Falling DAWN   作:SAI10

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01 夜明けのアーカム

 ―音だ。

 すさまじい音がする。

 

 おいおい、今日はパレードだったか?あちこちで花火を上げやがって、さわがしいったらありゃしねぇ。おかげでバッチリ目が冴えちまった。クソッタレのキチガイどもめ。

 硬いベッドで寝返って、布団をかぶって耳を塞ぐ。カビくせェ、おふくろの下着よりも酷ぇ臭いに包まれながら、外のバカ騒ぎがおさまるのを待つ。だが、外の奴らはカーニバルを止めるつもりはないらしい。花火の音が、12発、13発、14発、とんで18、20、25と…。

 

 「うるせぇうるせぇうるせぇうるせぇ…」

 

 顔中の包帯を掻きむしり、力いっぱい目をつぶる。

 黙れ、黙れよ狂人ども。壁の向こうでどんちゃんどんちゃん…今何時だと思ってる? 2時だぞ、2時32分と42秒。そして43、44秒…ああ、言っとくが昼間じゃねぇ、真夜中の方の、だ。部屋に時計はねぇが、俺には分かる。俺の体内時計は秒刻み、いつだって正確、いつだって正しい。

 

 「黙れ、黙れ、黙れだまれだまれ…!」

 

 歯噛みしながらシーツを握り締める。あんまり顔を掻くと折角巻いた包帯が剥がれちまうから、心底我慢して顎を噛み締めた。

 外からは相変わらずの爆音騒ぎだ。パレードは近い。外の連中(アウトサイド)が歓声を上げ、「パンッ、パンパンッ…」と爆竹に火をつける。そしてまた花火、花火、花火が上がる…。

 

 

 【―…限・界・だ】

 

 

 「うるっせぇうるっせぇうるっせぇうるっせぇええええええ!!!」

 

 

 堪忍袋の緒が切れた。

 

 「いい加減にしやがれコンチクショウがぁあああッ!!」

 

 跳ね起きてシーツを床に叩きつける。ひっつかんだ枕を壁に叩きつけりゃあ羽毛がバッと宙に舞った。思った以上におんぼろだった枕は中身が弾けてぺちゃんこだ。なんだかそれすらムカッ腹にキて、布切れのような枕の残骸をガンガンガンガン踏みつける。クソ、クソクソクソ…!

 

 【おいおい、落ち着きたまえよ相棒(バディ)。いくら暴れたってパレードは終わらないぞ】

 

 「無理だ、無理だ無理だ…! もう嫌だ、眠れねぇ、うるさくって瞼も降りねぇ・・・クソッ、クソクソぉッ!」

 

 【それならピートに薬でも打ってもらえばどうだ? ものの5秒で夢の国に飛べる】

 

 「薬? 薬ってアレか? 鎮静剤(チオペンタール)だろう? 嫌だ、あれは嫌いだ…頭ン中が空っぽになる」

 

 ふらふらと立ち上がって頭を抱えた。外はまだうるさい。眠れない。だが、薬で訳が分かんなくなるのはもっと嫌だ。

 

 「うううううう~~~…!」

 

 【おい、頭が潰れるぞ】

 

 どうにも我慢ならなくって、自分(テメェ)の頭をガツガツ殴る。だが、それを“相棒”は止めろと言う。

 

 【行き詰まると自傷に走るのは君の良くない癖だ、相棒(バディ)

 

 分かってる。分かってる。こんな事したって意味ねぇ事くらいは俺にだって分かる。

 だがどうしようもねぇんだ。この、クソッタレなバカ騒ぎの所為で、俺の頭から理性がどんどん削れてく。冷静な判断が、分からなくなる。うるさいのは嫌いだ。薬の次に、大っきらいだ。

 

 「くそったれくそったれくそったれ…! おかしいのは俺じゃねぇ、外のアイツらの方だ。ハ、違うか? あんな酷い騒音(サウンド)でハイになるなんざ……ああクソッ、気が狂ってるとしか思えねぇ!」

 

 【ああ、そうさ我が友よ。俺たちは正気だ。だれよりも正常であるがゆえに、こんな巫山戯たところに押し込められてるんだ】

 

 忌々しげに相棒が呟く。

 “俺たち”がこの施設に放り込まれてから、かれこれ4年と8ヶ月12日、2時間35分と23秒が経つ。

 それまでの間は退屈な日々だ。薄汚れた白い壁を眺めるか、レクレーションルームでTVを見るか、他の奴らとお喋りするかの毎日。だが、“俺たち”は他の奴らと違ってこの施設の職員どもから嫌われている。シーズンのほとんどを“自室”に押し込められ、レクレーションルームへは月に1度、“良い子”にしていたご褒美に許される程度だ。もれなく監視もついてくるが。

 それでも苦痛はほとんどない。大人しくしてりゃあ一日はすぐに終わる。次の一日も、多分すぐに過ぎていく。経過する時間を数えるだけの日々。

 

