ありふれたヒーローオタクは世界最高を目指す【未完】   作:びよんど

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シア達の身にいったい何が!?…って話です。

白河上皇さん、誤字報告ありがとうございます。

※8/13更新しました!


十七話目 シア・ハウリアの事情

 

 

―――〝ライセン大峡谷〟―――

 

 

「とりあえず、君の知っていること全てを嘘偽りなく話してもらうよ。

その上で君の家族を助けるかどうかを決める。

もし少しでも嘘をつけば、迷いなく君達を見捨てるからそのつもりでね」

 

 

ハジメ自身、ヒーローとして最低な言い回しをしている自覚はあったが、仲間であるカオリユエの身の安全を図るため断腸の思いで目の前にいるウサミミ娘…シアに対し冷酷に振る舞う。

 

ハジメから醸し出される真剣さしか感じないオーラに当てられ何かを察したのか、シアはその佇まいを正し、改めてハジメ達に向き直り告げる。

 

 

「改めまして、私は兎人族ハウリアの長の娘シア・ハウリアと言います。 実は―――……」

 

 

語り始めたシアの話を要約するとこうだ。

 

シア達〝ハウリア〟と名乗る兎人族達は〝ハルツィナ樹海〟にて数百人規模の集落を作りひっそりと暮らしていた。

 

兎人族は、聴覚や隠密行動に優れているものの、他の亜人族に比べればスペックは低いらしく、突出したものがないので亜人族の中でも格下と見られる傾向が強いらしい。

 

性格は総じて温厚で争いを嫌い、一つの集落全体を家族として扱う仲間同士の絆が深い種族だ。

 

また、総じて容姿に優れており、エルフのような美しさとは異なった可愛らしさがあるので、帝国などに捕まり奴隷にされたときは愛玩用として人気の商品となる。

 

そんな兎人族の一つ、ハウリア族に、ある日異常な女の子が生まれた。

 

兎人族は基本的に濃紺の髪をしているのだが、その子の髪は青みがかった白髪だったのだ。

 

しかも、亜人族には無いはずの魔力まで有しており、直接魔力を操る術と、()()()()()()()まで使えたのだ。

 

当然、一族は大いに困惑した。

 

兎人族として、イヤ、亜人族として有り得ない子が生まれ、あまつさえ魔物と同様の力を持っているなど、普通なら迫害の対象となるだろう。

 

しかし、彼女が生まれたのは亜人族一家族の情が深い種族である兎人族―――……百数十人全員を一つの家族と称する種族なのだ。

 

ハウリア族は女の子を見捨てるという選択肢を持たなかったが、樹海深部に存在する亜人族の国〝フェアベルゲン〟に女の子の存在がバレれば間違いなく処刑される。

 

魔物とはそれだけ忌み嫌われており、不倶戴天の敵なのである。

 

国の規律にも魔物を見つけ次第、できる限り殲滅しなければならないと有り、過去にわざと魔物を逃がした人物が追放処分を受けたという記録もある。

 

また、被差別種族という事もあり、魔法を振りかざして自分達亜人族を迫害する人間族や魔人族に対してもいい感情など持っていない。

 

樹海に侵入した魔力を持つ他種族は、総じて即殺が暗黙の了解となっているほどだ。

 

故に、ハウリア族は女の子を隠し、16年もの間ひっそりと育ててきた―――……が、先日とうとう彼女の存在がばれてしまった。

 

その為、ハウリア族は〝フェアベルゲン〟に捕まる前に一族ごと樹海を出たのだ。

 

行く宛もない彼等は一先ず北の山脈地帯を目指すことにした、山の幸があれば生きていけるかもしれないと考えたからだ。

 

未開地ではあるが、帝国や奴隷商に捕まり奴隷に堕とされてしまうよりはマシだ。

 

しかし、彼等の試みはその帝国により潰えた。

 

樹海を出て直ぐに運悪く帝国兵に見つかってしまったからだ。

 

巡回中だったのか訓練だったのかは分からないが、一個中隊規模と出くわしたハウリア族は南に逃げるしかなかった。

 

