『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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今日も対戦よろしくお願いします。


12話「いきなり大ピンチ!苛烈なるバトラーミサキ!」後編

 

「こんなもん?」

「はは…冗談!」

 

「「チャージ、イン!」」

 

首を傾げながら見下すアタシの宣言に、手をつきフラつきながら立ち上がるキズナに首を傾げる。

 

…弱くは無い。のだろう。

あの爆弾も、視界を遮る一手だった様だし。

そこに《キャノン》を合わせてくるのは流石だ。

 

それでも、その程度の戦略が通用するほど、公式戦は甘く無い。

 

「さあ、いくわ!《選択の行方》を発動!」

 

キタヤマ…シロウは言っていた。

これまでの戦いから分析すると、キズナは的確な引きとソレを活かすプレイングで不利を覆すバトラー。

いわゆる、()()()()()タイプのバトラーだ。

 

1ターンは思う通りに進んだとしても、問題は2ターン目。

そこからは苦しい戦いになるだろう。と。

 

…笑わせる。引きの強さがなんだ…

本当の強さとは苛烈で、ソレら全てを踏み倒すもの!

 

「墓地の《ブロンズアックス》除外の《シルバーアックス》デッキの《ゴールドアックス》を選択し」

 

アタシの周囲に三本の武器が突き刺さる。

そこから水面が広がり、共鳴した三つの点が光によって繋がると、武器を呼び出す為の魔法陣を描き出す。

 

「その合計コストの半分である。《飛翔斧トマホーク》を換装!」

 

そうして、眩い閃光。

アタシの手には、白金の両刃斧が握られていた。

 

ーーーー

 

「見事だね…」

「当たり前よ、さぁ、待ってやるからさっさとカードを出しなさい」

 

ミサキちゃんの手に構えられた『トマホーク』を冷や汗と共に眺め、僕は手札を見る。

《ケムリ》《幻想加工》《ソード》。

どれもそれ一枚では強度も高くないカード達だ。

 

それに、すでにエナジースフィアが黄色に染まってしばらく経つ僕に対して。

彼女は先程の発動で黄色に変わった。

つまり彼女には10点以上のライフが残されている。

 

仮にスモークボールを呼び出したとして、先程のように中距離で切り裂かれてはダメージは狙えない……なら。

 

ーー僕は、僕の剣を信じる!

 

「三枚装填しチャージエンド!」

 

宣言を聞き、肩に担いだ斧を横投げの姿勢にズラすミサキちゃん。

…アレが、最も信頼できる強力な構えなのだろう。

ソレを前に、笑みを深める。

 

そんな強い相手だからこそ。

僕が、あのカードを使う相手に相応しい!

 

「バトル!換装《ケムリ》」

「ッ!ラァィ!」

 

広がる煙に…

ノンストップで放たれた白金の斧。

回転と共に迫るソレは、僕に喰らい付かんと煙を裂きながら迫り。

 

その音を聴き、腕を腰だめに。

迷いなく、最も親しんだ最強の型を、僕はなぞる。

 

「多重換装!《ソード》《幻想加工》!」

 

視界を覆うケムリの中。

ソレより深い漆黒が。ケムリの鞘に収まる様に剣を形作る。

幻想により再現された刀は、数打ちの西洋剣を何者をも拒む名刀へと替え…一閃。

 

「『木の葉斬り』!」

「なっ…ぁ!?」

 

間合いに入った白金を真っ二つに断ち切り、その破片が後方に深々と突き刺さる。

同時に一歩。踏み出す。

 

「いくよ?」

「で、でもまだ!換装!《異なる選択》」

「…二の型『波破り』」

 

煙と消え行く武器の残光を突き抜けて。

駆け抜ける僕の、道を遮るように発生した水色の障壁。

ソレを前に、流す一振り。

紙のように切り裂かれた壁が…そのまま消滅する。

 

「な、なんで!?アタシの斧は!?換装!!」

 

再び放たれた障壁。

ソレを前に、一刀を振るった僕は。

障害物が無くなった彼女の耳元に言葉を落とす。

 

