後ろの席の美少女(プレデター)に恋をする   作:はるゆめ

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第二十三話 黒い薔薇

 

 昭和のいつか。どこかにある街。季節は冬(僕らは冬休み)。

 

前回までのあらすじ。自室で寝たはずなのに起きたら知らない部屋だった。

 

え?

起き抜けでぼんやりしていた頭がはっきりしてきた。

どこだここ?

僕は起き上がると部屋の中を見渡してみたけど、僕が寝ていたベッド以外は何もなく、無機質なコンクリートでぐるり囲まれた部屋。

おかしいぞ。ドアさえない。

僕は立ち上がり、壁や床を調べてみた。調べるといっても手で触るだけ。冷たいコンクリートの感触に僕は段々と怖くなる。

 

どうやってこの部屋に?

誰が?

狙いはなんだ?

なんで僕?

そんな疑問がグルグルと頭の中を駆け巡る。

そういえば!

窓も換気口も何もない。じゃ空気は?

そのうち酸素が減ってきて僕は窒息するんじゃないか? 確か酸素濃度はわずかでも減るとやばいって何かに書いてあったぞ。

 

───河野。

 

ハッとした。

こんな時、真っ先に思い浮かべるたのが彼女だとは。

ははっ。

はははっ。

 

「目覚めたか」

 

急に聞こえた声に振り向くと、一人の男がそこにいた。グレーのスーツを着た中年の男。神経質そうな顔だ。

 

「ふむ? 何もしないのか?」

 

男は僕を見つめながら首を傾げる。この人は何を言っているの?

 

「反応は確かにある。感知精度に間違いはないはずだが……。おい」

 

僕はビクッとする。

 

「我々の同胞を消して回っているのはお前だろう?」

「え、な、何?」

「とぼけるのか? お前たちは複数の種族の寄り合いだろう」

 

この人が何を言ってるのかさっぱりわからない。

 

「何のこと?」

「向上館高校の学生だろう?」

「そ、そうだけど」

「個体名北尾が姿を消した。その前に彼が手を加えた女子生徒も消えたと言っていた。君の仕業だろう? どうした? 何もしないのか?」

 

この男は北尾の仲間、つまりあの異界から送り込まれた化け物侵略者!

 

「ぼ、僕は違う!」

「……ほう。それはおかしなことを言うね。この惑星(ほし)に繁栄している種『人間』とは違う反応が君から感じ取れるのだが?」

「えっ?」

「厄介だね、君たちは。人間ではない存在が我々の同胞を消している」

 

そう言うと男の頭が二つに割れ、そこから薔薇の花みたいなものが生えてきた。まるで黒い薔薇だ。

 

「一番動き回っている存在を最優先で処理すべきだと、先日一人の同胞が我々の世界へと転移させたのだが、それと同種の別個体がいたとはね」

 

顔が二つに割れているのに、声はそのままに黒い薔薇は喋り続けた。あの夜、コートの男が僕と河野を転移させたことを言っているんだ。

 

「あ、あの時の……」

 

思わず口をついて出た僕の言葉を聞いて、黒い薔薇の雰囲気が変わった。

 

「知っているような口ぶりだな。何故だね? あぁ……しかし、待てよ。普通の人間である少年も一緒に転移させたと報告を受けているのだが」

 

しまった!

僕と河野がこっちへ帰ってきたことをこいつらは知らなかったのに。

 

「色々と聞かなければならないことがありそうだ。さて面倒なことこの上ないが、君の脳に直接訊くとするか」

 

その瞬間、僕の頭に激しい痛みが走る。痛みなんて生やさしいもんじゃない、まるで釘を頭に突き刺されたような、頭の奥の方まで届く激痛。

 

「ああぁっ! い、痛い」

 

痛みに耐えきれず、膝をつく。

 

「他の仲間のこと、知ってること全て教えてもらうよ」

 

そう告げる黒い薔薇は目鼻なんてないのに笑っているような気がした。

 

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