ありふれたヒーローオタクは世界最高を目指す【未完】 作:びよんど
迷宮攻略までかっ飛ばしますよぉ〜!
※8/11更新しました!
―――〝オルクス大迷宮〟 奈落・60階層辺り―――
「クソッ、しつこいな連中!!」
「ちょっとユエ、さっきから血を吸いすぎィ!」
「ん、カオリ美味しい……♪」
「「 ずいぶん余裕そうだねッ!? 」」
現在、カオリはユエを背負いながらハジメとともに猛然と草むらの中を逃走していた。
周りは160cm以上ある雑草が生い茂りカオリの肩付近まで隠してしまっている。
ユエなら完全に姿が見えなくなっているだろう。
そんな生い茂る雑草を鬱陶しそうに払い除けながら、ハジメ達が逃走している理由は―――……
「「「「 シャァアア!! 」」」」
……200体近い魔物に追われているからである。
ハジメ達が準備を終えて迷宮攻略に動き出したあと、10階層ほどは順調に降りることが出来た。
ハジメやカオリの装備や技量が充実し、かつ熟練してきたからというのもあるが、ユエの魔法が凄まじい活躍を見せたというのも大きな要因だ。
全属性の魔法をなんでもござれと言わんばかりにノータイムで使用し、的確にハジメ達を援護する。
ただ、回復系や結界系の魔法はあまり得意ではないためそこはカオリに軍配が上がるとの事。
〝自動再生〟があるからか無意識に不要と判断しているのかもしれない。
もっとも、ハジメ的にはカオリがいてくれるため全く問題としていなかったが。
そんな三人が降り立ったのが現在の階層だ。
まず見えたのは樹海だった。
10mを超える木々が鬱蒼と茂っており、空気はどこか湿っぽいが、以前通った熱帯林の階層と違ってそれほど暑くはないのが救いだろう。
ハジメとカオリ、ユエが階下への階段を探していると、突然ズズンッという地響きが響き渡った。
何事かと身構える三人の前に現れたのは、巨大な爬虫類を思わせる魔物だ。
見た目は完全に恐竜…ティラノサウルスである。
……何故か頭に一輪の可憐な花を生やしていたが……。
鋭い牙と迸る殺気が議論の余地なくこの魔物の強力さを示していたが、つい視線を上に向けると向日葵に似た花がふりふりと動く―――……かつてないシュールさだった。
ティラノサウルスが咆哮を上げハジメ達に向かって突進してくる。
ハジメは〝ドンナー〟を、カオリは〝シュラーク〟を抜こうとして―――……それを制するように前に出たユエがスッと手を掲げた。
「〝緋槍〟」
ユエの手元に現れた炎は渦を巻いて円錐状の槍の形をとり、一直線にティラノサウルスの口内目掛けて飛翔し、あっさり突き刺さりそのまま貫通。
周囲の肉を容赦なく溶かして一瞬で絶命させた。
ドッシイィィン……
地響きを立てながら横倒しになるティラノサウルス。
……そして、頭の花がポトリと地面に落ちた。
「「 ……… 」」
いろんな意味で思わず押し黙るハジメとカオリ。
最近、ユエ無双が激しい。
最初はカオリとともにハジメの援護に徹していたはずだが、何故か途中からハジメに対抗するように先制攻撃を仕掛け魔物を瞬殺するのだ。
……もとい、正確にはハジメではなくハジメから聞かされていた顔も知らぬ竜殺しの
奈落の魔物相手に互角以上に渡り合える強さを持っているというのに、ハジメの話しぶりから察するにいまだハジメはキングの足元にも及んでいないのかもしれないのだ。
道中、ハジメの強さを間近で見てきたユエにしてみればそれがあまりに信じられなかったのだ。
だからこそチャンスであると思ったユエ。
実力を高めつつ、ハジメとカオリに自分のカッコいいところをアピールして〝キングなんかより傍にいる私の方が役に立つ!〟…という確固たる事実を
既にハジメ
ハジメは抜きかけの〝ドンナー〟を懐に仕舞い直すと苦笑いしながらユエに話しかけた。
「えぇと、ユエ?