「悪いけど、僕の剣に盾は効かないんだ」

 

ーーそして、一閃。

 

すれ違い様に斬り捨てられた彼女に、武器を換装するライフは、残されていなかった。

 

ーーーー

 

「…アタシ様の負け、ね。」

「いいバトルだったよ」

 

嫌味なく微笑むキズナに握手を返しながら、内心首を振る。

 

最後に引いたのは《シルバーアックス》に《異なる選択》そして《正しい選択》。

…発動する事は可能だったかもしれない。それでも残るライフは1点。

《キャノン》で終わりだ。

 

ソレを恐れて『盾』にすることを選択した結果。

《再挑戦》と言うカードで再び黒い剣を構えられ、押し切られてしまった。

 

…情け無い。アタシがもっと冷静に、『盾』を無駄撃ちしなければどうとでもなったはずなのに!

 

「次は俺が相手だ!」

「う、うん。バトルスタート!」

 

 

目線の端で、弔い合戦だ!と奮起するニシノの姿が見える。

 

…いや、アンタじゃ勝てないからやめときなさいよ…

 

なんて言葉が出かかって、それでも喉に詰まり。唇を噛む。

 

「どうよ、ミサキ様。言った通りだったろ?」

「うっざ…」

 

精一杯の強がり。

 

「辛辣!!?」

 

それをオーバーリアクションで返すシロウに、より強くイラつきが積もっていく。

 

…ほんっと、何がしたいんだコイツ。

 

黙ったままキズナの2戦目に目を向けるアタシ。

その隣に、当たり前の様に並んだシロウは、雰囲気を一変させて、いつもの思い出話を始める。

 

「俺はな…歳の離れた兄さんがいたんだよ」

「聞いたわ、『烈火』のリーダーだったんでしょ」

 

ふざけた顔を寂しげにして、デッキに目を向けるその姿に、少しイラつきも引いてチラリと視線をやると。

それに気づいてるのかいないのか。

その手を掲げたシロウは話を続けた。

 

「あぁ、お前に似て苛烈な。勢いのいいバトラーだった」

「そう、でもアタシ知らないわ。そんな人」

 

そう、何度も聞いて。何度も調べた。

でも見つかるのは、現『炎剣』の店長。

カリンの在籍時の記録ばかりで、コイツの話す男なんてカケラも出てこなかった。

 

「そう、だろうなぁ。あの日。いなくなっちまったんだ」

 

寂しげにデッキを眺める。

何の飾り気もないガントレット。そこに刻まれた大きな傷跡に、かき消された何かの紋章を指でなぞりながら。

 

ーーいつもならここで終わり。

暗い雰囲気を飛ばすためにアタシが背を叩いてやるが。今日はそんな気分でも無い。

 

…だから…

 

「俺を庇って。目の前で何かに襲われて」

 

続いた言葉に息が詰まった。

周りの喧騒が耳に入らなくなり、哀愁を漂わすシロウに視線が釘付けにされる。

 

…なんで。ソレをアタシに。

 

「だからさ…お前には後悔して欲しくない…いや、違うな。」

 

言葉を落とし、首を振る。

普段は見せない、真っ直ぐな視線がアタシを貫き、その手と共に差し出される。

 

「俺に見せて欲しいんだ。そのバトルの行き着く先を。」

「…アタシでいいの?」

「あぁ、お前だから。託すんだ。」

 

戸惑うアタシに、渡された一枚のカード。

(戦闘加工》。この世界で()()()()()()()()最初に創造されたとされる加工カードは、アタシの心に大きな波紋を生み出した。




「ようこそ、カードショップ『炎剣』へ」
「へ、なんか。懐かしいな。ここ。」
「今日は俺が『選択の行方』について解説するぜ」
「『選択の行方』は、三枚のカードを」
「デッキ、墓地、除外から、一枚ずつ選択。」
「そのコストを参照して、」
「合計の半分のコストを持つカードを発動する。」
「クセがあるものの強力なサーチカードだな」
「除外のギミックがあるなら、入れてみるのも手だぜ」
「それじゃ、次回もバトルスタート!」
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