対戦よろしくお願いします。
「エリアバトル運営より、サプライズ放送であります!」
「4日間が経過し、早くもチーム作成権を獲得したバトラーが現れたぞ〜!」
「詳細は省くが場所は戦場町!全勝した猛者とはいったい誰なんだー!」
「ちなみに!」
「なんども同じバトラーに挑戦するなど、非常識なバトラーは参加取り消しできるのでやめておくのが賢明だぞ〜。」
「そして、要望が多かった『加工』カードについてだが…」
「なんと!」
「救済措置として、未勝利バトラーから順番にサンプルカードが配られる事になったぞー!やったー!」
「ランダム封入となっているので何が当たるかはお楽しみ!」
「武器の1ターン持続を楽しんでくれ!」
「それでは、MCテルミでありました!」
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「と言うわけで…手に入れました。」
「ほえー…サクラちゃん。まだ僕としかバトルしてなかったし、ラッキーだったね。」
二人して、一枚のカードを眺める。
《
…換装状態のカードの強度値を倍にするカードみたいだけど…
「でも、そもそもサクラちゃんのデッキって…」
「はい。《ハナビラ》や《タネ》を使用したコンボデッキです。」
「…入る?」
「…入らないです…」
「だよね…」
これが、《現実加工》ならよかった。
強度値加算をするあのカードなら、基本強度値1から一気に6まで上昇してくれる事で単純に強くなるし、場合によっては、意表を突く事ができるだろう。
しかし、この《虚栄加工》では基本強度値1から2になる程度。もし、加算後のカードを対象にできるなら凄い強いと思うけど…エフェクトカードである以上。基本的にはスタンバイフェーズの発動となり、それも難しい。
「「うーん…」」
「バカね、使わないならトレードすれば良いじゃない。」
「あ、ミサキちゃん。」
そうして、二人で悩んでいると、机の向かい側に仁王立ちで現れた『
クラスでは、リーダー的なポジションにつく事が多い女の子だ。
言葉が強くて少し苦手だったけど。
同じクラスになってからは、それだけじゃないと気づいて仲良くさせてもらってる。
「と言っても。アタシ様は持って無いけどね。強いから!」
「さすがミサキ様ー!」「そこに痺れる〜!」「憧れる〜!」
胸を張って自慢するミサキちゃん。
そこへすかさず反応して、窓側の席から身を乗り出し。
レスポンスを返すキタヤマくん、ヒガシダくん、ニシノくん。
まるで、テレビのスポーツ観戦をしている様な盛り上がりの三人は、一仕事終えると、スッと立ち上がりぽつりと呟く。
「でも俺には負けたんだよなぁ…」「「確かに」」
「アンタ達。後で覚えてなさい?」
「「「イエスマム!」」」
無駄に訓練された無駄のない敬礼を決めた三人は
「サッカーしようぜ、お前ボールな!」「よっしゃあ!俺バット!」
と意味不明な会話をしながら、我先にと教室を駆け出して行った。
…なかよしでいいなぁ…
そんな彼らをやや呆れた顔で見送ったミサキちゃんは、やれやれと肩をすくめて…首を傾げる。
「で、なんだっけ?」
思わずその場で転けそうになる僕と、サクラちゃん。
彼らとの軽いコントのようなやり取りは、日常的によく見る光景で。そのおかげかこのクラスは、男女問わず仲良くできているのだと思う。
ただ少し困ったことがあるとすれば、ミサキちゃんは少し天然なところがあり。コントが間に挟まると前後関係が飛んでしまうことがあるのだ。
まぁ、そんな彼女の素がかわいいと、一部の子からは人気でもあるんだけど…
「カードのトレードの話です。」
「あー。…こほん。」
本当に忘れていたのだろう。
若干天然なところがある彼女はわざとらしく咳払いをすると。
ザッと肩幅に足を開き、いつもの自慢げな表情に戻り腕を組む。
「そんな哀れなアンタ達には親切なアタシ様が教えてやるわ!」
…仕切り直した…律儀だなぁ…
関心する僕と、若干頬が上がり引き攣った様な表情のサクラちゃん…?