 【それでも、薬漬けにされるよりかはよほどマシだからな】

 

 「…そりゃそうだ」

 

 前に、この虚無な生活に耐え切れなくなった事がある。“爆発”して職員の鼻を食い千切っちまった、そん時に制服を着た奴らに取り押さえられて、首ったまにぶっとい針を何度も何度もぶっ刺された。即効性の鎮静剤(チオペンタール)。体ン中に入った魔法の薬は効果てきめんだ。真っ先に手足が痺れ、動かせなくなる。頭ン中はコールタールを流し込まれたようにグチャグチャになり、すぐに目の前が真っ白になった。何もわからなくなる。

 

 【あの時は、危なかったな】

 

 「怖かった…」

 

 怖かった。死ぬよりも。

 “俺たち”が“俺たち”でなくなっていく。脳みそから“俺たち”が溢れていく。

 自己の喪失。過度の投薬による副作用は“俺たち”から『過去』と『歴史』をもぎ取っていった。

 

 【あの日から、“俺たち”はNo lives(死んだも同然)だ】

 

 自分の名前すら耳の穴から流れて消えた。

 だから、それからはずっと『44番(フォー・ツー)』。腕に巻いた認識票(バングル)だけが“俺たち”をこの世につなぎとめている。

 

 

 ―カチン。

 

 

 「あ・・・?」

 

 ああ、この音は知ってる。ドアの“鍵”が空いたんだ。

 

 【そうだ、ドアが開いたのさ】

 

 そうだな、ドアが開いたんだ。

 

 「でもなんでだ? 夜の見回りはもう済んだろう?」

 

 【きっとボビーの気まぐれだ。奴さん、退屈で遊びにでも来たのだろうよ】

 

 遊びに来た?いやだいやだ、あのクソッタレ・ボビーに付き合うなんざごめんだぜ。

 アイツ、俺の態度が気に食わねぇって、何もしてねぇのに硬い棒で何度も何度も殴りやがるんだもの。

 

 【しょうがないさ。ボビーの奴、君がミランダと寝たのを未だに根に持っているのだから】

 

 「はー? そんなの半年前の話だろぉ?」

 

 【女が絡むとな、男の嫉妬は蛇より長くなる】

 

 そんなもんかねぇ。

 取り敢えず、俺はぺしゃんこの枕を拾い上げてベッドの中へ潜り込んだ。この時間、俺は寝ていなきゃあならねぇ。良い子はすやすや、夢の時間だ。そうでなきゃあ明日の薬の量が増えちまう。いいや、目が空いてたってだけで薬を打たれちまう事もある。

 俺は、薬は、嫌いだ。

 だから布団をかぶって大人しく寝てるふりをした。ボビーのヤツがいつ入ってきてもいいように、ベッドの中でお行儀よく目を閉じて。

 だが、待てども待てどもボビーが近づく気配はない。いいや、それどころか…、

 

 【…誰も来ないが】

 

 おい、黙れよ。クソッタレ・ボビーに気づかれちまうだろう。

 

 【いいや、相棒(バディ)。ボビーはいない】

 

 「…マジで?」

 

 【ああ。それどころか人の気配が全くない】

 

 “相棒”がそう言うから、俺はむっくりと体を起こした。確かに、部屋にボビーが入ってくる気配はない。外にもだ。廊下に誰かがいるような感じがない。

 

 【……妙だ】

 

 「ああ、そうだな」

 

 【なぁ相棒(バディ)、様子を見に行かないか】

 

 俺は頷く。危険な誘いだが、モヤモヤした気分のままじゃ寝つきが悪い。

 ベッドから降りてスリッパを履く。ドアに手をかければ、案の定…簡単に開いた。やっぱり、電子キーが解除されてる。

 恐る恐る廊下へ出る。黙って部屋を出たのがバレりゃあ、三日は風呂に入れてもらえねぇから、慎重に、こっそりと頭だけ出して…。

 

 「…誰もいねぇ」

 

 薄暗い廊下には、―…人っ子一人いなかった。いつもなら“見回り”が最低でも2人、襟元きっちり締めて立ってやがる筈だ。だのに、誰もいやしない。花火の音がするだけで、“見回り”どものクソッたれたジョークや軽口も聞こえてこない。

 

 【当直もいない、か…。つまりは手動で鍵を開けた訳ではないらしい】

 

 「って事は、キーを解除してくれたなぁ管制塔の職員か?」

 

 【さぁな。だがおかげで助かった。どんな事情かは知らないが、有り難くこの恩恵を受けようじゃないか】

 

 「え? 部屋に戻るんじゃねぇのか?」 

 

 【おいおい相棒(バディ)、君はいつから斉天大聖になったんだ?】

 

 「はーあ?」

 

 【最後に“抜”いたのはいつだ。ええ?】

 

 「あー?」

 

