『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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アオイ君メインの間話になります。
対戦よろしくお願いします。


12-間話「ナルキアオイの華麗なる一日」前編

 

 

「やぁ。サクラちゃん」

 

学校からの帰り道。

視界の端に桃色の髪を見つけ、先回りをしたボクは、いつも通りポーズを決めながら声をかける。

 

「……何の様ですか?アオイさん。」

 

それに対して、露骨に嫌そうな顔をした彼女は『息吹咲良(いぶきさくら)』ちゃん。

(うつろ)』のカードを持っているとタレコミがあった少女だ。

 

「相変わらずだね。ハッ!まさかボクの美しさに緊張してるのかい?」

「いえ、別に…」

 

うーん、塩対応!

まぁ、キズナクンが関わらない時の彼女はむしろおとなしい優等生タイプ。

下校途中に待ち伏せされて声をかけられれば、嫌な顔の一つや二つ出るだろう。

……出るかなぁ…?

 

「…ンン。釣れないなぁ。では、バトルのお誘いはいかがかな?」

「お断りします。」

「今なら、キズナクンの秘蔵写真も付けよう!」

「……。……お断りします。」

 

おや、珍しい。

普段なら彼を絡めれば、大抵了承してくれるんだけど…

 

かと言ってコチラも引くわけにはいかない。

せっかく掴んだ『虚』の手がかり、逃すつもりはない。

 

「ンー…しかたないね」ピッ

 

〈バトルモード・スタンバイ〉

 

「え!?バトルバンドが!」

「さあ!バトルスタートだ!」

 

ーー

 

「なんで、こんな事を?」

 

通学路の真ん中で、戦闘衣に身を包みながら対面に立つ『鳴樹葵(なるきあおい)』さんに問いかける。

 

絵本に出てくる王子様のような、派手な戦装束に身を包んだ彼は。私の問いかけに、顎へ指先を当て……いや、かわい…っ。ふぅ…。

 

ウインクと共に、いつものカッコつけで言葉を紡いだ。

 

「戦いたかったって理由じゃ不足かい?」

「ぜんぜん足りません!」

 

キザな返答。

思わず、ムッと否定の言葉が口をつき、自分でびっくりする。

確かに私は彼のキザな所は嫌いだ。

でも、それだけ。むしろ見た目に妥協しないその在り方は、好ましく思っている。

それなのに何が気に入らないと言うのか…

自分の気持ちがよくわからない。

 

「じゃあ、ボクに勝てたら教えてあげるよ。」

 

そんな私に気を遣ってか、気を悪くした様子も無く、バトルへ誘導してくれるアオイさん。

それに感謝の気持ちを込めながら、軽く深呼吸。

思考を戦いへ向けてカードを引き抜く。

 

「…わかりました。行きます!ドロー!」

 

引いたのは、『春の祈り木』『フルールカッター』『思い出の花篭』の三枚。

『春の祈り木』は設置エフェクトと呼ばれる、強度値を持った特殊なカードで。強度値がある限り場に存在し続け、フェーズチェンジのタイミングで1〜3枚の『ハナビラ』を生成します。

 

「スタンバイフェーズに、設置エフェクト『春の祈り木』を発動します!」

 

よって、最初に発動するのはこのカード。

その後、『フルールカッター』を装填し、『思い出の花篭』を最後に読み込ませれば。このターンの準備は完了です。

 

「おお!花びら舞う戦場。風情があるね!よーし、換装!『ネバーエンドアンコール』!」

「!?っ!」

 

嬉しそうに花びらの中でくるくると回っていたアオイさん(かわいい)がピシッとポーズを決め(…)発動したカードにより、スポットライトが彼と桜を照らし出す。

同時に。凄まじい勢いで、バトルバンドから舞い上がる『ハナビラ』。

実体のないはずのそれに驚き、軽く舌を噛んでしまった。

 

「いひゃぃです…」

「わ!サクラちゃん大丈夫かい?」

「くぅ…バカにして!」

「ボクが君を?そんな訳ないじゃないか。」

 

白々しいアオイさんの言葉に腹が立つ。

どう考えても狙ってやったとしか思えない。

仮に、もう少しタイミングを遅れさせ、罠エフェクトとして、盾にしながら起動していれば、攻撃を防ぎながらフルールカッターを使い切らせる事ができ。間違いなく強い一手だっただろう。

 

「『祈り木』は『ハナビラ』を換装し続けるカード。このタイミングで『アンコール』を発動したら、当然。『ハナビラ』が引き出されます。」

 

それなのに、彼が選んだのは。発動が見えている『ハナビラ』の方。

これでは、敵に塩を送っただけ。

私の妨害にはなり得ない。そんな事は、彼も重々承知のはずだ。

 

「は!そうだった!完璧なボクとしたことが!?」

 

それを指摘されてなお、大袈裟な演技で返す彼に、頭に血が昇る。

 

「一気に削り斬ります!『フルールカッター』!」

 

指揮棒の動きと共に、凄まじい物量で殺到する花の奔流。

桜色の花びらが一本の大河の様に、流れ込み…

 

