NEED FOR SPEED × Blue Archive 作:アキ・レーシング
いつも感想をくれる方々、いつも本当にありがとうございます!
とても励みになっております!
それでは今回もぜひぜひ!
「さてアリス、昨日のレースを見てどうだった?」
「凄かったです! もっと乗りたくなりました!!」
「あれぇ...?」
「アリス、ホントにあのM3に乗るの...? あんなの乗られたらもう追いつけないよ~...」
次の日、昨日と同じようにモモイと共にショップにやってきたアリスにあのM3に対してどう思ったか聞いてみると、モモイは予想通りだったがアリスはといえば、なんか予想と違う返答に少々困惑してしまう。
警察にも追いかけられていたし、普通に「怖かった」とかそういう事が言われると思っていたばかりに「もっと乗りたくなった」と言われるとどうしたもんかな~...とつい考え込む。尚、当のアリスはというと、店内に置かれたM3を見ては目を輝かせ、彼女と一緒に来たモモイは先生の持つ車の1台であるトヨタハイエースに乗り込み、モニターの電源を入れてゲームをし始めていた。
「先生に緊急クエストがあります!」
「ん? どうしたの?」
アリスには悪いがM3のレプリカを作って渡すか、そもそも全く違う車から運転させて慣れさせるか?と方法をしばらく考えていると、アリスの方から提案があるらしく、先生は耳を傾ける。その提案はある意味「もっと最初に頼むべきだったのでは...?」と思うような内容だが、先生に「そうしよっか」と言わせるのには十分なものだった。
「アリスに運転を教えて下さい! 先生が教えてくれたらアリスは最強のレーサーになれます!」
「...アリかもしれない」
となると練習用の車を準備しないとでは...? と思いながらもアリスの提案に乗り、その準備をするために場所探しを始める。
『ゴメンねぇ...その日はもう予約が入っちゃってて...悪いけど別のサーキットを当たってくれるかな...?』
「そうですか..。すみませんありがとうございます~」
『良いってことよ。それじゃ失礼します~』
...のだが、どこのサーキットも都合がつかないらしく、断られてしまった。
となると手段は一つしかないのだが、その方法は、なんというか...今ではあまり考えられないような古いやり方だった。
「アリス、ついてきて」
「クエストですか? アリスはいつでも行けます!」
「コースを作るよ」
先生のその言葉に、アリスは「え..?」と、首を傾げる事しか出来なかった。
―――閑話休題―――
さて、しばらくして先生のショップの裏側には簡素なジムカーナ用のコースが完成していた。流石に自分とアリスだけでは終わらせることは出来ないかなぁ...と思っていたらシャーレで当番として来ていたシロコやスミレ、イチカなど数人の生徒がコース設営の協力していた。
「さーて...これで完成かな~!」
「トレーナー...これは?」
「アリスの練習用のサーキットだね。アリスがもう大丈夫になるまで運転が出来るようになって、なおかつ私がいるときはフリーで開放するつもり」
「ん、そうなった時は連絡入れてほしい。ホシノ先輩とのレースの時に使うから」
「それはいいけど...お願いだからそのまま銃撃戦にならないでね?」
「チューニングした車のシェイクダウンの時とかにも使えそうっすね。私は昔のやり方のほうが好きっすけど...」
「ははは...まぁアレで良いなら言ってくれればやってあげるよ」
先生はイチカの言葉に苦笑いを浮かべながらかつてのやり方でも問題ないと話す。
イチカのいう「昔のやり方」というのは、夜に先生が生徒の車に乗り込み、先生の運転で街を流すというものだ。
依頼した側の生徒は助手席に乗ることになり、間近で先生の運転している姿を見れるということで、一部生徒の中で密かに人気があるのだ。
「トレーナー、お疲れさまでした。私はこれからトレーニングがありますので...ここで失礼させていただきます」
「あぁ。ホントにありがとね、スミレ。それじゃまたね~」
先生に声をかけ、そのまま走っていくスミレ。もうトレーニングは始まっているのかもしれない。かつて一緒にトレーニングをした次の日の半分は動けなくなっていたのは嫌な思い出だ。