 思い返す。シモ弄りは週一のペースだ。ティッシュの配給は枚数が限られてる。飲み込んでおっ死まねぇようにだ。自殺防止だかなんだかで、使ったら用途もきっちり報告しなきゃあならねぇ。だから面倒でソノ気もほとんど起きねぇ。…まぁ、性欲の減退にゃ飯に練りこまれてる抑うつ剤の影響もあるだろうが。

 

 【違う、ソッチじゃない。自慰の話をしているんじゃあないんだ。…なぁ相棒(バディ)、久々に“女”の股ぐらにぶちまけたくはならないか?】

 

 「あ、そう言う事?」

 

 【こんなチャンスは滅多にないぞ? 見張りも不在、部屋の鍵はどこぞの妖精がアブラカダブラを唱えてくれた。これは天のお導きに違いない。なぁ、そうだろう?】

 

 「“俺ら”の溜まったザーメンを聖母(マリア)のヴァギナで清めたまえ、ってか?」

 

 ヒュウッ! いいねぇ~!

 生憎とここにゃあ処女はいねぇが、過ぎた姦淫でぶち込まれた色情狂(ニンフ)ならごまんといる。

 

 「ひさびさのセックスも悪かねぇかもなぁ!」

 

 【そのイキだ、相棒(バディ)

 

 吸いつくような女の肌。最後に味わったのは半年前、ミランダとヤった時だ。珍しく部屋から出る事を許されて、何十日かぶりのTVにかじりついていた“俺たち”を“ヤリたがり”の彼女が誘い出した。二人して部屋の隅に転がり、“立ちんぼう”のオージーを壁にして隠れてファックした。2回、生で出した所でミランダの“よがり声”に気付いたボビーが“俺たち”と彼女をひきはがし、下半身丸出しのままの“俺たち”を警棒でしこたま殴りつけたのだった。

 血尿を漏らして昏倒する“俺たち”を嘲笑う、ボビーの野郎のニキビ面。あの醜悪な脂肪の塊に眼をつけられてからは、退屈な日々に、“恐怖”という名の刺激が沸いた。

 

 【だがな、相棒(バディ)。人間とは愚かなモノだ。一度犯した危険でも、甘美であると知ってしまえば幾度となくそれを繰り返す】

 

 「要はセックス最高って話だな」

 

 【ヴァギナに勝てる男なぞいない、…そういう事さ】

 

 「そーそー、ゲイと天使(ミカエル)以外にゃあ、な」

 

 【違いない】

 

 クスクスと笑いながら廊下を歩く。小声だが、あまり注意してはいない。このエリアじゃ他人に聞かれる心配がないからだ。

 他の部屋は全て空いている。この南エリアは、今のところ“俺たち”しか宛がわれていない。見張りがいねぇと分かった以上、大声でも張り上げない限りは大丈夫だろう。

 

 【いや、待て】

 

 「なんだよ」

 

 それまで一緒になって笑っていた相棒が妙に気張った声を出すものだから、思わずギョッとしちまった。

 

 【相棒(バディ)、妙な音がする…】

 

 音? 音、音、音……また音かよ。

 

 【いや、違う。よく聞け相棒(バディ)、さっきのパレードとは別ものだ】

 

 耳を澄ませろ。神経を尖らせろ。

 

 「ん・・・?」

 

 ―言われてみれば、確かに違う。

 いつの間にか花火の音も止まっている。爆竹の音も、外の連中のバカ騒ぎも聞こえない。

 だから、その音がどんな音なのかすぐに分かった。

 

 静寂の中で、―『何か』が『何か』をすすっている。

 

 

 【相棒(バディ)、見に行こう】

 

 「えぇ…?」

 

 【そんなに嫌そうな顔をするな。なに、万一見張りがビリーかケインだったら見つかる前に隠れればいい】

 

 「ビリー“と”ケインだったら?」

 

 【ハッ、それこそ二人で“ナニ”をすすっているのだね。 お互いのコックを吸い合っている? 相棒(バディ)、だったら尚更見に行かねば。今後を快適に過ごすためにカードは一枚でも多く揃えておくべきだ】

 

 この相棒は相変わらず危なっかしい事を言う。

 

 【だがそんな俺も好きなんだろう、我が友よ】

 

 うるせぇ、黙ってろよ。

 

 【図星の癖に】

 

 得意げなその声に俺は答えず、無言で中指を突き立てた。

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 そろり、そろりとレクレーションルームへ顔を出す。東西南北、棒状に伸びる各エリアの中央に位置するのが、この“遊び場”だ。

 非常灯がぼんやり点いているだけの薄暗い空間。丸テーブルにソファに箱型TVが一台だけ。昼間と違い人気が全くないだけで、いつも通りの“退屈”な場所は365日変わりなく存在していた。

 

 【…誰もいないな】

 

 「うーん…」

 

 おかしいな。確か、この辺りから聞こえてきた気がするんだが…。

 首を動かして周囲を見渡す。が、やはり動くものは何もない。誰かが隠れている気配もない。

 

 【相棒(バディ)、おい、相棒(バディ)

 

 「なんだよ」

 