「なんてね。『風塵ラケット』!」

 

…その対岸より発生した暴風に、高く舞い上がる。

 

「そのカードは!」

 

ーー『風塵ラケット』

強度値1のラケット状のアーツカード。

初期に出たカードでありながら、長らくその特殊効果が知られていなかったカードだ。

その効果は、自身の強度値以下のカード…『ケムリ』や『ハナビラ』の様なフィールドに残り続けるホログラムを突風によって吹き飛ばせる。と言うもの。

 

例によってロマンカード研究所製のカードで。

テキストである「塵、霧対策はコレ一本!」が効果として反映されていると言う特殊なカードです。

 

「メタを張る準備は万全…という訳ですか。」

「戦略的対策と言ってくれたまえ。挑む以上、本気で戦わないのは失礼だからね。」

 

髪をファサっと払い。キラキラしたエフェクトと共にポーズを決めるアオイさん。

 

なるほど、確かにコレなら。引きずり出す対象は『ハナビラ』でよかったのでしょう。

 

…ですが、ただでは負けません!

 

「なら、これならどうですか!『思い出の花籠』を換装!」

「知らないカード!?…『ハナビラ』にはまだ、サポートカードがあったのか!!」

 

驚愕して見せるアオイさんへ、つられてニヤリと笑みを返し掲げると、宙に浮かぶ『ハナビラ』が花籠に吸い込まれていく。

…そうして出来上がる、彩り溢れる花籠。

 

「今回は二枚。『ハナビラ』を手札に戻し、その枚数と同じコスト。『タネマシンガン』を換装します!」

 

その花籠に私が手を入れると。

腕にずっしりとした重さが加わり、鳳仙花の実に砲塔が着いたような、特殊な武装が換装される。

 

「戦術を切り替えてきたね!ならコチラも…換装!チャージイン!」

「盾を張った状態のフェーズチェンジ…でも、そのまま撃ち抜きます!」

 

スポットライト型の障壁を展開したアオイさん。

その盾を食い破らんと、弾丸が殺到し。彼を中心とした砂埃が舞い上がる。

 

そこに追撃を与えるべく、ドローしようとしたタイミングで声が響く。

 

「『クライマックスカウンター』の効果発動!」

「!!」

「ボクは受けたダメージの合計だけデッキからカードを送り。その内一枚を強化換装する!」

 

ーー砂埃が晴れる。

 

彼の手に握られているのは、SFチックな機械槍。

水色のラインが走るその槍は、鼓動する様に発光し。

アオイさんがクルクルと回す毎に光のオーラを纏っていく。

 

「『リプレイランス』は墓地に存在する同名カードの数だけ強度値が上がっていくカード」

「今回、キミの攻撃で送られた中には三枚のこのカードと…一枚の『コピーアームズ』が存在した!」

「よって同名扱いのカードは…三枚!強化値と合わせその強度値は…」

 

「合計強度値10!?」

「さぁ、フィナーレだ!」

 

「ッドロー!」

 

手札にカードを戻してしまった事で、ドローカードは一枚。これでどうにかしなければ私の負け!

そう気合を込めて引いたカードは……《虚の夢花》?

 

「コレで終わりだ!」

 

知らないカードに固まっていた私は、彼の槍に貫かれ。

試合終了のブザーが鳴り響いた。

 

ーー

 

「惜しかったねサクラちゃん?」

 

バトルも終わり、サクラちゃんに声をかける。

…しかし、すんなり勝てるとは思わなかった。

 

最後のドロー。

あの瞬間の彼女のデッキには、コスト0のカードは残っていなかった。

つまり、確実に攻撃か防御に有用なカードを引けたはずだ。

その上で、彼女が持つ『虚』カードが特別な力を持っていたなら、今の一手だけでは返り討ちにあっていたに違いない。

 

ソレがなかったと言う事は、彼女が持つ『虚栄加工』は『虚』とは関係のないレプリカカードだったのだろう。

 

「……やっぱりアオイさんなんか嫌いです!」

 

そんなボクの安堵のため息が聞こえてしまったのか、ぷいと首を振るサクラちゃん。

少し潤んだ瞳が目に入り。慌てて訂正しようとするが……

 

「ぬぁ!?ご、ごめんよ、君なら勝てると思って…」

「うわぁああん!キズナくーん!!」

 

あとのまつり。

サクラちゃんは、猛ダッシュでキズナクンの家の方へ走り去ってしまった。

 

「あ、ぁぁ…はは。はぁ…次。行くかぁ」

 




「ようこそ、カードショップ『炎剣』へ」
「今日はこのボクが!『リプレイランス』について説明しよう!」
「『リプレイランス』は、同名カードがフィールド墓地にある時」
「その枚数に応じて強度値が上昇するカードだ。」
「同系統のカードは武器種によってそれぞれあり、」
「まぁまぁポピュラーなテーマカードだね」
「一つの武器の扱いを鍛えるのであれば、おすすめできる一枚だ」
「ぜひとも、使ってみてくれ。」
「それでは次回も、バトルスタート!」
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