『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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大変お待たせしております。
時間が作れそうなので、ひさびさに投稿再開いたします。
対戦よろしくお願いします。


12話「いきなり大ピンチ!苛烈なるバトラーミサキ!」前編

 

「フフン、聞いたよキズナクン。チーム権を取得したんだってね!」

 

いつも通り騒がしい教室。

授業終了のチャイムが鳴り、帰り支度を始めようと自分の席に座っていると。

いつも通り髪をはらってポーズを決めたアオイくんが話しかけてきた。

 

「あ、アオイくん。…実はそうなんだ。」

「しかも相手はあの『深淵』のメンバーだったとか!よければ、聞かせてくれないかな?」

 

軽い世間話に見えて、キラリと光る真剣な眼差し。

…アオイくんもかなり強いバトラーだし、強い相手の情報は集めておきたいのかな…?

 

「うん…対戦相手はミストさんって言って…」

 

ーーーー

 

「と、こんな感じで…」

 

僕の話を聞いていたアオイくんは、ほぅと一息付くと、肩の力を抜いて口を開く。

 

「噂に聞く『サモンユニット』か…よく手に入ったね?」

 

彼の視線の先には、公式戦のリプレイホログラム。

真っ黒な煙でかなり見にくい画面から、目ざとく『スモークボール』を見つけ出したアオイくんは興味深そうに画面を眺めていた。

 

「あはは…いつの間にか入ってて。そう言うアオイくんこそどうなのさ?」

 

「ボクかい?ボクは…」メールダヨ!

 

僕が話題を変えたタイミングで、鳴り響く通知音。

一瞬だけ映ったホログラムには、「重要!」の赤文字が踊り、ソレをサッと閉じた彼は、申し訳無さそうな顔をして立ち上がった。

 

「むぅ…ごめんねキズナくん、今日こそは君とバトルするつもりだったんだけれど、予定が入ってしまった」

「あ、うん。そうなんだ?…がんばってね」

 

一瞬見えた真剣な眼差し。

引き留めるのも悪いかと僕が頷くと、笑顔を返してくれるアオイくん。

 

彼はバトルバンドを一度深くはめ直すと、軽くポーズを決めて言葉を紡いだ。

 

「そうなのさ。じゃあ、キズナくんも頑張ってくれたまえ。ここからが、正念場だよ?」

 

ーーーー

 

「武櫂キズナ!アンタにバトルを申し込むわ!」

 

アオイ君が去っていき、荷物をまとめ終わった僕のところに。

活発な女の子…ミサキちゃんが駆け寄ってくるなり、綺麗な仁王立ちを決めビシッと指を差し宣言した。

 

「ええ!?ミサキちゃんが!?」

 

我らが学級委員のミサキちゃんは、僕の反応に眉を顰めると、念のためキタヤマくんに確認しに戻ると、改めて僕の方へ向き直る。

 

「そうよ!アタシ様の情報網によればアンタ…チーム権を取得したらしいじゃない!」

「そ、そうだけど…」

 

僕の言葉にホッと一息。

その後ニヤリとした表情に改めた彼女は、『エリアバトル』の公式パンフレットを掲げると言葉を紡ぐ。

 

「チーム権は取得後、防衛が必要。ならその一戦目はワタシ様が勤めてあげるわ!」

「さすがミサキ様〜」「怖いものなし!」「チャレンジャー!」

「アンタ達!それ褒めてる!?」

 

すかさず声援を送る三人にツッコミを入れるミサキちゃん。相変わらず楽しそうな彼らを傍目に、さっきアオイくんが言ってたのはコレか…と納得する。

 

…と共に少しの緊張。

 

ーーチーム権の防衛戦。

 

チームの旗印になろうと言うのだから当然だけど、負けは許されない戦いは。精神的にも、体力的にも、厳しいものがある。

 

それでも…やるしかない!

 

「いいよ、楽しいバトルにしよう。」

 

ーーーー

 

「いくわ、ドロー!」

 

学校に設けられたバトルスペース。

その芝生の上でシャキッとドローをしたミサキちゃんが、カードそのまま此方に翳し装填する。

 

「なるほどね、まずは一手!《財宝の山》を発動!」

「そのカードは!?」

 

彼女の前に現れたのは、さまざまな武器が積まれたホログラム。

……深淵のバトラーである『キャプテンファロー』が使用していた《財宝の山》だ。

 

確かその効果は、5枚のカードをめくり、その中の一枚を装填するサーチ効果。

必要なカードを加えた上で、不要なカードを墓地へ落とす事ができる。とても強力なカードだったはず…

 

「へぇ?よく勉強してるじゃない。アタシ様は《ブロンズアックス》を装填し、残りを墓地に送るわ」

 

そんな彼女の言葉と共に、砕け散る財宝の山。その中から選ばれた斧を肩に担ぎ、一歩進んだ彼女が、バトルバンドを前にかざすと小さな泉が現れる。

 

「続いて二手!《正しい選択》を発動!装填された《ブロンズアックス》を墓地に送り、デッキから《ゴールドアックス》を換装!」

 

そのまま豪快に、泉に斧を叩きつけるミサキちゃん。

揺らいだ水面は眩く発光し、手元の斧が金色に覆われる。

 

