ありふれたヒーローオタクは世界最高を目指す【未完】   作:びよんど

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長老会議があじまるって話です。

オリジナル展開あります。


二十一話目 長老会議

 

 

―――〝ハルツィナ樹海〟―――

 

 

「―――(……やれやれ、かなり面倒な事になったな)」

 

 

ハジメは自分達を取り囲む〝ハウリア〟ではない方の亜人達の警戒するような視線に思わず辟易しそうになる。

 

 

「下手な動きはするなよ。 我らも動かざるを得ない」

 

「……分かってますよ」

 

 

〝フェアベルゲン〟の警備隊長を務める虎の亜人…ギルがハジメ達への恐怖を押し殺しながら静かに告げる。

 

 

「(攻撃されそうになったとはいえ最大出力の〝威圧〟を放ったのはちょっとやりすぎだった気も……。

まぁ、攻撃されずに済んでいるのは良い事だけど。

……でも、う〜ん、大樹に行ければそれでいいのに、()()って人を待たなくちゃならないのがなぁ……)」

 

 

最初、人間である自分よりも人間を連れて樹海に侵入した〝ハウリア〟に敵愾心を向けて攻撃しようとしてきたのだからハジメとしてはたまったものではなかった。

 

ゆえの〝威圧〟であったが―――……いまここにいる亜人達にとっては十分過ぎる程の効果を発揮してしまった。

 

 

「(もしあのまま恐怖のあまりダンマリを決め込まれていたら無理矢理口を割らせるしか方法がなくなっていた、あの虎の人に感謝だな)」

 

 

〝何が目的だ?〟…と話を振ってくれたからこそ自分達の考えを打ち明ける事ができ、友好的とは言わずとも今すぐ攻撃されるような差し迫った状況に陥るのを防げた。

 

だからこそハジメは、ギルが本国へ指示を仰ぎ長老が来るまでの間ここで待っていて欲しいという彼の権限を逸脱しないギリギリの妥協案を受け入れたのだ。

 

ギルの顔を立てた形となったが、それもかれこれ小一時間も経てば流石に飽きも回ってくるもの。

 

カオリはいま、ハジメの手を握りながら物凄く優しげな表情でずぅ〜っとハジメを見つめている。

 

ユエはカオリの反対側…ハジメの左隣でその左腕に両腕を絡めながら非常にリラックスした様子で寛いでいた。

 

二人とも、時折頭を撫でるとネコみたいなリアクションを取ってくれるのが非常に愛らしい、とはハジメの談。

 

シアはそんな三人の様子を羨ましく見つめ、耐えられなくなったのか〝私も〜〟…と言ってユエの背中に巨乳を押し付けながらしがみついた。

 

カム達は、同じ亜人族に厳しい目を向けられている事もあってかシア達以外をなるべく見ないようにしていた。

 

シアを見て楽しげに微笑むその表情は、どこか痛々しく、なんとも居心地悪そうなものだった、とはハジメの談。

 

亜人達は、敵地のド真ん中でイチャつくハジメ達に呆れの視線を向ける。

 

ちょうど一時間経った頃か、調子に乗ってカオリにまでちょっかいをかけ始めたシアが、ユエに〝お仕置き〟と称してハジメですら腰が抜けかける程のディープキスを息継ぎなしで実行され〝ギブッ♡ ギブッですぅ♡〟…と必死にタップし、挙句に腰砕けになっている様子を周囲の亜人達が凝視していると、急速に近づいてくる気配を感じた。

 

場に再び緊張が走る。

 

シアの脳内には快感が走る。

 

 

「(ようやくお出ましか、彼らが―――……)」

 

 

霧の奥から数名の新たな亜人達が現れた。

 

彼等の中央にいる初老の男が特に目を引く。

 

流れる美しい金髪に深い知性を備える碧眼に、吹けば飛んで行きそうな軽さを感じさせる身の細さ。

 

威厳に満ちた容貌は幾分シワが刻まれているものの、逆にそれがアクセントとなって美しさを引き上げていた。

 

何より特徴的なのがその尖った長耳だ。

 

彼は、いわゆる森人族(エルフ)なのだろう。

 

ハジメは瞬時に、彼が()()と呼ばれる存在だろうと推測した。

 

結論から言って、その推測は当たりのようだ。

 

 

「ふむ、お前さんが問題の人間族かね?

