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※ライフ描写を変更しました。
「「チャージイン!」」
宣言と同時に3枚ドロー。
引いた《再装填》《タネビ》《ヒカリ》の3枚を見て考える。
《再装填》はカードを2枚と2点のコストを支払うエフェクトカード。エフェクトカードである為、スタンバイフェーズにしか発動出来ないがその効果は強力。なんと、5枚ものカードを補充できる。
「助かるわ…」
迷わず換装。
効果が処理され『エナジースフィア』が黄色くなると同時に。
手札が光に消え。新たな5枚を手札に加える。
引いたのは《タネビ》《ヒカリ》《ケムリ》《天の下駄》《秘剣ー緋華ー》の5枚。
切り札である《秘剣》を眺め、思考が加速する。
デッキはここで決めたいらしい。けど…この煙、そしてこの距離。
間違いなくアイツは《次元斬》を使ってくる。
なら、最初に取るべき戦術は…きっとこれだ。
「「チャージエンド!」」
「行くぜ!
「来なさい!
宣言と共にカードを換装。力を足に集中させる様に、大きく屈む。
《天の下駄》は2点のライフコストを基に、とある効果を持つ下駄を換装するアーツカード。
その効果とは…
「ッし!」
脚力の強化…ゲーム風に言えばDEXの強化といったところか。
普段は距離を詰めるのに使うエフェクトを今回は上。空に逃げるため使用する。
煙の中を弾丸の様に飛び出し、空へ舞った瞬間。
煙を巻き込むように振るわれる巨大な斬撃。
地表を横薙ぎに過ぎゆくソレに冷や汗を流しつつ。次の一手に備えて煙の先に立つショウヤへ視線を向けて…
「跳んだな?」
距離的に聞こえないはずの言葉を認識した瞬間。無駄だと思いつつも盾を換装する。
彼の手には漆黒の剣。光を吸収し、全てを拒絶するようなその鋒が、低く構えた男の腰だめから虎視眈々とこちらを狙っている。
「っぅ〜ーーー!次は負けないから!」
そうして、空を駆ける螺旋の突きが、盾モロとも私の体を貫いた。
ーーーーー
スッと剣を鞘に納め、カッコよく残心する。
…いいバトルだった。次元斬はやっぱり最高だな!
「さすが師匠です!あのカリンさんに勝っちゃうなんて!」
そんなこちらにパタパタ駆け寄って来るのは、眼鏡をかけた気弱そうな少年。《
カリンのカードショップ『炎剣』の常連で、この道場の門下生兼居候でもある。
「あれ?でも、なんで《
「あぁ、それは…」
「《ケムリ》。でしょ?」
パサパサと服の埃を弾きながら現れたカリンに、まぁ、わかるよな。と頷き言葉を繋げる。
「おっしゃる通り。《ケムリ》だ。本来なら
「形のない《
「加えて今回は、煙を充満させていた。それゆえの、デカい斬撃ってわけだ」
「流石のアンタもあんなサイズの斬撃は撃てないもの…ぬかったわ」
「うっせ、できらぁ!」
俺たちの説明に、はぇーと目をキラキラさせるキズナの頭をくしゃくしゃにしてやりながらカードデッキを開く。
《ケムリ》は…イラストが変わってるな。
…ヨシっ!
「こいつはお前にやるよ」
「へ!?む、ムリですよぉ!使いこなせないですって!!」
巨大な爆煙のイラストと、煙が宙を薙ぐイラストの《ケムリ》を手に、必死で首を振る弟子の姿にため息を一つ。肩をすくめる。
この子はいつもこうだ、間違い無く良いセンスを秘めてるのに遠慮がちで、自分に自信がない。
目覚ましにデコピンを1発。涙目で見上げる少年に心を鬼にして言葉をぶつける。
「だまらっしゃい!コレは試練だ!不定形の斬撃を操るための、な!」
「し、試練!?師匠が…この僕に!?」
驚愕に目をひろげ、表情を改めたキズナに深く頷く。
一番重要な『形』は示した。後はカードと共にソレを見つけるだけ。
たとえ、ソレが《
大事なのはカードと向き合うこと。
ただそこにある物では無く、共に戦う相棒として意識してやること。それができれば、この子はバトラーとして、また一段成長できる。
「わかり、ました。師匠の期待!必ず応えて見せます!このカードと一緒に!」
希望に満ちた表情でカードを掲げる少年に、俺たちは目を細めて口を開きかける。
…いつか見た誰かの残滓に、頭を振った俺は。再び頭を撫で、くすぐったそうにしてる愛弟子に言葉を紡ぐ。
「期待してるぜ。チャレンジャー」
そう、期待している。いつだって勝利を掴むのは、そう言う奴なのだから。
ーーーー
埃を被った本が幾重にも積み重なる書斎…いや、図書館とでも言おうか。
どことも知れないその空間で、影の様な黒ずくめの男に、いわゆる海賊帽子を身につけた痩せぎすの男が狂気を孕んだ瞳で声をかける。
「ミスト。首尾はどうだ?」
「ええ、順調です。この分なら今月中にでも完成するでしょう。」
「そうか…クックック。あぁそうか!!」
面白くて仕方がないと笑みを浮かべる隻腕の男。
彼の前に置かれているのは霧を纏った『バトルバンド』
それだけでも異様な光景だが。それ以上に理解を拒むのは、そのバンドが腕に装着されて置かれている事。
「ようやく、ようやくだ!やっと俺は…オレ様は進める!やっとあの冒険の続きができる!!」
「ええ、おめでとうございます。きっと彼らも待ち侘びている事でしょう」
「当たり前だッ!!…。チッ、悪いな。興奮しすぎた。」
影の男の何が気に障ったのか、殺気すら感じる声で言葉をぶつけた隻腕の男は、舌打ちをしながら頭を掻く。
その瞳は相変わらず、今を見ている様で見ていない。何か失った幻想を宙に見ているようだった。
「構いませんよ。私だってもううんざりなんです。お気持ちは痛いほど…。」
「そうか…」
二人は静かに空を見上げる。
雲が遮る薄明かりは、静かに彼らを照らしていた。
「それでは失礼します。深淵に祝福を…」
「ぁぁ…懐かしい…!深淵に祝福を!!」
「いらっしゃいませ、カードショップ『炎剣』へようこそ。」
「誰か?ですか?」
「そうですね。通りすがりのカードバトラーですよ。」
「店長さんはお忙しいようなので、本日は私がご案内いたしましょう。」
「今回ご紹介するのは『なれ果てのカード』達について。」
「コスト0強度値0。存在していないカードの成れの果て…」
「誰が言い出したのでしょうね?」
「そんな彼らも、裏側で装填する事で我々を守るため、力の限りを尽くしてくれます。」
「カリンさんはソレを理解して、強度値1の盾として使うことが多いようですが…」
「それでは次回も、バトルスタート!」