第6話になります。対戦よろしくお願いします。
「この勝負!小生が取り仕切らせていただきます!」
「だれぇ!?」
いつのまにか十幾人かに増えたギャラリーの中。
喜び勇んで飛び出したグルグルメガネの女性に、僕は目を丸くして飛び上がる。
そのまま換装されたデジタルマイクによって店内スピーカーから、ハウリングが響き、耳を塞いだところで。
ようやく周囲の視線に気づいたのか、女性は軽くメガネを動かしながら自己紹介を始める。
「おっと失礼。小生は『MCテルミ』さすらいの解説屋でございますれば…」
パァン!
そんな女性…テルミさんの声を遮り、響く発砲音。
その音に視線が集まれば、海賊がその手に換装した小銃を天井へと掲げており。
荒々しい宣言と共に、その銃口がこちらーーゲンジくんに向けられる。
「御託はいい!ルールは『エリアバトル』!アンティ対象はそこのガキが持つ《現実加工》だ!」
「なら、私は《 》…ふぅん?まだ帰って来てないのね。なら《ヒトダマ》でいいわ」
「黙れェ!そもそもテメェらさえいなけりゃ世界はこんなおかしな事になってねぇんだよ!」
「そう、なら謝るわ。ごめんなさい?」
「ぶっ潰す!」
売り言葉に買い言葉。
怒り狂う海賊男に、冷静な様子の店長は水と油のようで、確かにコレは審判がいないと大変なことになるかもしれない。と、視線をテルミさんに向ける。
「両者、準備はよろしいですね?アンティ対象はデッキへ入れてください。」
「え、でも。コレは父ちゃんの…」
頷いたテルミさんの言葉に、戸惑いの声が一つ。
ゴウジくんだ。いつになく不安そうな彼は、その手に持ったカードを複雑な表情で見つめていた。
「安心なさい。私が負けることはないもの」
「でも…」
変わる事のない事実であると言うように、頷くカリンさん。
安心させるように頭を撫でた彼女は、手を伸ばし…
「そう、不安なのね。なら。」
ゴウジくんの手を拳の形にさせ、コツンと、バトルバンドをつけた拳をぶつけ合った。
「信じなさい。アンタの親が残した。『神久』のエンブレムを!」
そこには、光輪を背負う翼と剣が描かれていた。
ーーーー
「それではよろしいですね!」
「いかなる神の悪戯か!チーム『
遠い記憶を呼び覚まし!あの懐かしい日々を見せてくれ!!それでは〜バトルカード!」
「「バトルスタート!」」
ーーーー
「ククク!スタンバイフェーズに移行!」
引き抜いたカードに俺様はほくそ笑む。
緋華香凜。アイツのバトルは複雑な様に見えて単純だ。
《秘剣ー緋華ー》頼りの一辺倒。
可能な限り墓地を肥やし、その効果で強度値を高めた剣を振る。
わかりやすいが故に、その対策は無数に存在する。
「そのまま《冥府の合わせ鏡》を発動!このカードは宣言したカードが相手のデッキにある場合。そのカードへ変換され、お互いにそのカードを
宙に浮かぶ合わせ鏡。そこに写されたカードが中心で交わり、燃え盛る炎の剣が顕現する。
「な、コレは!」
「クハハハ!そうさ!テメェの大好きな《秘剣ー緋華ー》だ!」
その一つがコレ。
最序盤に切り札を使わせ、本領発揮前に潰す事。
いかに強力なカードと言えその効果が発揮できないこのタイミングで発動してしまえば、木の棒とたいして変わらねぇ。
「対策は万全ってわけね」
「まだ、終わりじゃねぇぜ?《財宝の山》を続けて発動!」
発動と共に姿を現す金銀財宝。
その中から無造作に一つ選んでやると、残った財宝は全て錆びつき、砕け散る。
「これにより、山札の上5枚から一枚を装填し…残りは墓地へ捨てる!」
…『秘剣』のある状態でのコイツだ!
《財宝の山》コストを払い、そのコスト以下のカードを装填するカード。
この時、選ばれなかったカードは墓地に叩き込まれる!
