【書籍発売】汝、現代ダンジョンに希望を持つべからず   作:鋼我77

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第89話 宴会にて魔女は語る

 あれから一週間程度の時間がかかった。後片付けに奔走される日々だった。まずは何はともあれ、地王カンパニーについて。向こうの代表者と話し合った結果、警察に出頭するという流れになった。代表者というのはあの場で唯一背広だった男性、名前を田中一(たなかはじめ)さん。

 彼の説得によって、大部分のハンターがそれに従った。若干名、すなわちアントニーとその取り巻きは逆らったが彼らに発言権はない。余計なこと言わないように、マリアンヌさんの呪いまでつけてお巡りさんに突き出すこととなった。

 ちなみにこのやりとりは、道明さんの手によって秘密裏に行われた。彼らの脱走は、世間には伏せられている。逃げ出したことをなかったものとし、秘密にする条件でそれに関する罪を問わないという話になったらしい。

 つまり、脱走時に犠牲になった方々は事故という形で処理される。腹立たしく、納得が行かない。ソレは道明さんたちも同じで、その分は補償を厚くする形で補うとのこと。偉い人の前で、里奈さんのグレートソードが唸ったとかなんとか。

 この件に関して、俺は当事者ではない。口を出す権利も能力もないので、関わりもしない。……半戸代表が戻ってきたときに、続きがあるかないかだ。

 さてその半戸代表。『向こう側』とやらに送られてしまった。現状こちらからアクションは起こせない……はずだったのだが、一樹さんが手を上げた。

 

『あっちに頼める伝手があるんで、探してもらいます。必要ならば救出も』

 

 彼が言うのなら、そうなるのだろう。その時は何故を問わず、よろしくお願いした。それから、これはまあ先の話になるのだけど。地王カンパニーは解散になるらしい。代表者が行方不明だし、大きくやらかしすぎた。仕方がないことだろう。

 ハンターたちは皆優秀だ。経歴に傷がついても、ほしいと手を上げる勢力はある。ダンジョンは常に人手不足だから。なので法の裁きを受けた後は、それぞれ別の組織に流れるという話だ。

 で。その中の一部、三分の一くらいが我が社への入社を申し出てきた。理由を聞けば、半戸代表の無事を確かめたいからとのこと。俺は素行が問題ないと判断できればという条件をつけてOKを出した。すねに傷? 風評? 今更今更。使える人材は多い方がいい。我が社はまだまだ発展途上なのだから。

 それに、半戸代表には確かに助けられた。結果的であったとはいえ、彼が口八丁で時間を稼いでくれなかったら一樹さんは間に合わなかっただろう。その借りは、返さなくてはいけない。救出できれば言うこと無しなのだが……これについては、任せるしかない。

 そうだ。出頭する前、田中さんから色々話を聞けた。その中で、地王カンパニーの脱出の詳細についても教えてもらえたのだ。元々彼らは、半戸代表の命令(その大本はたぶんあのドラゴン)でマリアンヌさんの使い魔を探していた。個人でダンジョン管理している人間の近くに現れるということは調べがついていた。

 人員を割いて時間をかければ、結果に繋がる。烏の使い魔を見つけた半戸代表は、怪しいマジックアイテム(俺も見たあの干し首だ)を使ってそれを掌握。地上とダンジョンの行き来を可能にしたとのこと。

 アントニー達を脱出させたときも使い魔を使ったらしい。だけどそこで彼の想定外のことが起きた。戦力の補充をあのドラゴンに頼んだところ、送りつけられたのが鬼の兵士たち。命令を聞くと言うから連れて行ったものの、蓋を開けてみれば関係ない一般人にまで襲いかかる始末。

 怒った代表は、撤収後に隙を見て襲撃。皆殺しにしたらしい。……悔いたところで罪は変わらぬが、自業自得と言うにはやるせない。言ったところで、どうしようもないが。

 さて、地王カンパニーについては以上。次は俺たちの話。まずは俺自身について。アントニーに銃撃された俺だったが、一樹さんのよく分からない薬で治療された。傷一つないのだから感謝すべきなのに、薄ら寒いものを感じてしまう。一体何を飲まされたんだ俺は。聞いてもいつも通り笑うだけで詳しく教えてくれないし。

 まあ、体が動くのだから仕事はしなくてはいけない。俺は日常業務の傍ら、せっせと崑崙マーケットに弾丸サンマを卸した。だって、食事代稼がなきゃいけなかったし。一匹程度なら、自分でもどうにかなるし。

 後で見つかって、また勝則たちに叱られることになったけど。立場を考えろと言われるとぐうの音も出ない。ごめんなさい。

 そんなこんなで日数が過ぎ、花の金曜日となりました。明日が休みとなれば、酒を飲むのに遠慮はいらない。行路飯店への予約はとっくに済んでいる。お代金も稼ぎ終わった。

 というわけで、約束を果たすことと相成ったのだが。

 