女子供を逃がすため男達が追っ手の妨害を試みるが、元々温厚で平和的な兎人族と魔法を使える訓練された帝国兵では比べるまでもない歴然とした戦力差があり、気がつけば半数以上が捕らわれてしまった。

 

全滅を避けるために必死に逃げ続け、〝ライセン大峡谷〟に辿り着いた彼等は、苦肉の策として峡谷へと逃げ込んだ。

 

流石に、魔法の使えない峡谷にまで帝国兵も追って来ないだろうし、ほとぼりが冷めていなくなるのを待とうとしたのである。

 

魔物に襲われるのと帝国兵がいなくなるのとどちらが早いかという賭けだった。

 

しかし、予測に反して帝国兵は一向に撤退しようとはしなかった。

 

小隊が峡谷の出入り口である階段状に加工された崖の入口に陣取り、兎人族が魔物に襲われ出てくるのを待つ事にしたのだ。

 

そうこうしている内に案の定、魔物が襲来した。

 

もう無理だと帝国に投降しようとしたが、峡谷から逃がすものかと魔物が回り込み、ハウリア族は峡谷の奥へと逃げるしかなかった。

 

そうして追い立てられるように峡谷を逃げ惑い―――……

 

 

「……気がつけば60人はいた家族も、今は40人程しかいません。

このままでは全滅です。 どうか助けて下さい!」

 

 

悲痛な表情で懇願するシア。

 

どうやらシアは、ユエやカオリ、ハジメと同じこの世界の例外というヤツらしい。

 

特に、ユエと同じ先祖返りと言うやつなのかもしれない。

 

話を聞き終わったハジメが最初に感じたのは〝怒り〟であった。 当然シアに対する怒りではない。

 

 

「(存在する事が罪になるのか? 存在しているだけで隷従を強いられるのは当然の事か? ……そんな事があってたまるか、この娘やこの娘の一族は正しい選択をしただけでこんな窮地に追いやられたんだ……ッ!)」

 

 

あくまで自分の信じる〝正義〟に照らし合わせて判断しただけ、と心の中で前置きしつつ、シアと視線を合わせるように身を屈める。

 

 

「樹海から追放されて、帝国にも追われて、仮にこの峡谷から脱出出来たとしても、君達はまた僕に助けを求めるだろうね。

〝今度は北の山脈に連れて行って下さい〟…とか」

 

「うっ……」

 

「ハッキリ言って、()()()を抱えながら旅が出来るほど僕達は余裕があるワケじゃないんだよ。」

 

「そんな、でも、守ってくれるって視えましたのに!」

 

「……それ、どういう意味?

……君の固有魔法と関係があるのか?」

 

 

一見冷たく振る舞うハジメに涙目で意味不明なことを口走るシア。

 

……そう言えば、何故シアが仲間と離れて単独行動をしていたのかという点も疑問である。

 

その辺りの事も関係あるのかとハジメは尋ねた。

 

 

「え? ……あ、はい。

〝未来視〟と言いまして、仮定した未来が見えます。

もしこれを選択したら、その先どうなるか、みたいな。

あと、危険が迫っているときは勝手に見えたりします。

まぁ、見えた未来が絶対と言うワケではないですけど―――……そ、そうです! 私、役に立ちますよ!

〝未来視〟があれば危険とかも分かりやすいですし!

少し前に見たんです! 貴方が私達を助けてくれている姿が! 実際、ちゃんと貴方に会えて助けられました!」

 

 

シアの説明する〝未来視〟は、彼女の説明通り、任意で発動する場合は、仮定した選択の結果としての未来が見えるというものだ。

 

これには莫大な魔力を消費する。

 

一回で枯渇寸前になるほどであり、また、自動で発動する場合もある。

 

これは直接・間接を問わず、シアにとって危険と思える状況が急迫している場合に発動する。

 

これも多大な魔力を消費するが、任意発動程ではなく三分の一程消費するらしい。

 

どうやらシアは、元いた場所でハジメ達がいる方へ行けばどうなるか? ……という仮定選択をし、結果、自分と家族を守るハジメの姿が見えたようだ。

 

そして、ハジメを探すために飛び出してきた。

 

こんな危険な場所で単独行動とは、よほど興奮していたのだろう。

 

 

「そんなすごい固有魔法を持ってて、何でバレたの?

