後ろの席の美少女(プレデター)に恋をする   作:はるゆめ

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第四十五話 カウンセリング?

 昭和のいつか。どこかにある街。季節は冬。

 

 前回のあらすじ。黒瀬君と瑛子さんに仲間になる覚悟はあるかと聞かれて、僕は……。

 

 あれ? 正面に座ってるのは悪友の山本。ここは……山本の部屋?

 

「何キョロキョロしてんだよ?」

 

 怪訝な顔の山本。

 

「あー山本の部屋だなって」

「はっ、 何言ってるんだ霧丘? 大丈夫かよ?」

「いや、うん。ここんところ色々あって」

「まっ、互いの無事を祝って乾杯しょうぜ」

 

 そう言って山本は黒い液体の入ったコップを勧めてきた。

 

「コーラだよ」

 

 うっすらと茶色い泡が浮かんでいる。僕はそれを一気に飲み干した。

 

「いい飲みっぷりだな。で、何があったんだ?」

「───何って?」

「今後に関わること、黒瀬君に宣言したんだろう?」

 

 あれ?

 山本と黒瀬君って面識あったかな?

 

「宣言っていうか……正直に話しただけだよ」

「ふむ、それで?」

「異界へ飛ばされてから河野と一緒にいて、ここに帰ってきてからも色々とあって……。僕らが呑気に暮らしている裏側で河野や黒瀬君達が危険なことになってて……」

「霧丘はケガもしたし、河野も攫われたりしたからな」

「そうだよ。それなのに、事情を知った上で何も知らなかった頃のようには暮らせないさ」

 

 どうして?

 山本はなぜそこまで知っているんだろう?

 

「それだけなのか?」

「え?」

「部外者でいられない、だから自分も協力する───動機はそれだけか?」

 

 無表情に僕を見つめる山本。僕は長年の悪友である山本に嘘はつけない。

 

「こ、河野が気になってしかたないんだ!だって、だって河野は生まれてから二年しか経ってないんだ。それも最初から化け物を殺す役割を与えられて……」

「惚れたか」

 

 すっと心に刺さる山本の声。ひどく冷徹に思える。

 

「そ、そんなんじゃない! 恋愛的に好きっていうのと違うんだ」

「何が違う?」

「人とは違う存在だからグラスの皆とも距離を置いて、そりゃあ黒瀬君達が仲間としているんだろうけど、河野は……その、ほっとけないんだよ」

「……続けろよ」

 

 ああどうして僕は山本に全てを話しているんだろう。

 

「もう河野のことを考えてばかりなんだ。あの子が危ない目に会う時に、僕がそばにいないのは耐えられない。力になりたいんだ」

「好きなんだろう?」

「ああ、そうさ! 好きだよ。最初こそ驚いたけど! 死んでも不思議じゃない時に助けてくれて……ううん、違う、いや、そうか、ずっと一緒にいたいんだ」

「やっと自分に素直になったな」

 

 ニヤリと笑う山本。こいつこんな笑い方するやつだったか?

 

「合格〜。文香ちゃん喜ぶねぇ」

 

 ?!

 山田さんの声?

 目の前の山本の姿がいつの間にか山田さんに変わっていた。

 

「え? え? 山田さん? 山本はどこに?」

 

 僕は辺りを見渡す。見知った山本の部屋は檜造りの風呂場、脱衣場に姿を変えている。

 

 僕はといえば藤でできた椅子に座り、山田さんと向かい合っていた。

 

「周りから見れば丸わかりだけど、霧丘君の文香ちゃんに対する気持ちを知っておきたかったの! でね、私がちょいとね」

 

 悪戯っぽく微笑む山田さん。

 そうか、山田さんの幻術か!

 

「そ、それって反則では?」

「文香ちゃん以外は知ってるからセーフ!」

「せ、セーフって……」

「にゃはははは。男の子は細かいこと気にしない! さあ! お姉さんが抱っこして運んであげよう」

 

 山田さんは僕を軽々と抱えて広間へと歩む。

 

「疲れたろうからね、ゆっくり休むんだよ」

 

 ふかふかの立派な布団に寝かされ、ぽんぽんと手を置く山田さん。

 それが最後に覚えていることで、僕は深い深い眠りへと落ちていった。

 

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