NEED FOR SPEED × Blue Archive   作:アキ・レーシング

7 / 10
今回もぜひぜひ~...!


7.テストランとまた生徒たちに会いにいく先生。

「いや~、やっぱりこの辺りの道路は空いてていいっすね」

 

「そうだね~。下手したらうちのサーキットより走りやすいかも」

 

 

旧ゲヘナ環状線に向かう道を走りながらそんな事を話すイチカ。彼女の言う通り道路はかなり空いている。元々この場所は現在のゲヘナ環状線が出来る時に閉鎖になる予定だった。だが何を思ったのか突然閉鎖するのを辞め、なんと無料で開放したらしい。

 

当然、ストリートレーサーの生徒たちはサーキット代わりにしてレースなども横行したが逃げ切れた者より捕まったものの方が多いという噂だ。

 

恐らくは風紀委員会の面々に追跡、確保させ、「ゲヘナではこれだけレーサーたちを摘発しているぞ! 凄いだろう!」と自慢するためだろうが...よくやるよねぇ...と思いながらシフトを4速に入れる。

 

スープラはまだまだ加速できる余裕があり、高回転は少し物足りないものの申し分なく、低回転から中回転までのよく使うであろう場所は結構使いやすく、運転するのがだんだん楽しくなってくるようなマシンになっている。

 

 

「そういえば先生。私が前に乗ってた70スープラの車検の時に貸してくれたあのNCロードスターってまだ持ってるんすか?」

 

「え? まぁ持ってるし普通に乗ってるけど...あのNCがどうかしたの?」

 

「いやー、あのNCの見た目がすごく好きだったんすよねぇ...特にあのノガミプロジェクトのドライカーボンルーフとか」

 

「アレねぇ...」

 

 

イチカの話すNCロードスターというのは先生がキヴォトスに来るときに持ってきた車両の一つで、真っ黒の車体にノガミプロジェクトのカーボンルーフにムラカミモータースのカーボン製クーリングボンネット、などなど...とにかく手を入れられる限り入れつくしたレベルの代物だ。

 

 

「でもアレはこちゃこちゃしたエアロつけてるだけの車だよ。」

 

「そんなこと言ってますけどあのNCって9000回転まで回りますよね? 元々7500回転までしか回らないの知ってるんすからね?」

 

「あはは...」

 

 

代車で2週間くらい貸したあのNCをそこまで確認してたとは...と緩めの左コーナーを抜け、加速体勢にはいったスープラのギアを上げながら心の中でため息をつく。

 

 

彼女の言う通りあのNCは9000回転まで回るようにエンジンにも手を入れ、純正で155馬力だったのに気づけば236馬力にまで上がってしまった。

 

最初こそ「スーパーチャージャーでも組んでしまおうか...」なんて思ってノリノリで作業していたが途中から「そんな事したらまたユウカに怒られちゃうかな...」なんて考えてしまい結局NAのまま完成させたのだった。

 

元々は代車としてイチカに貸すつもりだったのはニッサンのZ33型フェアレディZだったのだが、どこぞの「ん、」って言いがちなアビドス生が乗っていって「キヴォトス最速」の名を欲しいままにし、レースを見ていたギャラリーが投稿した動画もネットで拡散されてきたのだが...まぁそれはまた別の機会に取っておこう。

 

 

「それで、スープラの調子はどうっすか? 私は結構いいと思うんですけど」

 

「んー、悪くはないけど...いいや、やっぱなんでもない」

 

「言いたいことがあったら言っていいんすよ?」

 

 

気づけば旧ゲヘナ環状線に乗り、「200km/h」と書かれた速度制限の看板をほぼ200km/hぐらいで通り過ぎていく。

ちらっと左側の車線を見ようとしただけなのに自分の方を見つめてくるイチカとうっかり目が合ってしまい、目を合わせたまま200キロで巡行していく。

 