……名は何という?」

 

「ハジメです。 ……貴方が長老ですね?」

 

 

ハジメの物怖じしない態度に周囲の亜人が〝長老になんて態度を!〟…と憤りを見せる。

 

それを片手で制すると、森人族の男性も名乗り返した。

 

 

「うむ、私はアルフレリック・ハイピスト。 〝フェアベルゲン〟の長老の座を一つ預からせてもらっている。

さて、お前さんの要求は聞いているのだが―――……その前に聞かせてもらいたい。

……〝解放者〟とは、ブラストとは何処で知った?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――〝フェアベルゲン〟―――

 

 

「……なるほど。 試練に〝神代魔法〟、それに〝神〟の盤上か―――……」

 

 

自然と調和した美しい〝フェアベルゲン〟の街並みもそこそこに、現在ハジメ達はアルフレリックと向かい合って話をしていた。

 

内容は、ハジメがオスカー・オルクスに聞いた〝解放者〟の事や〝神代魔法〟の事、自分が異世界の人間であり〝七大迷宮〟を攻略すれば故郷へ帰るための〝神代魔法〟が手に入るかもしれない事、そして―――……ブラストについて等だ。

 

ちなみに、アルフレリックはこの世界の〝神〟の話を聞いても顔色を変えたりはしなかった。

 

 

「(〝この世界は亜人族に優しくはない〟…か。

……よくよく考えれば当然だよな。 自分達を助けない神様なんて信仰する気にもなれないだろうし、そもそも現状が変わるワケでもない、自然くらいしか信仰できるものがないっていうのも頷ける……)」

 

 

ハジメ達の話を聞いたアルフレリックは、〝フェアベルゲン〟の長老の座に就いた者に伝えられる掟を話した。

 

それは、この樹海の地に〝七大迷宮〟を示す紋章を持つ者が現れたら、それがどのような者であれ敵対しない事。

 

そして、その者を気に入ったのなら望む場所に連れて行く事という何とも抽象的な口伝だった。

 

〝ハルツィナ樹海〟の大迷宮の創始者リューティリス・ハルツィナが、自分が〝解放者〟という存在である事(〝解放者〟が何者かは伝えなかった)と、仲間の名前と共に伝えたものなのだという。

 

〝フェアベルゲン〟という国ができる前からこの地に住んでいた一族が延々と伝えてきたのだとか。

 

 

「(〝敵対しない〟…って言うのは、つまりは忠告なんだろうな。 ……迷宮の試練を乗り越えた実力者とバカ正直にやり合うなと。

アルフレリックさんが指輪の紋章に反応してたのも、大樹の根元に()()()()()()()()()()石碑があったからだって言うし、ほぼ確実に()()()だな―――)……僕は、有資格者というワケですね」

 

「うむ、とはいえ全ての同胞達が事情を知っているワケではない。 お前さん達の滞在に理解を求めるため、今後についてよく話し合いをしておきたい」

 

「分かっています。 大樹の周囲の霧が薄れるまでの10日間だけでも滞在を許してもらえるようちゃんと事情説明をしていきま―――……ん?」

 

 

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

 

 

ハジメとアルフレリックが話を詰めようとしたその時、何者かが騒がしく階下から登ってくる音が聞こえた。

 

ハジメ達とアルフレリックがいる最上階にまで登ってきたのは、大柄な熊の亜人であった。

 

非常に殺気立った様子でアルフレリック()()()()ハジメに迫り問い詰める。

 

 

「おい小僧、話は兎人族から聞かせてもらった。

ぐだぐだ話すつもりはない、俺からの要求はただ一つだけ―――……ブラストの居所を教えろ」

 

 

瞬間、その場に緊張が走る。

 

辛うじて表情には出さなかったものの、内心ハジメは激しく動揺していた。

 

 