危険を察知できるなら〝フェアベルゲン〟の人達にもバレなかったんじゃないの?」

 

 

ハジメの指摘に〝うっ!〟…と唸った後、シアは目を泳がせてポツリと零した。

 

 

「じ、自分で使った場合はしばらく使えなくて……」

 

「バレた時、既に使った後だったと―――……何に使ったの?」

 

「ちょ~とですね、友人の恋路が気になりまして……」

 

「………………そうなんだ(´・ω・`)」

 

「うぅ~猛省しておりますぅ~」

 

 

〝敢えてそこは触れないようにしよう〟…と、呆れて半眼になりながらも親切心を見せたハジメにシアが泣きながら縋り付く。

 

 

「お願いしますぅ〜! 貴方に見捨てられたら私達、ホントに終わってしまいますぅ〜!!」

 

「……話はまだ終わっていないから最後まで聞いて。

君にはあーだこーだ言っちゃったけど、結論から言って君達を助けようと思ってる」

 

「ッ!? 最初から貴方の事良い人だと思ってました!

ありがとうございます!! ありがとうござ―――……」

 

「……そして、君達を樹海の案内人として雇う。

報酬は君達の命だ」

 

「じゅ、樹海の案内!? わ、分かりました……ッ!」

 

 

樹海は亜人族以外では必ず迷うと言われているため、兎人族の案内があれば心強い。

 

樹海を迷わず進むための対策も一応考えていたのだが、若干乱暴なやり方であるし確実ではない。

 

最悪の場合、現地で亜人族に銃を突き付けて道を聞き出す選択肢も考慮していただけに、自ら進んで案内してくれる亜人がいるのは正直言って有り難かった。

 

ただ、さっきから自分一人で勝手に話を進めてカオリとユエの意思を蔑ろにしかけていた事に気付いたハジメ。

 

後ろを振り返ったハジメに、カオリとユエは真っ直ぐな瞳を向けて告げた。

 

 

「ハジメ、私達は大丈夫だから、ね?」

 

「……ん、私達は最強」

 

 

愛おしい恋人達の許しを得て、改めてシアに向き直るハジメの瞳には既に迷いはなかった。

 

 

「……樹海の案内が終わるまでは君達は必ず守り通す。

それから先の事は―――……僕の管轄外だ」

 

「そ、そんな……ッ!?」

 

「だから、悩んでいる暇なんてないんだ。

今、君達がこんな状況に陥っているのは君達自身が()()()()()()()()()()()からに他ならないと僕は思っている」

 

「ッ!?」

 

「いいかい、家族と再会したらこう言うんだ。

〝今こそ戦うべき時だ〟…とね。

……これが僕が君達に提示する条件だ」

 

 

〝ライセン大峡谷〟において強力な魔物を片手間に屠れる強者が一族の生存を約束した事実に、シアは飛び上がらんばかりに喜びを顕にした。

 

 

「あ、ありがとうございます!

うぅ~、よがっだよぉ~、ほんどによがったよぉ~!」

 

 

ぐしぐしと嬉し泣きするシア。

 

しかし、仲間のためにもグズグズしていられないと直ぐに立ち上がる。

 

 

「あ、あの、宜しくお願いします!

そ、それで御三方の事は何と呼べば……?」

 

「ん? ……そう言えばまだ名乗ってなかったね。

……僕はハジメ。 ヒーローを名乗っているよ」

 

「カオリだよ。 ハジメと同じヒーローだよ」

 

「……ユエ。 私もヒーロー」

 

「ヒーロー……? ともあれ、ハジメさんとカオリさんとユエちゃんですね」

 

 

三人の名前を何度か反芻し覚えるシア。

 

しかし、ユエが不満顔で抗議する。

 

 

「……さんを付けろ。 残念ウサギ」

 

「ふぇ!?」

 

 

ユエらしからぬ命令口調に戸惑うシアは、ユエの外見から年下と思っているらしく、ユエが吸血鬼族で遥に年上と知ると土下座する勢いで謝罪した。

 