気まずい。先生の中でこの一言が脳内を巡り巡っていた。先生個人としては「パワー足りなくない?」と言いたくなってしまった。

だが乗るのは自分ではなくイチカなのだ。そもそも生徒の皆には申し訳ないのだが「自分にエンジンを組む才能なんてないんだけど!?」と声を大にして言いたい。

 

かつていた場所ではどこでもストリートレーサーとして周りから「超一流」と言われがちであったが、メカニックとしてはまだまだ「ひよっこ」と言われるぐらいの実力しかない。

 

キヴォトス内にもチューニングショップは沢山あるし、自分より実力のあるチューナーもたくさんいるはずだ。それなのに...なにも車まで先生に頼らなくても...と思ってしまう。

 

 

「はぁ...正直に言うよ。悪くはないんだけどパワーがもっと欲しくなってきちゃうんだよね。でもそうなると今度はエアロ類に...って沼に落ちていくからなぁって思っちゃったんだよね...」

 

「あぁ...やっぱりそうっすよね?」

 

「うん...って..えっ?」

 

「? どうかしたっすか?」

 

 

イチカの予想外の反応にこっちが驚いてしまう。そもそも70スープラにこの2JZを載せ替えたときは「こんくらいで大丈夫っすよ。これ以上だと扱えなくてこっちが吹っ飛んじゃいそうっすもん」と言われた記憶がよぎる。

 

あの2JZの仕様は乗りやすくも決して遅くならないようにという期待を込めたエンジンだった。それゆえ加速性能が普通のエンジンよりもかなり強めに出るように組んでしまった。だがそれを物足りないと言われてしまった。どうしようと考えてしまう。

 

 

ブーストがかかり、速度が更に乗ってくるといよいよ制限速度をオーバーしていく。たまに周りを走っている車はパイロンのように静止しているような錯覚に陥ってくる。

 

イチカは表情にこそ出さないがその速度域の中、一瞬だけの非日常の空間を楽しんでいた。

 

自分だけではここまでのスピードを出すことは出来ない。というか出せない。自分の車の限界についてくらいは分かっているつもりだが、もしそれが破綻してしまったら。そう思うと踏みたくても踏めないのだ。

 

だからこそ、自分の車を限界ギリギリまで走らせてくれる先生の横に乗り、その姿を見るのが好きだった。

 

 

ストレートで220キロオーバーを出しながら先生は、ふと気づいてしまった。「そもそも『乗りやすい』がコンセプトなのに650馬力もあるのおかしくない?」と。

 

無意識のうちに少しハイチューンにしてしまった過去の自分を猛烈に殴ってやりたい。先生は自分自身を猛烈に説教したくなった。

 

 

「とりあえず! マシンに異常はないからひとまずはこれでオッケーってことにしよう。...帰ろうか」

 

「...りょーかいっす。」

 

「とりあえずトリニティまで送るよ。ナギサのところに置きっぱなしにしてたシビックを回収しなきゃいけないんだよねぇ...」

 

「あー...それはお疲れ様っす」

 

 

そんな事を言いながら環状線を降り、一般道に出てからトリニティに向かう高速道路に入っていく。さっきまで乗っていた旧環状ではなくゲヘナからトリニティ、というかキヴォトスにあるほぼすべての学校の近くを通っている「キヴォトス自動車道」に乗り込んでいく。

 

運送トラックや出張帰りの社会人など色んな人が行き交い、仕事に追われ続ける社畜のような人かうっかりトラックに轢かれてもそれは自分の責任だ! と命を張るようなバカぐらいしか無謀なスピードを出す人はいない。

 

先生も環状線の時みたく速度を出すことはせず。制限速度も120キロ台まで下がっているため、2,3速をメインにおきながらマシンを走らせていく。

 

先ほどの高速帯での走行のおかげでタイヤはかなり温まっており、グリップも申し分なく、追い越し車線に出るとそのままスープラを猛加速させていく。

 

トラックを運転している人などは、目の前に一瞬だけ出きて闇夜に消えていく80スープラのテールライトしか見ることは出来ないだろう。

 

 

そんな運転をしているためか思っていた時間よりもかなり早くトリニティに到着した。マシンの調子はかなりいいようで、高速道路を降りて低速域で走っていても安定して状態で走行出来ている。