「(なんでブラストの居所を知りたがっているんだこの人は? ……ぶっちゃけ居所なんて全く分からないけど、プラスには働かないよな、この様子じゃ―――)……知ってどうするんですか」

 

「聞かれた事だけに答えろ。 〝知らない〟…なんて抜かしたらお前をぶん殴るだけだ」

 

「……よせジン、いま優先すべきはそんな事ではない」

 

「俺にとっては大事な事だアルフレリック、黙っていろ。

……さあ、どうなんだ……ッ!」

 

 

熊の亜人…ジンから凄まじい威圧感と殺気が放たれる。

 

ハジメの傍らに控えていたカオリとユエはいつでも戦闘体勢に入れるよう神経を研ぎ澄ませる。

 

先程の和やかな雰囲気とは打って変わって一触即発な状況に早変わりしてしまった事にアルフレリックは頭を抱えている。

 

そんな地獄絵図の中、ハジメだけはジンの()()を察したのか、ジンと真っ向から対峙するように立ち上がった。

 

 

「「 ハジメ!? 」」

 

 

当然カオリとユエは驚いたが、ハジメは敢えて今だけは彼女達の反応を無視し、ジンの顔だけを見る。

 

ジンの表情は怒り一色に染まっている―――……ように見えてその実、これ以上ないほどに真摯に、かつ真剣に自分の言葉を待っているようにハジメの目には映って見えた。

 

ジンのその真剣さの真意をいまだに計りかねていたハジメだったが、ここは嘘偽りなく話さなければならないと自らの直感に従って口を開く。

 

 

「……オスカー・オルクスの口から名前と功績が告げられただけで、彼の現在の居所を示すような事は何一つ話しませんでした」

 

「ッ!! ふざけるな小僧―――……」

 

「……しかし、最後にこう締めくくったんです―――……〝紛れもなく最高の英雄(ヒーロー)だった〟…と」

 

「……ッ!」

 

「貴方がブラストにどんな感情を抱いているかは知りません。 かくいう僕もブラストの事を全く知りませんが、これだけは断言できます―――……」

 

「………」

 

「……〝解放者〟達と肩を並べて戦い、強大な敵に立ち向かい、世界に平和をもたらそうとした英雄(ヒーロー)を貶めるような真似は、誰であろうと決して許しはしない。

……仮にもし悪意をもってブラストの行方を探しているというのなら、貴方は僕の〝敵〟だ」

 

「……俺に手を出せば〝フェアベルゲン〟も敵に回す事になるぞ、それでもか?」

 

 

若干冷静さを取り戻したジンの一言に対し、小さく溜息を吐きながらそれでも話を続けるハジメ。

 

 

「無論。 ……ですが、大事な事をまだ聞けていません。

貴方にとってブラストは、どういう存在なんですか?

……曲がりなりにもヒーローを志す者として、貴方から見たブラストの真実を知りたいんです」

 

「……ブラスト、奴は―――……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブラスト! オレもっとブラストと冒険したいよ!

なんでついてきちゃダメなの!?』

 

『……ジン、キミには帰るべき場所がある、これ以上両親を心配させてはいけないよ』

 

『ヤダよ! あんなところに帰りたくない!

父ちゃんも母ちゃんも兄ちゃん達も、オレの事を〝子供(ガキ)〟だってバカにするんだ! オレは立派な大人なのに!』

 

『キミは―――……まだ子供だ』

 

『え……』

 

『それに加えて弱い、正直キミのような()()()を抱えたまま冒険するなど御免だ―――……』

 

『う、う、うわあぁぁぁぁん!!!

ブラストなんて大っきらいだあぁぁぁ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……小僧、喧嘩別れをしたっきり一度も会っていない()()はいるか?」

 

「え、いませんけど……?」

 

「……さっき言ったな、ブラストに対して悪意があるのかどうか。 ……そんなに聞きたいなら教えてやる。

ブラストに会ったら俺は―――……アイツを思いっきりぶん殴ってやるつもりだ……ッ!!

 

「ッ! それって―――……」

 

()()として、アイツをぶん殴ってやるんだ……ッ!!