そんなシアに対してユエは、おもむろにシアの顔を自分に向けさせ、次の瞬間、シアの唇に自分の唇を押し付け、舌で舌を絡め取り、濃厚なディープキスをかましたのだ。

 

何秒か、何分か、永遠に感じられた時間はユエが一方的にシアの唇から唇を離した事で打ち切られる事となった。

 

 

「……これから、失礼を働くたびに〝お仕置き〟する。

精々気を付ける事、分かった……?」

 

「ふへ……? ふぁ、ふぁい……」

 

「……シア、取り敢えず君はこっちに乗るといいよ」

 

 

……ついさっき知り合った兎娘すら性対象にするユエの見境のなさに辟易しつつ、ハジメはシアに指示を出す。

 

シアは色んな意味で大いに戸惑っているようだった。

 

それも無理はない―――……なにせ自分のファーストキスをついさっき知り合った絶世の美少女に奪われてしまったのだから。

 

この世界に存在しないであろう〝魔力駆動二輪〟などと言う乗り物が霞んで見えてしまうくらいの衝撃だったろう。

 

 

「カオリ、そっちの運転頼むよ」

 

「アレ? ハジメは?」

 

「別に作ってあるから問題ないさ」

 

 

何らかの乗り物である事は分かってくれたようで、シアは恐る恐るカオリの後ろに跨るユエの後ろに跨った。

 

とある魔物の革を使ったタンデムシートだが、ユエが小柄なので十分に乗るスペースはある。

 

シアは、シートの柔らかさとユエから発せられる心地良い甘い匂いに驚きつつ、前方のユエに捕まった。

 

……その凶器(むね)を押し付けながら。

 

 

「……もっと、強くしがみつかないと、危ない」

 

「は、はいですぅ〜!」

 

 

ボミュウゥゥゥ

 

 

「……ッ♡ もっと、強く……♡」

 

「は、はいぃ〜!!」

 

 

背中に伝わる感触にビクッとしたユエは、もっと自分にしがみつくようにシアに命令して密かに彼女の柔らかな身体を堪能する。

 

しれっと前方にいるカオリの胴体にしがみつきカオリの柔らかさと香りを堪能する事も忘れない。

 

この場における勝者はユエであった。

 

そんな光景を苦笑いしながら見ていたハジメは、おもむろに〝宝物庫〟から〝魔動自転車〟を取り出し跨る。

 

すると唐突にシアはハジメ達に疑問をぶつける。

 

 

「あ、あの、助けてもらうのに必死でつい流してしまったのですが、この乗り物? 何なのでしょう? それに、ハジメさんもカオリさんも魔法使いましたよね? ここでは使えない筈なのに……」

 

「……えぇと、それは道中でね?」

 

 

そう言いながら、カオリは〝魔力駆動二輪〟を一気に加速させ出発した。

 

続くようにハジメも自転車のペダルを漕ぎ出していく。

 

悪路をものともせず爆走する乗り物に、シアはユエに強くしがみつきながら〝きゃぁああ~!〟…と悲鳴を上げた。

 

地面も壁も流れるように後ろへ飛んでいく。

 

谷底では有り得ない速度に目を瞑ってギュッとユエにしがみついていたシアも、しばらくして慣れてきたのか、次第に興奮して来たようだ。

 

カオリがカーブを曲がったり、大きめの岩を避けたりする度にきゃっきゃっと騒いでいる。

 

ハジメは、道中〝魔力駆動二輪〟の事やカオリが魔法を使える理由、ハジメの武器がアーティファクトみたいなものだと簡潔に説明した。

 

すると、シアは目を見開いて驚愕を表にした。

 

 

「え、それじゃあ、御三方も魔力を直接操れたり、固有魔法が使えると……?」

 

「そうなるね」

 

「うん」

 

「……ん」

 

 

しばらく呆然としていたシアだったが、突然、何かを堪える様にユエの後頭部に顔を埋めた。

 

そして、何故か泣きべそをかき始めた。

 

 

「……どうしたのいきなり?」

 

「どこか具合の悪いところでもあるの?」

 

「……手遅れ?」

 

「手遅れって何ですか! 手遅れって!