張り切るのはいいんだけれど―――……最近、あまり動いてない気がするんだ、僕達」
ユエは振り返ってハジメを見ると、無表情ながらどこか得意げな表情をする。
「……私、役に立つ。
……ハジメとカオリのパートナーだから」
短いながらもハジメとカオリに対する独占欲が如実に表れた言葉に、少なからず劣情が湧き上がる二人であったが、なんとか理性で抑え込む。
「(……確か、一蓮托生のパートナーなんだから頼りにしているみたいな事を言ったような……?)」
その時はユエが、魔力が枯渇するまで魔法を使い戦闘中にブッ倒れてちょっとした窮地に陥ってしまい、何とか危機を脱した後、その事を酷く気にしていたので慰める意味で言ったのだが、思いの外深く心に残ったようである。
パートナーとして役立つところを見せたいのだろう。
「ハハ、もう十分に役立ってるって。
ユエは魔法が強力な分、接近戦は苦手なんだからカオリと一緒に後衛を頼むよ。
……前衛は僕の役目だからね」
「……ハジメ……ん……(´・ω・`)」
ハジメに注意されてしまい若干シュンとするユエ。
ハジメは、どうにもハジメとカオリの役に立つことに拘り過ぎるきらいのあるユエに苦笑いしながら、彼女の柔らかな髪を撫でる。
それだけでユエはほっこりした表情になって機嫌が戻ってしまうのだから、ハジメとしてはもう何とも言えない。
カオリに後ろから揉みくちゃにされているユエを眺めていると、ハジメの〝気配感知〟に続々と魔物が集まってくる気配が捉えられた。
10体ほどの魔物が取り囲むようにハジメ達の方へ向かってくる。
統率の取れた動きに、〝二尾狼〟のような群れの魔物か?と訝しみながらユエを促して現場を離脱する。
数が多いので少しでも有利な場所に移動するためだ。
円状に包囲しようとする魔物に対しハジメは、その内の一体目掛けて自ら突進していった。
そうして、生い茂った木の枝を払い除け飛び出した先には、体長2m強の爬虫類…例えるならラプトル系の恐竜のような魔物がいた。
……頭からチューリップのような花を咲かせて。
「……かわいい」
「……なんなの?」
「……もしかして……」
ユエが思わずほっこりしながら呟き、カオリは訝しみ、ハジメは一つの仮説を導き出す。
ラプトルは、ティラノサウルスと同じく〝花なんて知らんわ!〟…とでも言うのように殺気を撒き散らしながら低く唸って臨戦態勢に入る。
花はゆらゆら、ふりふりしているが……。
「シャァァアア!!」
ラプトルが、花に注目して立ち尽くすハジメ達に飛びかかろうとして―――……
ドパンッ
……すかさずハジメは神速の早撃ちで
発砲音と同時にチューリップの花が四散する。
ラプトルは一瞬ビクンと痙攣したかと思うと、地面を転がり動きを止めた。
シーンと静寂が辺りを包む。
トコトコとハジメの傍に寄ってきたユエは、ラプトルと四散して地面に散らばるチューリップの花びらを交互に見やった。
「……死んだ?」
「イヤ、まだ生きてるよ」
……ハジメの見立て通り、ピクピクと痙攣した後、ラプトルは起き上がり辺りを見渡し始めた。
そして、地面に落ちているチューリップの花を見つけると歩み寄り―――……親の仇と言わんばかりに踏みつけ始めた。
「……もしかして、あの花に寄生されてたのかな」
「……あり得る」
「だとすると何処かに本体があるのかも」
ラプトルは花を一通り踏みつけて満足したのか、如何にも〝ふぅ~いい仕事したぜ!〟…と言わんばかりに天を仰ぎ鳴き声を上げた。
そして、ふと気がついたようにハジメ達の方へ顔を向けビクッとする。
ドパンッ
「……カオリ、容赦なさすぎ」
「どっちにしても脅威に変わりないから、正当防衛って奴だよユエ?」
こちらに顔を向けたラプトルの口にすかさず〝シュラーク〟の電磁加速された弾丸を叩き込んだカオリに思わずツッコミを入れるユエ。
弾丸によって口内を蹂躙され、勢いそのままに後頭部を貫かれ絶命したラプトルの死体を見ながら何とも言えない顔になるハジメ。
「……魔物が流石に哀れ」
「……カオリ、すっかり逞しくなって……」
「……もう! ドンドン取り囲まれてるよ、急ごう!」
カオリの言う通り、包囲網がかなり狭まってきていたので急いで移動しつつ有利な場所を探っていく。
程なくして直径5mはありそうな太い樹が無数に伸びている場所に出た。
隣り合う樹の太い枝同士が絡み合っており、まるで空中回廊のようだ。
ハジメとカオリは〝空力〟で、ユエは風系統の魔法で頭上の太い枝に飛び移る。
ハジメはそこで集まってきた魔物達を頭上から狙い撃つつもりなのだ。
5分もかからず眼下に次々とラプトルが現れ始めた。
「……どいつもこいつも頭に花がある、動きも何処かぎこちないし間違いないね。 先に本体を潰すか―――……イヤ、ある程度間引いた方が良いな」
「ハジメ! ユエ!
