『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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13話後編です。
対戦よろしくお願いします。


13話「焔を灯すショップ戦」後編

 

 

「きたね『サモンユニット』!」

 

楽しそうな少年の声が聞こえる。

そちらへ目を向ければ、飛来した弾丸へ剣を叩きつけ。

破裂する衝撃で勢いを殺すと言う。

曲芸染みた真似をするキズナの姿。

どうしたらそれが上手くいくのか…全くもって『次元流』の剣士は理解不能である。

 

「この子の効果で、デッキより『キャノン』を換装する!」

 

言葉と共に、『アンバー』が手にした十字旗を地面に突き立てる。

すると立ち昇る黄金の光。

その中へ手を伸ばせば、私と『アンバー』の分。

2丁の光線銃らしきオモチャが現れる。

 

「2対1…なら、先に倒すまで!」

 

ソレを確認したキズナが、着地の低姿勢から重心を前へ。

地面を滑る様に駆け抜けてくる。

的は小さく、早い。

コトネ程射撃の技量があるわけじゃ無い私では、掠らせるのがせいぜいで。

時折、当たりそうな弾丸も、黒剣によって弾かれる。

そうして、『アンバー』の元にキズナがたどり着き…

 

「てりゃぁあ!…!?」

 

「無駄よ。『アンバー』は破壊される時、武器で肩代わりができる。」

 

瞬間。黄金に姿を変えるブリキ人形。

黄金にふさわしい確かな手ごたえ、硬い装甲に剣を弾かれ。

よろけるキズナの目の前で。

旗を掲げた兵が、黄金の残滓と共に、

その手にオモチャの剣を換装する。

 

「そして当然。武器が破壊されれば、他の武器をデッキから換装できる」

「くっ…!」

 

迫る一撃に大雑把な軌道予測をしたキズナが、その一撃を受け止める。

下から添えたもう片方の手で刀身を押し。

そのまま一撃を押し返した彼は、乱雑に一閃を放ち、無理やり後方に距離を取った。

 

「…無限に戦う兵」

「当然、限界はあるけどね。さあ、アンタに私達に勝つ手はあるかしら?」

 

ニヤリと笑ってみせる。

私の手には未だ光線銃。

『アンバー』の手には旗が握られ、次の一手はいくらでも考えられる。

対するキズナは、強度値の削られた剣が一本。

いつ折れるともわからないソレでは、どうあがいても戦況を覆す事は不可能なはずだ。

 

「ならッ!チャージ…イン!」

 

ソレを察したのか、コチラへ剣を投擲し、油断なく距離を広げながらフェーズチェンジを行うキズナ。

仕方なく、その一撃を撃ち落とす私を他所に、表情を明るく変え、二枚のカードを装填する少年。

それを遠目に確認し、彼の側に煙が集まりだすのを幻視して、何を引き抜いたのかを理解する。

 

「来るわね…」

 

「僕は『ケムリ』に『再挑戦』…『幻想加工』を発動!」

 

多重換装による、エフェクトカードの発動。

エナジースフィアがパチンと発光し。キズナを覆うように爆発的に発生した『ケムリ』が1つに集まり、モヤモヤとした球体を彼の側に浮かべる。

 

「漆黒闇を漂う小さな友達!共に行こう!」

 

そうして彼が球体に手を伸ばし、声をかければ、眩い発光。

暗闇に弾ける小さな花火が、少年と共に笑いあうと。

フィールドのいたる所からに煙が滲み出し、周囲が闇に染まっていく。

 

「『幻想換装』楽しむよ!『新煙のスモークボール』」

 

 

「コレがキズナの、サモンユニット…」

 

無数に浮かび上がり、視界を埋め尽くす『ケムリ』の中、私は一人呟く。

ただ単体の『ユニット』ではなく、複数系の『ユニットカード』。

私にはできない縁の繋ぎ方に、コトネを思い出し。

無意識に、銃を持つ手に力が入る。

 

「なら一匹ずつ撃ち落とすだけよ!」

 

小さく、生まれたばかりの新煙に銃を構える。

それに合わせて剣を構えた『アンバー』。

私の放った弾丸が、数体の煙を撃ちぬくと同時に。

彼もまた近くの煙に斬りかかり…

 

「タダでやられるほど甘くないよ!『スモークボール』!」

 

そうして、切り捨てた筈の煙が虹色に発光。

響く轟音ともに爆煙が広がり『アンバー』を巻き込む形で、連鎖的に爆発した。

 

「しまッ…ぐぅ…!」

 

…まずい、あのタイミングはダメだ。

 

