『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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後編になります。対戦よろしくお願いします。

※お気に入り、アクセスありがとうございます。
今後とも著作をお楽しみください。


14話「華麗なる強敵!葵」後編

 

辺りを閉ざす闇のトバリの中。

あちこちで小さな爆発音と、ソレをかき消す激しい流水音が鳴り響く。

 

「おいおい、どうなってんだこれ?」

 

ソレを少し遠く。教室の窓から眺める少年…ゴウジの視線の先では。

見覚えのある間欠泉が、次々と『スモークボール』を打ち上げ。

時にアオイ自身を打ち上げる事で、爆発から逃れる様子がマジマジと観察する事ができた。

 

まさに曲芸。攻防一体の水流を操る少年は、その片目に金色の光を宿しながら、楽しそうにカードを引き抜き。

そのカードを視認すると、ピタリとその動きを止め。

ゆっくりとケムリの中へ歩き出した。

 

「まだまだ諦めるには早いよ?アオイ君」

 

対戦相手であるキズナの声が響く。

 

確かにフィールドには未だ濃い煙が広がり、スモークボール達は途切れる事なく自由奔放に弾け、合唱している。

そのくらいには、キズナが有利なわけだ。

 

それでもアオイは。

8体はいたはずのスモークボールを5体まで破壊し。

ライフも、発動コスト以外は消費していない。

 

何かキッカケがあれば逆転すら可能なはずだ。

 

そうして眉を顰める俺のもとへ、何処からか響くパチパチと言う音。

火花の炸裂音とは違う小さな音は、不思議と覗き込む俺のところまで届き。

そこにアオイの声が重なる。

 

「…あぁ…聞こえるかい?この喝采が!」

「アオイくん?」

 

いつもの演劇…と言うには少し様子がおかしい彼へ視線が集まる。

いつのまにか薄くなり始めた煙。

まだ換装限界には早いはずの消滅に警戒を強めるキズナを他所に…。

 

ーー彼は、ゆっくりと手を叩く。

 

「新たなる始まりへ、さぁさ皆様喝采を!」

 

なんとなく、ノリのいい彼らのクラスメイトが拍手を返す。

ソレに優雅に礼を返すアオイ。

そんな彼を目立たせるように、だんだんと薄くなる煙。

 

黄金に染まった彼の瞳が、真っ直ぐにキズナと『スモークボール』の姿を見据えると共に…

 

「起動せよ『クラップアンドリスタート』!」

 

ーー湧き上がった拍手の幻聴。

 

観客席だけでなく、暗闇の中からも発生し続ける手拍子に合わせて。

確かに存在していたはずの『スモークボール』が、次々と煙に戻り消えていく。

 

「!?『スモークボール』が!?」

「このカードの発動時。フィールドのカードは全て手札に戻る!」

 

堂々と言葉を紡ぐ彼の手元現れる、小さな西洋人形。

パッチワークの不完全な『ウツシミ』が、彼と共に手を叩き。

 

「そしてその後。その枚数以下のコストを持つカードを墓地から換装する!」

 

その手の中に、金色に輝く一枚のカードを顕現させる。

 

「今、ここに!『ウツシミ』へ『ネバーエンドアンコール』を『復元加工(リバイバルコーティング)』!」

「ッ!!」

 

浮かび上がり、カードが弾ける。

黄金の粒子が彼を覆い隠し、収束。

そのまま硬化したソレが光を吸収し、辺りが一段階暗くなる。

 

そうして照らされるスポットライト。

連鎖的に様々な角度から一点を照らした、その収束点で。

黄金が弾け、金色の燐光を散らしながら。一人の少年を照らし出す。

 

人形をそっと地面に寝かしつけた、背の伸びた少年。

 

「未だ訪れぬカーテンコール。ソレは誰かの願いの残滓。」

 

白地に青のラインが入った貴族服を身に纏い。

丈の短い上着を肩にかけた彼は、青いマントをはためかせながら。

金と翠のオッドアイを爛々と輝かせ…

 

「ならば、背負って見せよう!このボクが!」

 

血の様に赫い、ボロボロの結晶槍を手に立ち上がる。

 

彼が手に取ると共に、透き通った水色に変わった結晶槍。

そこから逃げるように拡散した赫い光は、彼自身へとこびりつき、紫と赤の暗い色彩へと戦装束を染めていく。

 

ついに彼の瞳が赫く染ったころには、その背から棘の様な翼が。怪しく輝きながら展開され。

 

「『復元換装(リバイバルコンバート)』!『金皇の継承者ナル』!」

 

堂々たる宣言をもって。

結晶纏う王子は此処に顕現した。

 

ーーーー

 

「ッ!一体化するサモンユニット!?」

 