そして出来上がったサーキットに目を輝かせるアリスを横目にガレージに消えていく先生。
アレ? 先生はどこに? と2人が気づいた時、サーキット内に入ってきたのは1台の赤いランサーエボリューション9。
APR Performance製のエアロを装備しており、3人の前に止まる。エンジンを切って降りてきた先生は真っ先にこう口を開いた。
「この赤のランエボがアリスの練習機だよ。くれぐれもS15みたいな事にはしないでね?」
「これが...アリスのですか?」
「どうしたの? 私が安いからって昔のヒュンダイに乗せるとでも思った?」
こうして先生による運転講習が始まった。
イチカは今日、非番らしく先生と一緒にアリスに運転を教えることになった。シロコはセリカの車の調子を見ると約束してしまっていたらしくこの場を離れているが、その時に先生を拉致ろうとしたのは別の話。
「いい? アリス。まずは発進からやってみようか。奥にあるパイロンまで行って右周りで回って帰ってきて。まずは何も言わないから独学でやってみてね」
「分かりました! 行きます!」
エンジンをかけているアリスにそれだけ言ってランエボから離れる。
アリスはサイドブレーキを戻し、クラッチを切ってギアを1速に入れる。そしてクラッチをつないではアクセルを入れると車体が少しだけ前に進んでエンジンが切れた。
「あちゃー...まさか発進からかぁ...」
「先生、アレって普通の3ペダルっすよね?」
「そりゃ勿論。流石に最初からシーケンシャルとかパドルシフトは辛すぎるしね」
「やっぱそうっすよね。それはそうと先生。今日の夜、私のスープラのテストをして欲しいんっすけど...予定あります?」
「オーケー、それじゃ後はモモトークで細かいとこ詰めようか」
「りょーかいっす」
こんな会話を繰り返す間にもアリスはエンジンをかけてはエンストを起こして車が止まる。
見かねた先生はランエボに近づいていき、助手席側のドアを開ける。
「さて、それじゃ教えようか。じゃまずはクラッチを切ってギアをニュートラルに入れて」
「分かりました!」
先生に言われたとおりにギアをニュートラルに入れるアリス。
イチカは自分の乗ってきた80スープラをちらりと見る。先生に見つけてきてもらったBOMEXのエアロを装備し、完成形となったスープラは夜まで待てない。そう言っているような気がした。
「それじゃエンジンかけて。シフトはまだ触らなくていいからクラッチペダルに足を置いてね」
「はい!」
「それじゃクラッチを半分ぐらいだけ戻してみて」
「やってみます!」
先生の言う通りにやってみるとエンジンがガタガタなり始め、シフトノブが震え始める。
その様子を見た先生は、ちょっと驚いた顔をしながらもアリスにクラッチをまた切らせ、エンジンも止めさせた。
「結構半クラッチはうまいね? 誰かに教えてもらったの?」
「はい! ユズが教えてくれました!」
「なんでそこまで出来て発進はこんなに怪しいんだ...いい? エンジンをかけてクラッチを切ったらシフトを1速に入れて、半クラッチをやりながらアクセルは少しだけ入れるんだよ。それじゃやってみて!」
「はい! アリス、ランサーエボリューション9!行きます!」
どこか聞き覚えのあるセリフと共にエンジンをかけ、ギアを1速に入れてゆっくりと走り始めるアリスのランエボ。あの雑な説明でもキレイに発進する様子を見て、先生にかつて「ドリフトなんてクラッチ蹴ってリアが流れたらハンドル回しながらアクセル操作して距離足りなそうだったらサイドブレーキを引いときゃ大丈夫だよ」なんて言われて70スープラのクラッチをぶっ壊した事があるイチカも驚きの目線を向けていた。
しかもホントに発進が出来ないだけだったようでシフトアップもシフトダウンもなんなく決めて帰ってきた。
アリス曰くゲームだとシフトアップするときはアクセルを少しだけ抜いてシフトアップするとゲーム内の判定で良い評価がつくらしい。シフトダウンもコーナーを速く抜けるためにフルブレーキするときにギアを落とすようにしているらしい。
発進に関してはそもそもがローリングスタートのためその概念がなかったらしい。ゲームだし、それはまぁしょうがないか...。
