後ろの席の美少女(プレデター)に恋をする   作:はるゆめ

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第二十五話 シチュエーションだけ見るとラブコメ

 昭和のいつか。どこかにある街。季節は冬(僕らは冬休み)。

 

 前回までのあらすじ。

 高校で僕の後ろの席である河野文香は次元を超えてやってくる敵性生物を処理する美少女で実は人間じゃない。なんやかんやあって、僕の家のお隣さんとなった。

 

「すごく可愛らしい娘さん達だったねぇ!」

 

 母親がなぜか上機嫌である。

 

「私もあんな可愛い娘が欲しかったわぁ」

「悪かったね、息子で」

「あら、いじけてんじゃないの。あんたは大事な一人息子よ。ほら、それとは別にって感じよ」

「わからないよ、それ」

「文香さんって言ったからしら? 篤史と同じクラスの子」

「……そうだよ。あまり話したことないけど」

「へぇ〜。その割りに随分と親しげな感じだったけど?」

「……別に」

 

 河野が『わぁ〜、霧丘君とお隣さんになっちゃった』なんて言ったもんだから、母親が勘違いしてる。

 

「みさえさんは大学生だから、篤史の家庭教師を頼もうかしら」

「やめてよ。そんなの。必要ない」

「むしろ遅いぐらいよ。塾は行かないって言うし。志望大学、まだはっきりしてないんでしょ?」

「う、うん」

 

 母親の言う通り第一志望も適当に決めたもんで、それを担任に叱られたばかりだ。

 

「時は金なりよ。恋もいいけど学業も頑張りなさい」

「だから河野とはそんなんじゃないって」

 

 うるさい母親を後にして階段を駆け上がり自室へと逃げる。ふと窓の方を見ると、河野も窓からこっちを見ていた。笑顔で手を振ってきた。

 仕方ない。僕も手を振っておく。そしてカーテンを閉め、ベッドに寝転がる。

 まさか隣の家にに越してくるとはなぁ。でも護衛となると仕方ないか。

 僕を河野と間違えて攫ったあの黒薔薇。

 脳に何かされる前に間一髪、河野が助けてくれたけど……今になって足が少し震えてくる。

 黒薔薇が僕の記憶を探ろうとした時の激痛。僕には何もできなかった。

 今さらだけど僕はただの高校生だ。あんな化け物に敵うわけがない。

 そんなことをあれこれ考えていると、僕はいつの間にか寝てしまっていた。

 

「篤史、河野さんよー」

 

 階下で母親が僕を呼ぶ声で目が覚めた。

 

「ちょっと篤史! 聞こえてるの?」

 

 さらに声が大きくなる。仕方ない。

 

 玄関には母親と河野が笑顔で待っていた。

 

「あの。霧丘君、うちに来ない?」

 

 さも当然のように河野が誘ってくる。

 

「え?」

「片付けもほぼ終わったし、従姉妹も霧丘君を呼んだらって」

「なぜに?」

「あの、その、市の反対側に住んでたので、この辺のお店とかどこにあるのか全然知らないの。だから教えて欲しいかなって」

 

 可愛らしくお願いポーズしてくる河野。なるほどね。遠くから越してきた設定か。

 

「そういうことなら」

 

 渋々と返事した僕に向ける母親の目が一瞬光った気がするけど。うん、気のせいだ。

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