「キタ〜!」「ミサキ様エフェクトコンボだ!」

 

ギャラリーの盛り上がりに自慢げに笑みを深めるミサキちゃん。

 

実際上手い…。今彼女はカードエフェクトによって武器の換装を繰り返した。当然コストはエフェクトカードの分のみ…

 

つまり、あの斧は本来払うべきコストを全て踏み倒して換装されている。

それほどのコンボとなれば、あの斧は、間違いなくコスト3以上の強力なアーツカードなのだろう。

 

「手の内は見せてやったわ!足掻いて見せなさい!」

「く、ドロー」

 

自慢げな彼女に急かされるように、僕が引き抜いたのは、《ボム》《キャノン》《ケムリ》の3枚。

 

基本カードばかりだけど、見事なまでの中距離札。

相手が高火力な近距離武器であるなら、これ以上ないカード達だ。

 

「いくよ!多重換装《ボム》《ケムリ》ッ…?」

 

その一手目として、多重換装によるケムリの応用。

様子見としても、ケムリの活用としても。

これ以上ないはずの一手に。僕の心のどこかが、これが最善では無いと告げていた。

 

ーーしかし、換装は止まらない。

 

僕は、迷いを消して。

ケムリ纏う灰色のボムを彼女に向け、投げつけようと腕を引き戻したところで……響く真の通った声。

 

「ふぅん?悠長なこと、ね!」

 

言葉と共に、斧を肩に乗せたまま重心を滑らせる少女。

重く豪快な風切り音に嫌な予感がしつつも、

投げ放った《ボム》が、煙をばら撒きながら少女へと接近し…

 

「シャォラィ!」

 

目にも止まらぬ速さで、ソレが放たれる。

投げ飛ばされた金の斧。

ボムを両断し、爆発の勢いも乗せた一撃が惚ける僕の方に飛んでくる。

 

…撃ち落とす…無理だ!

 

「ぐっ!?」

 

迷いは一瞬。しかし回避を選択した僕よりも、彼女の一撃は大きく、早く。

弧を描いた斧の軌道に掠り、肩口に重い衝撃が走る。

青色の変化を通り越し、一気に黄色に染まるエナジースフィア。

愕然とする僕を他所にギャラリーが盛り上がる。

 

「相手プレーヤーにシュゥッ」「超エキサイティング!」「イカれてるぅ!」

「ふふん!その程度ならアタシ様が勝つわよ」

 

三人の声援に、余裕を持ってミサキちゃんはバンダナを締め直した。

 

…本当にイカれてる。

散々サーチした強力な武器を、

一回限りの弾丸として使うなんて正気ではない。

 

……でも、その姿はまるで……

 

「師匠みたいだ…」

 

バトルスタイルも、性格もまるで違う。

それでも、自分のバトルを信じ。

戦略的価値以上の何かを、魅せてくれるその在り方は、間違いなく師匠と同じものだった。

 

そのままクラウチングスタートの構えをとった彼女は、ケムリの幕を突き破り、グンと距離を詰めてくる。

 

…惚けてる場合じゃない!

 

「させない!換装《キャノン》!」

 

迫り来る彼女に照準を合わせ、光弾を放つ。

距離はまだある。彼女の最後のカードがわからない以上、せめてデッキチャージが終わるまで、距離は保たなくては!

 

ーーそうして放たれた弾丸は

 

「読めてたわ!これで三手目、罠エフェクト《異なる選択》!」

 

掴み取る様に、前に振るわれた腕から放たれた水色の盾に拒まれたーー

 

水面に水滴が落ちる様に歪む盾。

それをそのまま掴みとったミサキちゃんの手に、光が集約し白銀の斧が現れる。

 

「このターン墓地に送られた《ゴールドアックス》をデッキに戻し、墓地から《シルバーアックス》を換装する!」

 

「そんな!?」

 

完璧に計算し尽くされた速攻戦術。

対するコチラは残り一発のキャノンのみ、デッキチャージも間に合わず、この一撃は受けるしかない!?

 

「くっ!なら一点は受けてもらう!」

「ハッ!かすり傷ね!」

「ええ…」「こわ…」「危ないからやめなよ…」

 

少しでも怯ませるために、正面に放たれた光弾を頭突きで受け止めた彼女。

あまりの度胸に、ドン引きする三人の声援に激しく同意しながら。

 

その強力な振り上げによって僕は吹き飛ばされたのだった。

 




「ようこそ!カードショップ『炎剣』へ!」
「今日はアタシ様が『正しい選択』について紹介するわ!」
「『正しい選択』は装填されたカードを墓地に送り」
「そのカードよりコストが1高いアーツを換装するエフェクトカードよ!」
「ふふん、気づいたわね?」
「そう、このカードはサーチだけでは無く、発動ができるカード!」
「そのコストは『装填状態』。つまり、コストを払う前の段階を参照する。」
「つまり…強い武器を更に強い武器にして換装できるわ!ほとんどタダでね!」
「…あ、斧しか対象にできないけど大丈夫そ?」
「大丈夫。ならよし!」
「ソレじゃ。次回もバトルスタート!」
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