『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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間話になります。対戦よろしくお願いします。


13-間話「虚を断ち切る者」

 

とある道場の前。そこで一人の少女が手をつきうなだれている。

…誰か?ですか?

ーーアオイさんに無様に負けた私です。

…なぜか?

ーー今日はキズナくんのチーム権防衛戦の初日だからです。

 

「はぁぁ…私のばかぁ!」

 

ポカポカと、自分の手で自分を殴り、頭を抱える。

 

…なんで私はここにいる!そもそもいっしょに帰ればよかったのに!!…

 

今朝からなんだか、落ち着かない。

キズナ君の事が気になるのに、何故だか避けてしまうし。

よくわかんないイライラもあるし!

こうして今も、なんだかわからない涙が、目元に溜まっている感じがする。

 

「…よ!サクラちゃん元気か?」

 

そんな時。

ぽん。と、頭に乗せられた手に視界が上がる。

 

「へ!?ショウヤさん!?」

 

そこには、着流し姿の一人の剣士。

何故かいちご飴を片手に現れた、この道場の指南役…キズナ君のお師匠さんは、「うまいぜ?一個食べな?」と笑顔で飴を差し出すと、縁側の方に歩いていく。

 

「しばらく帰らないんじゃ…あ!キズナ君も心配してましたよ!」

 

慌てて追いかけて声をかける。

草鞋が砂で擦れるしゃりしゃりと言う音が、辺りに響き。

縁側に座ったショウヤさんが、意外そうに目を丸くしてコチラを見る。

 

「そうなん?心配性だなぁ、アイツも。」

「そうなんです!昔は…寂しそうにするだけだったのに…」

「男子3日あわざれば…って奴?」

「です!最近は、色んな人とバトルする様になって!隣のクラスのゴウジくんとも、しょっちゅうお話しをしてて!」

「へぇ、友達も増えたか。」

 

なんだかすごい口が回る。

 

おかしいな…

本当は、この人が帰ってきたら。

キズナ君の為に、説教してあげるつもりだったのに。

安心したような、すごく優しい表情のショウヤさんを見ていると。

そんな気持ちが削がれていく。

 

…嬉しいのかな?誇らしいのかな?

きっとそうだよね。大事なキズナ君の事だもん。

 

「最近なんか…。」

「?」

 

対する私は。

真っ直ぐに自信をもって戦う彼を思い出すと

…嬉しいはずなのになんだか…

 

「…サクラちゃん。バトルしようぜ?」

「え?」

 

再び俯きかけてしまった私に、声をかけるショウヤさん。

 

草鞋を踏み石に置き、代わりに置きっぱなしのスニーカーに足を入れた彼は、ガントレットを指でトントンと叩き口を開いた。

 

「そっちの方が、気兼ねなく吐き出せるからさ?」

 

ーー

 

斬撃が宙を裂く。

ピンク色の『ハナビラ』の波が、『ケムリ』に呑まれ、舞い上がっては消えていく。

そんな暴風の先端に立つのは、一人の男。

前へ前へと突き進む男の頬には僅かな切り傷が広がり。

しかし、致命的なダメージは負っていない。

 

ーーまさに獅子奮迅

 

これこそ、ショウヤさんの戦いだ。

決して引く事はなく…前のめりに剣を振るう。

キズナ君とは、少し違う。

勝利を目指した攻めの剣舞。

 

そんな剣が、私の花を消し去らんとばかりに、次々と振るわれ…。

 

……なんだか、無性に腹が立った。

 

「なんで。」

「ん?」

「なんで、そんな戦い方をするんですか。」

「なんでって…これが一番早いし…カッコいいだろ?」

 

心底不思議そうに、当たり前だと言葉を紡ぐショウヤさん。

それを聞いて、指揮棒を乱雑に振るった私は進路を閉ざす様に『ハナビラ』を動かす。

 

「わかりません!どうして、男の人ってそうなんですか!!?」

 

記憶の端に、見覚えの無い誰かが映る。

炎を宿す白い学ランが揺れ、その背で守る。そんな誰かが、脳裏に浮かび、消えていく。

 

それが、どうしても気に入らなくて。

ショウヤさんには、全く関係ないとわかっていても。

そんなカッコ良さを、否定したくて仕方なくなる。

 

「勝負上等、ケガ上等…別にそんな危険なところに向かわなくたっていいじゃ無いですか!」

 

放たれる幾重もの花びらの刃。

一本の『祈り木』から、供給され続けたそれは、過剰にも思えるほどの総量で。今も辺りを覆い隠し、ショウヤさんの姿も見えなくなる。

 

「なんだ、サクラちゃん。わかんないのか?」

 

それを前に、休みなく剣を振るう青年。

疲れに腕が重くなり。されど加速する剣舞。

数ターンに及ぶ経験の蓄積から無駄が省かれ、最早残像と化した太刀筋によって。

 

次々に『ハナビラ』は煙へとって変わられ…

ようやく止まる。

 

「…『三の型 雲捲り』」

 