僕は驚愕と共に、すっかり澄み渡った空へ視線を向ける。

ふわりと浮かび上がる彼の周囲には、キラキラと光る結晶片。

赫、青、金の結晶が空いっぱいに広がり、まるで星空の様な美しさに目を奪われそうになる。

 

「さぁ、フィナーレだ。『ディフューズオーロレイン』」

 

そんな輝きの中。宣言と共に落ち行く星の雨。

 

慌てて手札に視線をやるが。

対する僕は、手札に戻った無数の『ケムリ』により、ドローできたのはたった一枚。ソレを確認する暇はなく。全てを装填する。

 

「換装『ケムリ』!」

 

スレスレに突き刺さる結晶槍を転がって回避し、砂煙と共に『ケムリ』をばら撒く。

落ちてきたのは赤の結晶。

 

宙に舞う金の結晶はタネとなる結晶片を生み出し。

青の結晶が、彼を守るように旋回している。

 

ーーそれを見て、唐突に。師匠の言葉を思い出す。

「いいか、キズナ。俺たちに翼はない。」

「斬撃だって飛ばせたとしても、撃ち落とされるリスクがある。」

「なら…跳べ。俺たちには脚がある。」

 

…あの時、師匠の戦ったフィールドには、大小様々な岩山があった。

この場にはそんな物はなく。

あるのはたった今。()()()()()()()()()赤い結晶槍のみ。

 

「…そうか!多重換装『ネバーエンドアンコール』『ケムリ』!」

「アンコールによる耐久…しかしその程度で耐え切れるかな?!」

 

煙の中、スポットライトが僕を照らす。

そこへ目掛けて次々と結晶槍が飛来し…

 

「な!?正気かい!?」

 

ーー僕は、その槍目掛けて足を振り下ろした。

足元には『アンコール』によって付与された強度値を持つ光の煙。

無限に発生し続け、僅かな強度値を持つ煙越しに。

強く踏み込み、次なる槍へと跳躍する。

 

そうして生まれる一つの道。

 

空中に一瞬だけ現れる不安定な道を、間違う事なく駆け抜ける。

 

ーー光の帯を残す疾走。

まるで彗星の様に、煙の帯を描いた僕はその勢いのまま腕を腰だめへ。

全力でもってトリガーを引く。

 

「多重換装!『ケムリ』『再挑戦』!」

 

目の前には、何層にもなる青の壁。

いく手を阻む結晶壁の前に、一筋の彗星が迫り…

 

「『次元斬』!!」

 

彗星から放たれたエネルギーの斬撃が、紙を裂くように結晶を斬り裂いた。

 

ーーー

 

「くく、はーはっは!負けたよ!さすがだキズナクン!」

 

グラウンドにて、いつも以上にキラキラしたエフェクトをかけながら、金と翠のオッドアイのアオイくんが声をかけてくる。

 

……カラーコンタクトってやつかな?…

 

「こちらこそ、いいバトルだったよ!」

「あぁ、またやろうじゃないか!」

「うん!」

 

強く握られた握手。

勝敗を超えた友情に、笑みを深める僕とは対照的に、不機嫌そうに駆け寄ってきたサクラちゃんが口を開く。

 

「またやろう、じゃないですよ!二人ともこんなに怪我して!」

「おや、心配してくれるのかい?嬉しいなぁ」

「アオイさんはオマケです!」

「酷い!?」

 

相変わらず仲良しな二人を笑顔で見ながら、消毒液の痛みに顔をしかめる。

なんて事ない平和な日常だ。

おかしな事もまるでなく。

昨日の夜。師匠が残した置き手紙は、やっぱり杞憂だったのか。と空を見て。気づく。

 

ーーバトルフィールドが消えていない…?

 

微かな違和感。

そうして視線を戻した僕の視線の先で、西洋人形がアオイ君に飛びかかり……

 

「だりゃああああッ!!」

 

ーー凄まじい轟音。

 

二階分の落下エネルギーが込められた大剣の一撃が、不気味な人形を吹き飛ばす。

 

「無事か!お前ら!」

 

戦闘衣に身を包んだゴウジくんが、僕らを守る様に。そこに現れた。

 




「ようこそカードショップ『炎剣』へ」
「今回も、このボクがカードを紹介しよう。」
「今回紹介するのは、『クラップアンドリスタート』」
「フィールドのカード全てを手札に戻し」
「その枚数以下のコストを持つカードを発動できるエフェクトカードだ」
「基本的には相手の武器。一枚だけを戻すから」
「そんなに強くないと思われがちだけど。」
「設置エフェクトや、残存するコスト0のカードを狙えば」
「かなり、高コストのカードを発動できるよ」
「ぜひ、試してみてくれたまえ。」
「では、次回もバトルスタート!」

詳細が気になる陣営は?

  • 神久
  • 深淵
  • 烈火
  • 大海
  • 黄金
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