※ライフ描写差し替えました。
バトルカードには3つのフェーズが存在する。
『ドローフェーズ』『スタンバイフェーズ』『バトルフェーズ』の3つだ。
「「ドロー!」」
まず、『ドローフェーズ』では、デッキから手札が3枚になるようにドローする。
…この時、なるべく早く確認するのが重要だ、1ターン目ならともかく、2ターン目以後は戦闘中の確認になるからな。
「へぇ…珍しい引きね。」
「こっちもだ、セオリー通りに行くぜ」
そうして行われるのが、『スタンバイフェーズ』
引いたカードをバトルバンドに装填し、発動時の順番を決める。
今回引いたのは、ノーマルカード…すなわち絵違いとして最も広く流通しているカード…のうち、《ソード》《ボム》《キャノン》の3枚。
ほぼ全てのパックに封入されているこのカードゲームの顔役である。
今回は、《ソード》《ボム》《キャノン》の順に装填する。
「「チャージエンド!」」
「さぁ、本気で行くわ!」
「こっちもな!」
宣言と共に同時に踏み出す。
視線は前方。相手肩あたりに浮かぶ光球『エナジースフィア』を確認し、その色から、相手のライフポイントを推測する。
今回はお互い青。つまりは消費の少ないカードで済ませた、手堅い立ち上がりってわけだ。
「「
間合いに入った瞬間に、バトルバンドのトリガーを握り込む。
虹色の光がお互いの腕を包み込み…そのまま接敵。
俺の振るった《ソード》が、カリンの腕に展開された《シールド》に防がれた。
「やるな…だが!」
「ッ…当然!」
カリンが飛び退くと同時にその盾が砕け散る。
カードに存在する『強度値』の影響だ。
基本的にカードには発動コストとは別に、『強度値』が存在する。…いわゆる攻撃力だな。
今回であれば、《ソード》2-《?》1となりソードより先にシールドが壊れる事になった。
それを理解してカリンは距離をとった訳だ。
「
「チッ上手いな!」
そうして距離を取ったまま、カリンの腕に豆鉄砲が握られる。
…ギャグじゃないぞ?多分。
絵違いカードが迷い込んできたんだ。
……知らんけど。
とはいえ、その判断は的確。
一部のカードを除いて、換装中に別のカードに換装する事はできない。
つまり俺はこの《ソード》を装備したまま、相手の《キャノン》をやり過ごさなくてはならない。
「当たると痛いわよ!」
「ハッ、知ってらぁ!」
豆鉄砲とは思えない速度で放たれる豆型の光弾。
それを正面から見据え、一刀の元、切り上げる。
「
砕け散る剣と光弾。
怯む事なくトリガーを引いた俺は、小型の爆弾を実体化させ、カリンの方へとそのまま投げつける。
「ただの的よ!」
「だろうな!故に!
「ッ!」
爆弾を迎撃しようと斜め上に構えたカリンに対して、俺の腕に換装されるのは一回り大きい円筒。その中心にエネルギーをチャージして、2発分を1発にこめて発射する。
「きゃっ、!」
着弾のエフェクトと共に吹き飛ぶカリンを傍目にデッキに目を向ける。
…チャージ完了まであと5秒か。
ドローフェーズに入るには少し条件がある。
それがデッキのチャージタイム。
約30秒ほどのそれが完了しないことにはドローが行えず。残り時間は武器なしでやり過ごす必要が出てくる……が。
「ったいわね…
「3枚目も盾か。ソイツは判断ミスってやつじゃないか?」
「私にとっては正解よ!」
「ま、そうだな。お前ならそうするか。」
カリン相手ならこうなる。
彼女の戦術は、後の先。相手の出方を伺い、その隙を突く。その為に盾としてカードを裏向きで出し、発動コストのみでライフの減少を抑える。
その意味もあって、強度値は0でもコストが0なカード達は、打って付けと言う訳だ。
「「チャージイン!ドロー!」」
お互いにカードを引く。
《ソード》《ボム》《ケムリ》…か。
ちょうどいい。弟子にカードの奥深さを見せてやるとするか!
