『現実換装!カードバトラーズ!』   作:学び手

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今回から、キズナ視点です。対戦よろしくお願いします。

※お気に入り、しおり登録ありがとうございます。
※ライフ周りの描写を、差し替えました。


3話「対決!転校生ゴウジ!」

 

キーンコーンカンコーン!

 

朝の始まりを告げるチャイムが聞こえ始め、あわてて靴を下駄箱に入れた僕。

武櫂(むかい)キズナ』は廊下を走っていた。

 

…これもみんな師匠のせいだ!

 

わけあって、師匠の下で暮らしている僕は、当番制で朝ごはんの準備をしている。

今日は師匠の番で、朝は少し遅くに目覚ましをかけていたのに…

師匠は昨日帰るのが遅かった、とかで寝坊したのだ。

当然、朝食は無く。

仕方なく僕が用意したところで気づけば、時計は朝の8時。

…遅刻が確定してしまった!

 

ーーうらみますよ!師匠!ーー

 

なんて考えながら走っていたからか…

廊下の角を曲がったちょうどその時。

ドンっ!と言う音と共に前から衝撃…バランスを崩した僕は尻餅をついた。

 

「ご、ごめん!」

「いってぇな…。って大丈夫かよ」

 

ぶつかった衝撃でカードが散らばり、必死にカードを拾い集める僕の姿に、不機嫌そうな顔を心配に変えて手伝ってくれる男の子。

 

「こんくらいでコケるとか、肉食ってんのか?」

「え、あーひとなみには?」

「なら、トレーニングが足りねーよ」

 

力こぶを作って見せつけてくる彼は、眉間に寄った皺をもみほぐすなり、散らばったのがバトルカードだと気づくと、すっかり機嫌を良くしながらカードを拾って渡してくれた。

 

「あ、ありがとう」

「おうよ!気をつけろよ?」

「うん。」

 

同学年だと思う上ばきに、ガッチリした体格。見た事ない子だ。

それにぶつかったのは僕のせいなのに、気づかってくれるなんて…

 

「そ、そうだ。名前っ、!」キーンコーンカンコーン

 

鳴り響くチャイムの音に声がかき消され、男の子の視線が、僕から時計の方に向けられる。

 

「っと、時間が…!またな!」

 

そうして、颯爽と立ち去った彼。

残された僕の手は空を切り、グーパーと手のひらを変えながら見つめるはめになった。

 

友達…。なりたかったなぁ…

 

「ハッといけない、ちこく遅刻!」

 

慌ててカードをまとめた僕は、全てのカードをデッキに戻して走り出す。

長時間デッキに入れてはいけないと言う師匠の言葉も忘れて…

22枚になったデッキは腕の中で頼もしい重さを僕に返してくれた。

 

ーーーー

 

あの後。無事に授業が進み。

3時間目、体育。

今日は隣の5年2組といっしょに、バトルカードの練習だ。

いつもなら数が余るからと先生の方に向かった僕に。

先生から予想外の言葉をかけられる。

 

「キズナくん。大丈夫ですよ?今日から転校生が来ましてね。ちょうど割り切れるんです。」

 

にっこりと優しい笑顔の先生に、絶望した表情の僕。

…知らない子と…バトル!?ただでさえ人見知りの僕が!?

 

「お願いしますね?」

「ぁ、ハイ…」

 

そんな僕の気持ちは知らないとばかりに背を押す先生。

小さな声で返事を返し、気分はドナドナされる羊である。

 

「うっし!待ってたぜ?」

 

そうして立たされた白線の向こうには、すでに準備万端の対戦相手がいた。

体操服の腕から覗く腕は丸太のようで、年上のようなガッチリした体は間違いなく…

 

「あれ?朝の?」

「おう、遠藤豪寺(えんどうごうじ)だ。よろしくな!」

「あ。うん!武櫂(むかい)キズナ。よろしく!」

 

朝の男の子。名前をゴウジくんと言うらしい。

ニカっと笑った彼は年季の入ったバトルバンド……騎士装甲みたいな特注品。を胸の前でグッと見せつけ、カードに指を置く。

 

「早速やろうぜ!」

「あ、うんやろう!」

 

慌てて僕も、バトルバンドのデッキに指を乗せ、声を張り上げる。

 

「「バトルスタート!」」

 

虹の光がふわりと広がり、服が戦うのに相応しい物に変わっていく。

 

 

ーー僕はこの瞬間が好きだ。迷いが消えて、本当の自分になれた気がしてーー

 

 