私は至って正常です! ……ただ、一人じゃなかったんだなって思ったら、何だか嬉しくなってしまって……」

 

「「「 ……… 」」」

 

 

どうやら魔物と同じ性質や能力を有するという事、この世界で自分があまりに特異な存在である事に孤独を感じていたようだ。

 

家族だと言って16年もの間危険を背負ってくれた一族、シアのために故郷である樹海までも捨てて共にいてくれる家族、きっと多くの愛情を感じていたはずだ。

 

それでも―――……イヤ、だからこそ、〝他とは異なる自分〟に余計孤独を感じていたのかもしれない。

 

シアの言葉に、ユエは思うところがあるのか考え込むように押し黙ってしまった。

 

いつもの無表情がより色を失っている様に見える。

 

ハジメとカオリには何となく、今ユエが感じているものが分かった。

 

恐らくユエは自分とシアの境遇を重ねているのではないだろうか。

 

共に、魔力の直接操作や固有魔法という異質な力を持ち、その時代において〝同胞〟というべき存在は居なかった。

 

だが、ユエとシアでは決定的な違いがある。

 

ユエには愛してくれる家族が居なかったのに対して、シアにはいるということだ。

 

それがユエに、嫉妬とまではいかないまでも複雑な心情を抱かせているのだろう。

 

しかも、シアから見れば、結局、その〝同胞〟とすら出会う事が出来たのだ。

 

中々に恵まれた境遇とも言える。

 

 

「もっとスピード出すよ、ユエ、しがみついてて?」

 

「……ん」

 

 

そんなユエにカオリは自分にしがみつくよう催促する。

 

文明が発達した豊かな世界で何の苦労もなく親の愛情をしっかり受けて育ったカオリには、〝同胞〟がいないばかりか、特異な存在として女王という孤高の存在に祭り上げられたユエの孤独を、本当の意味では理解できない。

 

それ故、かけるべき言葉も持ち合わせなかった。

 

出来る事は、〝今は〟一人でないことを示す事だけだ。

 

色んな意味ですっかり変わってしまったカオリだが、いまだにその優しさは失われていなかった。

 

そんなカオリの気持ちが伝わったのか、ユエは無意識に入っていた体の力を抜いて、より一層カオリに身体を預けた。 ……まるで甘えるように。

 

 

「あの~、私の事忘れてませんか?

ここは〝大変だったね。もう一人じゃないよ。傍にいてあげるから〟…とか言って慰めるところでは?

私、コロっと堕ちちゃいますよ? チョロインですよ? なのにせっかくのチャンスをスルーして、何でいきなり2人の世界を作っているんですか! 寂しいです! 私も仲間に入れて下さい! ハジメさんも何か―――……」

 

「あ〜、え〜と、二人とも? たぶんあと少しで着くと思うから戦闘準備しておいてね……?」

 

「うん、了解!」

 

「……残念ウサギ、あとで〝お仕置き〟……ッ!」

 

「ひゃう!?」

 

 

泣きべそかいていたシアがいきなり耳元で騒ぎ始めたので、思わずカオリとユエを窘めるハジメ。

 

ユエに〝お仕置き〟宣言される何とも不憫なシアであったが、シアの売りはその打たれ強さ。

 

内心では既に〝まずは名前を呼ばせますよぉ~せっかく見つけたお仲間です。逃しませんからねぇ~!〟…と新たな目標に向けて闘志を燃やしていた。

 

しばらく走行していると、遠くで魔物の咆哮が聞こえた。

 

どうやら相当な数の魔物が騒いでいるようだ。

 

 

「ッ! カオリさん!

もうすぐ皆がいる場所です! あの魔物の声―――……ち、近いです! 父様達がいる場所に近いです!」

 

「飛ばすよ! しっかり掴まってて!!」

 

 

カオリは魔力を更に注ぎ、〝魔力駆動二輪〟を一気に加速させた。

 

ハジメも続くように追走する。

 

壁や地面が物凄い勢いで後ろへ流れていく。

 

そうして走ること二分。

 

ドリフトしながら最後の大岩を迂回した先には、今まさに襲われようとしている数十人の兎人族達がいた。

 




申し訳ありません、投稿遅れてしまいました。
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