いや、どう言う感情??
とりあえず、サクラちゃんはスルーして。僕が相槌を打つと。
ふんすと満足そうにしたミサキちゃんが、親指をグッと隣のクラスに向け言葉を続ける。
「隣のクラスにいるミナミが『
「それじゃ!」と一声かけてから、教室を出ていくミサキちゃん。おそらく三人を追いかけて行ったのだろう。
その背中は活き活きして見えて。面倒見が良いんだなぁとしみじみ思う
「行ってみる?」
「そうですね。」
顔を見合わせた僕らは、帰り支度だけ済ませて隣の教室へと向かうのだった。
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私たちの教室とは違い、掲示物のたくさんある教室の一画。
窓辺の席で静かに文庫本を読まれている銀髪の女の子。
彼女こそ、『
「わ、ワタシなんかに会いに!?すみません!アイタッ!?」
ただ会いにきただけなのに、机に頭をぶつけながら謝ってしまうほど、小心者な彼女。
ですが、こう見えて成績が高く、去年は一緒のクラスで点数勝負もしたご学友の一人です。
確かにあまり目立つ方では無いものの、綺麗な銀髪は手入れが行き届いていて。その自信のなさには若干、やきもきしてしまいます。
「おいおい。あんまミナミをいじめてやるなよ?」
「ゴウジくん!?誤解だよ!」
そんな彼女を心配して現れたのは、転校生のゴウジさん。
まだ数日しか経っていないのに、キズナくんを含めてたくさんのお友達がいるすごい男の子ですね。
そんな彼らは一見すると意外な組み合わせですが、たびたび一緒に歩いてるところを見かけるので、それなりの仲であるのでしょう。
さすがミナミさん。こう見えて強かです。
「うぅ…トレードですよね。でも、ごめんなさい!」
謝罪の言葉。まぁ、そう上手くは行かないかと、一人納得しかけた時。
ふと、思い至り、彼女の方をじっと見る。
そうして見ると、彼女の隣に浮かび上がるエナジースフィア。
…コレは。勝って認めさせてみろと言う事ですね!…
その言外の言葉に笑みを深めて振り返る。
彼女はたまに、こう言う遊び心を見せてくるのだ。
本人は、その気はないとか、口では言い謙遜するものの。
バトルを楽しみ、最後には思いもよらない方法で事件を解決してしまう。
キズナ君がいなければ、私も彼女に惚れ込んでいたでしょう。
「わかりました。では」
「あ、はい。それじゃ…」
数歩歩き距離を取る。
彼女はそのまま、と言う事は。
今回は遠距離型のデッキでは無いのでしょう。
そんな事を考えつつ。視界の端でキズナくん達が、机を退かしてくれているのを確認。
バトルバンドを構えた私は、彼女に向き直り宣言する。
「バトルスタート!」
「ふぇ!?バッ、バトルスタート!」
虹の光彩は、待っていましたと言わんばかりに眩く教室を照らし包み込んだ。
「カードショップ『炎剣』へようこそ」
「今日はそうね…」
「カードゲームのデッキタイプについて簡単に説明するわ」
「まずは『アグロ型』速攻戦術ね。」
「最初から高火力でダメージレースを有利に持ち込むデッキタイプよ。」
「次に『ミッドレンジ型』中盤以降に強くなるデッキタイプね。」
「基本的にはこのデッキタイプになるんじゃないかしら」
「他にも『コントロール型』」
「相手の動きを阻害して有利に戦うデッキタイプや」
「『パーミッション型』」
「相手の発動を無効にして、切り札を潰すデッキタイプなんかもあるらしいわ、見たことないのだけどね…」
「あとは。私みたいな『コンボ型』」
「特定の組み合わせにこだわって、勝ちを目指すデッキタイプも最近増えてきたわね。」
「いろいろ考えてデッキを組むといいわ。」
「それじゃ、次回もバトルスタート!」