見に纏うのは動きを重視した軽装の鎧。小豆色(あずきいろ)の衣装に、ウィークポイントを守る装甲が展開され、腕のバトルバンドもそれに合わせた色合いに変化する。

 

「しゃあ!ドローだ!」

 

対する彼は、鈍色(にびいろ)の重装甲。全身を覆うようなソレは、勢いのある彼の性格とは反対の堅実さを感じさせる。

 

「ドロー!」

 

そして僕も後に続くようにカードを引き…

 

「あ、あれ!?」

《ケムリ》《ケムリ》《ボム》

 

引き抜いた、見覚えのないカード達に戸惑い。困惑のままバトルを始めるのだった。

 

ーーーー

 

俺は今。最高にキレていた。

何に?もちろん、ちょこまかと逃げる対戦相手にだ。

 

今日の朝、曲がり角で会った時からナヨッとした奴だとは思っていた。

だが、助け起こした時に握った手は剣士のもので、散らばった《ソード』の輝きからも、期待できるバトラーであるのは間違いなかった。

なのに…

 

「ァアア!ふざけんなよ!なんだよさっきから《ケムリ》って!!俺とは剣を合わせる価値もないってか!!」

 

両手剣《グレートソード》を乱雑に振るい、あたりの煙を吹き飛ばす。

そうして開けた視界から覗くキズナに向かって突撃すれば、再び《ケムリ》に隠される。

 

イライラする。

今だって、攻撃のチャンスはあったはずだ!

煙に隠れて切りかかるでも、距離を取って射撃するでも。どうとでもできたはずだ!

なのにコイツはしない。

俺の換装が解除されるのを待ち、ライフの消費を待ってやがる。

気に入らない。本当に気に入らない。

だから…

 

「もう、遊びはやめだ!チャージイン!」

 

《グレートソード》を換装したまま、このタイミングでのみ効果を発揮するエフェクトカードを装填し、宣言する。

エナジースフィアが黄色くなり、敗北にはいっぽ近づいたが。そんな事は百も承知だ。

 

「《現実加工(リアリティコーティング)》発動!」

「っ!リ、リアリティ・コーティングだって!?」

 

煙の向こうから聞こえる驚愕の声に、ニヤリと笑う。

現実加工(リアリティコーティング)》。コスト3で発動できるエフェクトカード。

その効果は強力で、換装されている武器を対象に5点の強度値を加える事ができる。

使用するとアーツカードを発動出来なくなるが、それは問題ない。なぜなら…

 

「どうした?やりたいんだろ?消耗戦。」

「消耗戦?無理だ。だってもうその剣は消えないじゃ無いか!!」

 

コレにより、《グレートソード》は時間によって解除されなくなったからだ。

どれだけ逃げ回ろうと関係ない。あっちの弾切れまで追いかけて、一撃を叩き込む!

 

「覚悟はできたか?ぶっとばすぜ!!」

 

そうして振るった愛剣は、煙ごと対戦相手を吹き飛ばした。

 

ーーーー

 

木陰にて、スーツ姿の男がカードを見ながら一人呟いていた。

 

「ええ、私です。」

 

いや、正確には、カード型の端末に語りかけていた。が正しい。

落ち着いた様子で身を隠す男は、視界の隅で行われているカードバトルに目を向ける。

 

「次のターゲットが見つかりました。」

「10歳ほどの男の子です。」

 

彼の視線の先には、軽装甲と重装甲の二人の少年。

慣れない様子ながらも手を打つ少年に、ソレよりも強力な力で押し込む若い戦士。

そんな二人を無表情に眺めながら、言葉を続ける。

 

「すぐに分かりますよ。バトルガントレットなんて旧式の装備を使っていますから。」

「えぇ、頼みましたよ。「キャプテンファロー』」

 

そう言葉にして、連絡を終えた男の視界の先に有るのは《グレートソード』。

発動から、3ターン。いまだに消滅しないその剣を、静かに男は見定めていた。

 





「よ、ようこそ、カードショップ『炎剣』へ!」
「そうなんです。今日はお手伝いで…」
「あっ。」
「今日は、『バトルバンド』について紹介しますね!」
「『バトルバンド』は僕たちバトラーの基本装備です!」
「最初は全身をおおう鎧のようなものだったらしいんですが、だんだん小型化が進み。」
「今ではリストバンドにカード読み取り機能がついた、デジタルバンドが基本になっています。」
「さらに、最新型はAIが『換装』までしてくれるのだとか。」
「見てみたいですよね!」
「あ、ごめんなさい。それじゃ、次回も…」
「バトルスタート!」
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