ありふれたヒーローオタクは世界最高を目指す【未完】   作:びよんど

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時系列でいうと、ボロス戦後の翌々日になります。

ハジメ君の朝のルーティーンを見てみましょう。

※8/10更新しました!


プロローグ

 

 

―――A市 ヒーロー協会本部前―――

 

 

AM5:25

 

 

「朝は流石に冷えるな……」

 

 

夏真っ盛りとはいえ、未だ日が顔を覗かせていない時間帯である為か意外なまでの寒さに思わず身体を震わせる青ジャージを着た少年。

 

しかし、今更こんな事でへこたれる程軟弱じゃない、と自分に言い聞かせて目的の人物達を待つ。

 

両親の仕事の手伝いや好きなゲームの時間をなるべく抑えて早寝早起きに努め、無理しない範囲で健康的な生活を続けてきたおかげで、着痩せしているものの()()()とは比べ物にならないほどに筋肉質な肉体を少年は手にしていた。

 

 

「……この街に宇宙船が襲来して来たなんて未だに信じられないな……」

 

 

人的被害が出ていないという意味で、と心の中で注釈した上で、少年はヒーロー達の活躍に思わず拍手したくなる衝動に駆られる。

 

……今こうやっていつも通りの生活を送れているのは、ひとえにヒーロー達が全力を尽くして戦ってくれたからに他ならないと思っている。

 

……実を言うと、怪人災害(ワクチンマン)被災直後のあの()()が強いトラウマとなってしまい、夜も眠れぬ日々が続いていたのだ。

 

 

―――正義の自転車乗り、無免ライダー参上!!!

俺が来たからにはもう大丈夫だッ!―――

 

 

……だからこそ、あの瞬間(とき)の暗闇を光で照らすような、彼の言葉がどれ程の救いとなったか計り知れない。

 

ヒーロー協会本部を見上げながら少年は心の中で改めて誓いを立てる。

 

 

「(無免ライダーさん、僕も貴方のようなヒーローになってみせます……!)」

 

「ハジメ君おはよう! 今日も一番乗りだねッ!」

 

「ッ!? ……あぁ、おはようカオリ!」

 

 

考え事に夢中になるあまり、ピンクジャージを着た美少女…カオリの存在を気取る事が出来なかった青ジャージの少年…ハジメ

 

若干頬を赤らめ深呼吸しているところを見るに、かなりギリギリな時間で来たと察しがつく。

 

しかし、時間どうこうをいちいち指摘する程ハジメは神経質ではない。 ……ぶっちゃけちょっと遅れるくらいなら()()()も許してくれるだろうと確信していたからだ。

 

 

「ふぅ、ごめんね? 今日はいつもよりちょっと起きるのが遅くなっちゃって……」

 

「ううん、時間までに来たんだから偉いよカオリは!」

 

「ふふ…ありがとね、ハジメ君。

そういう優しいところが好きだよ……」

 

「…………ッ!(//////) そ、それほどでもないよ! あ、あの人はまだかなァ!?」

 

「……そこで俺の到着を待つ、かぁ……。

もっと2人だけの世界に浸ってくれても良いんだよ?」

 

「「 キ、キングさんッッ!?!? 」」

 

 

誰もいなかった筈の場所に突然現れる大男。

 

知らぬ者などいない、地上最強の男にして〝最高〟の二つ名を冠するヒーロー協会所属のプロヒーロー―――……その中でも一個師団に匹敵する戦闘能力を誇るS級ヒーローに名を連ねるキングがいたのだから。

 

ただこの2人…ハジメとカオリはそんな超有名人が現れた事への衝撃よりも、単純(シンプル)に誰もいない場所から人が現れた事への驚きの方が大きかったように思える。

 

……それもその筈、この三人、なにも今日初めて会った間柄ではないのだから。

 

 

「ミツゴシで見せてくれたあの恋模様(ラブロマンス)を超える情熱的な愛を見せてくれる―――……のかと思ったら意外と奥手なのね二人とも……。 オジさんガッカリだよぉ」

 

「も、もうッ! からかわないでくださいキングさん!」

 

「そ、それはそうとキングさん、そろそろ始めないと時間が……!」

 

「おっとそうだったね……。

ほんじゃ早速、筋トレをスタートしちゃおっかぁ!」

 

「「 はいッ!! 」」

 

 

キングのかけ声とともに毎日行っている日課の筋トレを始めるハジメとカオリ。

 

勿論キングも一緒になって筋トレをこなす。

 

辛く地味な道のりながらも、ハジメとカオリ、そしてキングは着実に強くなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――A市立高校―――

 

 

「よぉキモオタ! また徹夜でゲームか?

