※前編が長いので、後ほど、調整しておきます。
…プレーヤー自身に強度値を付与するカード!?…
《
バトルカードは、カードから換装された武器を使って戦うゲームだ。
当然。プレーヤーにはライフポイントと言う当たり判定が存在し、そこへ重ねて強度値を付与するとなると、一見すると自らのライフを無為に削ったように見えるかもしれない。
…が、それは違う。
全身に強度値が付与されると言う事は、武器と言う一点ではなく。
その、両手、両足が武器となると言うこと。
振るう腕が、放たれる蹴りが…
斬撃と同様かそれ以上の価値を持つと言うことだ。
僕はその全てを武器と言う一点で受けきらなければならない。
「…ッ!
タンタタンと、つま先でリズムを刻み、コチラの出方を見定めるミストさん。
先程、仕込み杖を伸ばした素振りで。
彼は、ホログラムである霧を切り裂き、視界を一瞬晴らしていた。
それはつまり、彼の僅かな動きですら。
強度0の《ケムリ》は晴らされてしまう。と言うこと。
つまり継続的な目眩しは通用しない。
かと言って受けに使用するのはもっとダメだ。
理想は、リーチの外から正確に削っていく事!
「《ボム》!」
僕の投げた爆弾が、霧の中を突き進んで行く。
全身が強度値を持っているのなら、弾こうとすれば誘爆するはず。
ならばそこで回避を選択してもらい。その上で次へ繋ぐ!
そう結論づけた一撃。
「良い手です。ですが、甘い。」
その言葉と共に、振るい打ち出される仕込み杖。
空中でボムと接触したソレが爆破し、通常以上の煙幕で僕らの間にトバリを下ろす。
ソレを見てカードを引き抜いた僕に、正面から煙を突き抜けてきたミストさんの拳が迫る。
…想定より、速い!?
再び見る間もなくカードを装填し、トリガーを引く。
「く、
拳に滑り込ませる様に換装された『シールド』。
ソレをそのまま斜めに弾かれ、間を縫った蹴り技が、僕の身体を吹き飛ばした。
二回、三回。地面を転がりながら衝撃を打ち消していく。
蹴り飛ばされたお腹がジンジンと痛み。ともすれば、肋骨の一本や二本は折れてしまったかもしれない。
痛みを耐え、ようやく止まった僕は、装填されたカードが見える様に、バンドをつけた腕で地面を押し立ち上がる。
見えたのは、役目を終え墓地に送られる《幻想加工》。
そして装填された《ケムリ》と《再挑戦》のカード。
その二枚に勇気をもらいフラフラとしながら立ち上がる。
「コホッ。はは…強い、なぁ」
「いえ、君もお見事ですよ。」
僕とは対照的に、余裕をもってガントレットのズレを直すミストさん。
彼は凄まじい強敵だ。僕の撃てる一手だけじゃ。油断のなくなった彼に追いつく事はできないだろう。
…だけど、僕には戦い方を教えてくれた人が、期待している仲間がいる!
…この程度で負けるわけにはいかない!
「勝ちに行きます!僕は、《ケムリ》に…」
「…来ましたか!」
宣言と共にカードを翳す。
周囲に広がる煙が霧を巻き込み、広範囲に拡散し始め、僕の肩に浮かぶエナジースフィアが、一瞬パチンと発光する。
「《再挑戦》を換装し、《
辺りに漂う煙が、その光に呼応する。
小さな破裂音が煙の中から響き始め、連鎖し、闇の中で次々と小さな花火を咲かせ始める。
「漆黒闇を漂う小さな友達!共に行こう!」
そうして、その合唱が終わると共に、高くカードを翳した僕の手元に『ケムリ』が集う。
ゆっくりと真円を形作ったソレはイタズラ好きな笑みを浮かべると、大きく一回転。煙を吐き出しながら大きく弾けた。
「『
楽しそうに宙に浮かぶ球体。
そう、彼こそが僕の『サモンユニット』であり友達。『スモークボール』だ。
驚愕の表情を仮面越しに浮かべたミストさんを傍目に、バトルバンドを掲げた僕は笑みを深めながら宣言する。
「『スモークボール』は登場時、デッキから任意の枚数を墓地に送り、その数だけ仲間を呼ぶ!」
その言葉と共に、深淵の煙の中から響く破裂音。
カラフルな花火と共に現界した彼らが、ミストさんを囲う様に現れる。
「な!?…ですが、いくら増えた所でたたき落とすまで!」
言葉と共に、足に力を入れ、跳躍するミストさん。
彼の蹴りが、スモークボールを捉え…
「迂闊だよ?ミストさん!
『スモークボール』のエフェクト発動!」
そのスモークボールが、虹色に輝き出す。
異変を感じ、さらに飛び退こうとした彼がまた別のスモークボールに接触し、漆黒闇の中に色彩が増えていく。
そうして…
「『大爆煙』!」
地面を震わす轟音と共に、煙が霧を飲み込んでいった。
ーーーー
「お見事。約束通り、こちらを受け取ってください。」
いつの間にか、辺りの景色は見知った公園に戻り、対面に立つミストさんが握手と共にカードを差し出してくる。
《次元斬》サンプルでも無い正規品のカードだ。
「ありがとうございます!でも、本当にいいんですか?」
「えぇ、良いものを見せてくれた御礼です。」
満足そうに頷くミストさん。
でも…僕はいつも通りのバトルをしただけだ。
こんなレアカードをただでもらうなんて気が引ける
…そうだ!
「…あ、じゃあ。《
僕の出せる最大限の御礼。ミストさんはコレクターと言っていた。
それなら実物を見るだけでも、きっと喜んでくれるはず!
「ほぅ、優しいのですね。ですが、いけません。」
「え?」
そう思った僕の言葉に、返されたのは強い否定の言葉。
怒っているわけじゃないけど、諭すように言葉と共にデッキに視線を向けたミストさんは告げる。
「そのカードは二つと無いレアカード。場合によっては盗まれてしまいますよ」
「え、えぇ!?そんなレアカードだったんですか!?」
「ええ。だからこそ、戦いの中で見せていただけただけで満足です。」
優しそうな笑みでそう締め括ったミストさん。
その言葉に、思わず視線をデッキにやって《幻想加工)を眺める。
そんな大事なカードだったなんて…
「キズナどこだー!」
そうしてか眺めた僕の耳に、遠くでゴウジくんの声が聞こえる。
「ゴウジくーん!こっち!」
「キズナァ!心配させんじゃねぇよお前なぁ!!?」
僕の言葉に、荒っぽく返される返答。彼の姿が見えたところでハッとして振り返り、挨拶をしようとして気づく。
「いろいろありがとうございま…あれ?」
「何やってんだお前?」
追いついてきたゴウジくんと僕の気が抜けた声。
辺りの霧は完全に消え。
視界の先には、バトルカードの勝敗リザルトが輝いて浮かんでいるだけだった。
「ようこそカードショップ『炎剣』へ!」
「今日は僕の友達『スモークボール』について紹介します!」
「彼らは『ケムリ』の中から現れるサモンユニットで」
「登場時にデッキの上からカードを送ることで、その枚数追加でサモンできます。」
「攻撃方法が少し特殊で、ダメージにも幅がある難しい子達だけど」
「たくさんの可能性を持った僕の仲間なんだ!」
「君の友達もよかったら教えてね!」
「それじゃ次回も、バトルスタート!」