連続の爆発。

すなわち肩代わり直後の痛烈な一撃は。

黄金の加護を超え、『アンバー』に直接ダメージを与えただろう。

その証拠に、彼の十字旗は私の足元に吹き飛ばされてきている。

 

視界を埋めるのは、深淵の煙。

武器は既に換装切れを起こし、爆発の余波で赤く染まりつつあるエナジースフィアに、手元には何も残されていない。

 

油断か、慢心か、あるいは勝負を焦り過ぎたか。

 

ーー思えば、この子を守ってあげようなどと言う考えこそが思い上がりだったのだろう。

 

「貴方の勝ちね、やりなさい。」

 

肩の力を抜き、煙の向こうにいるキズナに声をかける。

 

ーーやはり、私の時代は終わった。これからはこの子達の……

 

そう考える私の目の前に、青白い『タネビ』が燃え上がる。

 

「コレは…」

 

魂に灯る小さな灯火。

私の戦いの象徴であった炎が目の前に現れ、心のどこかが燻るのを感じる。

 

…違う、私の戦いはもう…

 

「『スモークボール』の効果です。破壊された時、墓地にある強度値0のカードを発動する。」

「それを…ッ、なんのつもり?」

 

淡々と、何の意味もない一手をとったキズナに苛立ちが生まれる。

本来であれば、より煙を深くできた筈だ。

ソレを対戦相手のカードを、わざわざ目の前に?

ーー舐めている。私を馬鹿にしている。

 

「僕は、何があったのか知りません。ソレでも、僕の倒すべき壁は、貴女はこんなもんじゃ無い。そうですよね?」

 

炎が灯る。

漆黒の煙の中、

青白く燃え盛る炎の道が。

私を勝負に駆り立てている。

 

「上等ッ!」

 

無意識に拾い上げていた旗を、地面に強く突き立てる。

途端。生じる黄金の残滓。

何より勝る純金の光が私を包み。

衣装に紋章を描きながら、最後の力を解放する。

 

ーーソレは何ら特別ではない。

全てのバトラーが繰り返し。

私自身もいつも行っているただの『換装』。

 

それでも、違いがあるとすれば……

 

武装換装(アームズコンバート)ッ『秘剣ー緋華ー』!」

 

力ある存在が力を貸して換装した、と言うただ一点。

 

手元に集った黄金が、煙を吹き飛ばすほどの勢いで燃え上がる。

戦闘服がいつの間にか、金刺繍の巫女服と変わり、黄金の羽衣が激しく靡くと共に…闇が晴れる。

 

「店長負けんなよー!」

「キズナ頑張れー!」

「どっちが勝ってんだ!?」

「わからん、が良い勝負だ。」

 

「さぁ、バトルです!」

 

楽しそうな表情の常連客。

少し緊張した表情で見守る子供達。

そして、イベントの縁で知り合った他地区の強敵に、この町でシノギを削り合ったバトラー達。

 

最後にニヤリと得意げに笑うアイツの弟子が目に入れば、そこに迷いは消えていた。

 

ーーーー

 

「んで、負けたって訳か」

 

翌日の休み時間。

僕の教室に遊びに来たゴウジくんに、ことの顛末を話すと、ヤレヤレと首を振る彼。

片腕に抱きつくサクラちゃんは無視、凄まじいスルースキルである。

 

「はは…情け無い、よね?」

「んな事ねぇだろ?なら、何もねぇのに負けた俺は何なんだよ?」

「あっ…」

 

当然、ガッカリされると思って紡いだ言葉は。

更に深いため息と共に否定され。

不服そうに自分を指差す彼に、申し訳なくなる。

 

「それに防衛失敗でも、ランダムマッチが適応される。相手には困んねえぜ?」

 

そうして語る彼のバンドには、次の対戦相手の名前。

それを確認した彼に促され、開いたメールボックスには、次なる対戦相手の名前があった。

 

「だからま、気にすんな。勝って戦うんだろ?お前の師匠とさ。」

「うん!」

 

それを見て、再び覚悟を決める。

まだ開催までは一週間ある。

ここから先が、強敵揃いでも関係ない。

全てを勝ち抜いて、師匠と戦うんだ!

 




「ようこそカードショップ『炎剣』へ」
「今日は『金朽兵アンバー』について紹介するわ」
「『アンバー』はデッキから武器を換装する効果を持った」
「強度値1のユニットカードよ」
「破壊される場合。代わりに装備カードを破壊する事ができ」
「ライフを支払って、新たな武器を装備し直すこともできるわ」
「ただし、同時に払えるコストは2まで。」
「強い装備を、一枚だけ装備するか…」
「プレイヤーの分を含めて、二枚換装するかは使い手次第」
「状況に合わせて、上手く使いなさい。」
「それじゃ次回も、バトルスタート」
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