凄まじい暴風。と同時に、『ハナビラ』が一気に舞い上がる。

 

中心には、刀と言うには長すぎる一刀。

ソレを天上に掲げ、ニヤリと笑った青年が空中に斬撃を放ち、天を指す。

 

「サクラちゃん。花火は好きか?」

 

「好きですけど…」

 

見上げた先には舞い上がった『ハナビラ』と『ケムリ』。

儚く散っていくソレは、ホログラムの残光もあって。

花火のように見えなくもない。

 

「そうかい?でもありゃ爆弾だ。ホログラムでも無い危険な爆弾。なんなら環境にだって優しくない。無駄なもんだろ?」

「…」

 

…聞いといてその言い草。何を言いたいのでしょうか?…

 

意味の無い質問に、ピクリと眉が動き。拳に力が入る。

再び、武器を構えようとして…

 

「それでも夏になりゃ打ち上がる。誰かの笑顔に繋がると知ってるからだ。」

 

確信を持った断言の言葉が、私の耳に届く。

 

力強い真っ直ぐな視線。

男の人特有の根拠もない言葉に、無言で続きを促す。

 

「俺の剣も同じだ、この太刀筋に憧れる奴がいる。」

 

彼の瞳が、剣を見る。

美しく波打つ刀身が、太陽に照らされ。

光の反射が地面に線を描く。

 

「馬鹿正直に対策する奴が。この剣で超えたい奴がいる。」

 

キラキラとした少年の様な瞳。

掲げた長剣が限界を迎え。

刀身が、光の粒となって空高く昇っていく。

 

それは星のカケラの様で…

しかし、太陽の光の中では、すぐに溶けて消えてしまう。

 

「男ってのはそう言う、想いに向かって無茶をするもんだ。」

 

それを見て、そのまま太陽に手を翳し。

強く握り込むショウヤさん。

そんな彼の瞳は、カッコ良い大人そのもので…。

 

やっぱり。ーー気に入らなかった。

 

「わかりました…でも、私は。誰かが傷つく姿は見たくない!『虚の夢花』を発動!」

 

ハナビラの残骸が、一斉に燃え上がる。

青白い弔いの火が、辺りに散らばり。

地を走るように、燃え広がる。

 

残るは灰骸。

白く積もったそれが、砂原のように積もり。

その上に、色を失った『ハナビラ』の幻影が舞い落ちる。

 

「フィールドから『祈り木』『ハナビラ』を全て除外し。フィールドを『虚の花園』へ『空間換装(ワールドコンバート)』!」

 

そうして生まれた枯山水。

辺りを彩る無色の色彩に、なんとなく頬が緩み…

 

「誤魔化すなよ」

 

彼の言葉に、その笑みが消える。

 

「何がですか」

「傷ついて欲しくない。…確かにそうなんだろうさ。」

「ええ、戦いなんて野蛮なもの。続ければいずれ…」

「だから、誤魔化すなって…」

「何を」

「お前、そんなこと気にしてないだろ?」

 

男の真っ直ぐな瞳が、私を見据える。

頬の切り傷を手で拭って。

腰の鞘に片手を添えた万全の戦士が、私と。

背後の桜の幻影に眼差しを向ける。

 

「お前は…ただ。」

「『ヴァニティ・プラント』!行け!」

「寂しいだけ…だろ?」

 

私の言葉を受け、辺りの空間が歪む。半透明な。

触れた物を消滅させる力を持った触手が四方八方から発生し。

這い出た虚無の花が、剣士に殺到する。

 

それを見据える剣士は、怯む事なく。

その手のトリガーを引き、一本の剣を鞘に納める。

 

ーーそれは、全てを断ち切る剣。世界を別つ一本の剣。その名は…

 

「『次元斬(リアリティスラッシュ)』」

 

黒の斬撃が、世界を断ち切る。

灰骸が、花の幻影が黒に呑まれ。

私はそのまま空高く吹き飛ばされる。

 

…あぁ、でもそっか…

 

そうして飛ばされながら。

花びらの様に宙に舞いながら。

私は、モヤモヤの正体に気づき、笑みをこぼす。

 

…私。キズナ君が、みんなに取られた気がして…

 

「さみしかったんだ…」

 

ぽつりと呟き、玄関の方へ落下する。

受け身を取る技量も、余裕も無い私は、そっと目を閉じ。

 

「サクラちゃん!?」

 

優しく抱き止められた衝撃に、意識を失ったのだった。




「よっ、カードショップ『炎剣』へようこそ」
「今日は俺が『次元斬』について…」
「聞き飽きたぁ?そうか…」
「じゃあしゃあない。」
「『フィールドエフェクト』について説明しよう。」
「『フィールドエフェクト』はフィールド全体にかけるサポートカードだ」
「基本的にテーマデッキのサポートである事が多く。」
「強力な効果が多いな。」
「特に、    のサポートである場合は」
「サモンする効果がついてる事が多く。注意が必要だ」
「まぁ、戦う事はないと思うけどな。」
「それじゃ次回も、バトルスタート!」
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