 

「……え?」

 

 

ジンの言葉に思わずキョトンとしてしまうハジメ。

 

事の成り行きを見守っていたアルフレリックはやれやれと頭を振っている。

 

 

「……話せば長くなるから詳細は省くが、ガキの時分に俺は親の言いつけも守らず樹海の外に出て奴隷商に捕まった事がある」

 

「そんな事が……」

 

「〝亜人に自由なんてもんはない〟…モノみてえに馬車に詰められてモノみてえに運ばれながら俺は自分の末路に絶望しきっていた、その時だった―――……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『怪我はないか、少年?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ジン曰く、奴隷商から自分を助け出してくれたブラストとの束の間の対話は、間違いなく人生最良の瞬間であったと言う。

 

なにせ自分とは住んでいる世界が違うのだから、ブラストの一語一句全てがジンにとって全くの未知(言葉はちゃんと理解できる)であり、その未知がジンの少年心を強く駆り立てブラストに様々な質問を投げかけさせたのだ。

 

ブラストは面倒臭がらず律儀にそれら質問に答えてくれたらしい。

 

まるで夢でも見ているような幸せな問答の末に〝フェアベルゲン〟の近くまで辿り着いてしまったジンは、何処かへ行こうとするブラストになんとかついていこうと駄々をこねまくったが聞く耳を持ってはくれず、挙句の果てには〝お荷物〟呼ばわりしてさっさと何処かに消えてしまったとの事。

 

ジンはとても悔しかった。

 

〝友達〟と思っていた相手から〝お荷物〟と思われていた事もだが、何より当時の自分がブラストと肩を並べられる強さを持ち合わせていなかった事が大きい。

 

〝フェアベルゲン〟に帰還して以降、ジンは人が変わったように鍛練に打ち込んだ。

 

あの日の悔しさをバネにして、とにかく自分をひたすら追い込み続けた。

 

いつかブラストが言った〝お荷物〟発言を撤回させるため、そして何より対等な〝友達〟になるために。

 

やがて一族どころか〝フェアベルゲン〟全体で見ても最強クラスの戦士になった頃には、あの日の思い出も忘却の彼方に追いやられ、結婚して子供ができ孫ができ―――……年月を経てすっかりブラストの事など忘れかけていた頃に、耳を疑う事件が起こった。

 

〝忌み子〟…シア・ハウリアの露見である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジン、正気か……ッ!?

自分が何を言っているのか分かっているのかッ!?」

 

「俺はいたって正気だ。

お前達にとっては酷な話かもしれんが……」

 

「……これは〝フェアベルゲン〟建国以来の一大事だね……」

 

 

現在、当代の長老衆である熊人族のジン、虎人族のゼル、翼人族のマオ、狐人族のルア土人族(ドワーフ)グゼ、そして森人族のアルフレリックらがハジメと向かい合って座っていた。

 

ハジメの傍らにはカオリとユエ、カム、シアが座り、その後ろにハウリア族が固まって座っている。

 

だが、そんなハジメ達を置いてけぼりにする勢いで長老会議は荒れに荒れまくっていた。

 

 

「グゼ、一旦落ち着け」

 

「逆に何故お前は落ち着いていられるのだアルフレリック!? ……あ、あれほど国の事を思っていたジンが乱心したのだぞ!?」

 

「……ジンは取り乱してなどおらぬ。

ただ、我らより先に()()に至っただけの話だ」

 

「……そもそもだ、ジンの語るブラストなる人間族の言葉が信じられるものとは到底思えん」

 

「……ゼルに同意ね。

過去の記憶から掘り起こした不確かな言葉だけでは……」

 

「そ、そうだジン! いま一度考え直せ!!

……あの〝忌み子〟が、我ら亜人族の救世主になるなど……ッ!!