 【誰かが倒れてるぞ】

 

 「えっ?」

 

 気付かなかった。

 

 【ホラ、あの椅子の下】

 

 言われるがまま目を凝らす。

 ああ、確かに誰かがうつ伏せている。…女だ。

 明るいブラウンの髪。まあるい尻。俺とお揃いの白い上下はどこも赤黒く滲んでいる。床にキスしてっから顔は分からねぇ、が、その後ろ姿には覚えがあった。

 

 【おやおやおや…? コイツは驚いた】

 

 どうやら“相棒”も気づいたようだ。

 

 【誰かと思えば、売女のミランダ女史ではないか】

 

 つま先で体をひっくり返す。

 …ああ、成程。確かにミランダだ。顔が半分吹っ飛んでるが、片方だけ残ったヘーゼル・アイで合点がいった。

 

 【見たまえよ、…勿体無いことを。乳房が両方ともえぐり取られている】

 

 「あーホントだ」

 

 ニンフォマニアのミランダ唯一の武器、ご自慢のFカップは見るも無残な状態だ。肋骨が見えるまで肉をほじくりだされている。

 残念だなぁ。あのデカパイでしごかれるのが堪らなく気持ちよかったんだが。

 

 【自殺…というには少々アクロバティックが過ぎるな。きっと誰かにやられたんだろうが…】

 

 「ボビーかな」

 

 【いいや、それはない。いくらこの女に懸想してるからって、あの臆病者にこんな芸当はできまいよ】

 

 その通りだ。

 しゃがみ込み、ミランダの死体に顔を近づけて損傷部位に目を凝らす。

 

 【傷口は粗い。まず刃物ではないな】

 

 「そうだな、獣の噛み口によく似てる。…が、鋭くはない。規則正しい噛み切り跡…肉食系の猛獣ならこうはならない」

 

 【雑食系統、かつ犬歯の発達の遅れた動物による外傷】

 

 「そんでもって死因は、出血跡が一番ひどい箇所」

 

 【首、か】

 

 「ああ、頚動脈に食いつかれて失血死だ」

 

 立ち上がり、ぐるり、と周囲を見渡す。…ああ、よく見りゃあ東廊下から血痕が続いてらぁ。

 白い床面をぽつぽつと汚す、鮮やかな赤の斑点模様…。

 

 「…ミランダの部屋は東エリアの端だったっけ」

 

 【行ってみるか?】

 

 頷く。何があったのか気になる

 

 

 

  *  *  *  *

 

 

 

 東エリアは女の花園だ。

 色畜生やら薬中やら、男のペニスをガラス瓶にコレクションしてたっつー猛者までそろってる。狂った女の展覧会場。甘く危険なラブホテル。

 

 しかし魅惑の売春宿は今や散々たる地獄絵図と化していた。

 

 

 【…まるで大虐殺(クメール・ルージュ)だ】

 

 廊下一面、ピカソのゲルニカを赤色で塗りたくったような有様だ。

 見知った顔の女どもが床に転がっている。その数、計り知れず。何故かってーとアレだ、バラバラだからだ。

 腕やら足やら頭やらがそこらにごろんごろんしてるし、ぶつ切りの肉やら皮やらなんやらも血だまりの上でぷかぷか浮いている。壁には真っ赤な手形がびっしりと…。

 

 「こいつら、逃げようとしたんだな」

 

 足元に転がる裸の腿。血濡れの足跡や、壁にすがったまま背骨を抜かれた死体の状況からこの惨劇は一方的な虐殺だったことが分かる。

 各個室の状態も同じだ。大多数が廊下で絶命していたが、部屋の中で大人しく殺されたであろう知り合いの姿もあった。

 

 「…鍵は掛かっていなかったのか?」

 

 【いや、キーはそのままだったろう】

 

 相棒が呟く。

 

 【多分、“俺たち”の時と同じように解除されたんだ。だから彼女たちは逃げられなかった…】

 

 ベッドの下からはみ出た血濡れの手。致命傷のまま隠れようとして―そのまま失血死したのだろう。

 施設の個室は自殺防止のために内側から鍵がかけられないようになっている。今回、それが仇になったのには違いない。

 

 「……他のエリアはどうなってるかな」

 

 【見てこようか?】

 

 「いいよ。多分おんなじだろうから」

 

 確認するまでもないだろう。

 “女性房(サニタリー・ルーム)”こと東エリアと、男だらけのタコ部屋、北エリアはほぼ繋がっている。これだけの虐殺騒ぎに気付かないはずがない。命を貪られる女どもの悲鳴がハッキリと聞こえたはずだ。“俺たち”のように、特別な理由で隔離されている、完全別棟の南エリアと違って…。

 

 【そうさ。だから“俺たち”は襲われずに済んだ】

 

 「じゃあ、さっきのバカ騒ぎは…」

 

 【ああ、外からじゃなくて、中からだったんだ】

 

 てっきりパレードを楽しむ歓声だと思っていたが、どうやらあれはスクリームだったらしい。

 

 【“キチガイ”どもが祭りを楽しんでいたんじゃあない、…断末魔の叫びだったんだ】

 

 分厚い壁に阻まれていたとは言え、不抜けていた。笑い声と悲鳴とを聞き違えるなんざありえねぇっつうのに…。

 だがそこではたと思いとどまる。

 “外の騒ぎ”と勘違いしていたが、あの時の騒音は二種類あった。人の声、それから花火とじゃあ、あの花火の音は…?