なおシルビアの時はモモイがギアをニュートラルにするのではなく1速に入れたままにてサイドブレーキを引いた状態でアリスを運転席に乗らせて運転させたようでミドリに見せてもらった動画にはホイールスピンしながらレースをスタートさせるS15の様子が映っていた。
「よし、アリスもだいぶ運転が安定してきたね。このエボも乗りやすいでしょ?」
「はい! とても運転しやすかったです!」
イチカやほかの当番の生徒たちが用事などでショップを出て行ってから数時間後、「教習車」とナンバープレートの上に張り付けられたエボ9を降りて体を伸ばした先生は同じく車を降りてきたアリスにそう声をかける。
数時間に及ぶ先生の教習のおかげでアリスの運転はかなりマシになっていた。とはいってもレースをするにはまだまだ足りないレベルだが、普通に町中を流す分には問題ない位にはなっている。
「坂道発進はまだまだ頑張らないとね。あとシフト操作するときのクラッチ操作も。アレだとM3に乗った時にエンジン壊すよ」
「ううっ...それは頑張って最高評価を取ります...」
「モモイたちには話しておいたから、今日はランエボに乗って帰ってね。くれぐれもレースには出ないでね?」
「はい! それでは先生、また連絡しますね!」
そう言ってランエボに乗り込み、走り去っていくアリスに手を振り、ガレージに戻ってはスマホを取り出して電話をかけ始めた。
「やぁイチカ。今からシャーレに来れる? 勿論スープラで」
『分かったっす。それじゃ多分15分くらいで着くと思うんで宜しくお願いしますっす』
「はーい。それじゃね~」
電話が切れ、イチカがやって来るまで先生は最近依頼の入ったRE雨宮のフルエアロを纏い、玄武商会のロゴがリアフェンダーに貼られた赤いFC3Sの調整を始めていた。
追加のメーター類は乗り手の視界の邪魔にならないように配置されているがすっきりと見せているだけではない。補強用のロールケージはかなりしっかりと組まれていて、走りにもキチンとこだわりがある事を証明している。手入れも徹底していて汚れているところもそんなに多くない。エンジンを回してみれば、13Bからスワップされたツインターボ仕様の20Bの咆哮がガレージ内に響き渡り、空気が痺れるような感覚が先生の体を突き抜けた。
「いいねぇ。いっつも忙しいだろうに...私も見習わなきゃなぁ...」
「それはそうっすね。先生はいつも書類仕事しながらその傍らでこうやって車をイジったりしてるんすから。それでいて生徒たちの面倒を見てくれてるし」
「あはは...FCのエンジン音で来てるのに気づかなかったよ。こんばんわだね、イチカ」
「私の2JZも、そこそこ音が出るって定評があるんすけどねぇ...」
「まぁロータリーエンジンの音って結構デカいからねぇ...それじゃ行こっか」
「はい。おっけーっす」
イチカの乗ってきた80スープラの運転席に乗り込む。ロールケージも組まれ、車内は少し狭くなっているが、エアコンやオーディオ系統はしっかりと残っており、快適に走れるようにチューニングされている。
エンジンをかければ650馬力までチューンされた2JZの快音が奏でられ、JDM系やスポコン系のカスタムがかなり好みな先生は思わず笑みをこぼしてしまう。
「それじゃ行きましょうか、先生。運転お願いします」
「おっけー、それじゃ出発するよ」
イチカが隣に乗ったことを確認すると、慣れた手つきでシフトを1速に入れてスムーズに発進する。昼間のアリスがこれを見たら「ATは邪道です!」なんて言ってきそうだな...これMTだけど,,,と内心苦笑いになりながらマシンを走らせる。たまに車高をベタベタに下げ、電飾系のカスタムをしたクラウンなどがスープラの横を中々のスピードで追い抜いていく。
だがそんなスタンス系などには目もくれず、マイペースにゲヘナ方面に向かって流していく先生。
行き先は、ゲヘナ周辺にある「法定速度なし」と謳われるキヴォトス随一の無法地帯、「旧ゲヘナ環状線」だ。
え?「NFSっていうかほぼワイスピじゃね?」だって?
...次はNFSっぽくするから許して...
それではまた次回!