学校のグラウンド。
その一角に作られたバトルフィールドで、二人の小学生が対峙する。
一人は、濃い緑かかった黒髪癖っ毛に、メガネをかけた少年。
それに対するは、青藤色の長髪を輝かせた、自信家な少年。
彼らは、バトルバンドをお互いに構えながら、ワクワクした表情を隠す事なく言葉を交わしていた。
「準備はいいかい?キズナクン!」
「うん!いつでもいいよアオイくん!」
グラウンドの階段には、クラスメイトのみんなが集まり。
目を輝かせて応援の声をあげている。
「「バトルスタート!」」
そうして響き渡る開戦の鐘。
虹色の虹彩が天頂より降り注ぎ。
グラウンドの砂がキラキラと輝きながら辺り一面を照らし始める。
「さぁて、始めよう!」
カードを引き抜き、天にカードをかざす形でポーズをとった少年…アオイはそのままカードを上空に放ち。ソレが黄金のモヤとなり停滞を始めた。
「ボクは『黄金の贈り物』を発動!」
「『黄金の贈り物』?」
「あぁ、その効果により、ボクは君の手札に『ネバーエンドアンコール』を加える!」
聞き慣れないカードに首を傾げる少年…キズナへ向け、指を弾くと。
ヒラヒラ舞い降りる一枚のカード。
黄金に輝くソレがキズナの手元に入ると、空中に浮かぶモヤから、金色の雨が降り注ぐ。
「その後、デッキから『黄金の雨』を発動!三枚墓地に送り。三点回復する!」
「ライフ回復コンボ!?」
あまりにも強いコンボに少年が目を見開く。
計五枚ものデッキ圧縮に加えて、ライフの回復と言う貴重な効果。
「さぁ、使うといい『ネバーエンドアンコール』を!」
その上。コンボに使われたカードは、『ネバーエンドアンコール』。
コスト4と言う重いコストである。
相手の同名のカードを可能な限り換装させる強制効果を持つが…
その特殊性の高い効果から専用の構築でなければ上手く使う事はできず。
仮に発動しようものなら、途切れる事の無い武器の連続換装で押し切られる事になるだろう。
「その手には乗らないよ!三枚装填してバトル!」
よってこの場合取るべき選択は、手札に残してのバトルフェーズ。
次のターンのドローは減ってしまうけど…
万全の状態の攻撃を喰らい続けるよりはマシだ。
「ふぅん?じゃあいくよ換装!」
「換装!」
そう考え、バトルの宣言をした僕の方へ。
アオイくんが余裕を持って歩いてくる。
当然。まずは目眩し。その為にカードを換装する僕へ向けて…
ーー彼が。指を弾いた
「『ネバーエンドアンコール』起動。」
途端にフィールド全体に広がる『ケムリ』。
光の侵入を許さない暗闇の中にあって、照らされた僕の元へ。
アオイくんの軽やかな足音が聞こえる。
「マズイ!換装!」
「!見えるのかい!?」
闇の中から放たれた、光纏う機械槍。
その一撃を、なんとか剣で受け。弾きながら、前に踏み込む。
…槍の斬撃有効範囲は先端に集中している。
つまり間合いの更に内側に入れば僕の有利!
「シッ!」
「っと!」
咄嗟の判断。
不意をついたかに見えた追撃は、暗い煙の中で行われた曲芸染みたバク宙によって、かわされ。その場に残された槍を両断するに留まった。
「…やるね」
飛び退き間合いを稼いだアオイくんの足音が響き。
暗闇のなかにその気配が消えていく。
…アオイくんは今の一撃でしばらくは無手。
ソレを補う為の、『アンコール』であり、今の一撃だったのだろう。
しかし、その為の発動コストは、決して安くは無かった筈だ。
対する僕は換装待ちの『キャノン』が一つ。
これをどうにかして当てる事ができれば、試合をかなり有利に進める事ができるだろう。
一人。闇の中で手を握る。
その手には二度の武器接触により、強度値を失いつつある一本の剣。
「だけど…」
その事実にニヤリと笑った僕は、消えかけの剣で居合の型を取る。
…強度値は残り僅か。かろうじて存在しているだけのこの剣は、この盤面において途方もない価値がある。
目を瞑り、風の動きを肌で感じる。
煙の重なりを幻視し、何処を斬れば『ケムリ』達が動いてくれるのかを理解する。
「僕は…次元流の剣士だ。」
剣が、空気より重い煙を捉え。ブレる事なく振り切られる。
その軌道をなぞる様に、発生した空気の斬撃が、霧を押しのけながら、横一閃に放たれ。
「ハァ!」
「な!?」
「そこか!『キャノン』!」
空気がモノにぶつかる音。
そして思いもよらない衝撃に、戸惑う声が上がり。
そこへ光弾2発を撃ち放つ。
「く…嘘だろう!?」
「いいや、コレが次元流さ!…ドロー!」
驚愕の色に染まるアオイくんに、自信を持って言葉を返すと。
バトルバンドからカードを引き抜く。
新たに加わったのは『幻想加工』と『再挑戦』のカード。
どちらも僕のデッキの切り札と言ってもいいカードで。
このタイミング。この場面で手札に加わったと言うことは…つまり、そう言う事なのだろう。
思わず、笑みを深めてカードを読み込み。そこにいるであろう友人に笑いかける。
「僕はフィールドの『ケムリ』を『ボム』で『幻想加工』!」
「きたねユニットカード!」
アオイくんの警戒する言葉。
伸ばした手のひらに伝わるフワフワとした感覚に、パチパチと小さな刺激が高まっていく。
「漆黒闇を漂う小さな友達!共に行こう!」
そうして、爆発。
イタズラっぽく笑った煙の妖精が現れると、あちこちのケムリから、次々と炸裂音が聞こえ始める。
「『幻想換装』楽しむよ!『新煙のスモークボール』!」
フィールド中を覆い隠す、圧倒的な暗闇の中。
僕を勝利に導く仲間たちが、今。現れた。
「ここは…カードショップ『炎剣』?」
「ん、私はナナコ。」
「…何か教える?」
「…『黄金の贈り物』について?」
「わかった、説明する」
「『黄金の贈り物』はカード一枚を相手に渡し」
「そのコスト以下のエフェクトカードを発動するカード」
「欲しければあげるよ?」
「いらない…?……そう…。」
「では、次回もバトルスタート」
詳細が気になる陣営は?
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神久
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深淵
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烈火
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大海
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黄金