 

 【それは外だろう。…まぁ、もしかすると花火じゃないのかもしれんがな】

 

 なんとなく、そんな予感がしてきた。

 

 

 「……“俺たち”も、逃げたほうがいいのかな」

 

 この状況は、色々とヤバい気がする。

 

 【気がする、じゃ済まないぞ、…これは】

 

 ああ、そうだな。その通りだ。

 相棒の言葉に俺は頷き、東エリアを後にする。向かうは西エリア―フロントだ。

 収容者80数名を抱える、この“スリー・キングス精神病院(アーカム)”の総合受付。そして、たった一つの出入り口。

 

 “俺たち”はなるべく音を立てず、けれどできる限りの素早さで西エリアを目指す。

 

 ―スリー・キングス精神病院(アーカム)

 出来たてホヤホヤ、充実した設備と医療体制で、ヴァージニア州で最も先進的と称される施設、…だった筈だ。一応は(その割には警備がオツムにクソでも詰まってるような奴ばかりだが)。

 その内部で起きた大量虐殺。バラバラ死体の投げ売りセール。あの惨状は、我が合衆国(ステイツ)に海をまたいでポル・ポトの末裔でも来航したのか、って位の殺しっぷりだった。だが、いくら収容者(おれたち)がクレイジーだからって、なぁ…。せめて銃でも使ってやれよって思わず嘆いちまったよ。

 廊下一面の血だまりから察するに、恐らくは―生きたままバラされたに違いない。

 

 「かわいそうになぁ…」

 

 いい奴らだった、とは言わない。

 ずーっと虚空を眺めてるような女や、何度も手首を掻っ切っては蘇生材の世話になるようなイカれ野郎。ちょっと水をこぼしたからって向かいのテーブルの仲間を絞め殺したキチもいた。

 “俺たち”みたいに常識があって、大人しい、平凡な男がどうして奴らと仲良くできようか?

 

 【だが、顔見知りがいなくなるのはさみしいな】

 

 相棒がポツリと呟く。

 まぁ、そうだな…。

 

 「過去もない、名前もない。…顔だって、“こんな風”になっちまった“俺たち”に、あいつらは話しかけてきたもんな」

 

 こんな、包帯だらけのミイラ男に分け隔てなく接する輩といえば、よほどの物好きか―気狂いだけだろうよ。

 小走りながら腕の認識票を握る。“俺たち”を“俺たち”たらしめる唯一の証だ。そして、このスリー・キングスの思い出。感傷に心が震える。

 

 【…とにかく、警備員の存在確認、これが第一だ】

 

 俺の哀惜をどう受け取ったか、相棒はややぶっきらぼうに語りかけてくる。

 

 【これだけの騒ぎで彼らが動いていないのは不自然すぎる。なんらかの事情を知っている可能性が高い。探し出して訳を聞こう】

 

 「…ああ。だが、俺たちが脱走したことは確実にバレるぞ」

 

 【構わんさ、緊急事態(エマージェンシー)だもの。寧ろ保護してもらいたいくらいだ】

 

 「…だけどさ。もし、アイツらがヤったんだとしたら―」

 

 あの惨状は、とても一人の人間の仕業とは思えない。

 最低でも複数人。しかも、とてつもなく凶暴な奴らが“人喰いバッファロー”を伴って襲撃してきたようなものだ。

 

 【ミランダ殺しの噛み跡、か。……ん? だが“バッファロー”の例えはどこからだ?】

 

 「ああ。引き攣れ、ろくに判別も付かなかったが、―あの食い方は野犬や狼のソレじゃなかったろう?」

 

 尖った犬歯で肉を切り、そのまま飲み込むような獰猛さがない。引きちぎり、含んだ肉をゆっくりと咀嚼して、胃に流し込む食べ方をする生き物のものだ。

 

 「だからさ、雑食っつーか草食系かなぁ、って」

 

 【草を喰う生き物がああも下品な食い方をするとは思えんが】

 

 「うーん…」

 

 相棒のツッコミにやや黙考する。確かに、あの傷跡は草食系というよりも雑食に近い。けれど、雑食動物だったらもっと噛み跡は小さいはずだ。そもそも雑食は体が小さい。ミランダの首に噛み付いたって、頚動脈を巻き込んで丸々食い破れる程にはならないだろう。

 

 「あの顎のサイズで、かつ大人一人を喰い殺せるだけの筋力を持つ動物ねぇ…」

 

 そんなデカい雑食動物なんざ、“人間”くらいのもんだろうに―…。

 