30―――……40以上の魔物が追加で接近してきてる!
私達を全方位から取り囲むように集まってきてるよ!!」
「……逃げる?」
「……イヤ、この密度だと既に逃げ道がない。
一番高い樹の天辺から殲滅した方が良いかもしれない」
「ん……私に任せて……!」
「うん、任せたよユエ!!」
ハジメとカオリ、ユエは高速で移動しながら周囲で一番高い樹を見つける。
そして、その枝に飛び乗り、眼下の足がかりになりそうな太い枝を砕いて魔物が登って来にくいようにした。
ハジメは〝ドンナー〟を構えながら静かにその時を待つ。
ユエがハジメとカオリの服の裾を掴んだのが分かった。
少しだけ体を寄せると、ユエの掴む手が少し強くなった。
そして、第一陣が登場した。
ラプトルだけでなくティラノサウルスもおり、ティラノサウルスは樹に体当たりを始め、ラプトルは器用に鉤爪を使ってヒョイヒョイと樹を登ってくる。
ハジメは〝ドンナー〟の引き金を引いた。
発砲音と共に閃光が幾筋も降り注ぎ鉤爪で樹にしがみついていたラプトルを一体も残さず撃ち抜く。
撃ち尽くした〝ドンナー〟からシリンダーを露出させると、即座に排莢し再装填する。 ……この間2秒。
その隙を埋めるようにカオリが〝シュラーク〟を発砲。
……こっそりハジメが落としておいた〝焼夷手榴弾〟が爆発し、辺り一面が炎熱地獄と化す。
そして、再度〝ドンナー〟を連射する…これを繰り返すだけで既に20体は屠ったハジメとカオリだが、その顔に満足感はない。
眼下には40体を超えるラプトルと10体のティラノサウルスがひしめき合い、ハジメ達のいる大木をへし折ろうと、あるいは登って襲おうと群がっているからだ。
「……ハジメ?」
「まだだ、もうちょい……」
ユエの呼び掛けに冷静に答えるハジメ。
ユエはハジメを信じてひたすら魔力を集束させていく。
そして遂に、眼下の魔物が総勢70体を超え、多すぎて判別しづらいが、事前の〝気配感知〟で捉えた魔物の数に達したと思われたところで―――……ハジメはユエに合図を送った。
「ユエ!」
「んっ! 〝凍獄〟!」
ユエが魔法のトリガーを引いた瞬間、ハジメ達のいる樹を中心に眼下が一気に凍てつき始めた。
ビキビキッと音を立てながら瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物に到達すると花が咲いたかのように氷がそそり立って氷華を作り出していく。
魔物は一瞬の抵抗も許されずに、その氷華の柩に閉じ込められ目から光を失っていった。
氷結範囲は指定座標を中心に50m四方……〝殲滅魔法〟と呼ぶに相応しい威力である。
「ハァ……ハァ……」
「お疲れ様、流石は〝吸血姫〟だね」
「スゴい、ユエってホントに強いんだね!」
「……くふふ……!」
周囲一帯が氷結地獄と化した光景を見て混じりけのない称賛をユエに贈るハジメとカオリ。
ユエは〝最上級魔法〟を使った影響で魔力が一気に消費されてしまい肩で息をしている。
恐らく酷い倦怠感に襲われていることだろう。
カオリは傍らでへたり込むユエの腰に手を回して支えながら、首筋を差し出す。
吸血させて回復させるのだ。
〝神水〟でもある程度回復するのだが、吸血鬼としての種族特性なのか全快になるには酷く時間がかかる。
やはり血が一番良いようだ。
……ちなみにユエ曰く、ハジメの血の味は何種類もの野菜や肉をじっくりコトコト煮込んだスープのような濃厚で深い味わいで、カオリの血の味はむせ返る程芳醇で甘美な天上酒のようで少し酔っ払ってしまうらしい。
ユエは、ハジメとカオリの称賛に僅かに口元を綻ばせながら照れたように〝くふふ〟…と笑いを漏らし、差し出された首筋に頬を赤らめながら口を付けようとした―――……
「カオリ、ユエ、更に倍の数が押し寄せて来た。」
「「 ッッ!? 」」
……それを止めるように突如ハジメが険しい表情で二人に声をかける。
「……あの花を寄生させている本体を見つけて倒さない限り、延々と泥仕合を強いられ続けるな……」
ハジメ達は物量で押しつぶされる前に、恐らく魔物達を操っているであろう魔物の本体を探すことにした。
……でなければ、とても階下探しなどしていられない。
引き続きカオリにユエを任せ、ハジメ達は本体探しに飛び出していった。
そして冒頭。
ハジメ達は現在、200近い魔物に追われていた。