どうせエロゲでもしてたんだろォ?」

 

「うわッ、キモ~。

エロゲで徹夜とかマジキモいじゃん~」

 

 

……朝の筋トレが終わったらキングに()()()()()を施してもらい、一度自宅に戻ってシャワーを浴び、制服に着替えて学校に通う。

 

少し前までの自分だったら始業チャイムギリギリでの滑り込み登校だっただろうが、私生活を抜本的に見直した事で生活リズムが劇的に改善し、時間内に問題なく登校出来るようになった。

 

……徹夜した挙げ句にふらつきながら正義執行するヒーローなんていない。

 

ハジメのヒーロー像は決して安くはないのだ。

 

 

「……おはよう。

ヒヤマ君、サイトウ君、コンドウ君、ナカノ君」

 

「あ"ぁ? キモオタが軽々しく挨拶してく―――……」

 

「おはよう! ヒヤマ君!」

 

「お、おはよう、カオリ……!(///////)」

 

 

学校で常に絡んでくる連中にも()()挨拶するハジメ。

 

返ってきた言葉はやはり罵倒であったが―――……すんでのところでカオリが間に入る事で事なきを得る。

 

 

「ハジメ君おはよう! 今日も早く来れて偉いね!」

 

「お、おはようカオリ……!」

 

 

……事なきを得てないねコレ。

 

クラスの男子連中の殺意を一身に浴びて思わず怯みそうになってしまうハジメ。

 

 

「ねぇ、最近のハジメ君カッコよくない?」

 

「急に凛々しくなったっていうか、イケメン度合いが増したって感じ?」

 

「水泳の授業でチラッと見ちゃったんだけど、腹筋バキバキだったわよ?」

 

「カオリさんと一緒にいる姿、絵になるわァ……」

 

 

……クラスの女子達のヒソヒソ声がよく聞こえる。

 

自分に対する悪感情がなさそうで良かったが、それはそれでクラスの男子達の嫉妬を煽りそうで恐ろしい……。

 

筋トレを続けてきた成果なのか、最近五感が鋭くなり些細な物音にも敏感に反応できるようになってしまった。

 

身長も10cm以上伸びていた。

 

正直クラスメイトの反応よりも自分の身体に何が起こっているのかの方がよっぽど心配であったのだ。

 

そんな時だ、このクラスにおけるスクールカースト上位勢の美男女三名が声をかけてきたのは。

 

 

「ハジメ君おはよう、毎日大変ね」

 

 

三名の中で最初に挨拶をした女子の名前はシズク

 

カオリの親友であり、ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークのカッコいい印象を受ける美少女だ。

 

172cmという女子にしては高い身長と引き締まった体、凛とした雰囲気は侍を彷彿とさせる。

 

実際に彼女の実家は〝ヤエガシ道場〟を営んでおり、彼女自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしという猛者である。

 

現代に現れた美少女剣士として雑誌の取材を受けることもしばしばあり、熱狂的なファンがいるらしい。

 

後輩の女子から熱を孕んだ瞳で〝お姉さま〟と慕われて頬を引き攣らせている光景はよく目撃されている。

 

……しかしハジメは知っている、普段は気丈に振る舞う彼女だが、その心の内にはハジメとは比べ物にならない程のトラウマが刻まれている事を……。

 

チラッと教室全体を見やる。

 

三十数名はいたクラスメイトがいまや20名もいない。

 

さきの怪人災害(ワクチンマン)襲来によって通学途中であった同じ高校の生徒の三分の一が遺体すら残らず()()してしまったのだ。

 

……よりにもよって、()()()()()()()()()

 

現在()()()()()()()()()を服用しながら無理のない範囲で登校しているとカオリから聞かされている。

 