「「チャージエンド!」」
「悪いが、誘いには乗ってやれないらしい」
「らしいわね、なら、ここからは…私の番!
パリンと盾が砕け散る。虹の破片がそこから散らばり、反射する光の中を光の剣を持ったカリンが向かってくる。
「受けて立つ!
対する俺は盾。バトルバンドを中心に展開される光の円盤を構え、敵の太刀筋を見極める。
今回、基にしたのは《ソード》。強度値が2の為。盾の計算式に当てはめると、1+1(強度値の半分)で2。
つまり、ここで受ければ互いに換装。次の一手に繋がることになる。
よって、相手の剣に盾を合わせて…。
その剣がすり抜け、そのまま、木刀が左肩を打ちつける。
「んな!?まさか、
「秘技、蜃気楼ってね。わずかな《ヒカリ》に眩まされたわね?」
「チッ…!」
してやられた…
青から黄色に変わったエナジースフィアを視界に入れ、歯噛みする。
こちらを気にもせず、余裕を持って距離を取ったカリンは未だ青色。先制点を取られたと言っていいだろう。
…悔しいが、上手い。
強度値0のカードも、使い方によっては武器になるのだ。
その鍵が『
二枚のカードを連続で換装し、その二枚の特性を共有させる技術だ。
今回であれば《ヒカリ》を《ソード》と
コレを繰り返す事で、カードに『形』を与えていくのも彼女の特技であり。今回は見間違えるほど精巧に《ヒカリ》は形を得ていた。
あの分では新しいカードになるのも時間の問題だろう。
「
「悪いがそれは当たらねぇ!
盾が割れると共に構えられる《キャノン》。
ソレを確認すると同時に換装した《ボム》を投げつける。
「何度やっても…っ!そう言うことね!」
跳び退いて距離を取るカリンを他所にボムが爆発する。
当然ダメージはないが、ソレでいい。
発生したのは大量の煙。
爆発物由来の空気より重いそれは、視界を遮り。相手の《キャノン》の換装時間を凌駕する。
「当たれ!!」
「あたんねぇよ!」
視界の悪い中正確に顔面に飛んできた光弾。
当たるわけにはいかないと、膝を曲げ背を低くして回避する。
そのまま横に転がり、控えめに受身を取る。
そんな俺の鼻先を通り抜けた光弾に、内心冷や汗を流す。…こえぇ。
「「チャージイン!」」
「これは…」
思わず笑みを深める。
引いたのは《
俺が愛用する《
まずは強度値10という高い攻撃力。
次に、盾に接触した場合。装填された裏のカードを全て破壊すると言う特殊効果。
そして最後が。不定形の斬撃であると言う事実。
つまり、使い手が弱ければ飛距離の小さい歪な斬撃が飛び、優れた使い手が放てば自在な形の安定した斬撃が飛ぶと言う事。
…つまりは、この煙舞うフィールドは、コイツを活かす最高の環境ってわけだ!
「ん?おっと、時間か。」
「ようこそカードショップ『炎剣』へ」
「今日は俺が基本フェーズについて改めて紹介しよう」
「まずは『ドローフェーズ』。カードを3枚引くことができる。そんだけだ。」
「次に『スタンバイフェーズ』。エフェクトカードを発動したり、アーツカードを装填できる。」
「ここで装填を忘れると、武器に『換装』できないから注意してくれ。」
「この二つをまとめて『チャージフェーズ』と呼ぶバトラーもいるな。」
「そして次が…あー、『バトルフェーズ』か。」
「武器を換装しながら殴り合う。バトルカードの醍醐味だな。」
「この間に、バトルバンドにエナジーがチャージされ、またドローできる様になる。」
「とまぁ、こんな感じだ。では次回も、バトルスタート!」