草むらが鬱陶しいと言って、吸血は済んでいるのにユエはカオリの背中から降りようとしない。
後ろからは魔物が―――……
ドドドドドドドドドドドドドドドッ
……と、地響きを立てながら迫っている。
背の高い草むらに隠れながらラプトルが併走し四方八方から飛びかかってくる。
それを迎撃しつつ、探索の結果、一番怪しいと考えられた場所に向かいひたすら駆けるハジメとカオリ。
ユエも魔法を撃ち込み包囲網に穴を空けていく。
カプッ、チュー♡
ハジメ達が睨んだのは樹海を抜けた先、いま通っている草むらの向こう側にみえる迷宮の壁、その中央付近にある縦割れの洞窟らしき場所だ。
何故その場所に目星をつけたのかというと、襲い来る魔物の動きに一定の習性があったからだ。
ハジメ達が迎撃しながら進んでいると、ある方向に逃走しようとした時だけやたらと動きが激しくなるのだ。
まるでその方向には行かせまいとするかのように。
……このままアテもなく探し続けても魔物が増え続けるだけなので、イチかバチかその方向に突貫してみることにしたのだ。
ハジメとカオリは〝空力〟で跳躍し、〝縮地〟で更に加速する。
カプッ、チュー♡
「ユエ!? さっきからちょくちょく私の血を吸うの止めてもらえないッ!?」
「……不可抗力」
「イヤイヤ、殆ど消耗してないでしょユエ?」
「……ヤツの花が……私にも……クッ!」
「やれやれ―――……イヤ、まさか、な……?」
こんな状況にも関わらず、カオリの血に夢中のユエ。
元・王族なだけあって肝の据わり方は半端ではないらしい。
そんな風に戯れながらもきっちり迎撃し、ハジメ達は200体以上の魔物を引き連れたまま縦割れに飛び込んだ。
縦割れの洞窟は大の大人が二人並ぶと窮屈さを感じる狭さだ。
ティラノサウルスは当然通れず、ラプトルでも一体ずつしか侵入できない。
何とかハジメ達を引き裂こうと侵入してきたラプトルの一体が鉤爪を伸ばすが、その前にハジメの〝ドンナー〟が火を噴き吹き飛ばした。
そして、すかさず錬成し割れ目を塞ぐ。
「……これで取り敢えず大丈夫、かな」
「……お疲れ様」
「そう思うなら、そろそろカオリから降りてあげない?」
「……むぅ……仕方ない」
ハジメの言葉に、ホント~に渋々といった様子でカオリの背から降りるユエ。
余程、カオリの背中は居心地がいいらしい。
「……あの魔物達の様子を見るに、ここに本体があるかもしれない。 ……用心して行こう」
「うん、ハジメ」
「ん」
錬成で入口を閉じたため薄暗い洞窟を三人は慎重に進む。
しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。
広間の奥には更に縦割れの道が続いており、もしかすると階下への階段かもしれない。
ハジメは辺りを探る。
〝気配感知〟には何も反応はない―――……
「ッッ!! 伏せろ、二人ともッッ!!!」
「「 ハジメッ!? 」」
……猛烈に嫌な予感がした場所……奥の縦割れの暗がりに向けて反射的に〝焼夷手榴弾〟を投げ入れる。
少し時間を置いて爆発、そして燃焼―――……
『ギャアアァァァァアアァァァァ!!!』
……轟々と燃え盛る奥の縦割れから全身黒焦げの人型の
……人型とは言ったが、放つ殺気と雰囲気から人間でないのは明らかだった。
ドパンッ
間髪入れずに〝ドンナー〟を発砲、頭部を柘榴状に破裂させ絶命させた。
「……ハジメ、アレはいったい……?」
「……もしかしたらあの魔物達に花を寄生させていた本体かもしれない。
……猛烈に嫌な予感を覚えてほぼ反射的に攻撃したけど、どうやらそれで良かったみたいだね……」
「……ひとまず、一安心?」
「油断ならないけどね、気を引き締めていこうか」
「うん!」
「……ん!」
……寄生タイプの魔物(推定)を炙り出した末に撃ち殺してから随分経った。
順調に迷宮攻略に勤しんでいた三人は遂に、次の階層でハジメとカオリが最初にいた階層から100階層目になるところまで来た。
その一歩手前の階層でハジメは装備の確認と補充にあたっていた。
相変わらずカオリとユエは飽きもせずに錬成作業に勤しむハジメの横顔を見つめている。
もはや恒例行事と化している微笑ましい光景だが、今回ばかりは少し緊張して手元が震えているハジメ。
「(もう僕は、自分の心に嘘をつかない……ッ!