 

 ―と、想像するのも阿呆らしい考えに至った瞬間。

 

 

 【相棒、何か来るぞ】

 

 「んん…?」

 

 ちょうど、ミーティングルームに入ったタイミングだった。

 フロントへはここを突っ切らなきゃたどり着けない。ゆらゆらと、北エリア―“男のタコ部屋”から体を揺らして向かってくる人影。歩調は随分とゆっくりだ。杖ついたジジィの方がよほど早い。

 

 【あれは…ボビー?】

 

 近づいてくる男は、憎き天敵のボビーだった。

 ラードの塊のような腹。ニキビ面にずんぐりとしたデカっ鼻。間違いない。クソッタレ・ボビーだ。

 でも、何かがおかしい。

 

 【マズイ、見つかるぞ!】

 

 分かってるよ!

 慌てて近くの柱に引っ込んだ。物陰からそっと顔を出し、ボビーの様子を伺う。

 

 【…なんだ、あれは】

 

 シッ!静かにしろよ!バレちまうだろ!

 

 【いや、でもな相棒(バディ)……奴の首をよく見てみろ】

 

 首ぃ?

 何でそんな所を…?

 

 【いいから!】

 

 ―はいはい、分かりましたよ、と。

 

 薄明かりの中で目を凝らし、ボビーの埋まった首を注視する。

 ・・・って、おいおい、マジかよ。

 気が付いて、ゾッとした。ボビーの首は、パックリと裂けていたのだ。…いや、千切れてた、という表現が正しいか。よく見りゃ紺色(ネイビー)の制服も肩口からべっとり赤黒いもので染まっている。ただ、もう血は出尽くしたようだった。

 

 【怪我ってレベルじゃあないな】

 

 ああ、頚動脈は確実にイってるっぽいしな。普通だったら即昇天ってぇ致命傷だ。

 だというのにボビーは歩いている。覚束無いが、しっかりと地に足を付け、前に進んでいる。

 

 【…奴さん、なにを“された”んだ…?】

 

 分からない。

 酷ェ怪我を気の毒だとは微塵にも思わないが、正直言って気味が悪い。イの一番に警備員に現状を尋ねる筈だのに、その気すら失せちまった。

 

 【もしや、他の警備も同じように襲われたのではないか?】

 

 だから一人も現れないと、そういう事なのだろうか。

 じゃああそこのボビーは生き残り? …まぁ、死にかけてるみてぇだが。

 

 話しかけに行くべきか、否か。迷う。相棒も同じ気持ちらしく即断に至らない。

 と、まごまごしている内にボビーが歩みを止めて立ち止まった。その足元にはミランダの死体が転がっている。ボビーの視線がゆっくりと下を向く。ミランダの、片方しか残っていない目玉と、ボビーの澱んだ眼が交錯する。

 

 憧れのミランダ。その変わり果てた姿に奴は何を考えたのだろう。

 ボビーはゆるゆると膝をつく。彼女の髪を触り、撫で、穏やかな表情で半分だけの顔へ分厚い唇近づける。そうして―…、

 

 「あ、」

 

 そのまま、ミランダの首に思いっきりかぶりついた。

 ボビーはばりばりと無表情で咀嚼を始める。すする。噛み砕いて、飲み込む。

 

 悲恋のラブシーンかと思いきやディナーかよ。

 こちらとしては開いた口がふさがらない。なにせ、人が人を喰っているのだ。

 

 【……“人喰いバッファロー”は外れたな】

 

 “相棒”がぽつりと呟く。

 

 【なぁ相棒(バディ)

 

 「…なに?」

 

 【ボビーは、死んでいるのではないか】

 

 「え?」

 

 【アレだ、アレ。リビングデッド】

 

 それって、ゾンビってことかい?

 墓場から蘇って、生きた人間を喰う歩く死者(ウォーキング・デッド)だって?

 

 【いや、馬鹿げた話だろうが……そうとしか思えんのだよ、俺には。あれだけの致命傷でも平然と動き回り、果てには……人間(ミランダ)を喰べているではないか】

 

 ンな馬鹿な。

 と、思わずにはいられなかったが、妙に納得がいく言葉だった。

 ゾンビ。ファッキン・デス。事実そのアイデアがしっくりくる。つかまず共食いしてるって時点でゾンビっぽいし。

 

 【なぁ、やはリビングデッドだろう、あれは】

 

 ……わかんねぇよ。

 

 【いいや絶対そうだ。そうに決まっている。この世にナイフもフォークも使わないカニバリストなぞいるものか。…なぁ、少し殺してみないか? そうすれば答えはハッキリする】

 

 「ちょっと殺す、ってなんだよ…、ああくそ、だったら俺はぶち殺す方が好きだぞ。中途半端は嫌いなんだ」

 