……改めて考えると、今こうやって生きている事自体が奇跡的なワケなのだが、その奇跡を素直に喜べない者もまたいる。

 

 

「カオリ、また彼の世話を焼いているのか? ……全く、本当にカオリは優しいな……」

 

 

なんとも臭いセリフでカオリに声を掛けたのがコウキ

 

いかにも勇者っぽい彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。

 

サラサラの茶髪と優しげな瞳、180cm近い高身長に細身ながら引き締まった体を有し、誰にでも優しく、正義感も強い。

 

小学生の頃から〝ヤエガシ道場〟に通う門下生で、シズクと同じく中々の猛者だ。

 

カオリやシズクとは幼馴染でもあり、ダース単位で惚れている女子がいるそうだが、いつも一緒にいるカオリやシズクに気後れして告白に至っていない子は多いらしい。

 

それでも月2回以上は学校に関係なく告白を受けるというのだから筋金入りのモテ男だ。

 

……そんな彼だが、さきの怪人災害(ワクチンマン)襲来によって一時は両手足を失うほどの瀕死の重傷を負う事となる。

 

最終的にキングによって失われた両手足は再生してもらったものの、何をどう解釈したらそうなるのか、過激なまでの〝ヒーローアンチ〟に成り果ててしまったのだ。

 

曰く、本物のヒーローはタフで力強く、美しく、速やかに、鮮やかに、悪を排除できる存在でなくてはならない―――……との事だが、本人の認識的に無免ライダーはおろかキングですらヒーロー失格との事らしい。

 

ハジメは思う、救えなかった事を責めるよりも救われた事に感謝するべきだろうと。

 

 

「よおハジメ! おはよう!」

 

 

最後に元気に挨拶してきた男子はリュウタロウといい、コウキの親友だ。

 

短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、190cmの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に違わず細かいことは気にしない脳筋タイプである。

 

……偶然キングと一緒に筋トレしている場面を目撃され、〝陰日向で努力している良い奴〟認定を受けて以降、何かと気さくに接してくれている体育会系男子でもある。

 

怪人災害(ワクチンマン)襲来以降、暗い雰囲気を放つ面々が多くいた中、変わらず陽気にクラスを盛り上げてくれる彼の存在は非常に大きかった。

 

……無免ライダーやキングに救われて素直に感謝の意を示せたのもハジメ的には非常にポイントが高いのだ。

 

 

「おはよう、シズクさん、コウキ君、リュウタロウ君」

 

「シズクちゃん!? 大丈夫なのッ!?」

 

「え、ええ、心配かけてごめんなさいねカオリ。

この通り大丈夫だから……」

 

「……つい一昨日の事だろ……。

あんまし無理するんじゃねえぞシズク……」

 

「リュウタロウ、大丈夫、大丈夫だから……」

 

 

シズクの顔色が優れない、誰の目から見ても無理をしているのは明白だった。

 

……無理からぬ話だ。

 

リュウタロウの言う通り、一昨日、このA市をすっぽり覆う程の馬鹿デカい宇宙船が襲来し、体調不良を理由に早退していた途中で運悪く怪人(メルザルガルド)と遭遇し、危うく殺されかけたのだから。

 

幸運にもプロヒーロー達によって救われ、辛うじて命を拾う事は出来たが、シズクの中のトラウマがますます悪化した事は言うまでもない。

 

 

「……カオリだけじゃ飽き足らずシズクまで傷付けるなんて、これだからヒーローは信用ならないんだ……!」

 

「コウキ、それ以上はやめとけよ?」

 

「……ッ。 分かっているよリュウタロウ……」

 

「……そろそろホームルームが始まる時間だな!

