撃は天使の片翼を切り捨て。宙に生まれた裂け目へと飲み込んでいく。

 

「バ、馬鹿な…」

 

視界を包むノイズ越しに『コア』を眺める。

少しずつ、存在ごと宙に溶けていく彼が。一矢報いんと、エネルギーの奔流である翼を男へと放つ。

 

対する男は無手…いや、違う。

ゾクリと言う悪寒が背筋を走り。

言葉より先に理解する。

アレをやらせれば全て終わる。

 

「っォオオオ!!」

 

カツン。と杖が地を打つ音。

ホログラムが歪み、世界があるべき場所。

すなわち狭い部屋の中に戻る。

そうして、振るわれた、霧纏う()()()()()は、私の胸を貫いた。

 

ーーーー

 

「私です。…ええ、そうですか。さすがはリーダー」

 

霧に囲まれた静かな図書館に、男の声が響き渡る。

カード型の端末に言葉を落とす彼の前には、幾重かの円が描かれた魔法陣。

未だ輝きの無いそれを指でなぞった影の男は、手帳を開いてペンを走らせる。

 

「はい。…ほう、それは素晴らしい」

 

喜色の滲む声。

手帳には新たな名前が記入され、淡く輝いた魔法陣の上に、新たなカードが現れる。

 

「では、手筈通りに参りましょう」

 

『電子加工』

現実を書き換える力を持った新たなカードに。期待の眼差しを向けた男は、そのまま夜空へと視線を向けて、呟いた。

 

「ええ、深淵に祝福を。」





「ようこそ、カードショップ『炎剣』へ」
「なんか、久しぶりだな」
「今日は、俺が次元斬について改めて紹介しよう」
「次元斬は、ライフを半分支払い換装できる最強のアーツだ。」
「その効果は、盾となっているカードの全破壊」
「今回は盾となっていた『コア』トークンを全て破壊したわけだな」
「コレが仮に罠エフェクトを持っていても関係ない。」
「迎え撃ち、一撃でも接触したのが運の尽きってな」
「それじゃあ、次回も。バトルスタート!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。