 それに、…ミランダの腹に手を突っ込んでるボビーのクソッタレ。無表情、目は白く濁り、淡々と臓物を引っ掻き回してやがる。肉厚で蠱惑的だった彼女のへそ周りは、みるみるうちに崩れていく。しっちゃかめっちゃかにかき混ぜたビーフシチューの如く。最早胴体の形状を留めてはいない。

 ―ああ、なんだかミランダが可哀想になってきた。

 アチラから迫ってきたとはいえ溜まった精巣を空っぽにしてくれたのは彼女だし、売女の割に具合のイイ穴に何度かお世話になったのも事実だ。それに引き換えボビーとくりゃあ、ミランダと寝たことを引きずって、何もしてねぇ俺を殴るわ蹴るわ、しまいにゃホモ野郎と同じ部屋に放り込まれたこともあったっけ。

 

 【あの時は辛かったなァ…】

 

 ああ。何が悲しくて野郎の小便くせぇコックを咥えにゃならんのか、って、ボビーのクソッタレに殺意を抱いたのはアレが初めてだったな。

 

 【それまでも君は頭の中で何回か彼を殺していたがな】

 

 「いや、マジでぶっ殺そうって思ったなぁあん時さ」

 

 【だが、今は本心で殺るつもりだろう?】 

 

 あったりめぇよ。

 “俺”は舌舐めずり、うずくまるボビーに近づいた。

 見れば見るほど、動いているのが不思議な位の重傷だ。首の周りの肉がほとんどえぐれてやがる。

 

 奴さんは食事に夢中だ。真後ろに立つ存在にまったく勘付かない。相変わらずどんくせぇ野郎だ。笑いだしそうになるのを堪え、ゆっくりと消火器を持ち上げる。

 思えばコイツには散々な目に遭わされてきた。俺の事をミイラと呼んで蔑み、嗤い、殴り、蹴り―ペニスを折れるほど蹴り飛ばされて医務室に運ばれたのだって一回じゃない。死ぬほど痛い思いを何度もされて、抵抗するたびに鎮静剤(チオペンタール)をぶち込まれ―…。

 

 【―やれよ、我が友】

 

 ああ、そうだな。

 積年の恨みはサクっと晴らしちまおう。だって―、

 

 「―ゾンビだし、殺したって罪にゃならねえよな?」 

 

 むしろ合法だ。

 遠慮なく、渾身の力で持って獲物を振り下ろす。めきょ、と鈍い音がしてボビーの頭が大きく歪んだ。勢いで倒れる巨体。だが、まだだ。まだ、―多分足りない。

 

 【More(もっと)! More(もっと)! More(もっとだ),buddy!!(あいぼう)

 

 頭の中で“相棒”が叫ぶ。エレクトの最中よりも興奮している。

 俺も鼓舞されているような気になって、何度も何度も鉄槌を下す。

 

 「おらどうしたクソッタレボビー! テメェゾンビの癖にガッツなさ過ぎだろコラぁ!!」

 

 【Yes,Yes,Oh,Yes!!! 潰せ! 潰せ!】

 

 「この豚野郎! よくも今までヤってくれたなぁ! ぁあ!?」

 

 【ブチ殺せ、相棒(バディ)!!】

 

 「ああ、ああ、そうだ! ボビー、テメェは地獄の底までおっ死んじまえ!!」

 

 ごん、ごん、ごんごんごん・・・!

 

 血飛沫が弧を描く。ねっとりとした鉄臭さ。どこか懐かしく、けれど気色の悪いフレグランスが高揚感を煽る。

 息つく間もなく振り下ろす。持ちあげて、降ろす。叩く、叩く、容赦なく叩く・・・。

 

 「はぁっ、はぁ・・・、はぁっ、」

 

 流石に息が切れてきた。

 何発、いや、何十発ぶちこんだろうか。ボビーの頭蓋が潰れたトマトになったあたりで“俺ら”はようやっと満足した。ベコベコになった消火器を放り、その場にぺしゃんと尻もちをつく。

 

 「・・・これで、はぁっ・・・どうだ? 流石に、死んだだろう・・・?」

 

 【いいや、分からんぞ】

 

 いやいや、もう頭ぺっちゃんこだし。脳みそほとんどバターみたいになってるじゃんよ?

 

 【相棒(バディ)、相手はゾンビなんだぞ? これがホラー映画だと油断して背中を向けた瞬間に襲われるのがセオリーだ。】

 

 「・・・それもそうか」

 

 ごもっともなアドバイスだ。全く、俺の“相棒”は博識だなぁ。

 

 「ホント、頼りになるダーリンだこと」

 

 【君のその迂闊さも時には愛おしいのだがね、ハニー】

 

 「言ってろ」

 

 苦笑しつつ、ガラスの破片を拾い上げる。間違って自分(テメェ)の手を切らねぇよう適当に服をちぎり、その布で簡単な持ち手を作った。そうして、ぺっちゃんこになったボビーの頭に手をかける。

 

 「じゃ、まぁとりあえず―…首、切っとくか」

 

 

 

  *  *  *  *

 

 