僕は―――……カオリとユエが好きなんだ……ッ!
……ヘタれるな僕! 告白……するんだッ!!)」
カオリとユエとの馴れ初め自体は決して良いものとは言えなかったが、互いの背中を預け合い、共に戦い抜く中で仲間以上の想い…異性として強く惹かれるまでにハジメの中ではかけがえのない存在へと昇華していたのだ。
「カ、カオリ、ユエ……ッ! 少し良いかなッ!?」
「……なぁに?」
「……ん、どうしたの?」
「つ…次で100階層目になるけれど、もしかしたらここにいる誰かが力及ばす倒れてしまうなんて事があり得るかもしれない……ッ!
も…勿論、そんな事にならないように全力を尽くすけれど、念の為に、思い残しがないように今だけは本音をぶつけ合わないかな……ッ!?」
遠回しにしても程があるだろ、ハジメは自分の不器用さに内心毒づく。
これは流石に引かれると思ったハジメだったが―――……
ムニュ♡
ムニュ♡
……ハジメの言葉を受けたカオリとユエは、おもむろにハジメの両隣まで移動し、自分のウエストより太いハジメの逞しい腕に胸を押し当てて耳元で囁くように告げる。
「良いよ。 ……私はハジメとユエが好き。
……この気持ちは誰にも譲りたくないくらい、ね……♡」
「……私はハジメとカオリが好き……。
……ハジメは、私の事、好き?」
ハジメは改めて誓った、クラスメイトの皆を連れて必ず元いた世界に帰ってみせると。
そして―――……
「カオリ、ユエ、僕は君達の事が好きだ。
この気持ちに嘘はない、だからこそ誓うよ。
……君達をこの世界から連れ出して、必ず世界一幸せな女の子にしてみせるって」
カオリとユエを逆に抱き返し二人の耳元で力強く告げる。
「君達の幸せの一部になれる、そんな〝最高〟の
「「 ハジメ………♡ 」」
……事実上のプロボーズをハジメから受けたカオリとユエの瞳にハートマークが浮かび上がったのは、きっと気の所為ではないだろう。
……意識してか、それとも無意識にか、ハジメと自分達の身に纏っているもの全てをゆっくり脱がしていくカオリとユエ。
奈落に来てから一度も入浴していない三人の身体からは、むせ返る程の体臭と濃密なフェロモンが放たれており、決して広くはないこの空間を一瞬にして〝異世界〟に早変わりさせてしまう。
「ハジメ……私達は三人で〝最高〟になれるよ……♡」
「……一つに、なろ♡」
「うん、僕達で……世界を越えよう……ッ!」
三つの影が、一つに重なった。
異世界〝トータス〟にて、〝最高〟のヒーローチームが誕生した瞬間である。
キング「フフ、ニヤニヤが止まらないねぇマキちゃん?」
タツマキ「フッ、ダメでしょタロくんそんなにニンマリしちゃあの子達に失礼よ……?」
キング「マキちゃんこそ、ニンマリしちゃってるよ?」
※ハジメ君達のラブラブ度合いに、ついつい口角が吊り上がってしまうダメな大人達です。