みんな、席着こうぜ?」

 

「そ、そうだね。 それじゃカオリ……」

 

「うん、お昼休みにね、ハジメ君」

 

 

思わず暴走しかけたコウキをリュウタロウがすかさず窘めどうにかこの場はお開きにする事が出来たが、当のコウキの表情には不満の感情がありありと現れていた。

 

……その感情の矛先はカオリと仲睦まじそうに話すハジメに向けられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前中の授業が終わり、お昼休みの時間に突入した。

 

ハジメが鞄から取り出したるは10秒でチャージできる定番のお昼(ゼリー)―――……ではなく、バランス良く盛り付けられた普通のお弁当であった。

 

キングから賜った教えの一つに、〝育ち盛りの時期に食べる事で手を抜くな〟というものがある。

 

あくまで無理しない範囲でだが、食べられる時に食べておき、いつでも万全な状態で()()に臨めるようにする事が肝要と教えられている。

 

……ぶっちゃけ10秒チャージで充填(チャージ)できる元気などたかが知れている、ハジメはいつだって飢えているのだから。

 

 

「ハジメ君! 隣良いかな?」

 

「カオリ! もちろん良いよ」

 

 

無論、()()()カオリもそこら辺は抜かりがない。

 

ハジメとともに筋トレに勤しんでいるんだから当然と言えば当然だが、それに加えて休日にハジメ宅で栄養満点なメニューを考案したり、キング直伝のマッサージをハジメで試して習熟に努めたりなどしている。

 

()()()()踏み出せていないだけで、美味しそうに弁当を頬張る2人の雰囲気は、控えめに言って熟年夫婦そのものであった。

 

 

「ハァ、推せる……」

 

「ぐぬぬ、なんでハジメ如きが……!」

 

「心のフォルダーに保存済みィ!」

 

「チッ、キモオタが……!」

 

「グヘヘ、カオリ〜ン……♡」

 

「き、聞こえるよスズ……」

 

 

……好奇の視線に晒されてどうにも落ち着かない。

 

教室でお昼にするべきではなかった、今更ながらハジメは後悔するが時既に遅かった。

 

 

「カオリ、こっちで一緒に食べよう。

……最近ハジメと一緒にいるようだけれど、それはカオリにとって良くない事だ」

 

「……? どういう事なのコウキ君?

私はハジメ君と一緒にいて良くなかった事なんてないんだけれど……?」

 

 

幸せな一時に唐突に現れる闖入者(コウキ)

 

何を言ってるんだコイツ、と言わんばかりに天然気味に答えるカオリにコウキはやれやれ、とまるで何も分かっていない子供に答えを教えてあげる大人のように優しげに語り出した。

 

 

「リュウタロウから話は聞いているよ。

最近、ハジメに朝早くに起こされてヒーロー協会本部前で()()()()と待ち合わせをしていると……!」

 

「うん、キングさんとね」

 

「「「「 え"ッ!?!? 」」」」

 

 

途端に教室内が騒がしくなる。

 

 

「え、え、キングって、あのキングッ!?」

 

「マジかよ、ありえねぇ……!」

 

「カオリさんとハジメ君ってキングさんと知り合いって事ォ!?」

 

「〝A市の救世主〟キングさんと待ち合わせする仲だなんて―――……大スクープもんだぞ!?」

 

「おい! 今すぐ拡散すっぞ!」

 

「……ッ!? キモオタ風情が……ッ!?」

 

 

教室内が動揺に包まれる中、コウキは続ける。

 

 

「カオリ…悪い事は言わない。

もうキングと会わない方が良い。 ……君を巻き込んだハジメとも付き合わない方が賢明だ」

 

「……どういう事……?」

 

 

カオリの纏う雰囲気が険しくなっていく。

 

そんなカオリの様子に気付いていないのか、コウキは更に持論を展開していく。

 

さながらカオリを悪の道から引き離そうとするが如く。

 

 

「落ち着いて聞いてくれカオリ……。

()()()の状況を思い出して欲しい……俺達が文字通り生死の境目を彷徨っていた、ある意味()()()()()()()()でキングが現れた事で命を拾えたワケだが……あまりに不自然だと思わないか?

あまりに出来すぎたタイミングで、シチュエーションで、圧倒的()()を振るう事で事態を無理矢理収めた。

もはや真相は見えたも同然だ。 ……キングは怪人と()()()()()()あのような惨劇を引き起こしたんだ。

そう考えると辻褄が合う事があまりに多すぎる。

許せない……! キングは…あの()()()()はッ!

俺達の期待を裏切ったばかりか怪人を自分の利益の為だけに消費して使い潰していたッ!!