 『―ここで、緊急速報です。本日未明に発生したヴァージニア州スリー・キングス市の爆破テロですが、先ほど国防庁より“細菌テロによる局地的生物災害”との見解が発表されました。しかしながらどのような組織による犯行か、そして細菌兵器の種類や被害状況も依然発表はありません。スリー・キングス市民の安全は未だ確保しきれていない状況です、引き続き―…』

 

 

 

  *  *  *   *

 

 

 

 ボビーの頭を掴んだまま“俺たち”は施設の外に出た。

 陽はまだ遠く、夜は長い。街に明かりはほとんど見えず、深々と闇だけが続いている。

 

 「あのバカ騒ぎは、パレードじゃなかったんだな」

 

 施設は街の大通りに面している。となりには裁判所、正面はビジネス街だ。…と、聞いたことがあった。

 

 【まあ、実際に目にしたのは初めてだからな】

 

 先進的で、ある意味簡素な街並みだ。

 頭を上げて天を仰ぐ。空まで届きそうな高層ビル。…こんなに高い建物、5年前には存在して無かった。

 

 【5年も経てば街並みも変わるさ】

 

 「そういうもんかな」

 

 【そういうものなんだろうよ】

 

 世界は急速に進化を遂げる。“俺たち”のように、隔絶された場所で過ごしている者には、その光景は想像もできない。 

 

 【バベルの塔が崩壊を迎えたのは、その全長を高くしすぎたからだ、という説があったな】

 

 相棒がふと囁く。

 

 【預言者が神託をさずれられている間に、愚かな民草が神に手を伸ばそうとしてその怒りを買ったらしい】

 

 「へぇ…」

 

  ―だから、この街も試練を迎えてんのだろうか。

 

 

 【おや、また花火が上がったな】

 

 「…いや、あれは違う」

 

 【そうだな、夜空を照らすのは鮮やかな極彩色じゃあない、あれは真っ赤な爆炎だ】

 

 それに続くように街の至るところで煙が上がる。

 ああ、あのうるせぇ(サウンド)は、やっぱり花火じゃあなかったのか。

 どこぞで立て続けに起きるガス爆発。確かに、騒がしさだけはよく似ている。BONB、BONB、BONB…。めでたくともなんともねぇ、つまらねぇだけの単なる狼煙だ。

 ちろちろと灯る炎の残り火。鼻をくすぐる焦げ臭さ。燃えているのは何だろうか。

 

 【焼いた肉の臭いだな】

 

 「それも、酷く不味い肉の匂い」

 

 【Yha、傲慢な二本脚が地獄の業火で焼かれる臭いだ】

 

 すなわち、人間。

 

 【見たまえよ相棒(バディ)歩く死者(ウォーキング・デッド)がこっちを向いているぞ】

 

 ストリートの向かい側を歩いていた死者たちが、ああ、うう、と呻きながら“俺たち”に向かって手を伸ばしている。典型的なゾンビらしさ。笑っちまう位にお粗末だ。

 あーあ、なんだか急に疲れてきちまったよ。

 

 「…アホらしい」

 

 終焉のような地上が嫌になる。だから遠く、空を眺めた。 

 

 「……満点の星空なんて、久しぶりだ」

 

 裁判で収監されてからだから、5年3ヶ月と29日、12時間29分と46秒が経過している。

 

 【あそこはこんなにも美しいのになあ】

 

 「どうして、ここはこんなに汚くなっちまったんだろう」

 

 血と硝煙と腐臭の中で、二人きり。呆然として寂寞感に浸った。

 

 

 ―陽は無い。

 ―いまだ、夜は降り続ける。

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 Falling DAWN

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 ―この混乱(ケイオス)と引換えに、“俺たち”は、ようやく自由を得た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【登場ファイル】

 

-ファイル No.1-

 

 【収容番号44番(フォー・ツー)

  …精神病棟(アーカム)の精神病者。本名不明のため、番号名の44番(フォー・ツー)を仮称とする。

 

 ▼ ステータス

  ⇒知力 (6/10)

  ⇒行動力(5/10)

  ⇒戦闘力(8/10)

 

 ▼ 所持アイテム:医療用ナップザック

  ⇒注射針 × 2本

  ⇒薬物アンプル(|鎮静剤《チオペンタール)

  ⇒医療キット(スタンダートタイプ)

 

 ▼ アビリティ:体内時計。 

 「超精度の体内時計により、あらゆる状況、場所において正確な日時を割り出すことが可能」

 

 

 

-ファイル No.2-

 

 【相棒】

  …もうひとりの主人公。44番(フォー・ツー)の頭の中に存在する“声”。

 

 ▼ ステータス

  ⇒知力 (9/10)

  ⇒行動力(8/10)

  ⇒戦闘力(0/10)

 

 ▼ 所持アイテム:なし

 

 ▼ アビリティ:多角思考。

 「内なる人格によって常に多角的な思考から状況判断が可能」

 

 

 




※加筆・修正は大いに行われる予定です。
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