 

 

「よし。とりあえず到着~。お疲れ様、イチカ」

 

「いえいえ...ホントにありがとうございます...わざわざ高速に乗ってテストもしてくれて」

 

「大丈夫だよ。それじゃ、ツルギたちによろしく言っておいてね」

 

「はい、また今度会いましょう。それでは~」

 

 

80スープラを降りてイチカを運転席に座らせると軽くイチカに声をかける。イチカもそれに応じて笑いかけ、スープラで走り去っていった。

 

 

「...あ、ナギサのガレージまで運転してもらえばよかったかも」

 

 

スピードに慣れてしまっている先生は、歩きでの移動がめんどくさくなってしまっていた。ため息をつきながらガレージまでの道のりを歩いていくのだった。

 

 

そして歩き始めてから実に30分。先生は汗だくになりながらナギサのガレージに辿り着く。インターホンを押し、警備担当の生徒に通してもらいガレージの中に入った。

 

誘導されながらガレージ内を歩く先生はガレージの奥の方に置かれていた目的の車を発見した。

 

 

「お、あったあった...」

 

「やはりそれは先生のお車だったのですね。ナギサ様から洗車だけは頼まれていましたのでそちらの方は完璧になっております」

 

「おー、流石ナギサ、今度会う時にお茶菓子でも買っていってあげよ。君たちもシビックの管理してくれてありがとね」

 

「は、はい...それではシャッターを開けますので車の準備をお願いいたします」

 

「はーい、了解だよ」

 

 

ガレージの管理をしている生徒がシャッターを開けている間に先生はホンダ シビックTypeR(FK2)に乗り込む。黒いボディ。5ドアハッチバックの形をとるため、後ろのドアも存在こそするが座席は残っておらず、補強用のロールバーと先生のこだわりであるウーファー等の音響装置のみが鎮座している。

 

シフトノブの近くに配置されたスイッチを押せば、青いアンダーネオンが車体の下を照らし、エンジンをかければだが500馬力ほどまでチューンされた2リッターVTEC仕様のエンジンが唸りを上げる。

 

 

シャッターが開き、生徒からのGoサインが出るとギアを1速に入れて車両を発進させる。

夜もだいぶ遅い時間だが、その音を聞きつけたほかの生徒たちが外に出てきており、先生は驚きを隠せないままガレージを出ていった。

 

 

 

「さーてと...そろそろ連絡してもいいかな...」

 

 

スピーカーからは彼女がベイビューにいた時に買ったCDの曲が流れており、ハンドルから手を放し携帯を操作する。

この人は様々な場所で走ってきたからこそできる芸当だが、良い子の皆さんは自転車でもそんなことをしちゃいけない。コケてケガするのがオチだ。絶対やらないように。

 

 

「『やっほ。今全員揃ってる? ご飯にでも行かない?』っと...お。もう帰ってきた。今ミレニアム方面なのか...『了解、それじゃ20分後ぐらいにミレニアムの4番線で。目印は青のアンダーネオンのシビックだよ』よし、それじゃ行くかぁ...」

 

 

携帯をしまうとアクセルを踏み込み2速にシフトアップする。VTECの独特の音を響かせながらミレニアムに向かう道を駆け抜けていくのだった。

 

 

 

その頃。ミレニアム方面のストリートには3台の黒塗りのホンダ シビックTypeRが駐車場に止まっていた。型こそそれぞれFL5、EK9、EP3と別々だが、ホイール類は似たものが使用されており、そのうちの一人、FL5のドライバーは二人に指示を出してエンジンをスタートさせた。こちらの車たちも青のアンダーネオンが車体を照らす。

 

 

「先生、元気にしてたかな」

 

 

そんな事を言いながら車に乗り込み、ほかの2人ともに先生と合流するためにストリートに出るのだった。




どーも。最近スマホ版NFS、「NFS No Limit」を始めました。


まだまだ始めたばっかですが精進していきまする...


それではまた次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。