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辺りを閉ざす闇のトバリの中。
あちこちで小さな爆発音と、ソレをかき消す激しい流水音が鳴り響く。
「おいおい、どうなってんだこれ?」
ソレを少し遠く。教室の窓から眺める少年…ゴウジの視線の先では。
見覚えのある間欠泉が、次々と『スモークボール』を打ち上げ。
時にアオイ自身を打ち上げる事で、爆発から逃れる様子がマジマジと観察する事ができた。
まさに曲芸。攻防一体の水流を操る少年は、その片目に金色の光を宿しながら、楽しそうにカードを引き抜き。
そのカードを視認すると、ピタリとその動きを止め。
ゆっくりとケムリの中へ歩き出した。
「まだまだ諦めるには早いよ?アオイ君」
対戦相手であるキズナの声が響く。
確かにフィールドには未だ濃い煙が広がり、スモークボール達は途切れる事なく自由奔放に弾け、合唱している。
そのくらいには、キズナが有利なわけだ。
それでもアオイは。
8体はいたはずのスモークボールを5体まで破壊し。
ライフも、発動コスト以外は消費していない。
何かキッカケがあれば逆転すら可能なはずだ。
そうして眉を顰める俺のもとへ、何処からか響くパチパチと言う音。
火花の炸裂音とは違う小さな音は、不思議と覗き込む俺のところまで届き。
そこにアオイの声が重なる。
「…あぁ…聞こえるかい?この喝采が!」
「アオイくん?」
いつもの演劇…と言うには少し様子がおかしい彼へ視線が集まる。
いつのまにか薄くなり始めた煙。
まだ換装限界には早いはずの消滅に警戒を強めるキズナを他所に…。
ーー彼は、ゆっくりと手を叩く。
「新たなる始まりへ、さぁさ皆様喝采を!」
なんとなく、ノリのいい彼らのクラスメイトが拍手を返す。
ソレに優雅に礼を返すアオイ。
そんな彼を目立たせるように、だんだんと薄くなる煙。
黄金に染まった彼の瞳が、真っ直ぐにキズナと『スモークボール』の姿を見据えると共に…
「起動せよ『クラップアンドリスタート』!」
ーー湧き上がった拍手の幻聴。
観客席だけでなく、暗闇の中からも発生し続ける手拍子に合わせて。
確かに存在していたはずの『スモークボール』が、次々と煙に戻り消えていく。
「!?『スモークボール』が!?」
「このカードの発動時。フィールドのカードは全て手札に戻る!」
堂々と言葉を紡ぐ彼の手元現れる、小さな西洋人形。
パッチワークの不完全な『ウツシミ』が、彼と共に手を叩き。
「そしてその後。その枚数以下のコストを持つカードを墓地から換装する!」
その手の中に、金色に輝く一枚のカードを顕現させる。
「今、ここに!『ウツシミ』へ『ネバーエンドアンコール』を『
「ッ!!」
浮かび上がり、カードが弾ける。
黄金の粒子が彼を覆い隠し、収束。
そのまま硬化したソレが光を吸収し、辺りが一段階暗くなる。
そうして照らされるスポットライト。
連鎖的に様々な角度から一点を照らした、その収束点で。
黄金が弾け、金色の燐光を散らしながら。一人の少年を照らし出す。
人形をそっと地面に寝かしつけた、背の伸びた少年。
「未だ訪れぬカーテンコール。ソレは誰かの願いの残滓。」
白地に青のラインが入った貴族服を身に纏い。
丈の短い上着を肩にかけた彼は、青いマントをはためかせながら。
金と翠のオッドアイを爛々と輝かせ…
「ならば、背負って見せよう!このボクが!」
血の様に赫い、ボロボロの結晶槍を手に立ち上がる。
彼が手に取ると共に、透き通った水色に変わった結晶槍。
そこから逃げるように拡散した赫い光は、彼自身へとこびりつき、紫と赤の暗い色彩へと戦装束を染めていく。
ついに彼の瞳が赫く染ったころには、その背から棘の様な翼が。怪しく輝きながら展開され。
「『
堂々たる宣言をもって。
結晶纏う王子は此処に顕現した。
ーーーー
「ッ!一体化するサモンユニット!?」
僕は驚愕と共に、すっかり澄み渡った空へ視線を向ける。
ふわりと浮かび上がる彼の周囲には、キラキラと光る結晶片。
赫、青、金の結晶が空いっぱいに広がり、まるで星空の様な美しさに目を奪われそうになる。
「さぁ、フィナーレだ。『ディフューズオーロレイン』」
そんな輝きの中。宣言と共に落ち行く星の雨。
慌てて手札に視線をやるが。