そうして、轟々と燃え始める刀身。
それを見る本来の持ち主は、心底嫌そうに舌打ちを一つ。口を開いた。
「チッ、わかってるじゃない。」
「当たり前だァ!俺様はキャプテンファロー様だからなぁ!」
「なら…私も《再装填》を使わせてもらうわ」
カードが砕けるエフェクトと共に、新たに加わる5枚のカード。…性能ぶっ壊れてねぇかぁ?アレ…まぁいい。
「好きにしやがれ!こっちの墓地は5枚!そっちは3枚!さらに
「なら私は追加でエフェクト発動《妖精の風》デッキから、コスト0のカードを2枚手札に加える」
穏やかな青い風がカリンを中心に集まるようにふき始め。
風に乗ってやってきた2枚の木の葉が、カードとなりその手札に加わる。
「チッ、差は一枚か。俺様はさらに一枚装填してチャージエンド!」
ソレを見届け、最後のカードを装填。バトルバンドを眺めてほくそ笑む。
ククク…くるなら来なァ!
既に俺様のコンボは完成してるんだからなァ!
ーーーー
手札は6枚、ライフは18点。
『秘剣』をぶつけ合った場合。残るのは強度値1の剣。
なら、ガードしてから攻め手に出るのが正解か…
…いや、次に装填されているのが武器な場合、こちらが一手遅れる…なら。
そうして、私がカードを装填したのを見定めると。
男は剣を片手に駆けてくる。
「ラァ!」
「フッ」
振るわれたのは、勢いを乗せた上段斬り。
叩き切るようなその一撃はどちらかというと斧向きだろう。
ソレを流す様に受け流し、返す刀で斬りかかろうとするが、すっと圧力が消え。変わる軌道。合わせて剣を傾け、再び受け流す。
「どうしたどうしたァ!」
「くっ、やりづらい!」
一合、二合と燃え盛る火花が散り。
ついに剣が消滅する瞬間。横に転がった私は、荒々しく振るわれる剣に眉を顰めつつ次の剣を換装する。
「
振るわれる乱雑な太刀筋。
それを冷静に見定めた私は、木刀で切り上げる。
砕け散る『秘剣』ごと腕が跳ね上げられ、ガラ空きになった胴体に、そのまま一撃喰らわせようとして…
「
跳ね上げたはずの腕が下から襲いかかる。
「んな!?きもちわるっ!?」
「褒め言葉として受け取るぜェ!」
まるで人体の構造を無視した軌道。360度回転し、元の位置に腕が戻ってくるなど卓越した剣士でもありえない。
思わずバックステップし、一呼吸。
相手の動きを見ながら口を開く。
「さっきの斬り合いもそうね。カクカクカタカタと軌道が変わる。」
「それがどうした、コレが俺様流剣術って奴だ。」
「もしそうなら褒めてやりたい所だけど、違うわ。だって…」
グッとつま先に力を入れると共に。踵を床へぶつけ、減速。再び地を踏みしめ前へ出る。
「アンタの剣、地に足ついてないもの!」
効果は絶大。用心深く出方を伺っていた男は、ズレたタイミングに対応しきれず。おかしな体勢で受けようとしている。
そこにそのまま。蹴りを叩き込む。
「グッー!?」
吹き飛ぶ体。
そこに追撃と木刀を投げつければ、手品のタネは割れた。
霧を纏った腕。バトルバンドごと自立するソレが、宙に浮かび木刀を叩き落としていた。
「ようこそ、カードショップ『炎剣』へ」
「今回は、『エフェクトカード』について紹介するわ」
「『エフェクトカード』とは、文字通り。効果を発動するカードよ。」
「基本的には、スタンバイフェーズに発動するけれど」
「場合によっては、それ以外でも発動する事ができるわ」
「代表的なのが、罠エフェクトね。」
「コスト値に関わらず1点の盾となる代わりに」
「盾が破壊された時に、効果が発動するわ」
「あとはそうね…」
「多重換装。アレで効果だけ引っ張り出す事も出来なくはないわ」
「不発に終わって、ライフがなくなってもいいなら試してみなさい。」
「それでは次回も、バトルスタート!」