 

 

グゼに〝忌み子〟と指差されたシアは思いっきり身体をビクッと震わせる。

 

〝うおっほん!〟…とわざとらしく咳き込んで再び注目を集めたジンは話を続ける。

 

 

()()()()()亜人族は魔力を持たないのか?〟…確かに、俺の記憶があやふやである事は認める。

……当時の事はつい最近まで忘れていたからな」

 

「そ、それなら―――……」

 

「……しかし、あやふやながらも当時を思い出せた事、そして、そこの兎人族の娘の存在によって、俺達亜人族を取り巻く状況が如何におかしいものであったか、今更ながら気付く事が出来たのだ」

 

「……この地に眠る大迷宮と、リューティリス・ハルツィナの存在が肝だね?」

 

「そうだルア。 ……大迷宮を攻略した者には()()()()が与えられる。

……恐らくは創始者の〝神代魔法〟がだ、分かるか?」

 

「ジン、いったい何を―――……イヤ、まさか、そんな、あ、有り得てなるものか、そんな事が……ッ!!」

 

 

グゼの表情がみるみる内に青褪めていく。

 

次いでゼルとマオもようやく()()()気が付いたのか、現実逃避気味に頭を振りながら小さく〝有り得ない〟…と壊れたように繰り返し連呼した。

 

アルフレリックとルアは険しい面持ちではあったものの、思い当たる節があったからか比較的ダメージは少ないように見えた。

 

長老衆の反応を一通り見たジンは驚くくらいアッサリと自分が行き着いた()()を口にする。

 

 

「どういうワケか魔力を()()()()()()()()()()()現在の亜人族の中から生まれてきた、先祖返りと言っても過言ではない()()()()()()()兎人族の娘を俺達は魔物と同類であると決めつけ一度はこの国から追放してしまった……。

……大迷宮を創り上げた偉大なるリューティリス・ハルツィナと比肩する存在かもしれんのにだ。 ……俺達長老衆の罪は計り知れないほど重い……」

 

 

ジンの言葉に、長老衆はただただ呆然とする他なかった。

 

否定の言葉が頭の中を駆け巡っては消えていく。

 

誰よりも〝フェアベルゲン〟の事を思っていたジンが発する言葉だからこそ、否定したくともしきれないジレンマとして重くのしかかっていたのだ。

 

 

「あの、少しいいですか?」

 

 

……すっかりお通夜みたいな空気と化してしまった長老会議の場にハジメの声が響く。

 

〝少しは空気を読めやゴラァ!!〟…と言わんばかりにキッとハジメを睨み付ける長老衆であったが、アルフレリックとジンは何も言わずハジメに向けて首肯した。

 

 

「……結局のところ〝ハウリア〟を―――……シアをどうするつもりなんですか?」

 

「……いますぐにでも救世主として祭り上げる―――……のは現実的とは言えん。

なにせ魔力を持つ同胞への差別意識は根深いからな。

ここにいる連中が動かずとも俺は()()つもりだが、どうしても説得には時間がかかる。

……最終的な判断は兎人族に委ねる事になるだろう」

 

「「「「 ッッッ!?!? 」」」」

 

 

自分達には選択する余地などないと思っていたばかりに、事の成り行きを見守っていた〝ハウリア〟の面々は目を剥く勢いで驚愕を露わにした。

 

シアにいたっては〝本気で言っているのか?〟…と言わんばかりにジンの顔を二度見してしまっている。

 

……徐々にざわつき始めた周囲にアルフレリックは深い溜息をつく。

 

〝もっと段階を踏んでから〜〟…などと思いながらも、アルフレリックは現時点での妥協案をハジメや〝ハウリア〟の面々に提示する。

 

 

「……大樹の元に行けるまでの10日間、ハウリア族は〝資格者〟ハジメの責任のもと雇われるものとする。

その間、ハジメ一行に()()()した者はたとえ同胞であっても全て自己責任とする。 ……〝フェアベルゲン〟や周辺の集落への立ち入りも禁じない。 10日を過ぎた後、改めてハウリア族に国に留まるか、それとも立ち去るかを問う―――……以上だ、何かあるか?」

 

 

ハジメは、〝ありません〟…と首を横に振った。

 

波乱続きであったが、なんとか理想の状況に落ち着く事ができたとハジメは内心胸を撫で下ろした。

 




ジン、変わりすぎじゃね?とは書いてて思いました。

ジンをただのやられ役にしたくなかった私のワガママだと思ってください。
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