対する僕は、手札に戻った無数の『ケムリ』により、ドローできたのはたった一枚。ソレを確認する暇はなく。全てを装填する。
「換装『ケムリ』!」
スレスレに突き刺さる結晶槍を転がって回避し、砂煙と共に『ケムリ』をばら撒く。
落ちてきたのは赤の結晶。
宙に舞う金の結晶はタネとなる結晶片を生み出し。
青の結晶が、彼を守るように旋回している。
ーーそれを見て、唐突に。師匠の言葉を思い出す。
「いいか、キズナ。俺たちに翼はない。」
「斬撃だって飛ばせたとしても、撃ち落とされるリスクがある。」
「なら…跳べ。俺たちには脚がある。」
…あの時、師匠の戦ったフィールドには、大小様々な岩山があった。
この場にはそんな物はなく。
あるのはたった今。
「…そうか!多重換装『ネバーエンドアンコール』『ケムリ』!」
「アンコールによる耐久…しかしその程度で耐え切れるかな?!」
煙の中、スポットライトが僕を照らす。
そこへ目掛けて次々と結晶槍が飛来し…
「な!?正気かい!?」
ーー僕は、その槍目掛けて足を振り下ろした。
足元には『アンコール』によって付与された強度値を持つ光の煙。
無限に発生し続け、僅かな強度値を持つ煙越しに。
強く踏み込み、次なる槍へと跳躍する。
そうして生まれる一つの道。
空中に一瞬だけ現れる不安定な道を、間違う事なく駆け抜ける。
ーー光の帯を残す疾走。
まるで彗星の様に、煙の帯を描いた僕はその勢いのまま腕を腰だめへ。
全力でもってトリガーを引く。
「多重換装!『ケムリ』『再挑戦』!」
目の前には、何層にもなる青の壁。
いく手を阻む結晶壁の前に、一筋の彗星が迫り…
「『次元斬』!!」
彗星から放たれたエネルギーの斬撃が、紙を裂くように結晶を斬り裂いた。
ーーー
「くく、はーはっは!負けたよ!さすがだキズナクン!」
グラウンドにて、いつも以上にキラキラしたエフェクトをかけながら、金と翠のオッドアイのアオイくんが声をかけてくる。
……カラーコンタクトってやつかな?…
「こちらこそ、いいバトルだったよ!」
「あぁ、またやろうじゃないか!」
「うん!」
強く握られた握手。
勝敗を超えた友情に、笑みを深める僕とは対照的に、不機嫌そうに駆け寄ってきたサクラちゃんが口を開く。
「またやろう、じゃないですよ!二人ともこんなに怪我して!」
「おや、心配してくれるのかい?嬉しいなぁ」
「アオイさんはオマケです!」
「酷い!?」
相変わらず仲良しな二人を笑顔で見ながら、消毒液の痛みに顔をしかめる。
なんて事ない平和な日常だ。
おかしな事もまるでなく。
昨日の夜。師匠が残した置き手紙は、やっぱり杞憂だったのか。と空を見て。気づく。
ーーバトルフィールドが消えていない…?
微かな違和感。
そうして視線を戻した僕の視線の先で、西洋人形がアオイ君に飛びかかり……
「だりゃああああッ!!」
ーー凄まじい轟音。
二階分の落下エネルギーが込められた大剣の一撃が、不気味な人形を吹き飛ばす。
「無事か!お前ら!」
戦闘衣に身を包んだゴウジくんが、僕らを守る様に。そこに現れた。
「ようこそカードショップ『炎剣』へ」
「今回も、このボクがカードを紹介しよう。」
「今回紹介するのは、『クラップアンドリスタート』」
「フィールドのカード全てを手札に戻し」
「その枚数以下のコストを持つカードを発動できるエフェクトカードだ」
「基本的には相手の武器。一枚だけを戻すから」
「そんなに強くないと思われがちだけど。」
「設置エフェクトや、残存するコスト0のカードを狙えば」
「かなり、高コストのカードを発動できるよ」
「ぜひ、試してみてくれたまえ。」
「では、次回もバトルスタート!」
詳細が気になる陣営は?
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神久
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深淵
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烈火
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大海
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黄金