もはやヒーローどころか人間失格……怪人以下の畜生の所業だッ!

俺の言いたい事は分かるかいカオリ? そんな危険人物を君に近付けさせない為に、()()()()言っているんだッ!

ハジメ! 君もまだ間に合う! キングにもカオリにも金輪際近付くなッ! ()()()()思って言っているんだッ!」

 

「「「「 ……………( ゚д゚) 」」」」

 

 

もはや、言葉もなかった。

 

お前はキングに親でも殺されたのか、という位の凄まじい罵倒と怨嗟の叫びを上げたコウキに、教室にいた面々はドン引きしていた。

 

 

「……カオリ、場所を移そうか」

 

「……そうだね」

 

 

何も言うことはない、そう言わんばかりにコウキを無視して場所を移そうとするハジメとカオリ。

 

 

「ま、待ってくれカオリ! まだ言いたいk―――……」

 

「コウキッ! お前流石に言いすぎだぜッ!?

キングがお前の両手足を治してくれた事をもう忘れちまったのかッ!?」

 

「リュウタロウは黙っててくれ!!

俺はカオリと話をしているんだッ!!」

 

「こんの分からず屋がァ……!」

 

「コウキ君! 今のは聞き捨てなりませんよ!

えぇもう!! 先生は怒りましたよ!!」

 

「ッ! アイコ先生………!」

 

 

リュウタロウを振りほどいてカオリに近付こうとしたコウキの前を遮るようにちみっこ教師・アイコが立ちはだかった。

 

さしものコウキも教師であるアイコを無下には出来ない。

 

思わぬ闖入者にコウキはタジタジであった。

 

 

「……ハジメ君、気にする必要はないよ。

無免ライダーさんやキングさんが私達を救ってくれた事は、絶対に無意味じゃないから……」

 

「ッ! ……ありがとう、カオリ」

 

 

……果たして自分達にヒーローに救われる価値があったのか、そんな内心を見透かしたカオリに慰められ、思わず赤面するハジメ。

 

〝見返りを求めた時点でヒーローではなくなる〟

 

昔見た特撮アニメで今でも心に残り続けている言葉であり、ハジメのヒーロー観の根幹を成している。

 

ヒーローとは、無償の善意で人を助ける究極のお節介焼きであると個人的に思っている。

 

……しかし、現実はそんな綺麗事では片付けられない。

 

正直なところ、ハジメだってヒーローとして大成したら金や地位、名声が欲しいと少なからず思っているのだ。

 

自分の命と他人の命を天秤にかけて、なおリスクを背負えるかと問われると何も言えなくなってしまう。

 

だからこそ無免ライダーの()()()()()()高潔な在り方に心惹かれ憧れているワケだが。

 

そんなヒーローに感謝ではなく罵倒で返すような自分達に、救われる価値があったのか。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()、分からなくなってしまう事がある。

 

 

「―――(……分からない、僕はいったいどうすr……)」

 

 

〝凍りついた〟

 

……コウキの足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れた。

 

その異常事態にすぐに周りのクラスメイト達も気が付いたが、全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様―――……魔法陣らしきものに視線が釘付けになる。

 

魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

 

足元にまで異常が迫って来たことでようやく硬直が解け、悲鳴を上げるクラスメイト達。

 

アイコ先生が咄嗟に逃げるよう叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

 

数秒か、それとも数分か―――……

 

光によって真っ白に塗り潰された教室が再び色を取り戻す頃、そこには誰もいなかった。

 

蹴倒された椅子に、食べかけのまま開かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままに、そこにいた人間だけが姿を消していた。

 

 

『A市立高校で謎の大量失踪! 神隠しか!?』

 

 

……この事件は、白昼の高校で起きた集団神隠しとして大いに世間を騒がせるのだが……それはまた別の話。

 




……あらすじにも書きましたが、『ワンパンマン×〝RE〟Y』と世界観を共有しております。

初見さんに親切でない小説を書きましたが、どうしても書きたかったものなので書きました。

……この世界のキングは尖りまくったモヒカンが特徴的な身長256cmもある大男です。

他小説と並行して書いていくので投稿ペースが落ちてしまいますが、あらかじめ御容赦ください。
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