「……なんか、すげー集まってません?」

 

 当日、夕方。崑崙マーケットの行路飯店に移動した俺たち。いつもとは違う客入りに、流が軽く引いていた。

 

「まあ、マリアンヌさんは界隈の有名人らしいから。お祝いに集まったらしいよ?」

「あらやだ、お恥ずかしい」

 

 淑女のように微笑む。今日の服装はドレス、であるが肌の露出は大分おとなしい。……それでいて、体の線は結構出ている。男女問わず人の視線を集めるのは、当人の魅力もあるのだろう。

 

「お帰りなさいませ、老師!」

「純金のマリアンヌにご挨拶申し上げる!」

「大魔導師に栄光あれ!」

 

 このように、マーケットの住人達がひっきりなしに最敬礼で挨拶しにくる。それを優雅に笑って返している。分かっていたが、とんでもないVIP様だ。

 店の中も満員御礼。そこをかき分けて通されたのは大変豪華なホール。いくつもの朱色の円卓が並べられている。社員一同、そのきらびやかさに驚いていた。……今回は社員およびその家族を招待した。崑崙マーケットについてはあらかじめ説明し、かつ口止めしている。外で話しても信じてもらえないような内容だが、信頼に関わることだしな。

 里奈さんたちも、時間を作ってもらってお招きした。あの戦いの功労者だし、お礼をせねばならない。

 さてあっけにとられる社員達の中、俺は特等席に座っている人物に目を向けた。

 

「……今晩は、李大兄。ご同席されるとは聞いておりませんでしたが」

「邪魔をする気はない。端でおとなしくしているさ、ほかの連中もな」

 

 周囲を見れば、ちらほら見知った顔がある。死霊術士のおじさんも、こちらに手を振ってきている。……本当は外に詰めかけている人たちも店内に入りたい感じだったのだろうな。それを押しとどめたのが誰か、考えるまでもないか。

 俺は社員達に着席を促した。俺の卓には、まあ主要メンバーが集まっている。マリアンヌさん、御影兄妹、流、宏明と歩、藤ヶ谷夫妻、里奈さん達三名。

 黄田夫妻、氷川夫妻は別卓についた。事務方でまとまってくれたようだ。俺たちが席に着いたところで、店員さんが飲み物の注文を取りに来る。それぞれが頼み、同時に料理が運ばれてきたのだが。

 

「……なんですかこりゃ?」

 

 お通しのような料理がいくつか出たのだが、メインとして正面に置かれたのは一枚の焼き肉。カルビかな? と首をかしげる。香りはいい。凄まじく食欲をそそらせる。だがそれにしても、たった一枚というのは解せない。

 

「ハウルボアの肉です。まずは一枚、お召し上がりください。ご質問については、その後お伺いします」

「はあ……わかりました」

 

 早速食べてみたいところであるが、今回は慰労会である。なのでとりあえず、社長として挨拶をしなければならない。勝則が司会として立つ。

 

「各位、飲み物は行き渡ったでしょうか? ……では、慰労会を始めさせていただきます。まずは、社長よりご挨拶を頂戴したく存じます。社長、よろしくおねがいします」

「えー、社長の入川です。先日は突発的かつ危険なミッションへの参加、本当にありがとうございました。おかげさまで、無事に目的を達成させることができました。また怪我につきましても生活や仕事に支障を来すようなものがなく、ひとえに日頃の皆さんの成果が出たものであると喜ばしく思っています」

 あんた、思いっきり怪我してたやろが、という視線がいくつか飛んでくるが無視する。

「今回のミッションにかぎらず、日頃から社員の皆様には大変な仕事に従事していただいています。今日は……最低限の節度を保ってもらった上で! 大いに飲んで楽しんでいただきたいと思います。なんで釘を刺したかというと、周囲に大変怖い魔法使いや戦士のみなさんがいるからです。間違ってもケンカ売ったりしないように!」

 わはは、と笑い声が内外から上がる。手加減してやるぞー、と外野から声が来る。ははは、ご冗談を。これ幸いと遊ぶに違いない。おれは詳しいんだ。

「それでは、あまり長く話して料理を冷めさせてもよろしくありませんし挨拶はここまでとさせていただきます。えー、グラスは手元にありますね? はい、それでは、お疲れ様でした、乾杯!」

「「「乾杯ーーー!」」」

 

 ぐびっとビールを喉に流し込む。苦みと爽やかさがたまらない。ああ、この一杯のために生きてるんだなあ。

 席に着いたところで、問題の肉に向き合う。さて、ハウルボアの味はいかなるものか。

 

「いただきます」

 

 口の中に放り込む。そして噛む。……味が、爆発した。

 

「!?」

 

 うま味だ。圧倒的な肉の味が舌、鼻、胃を直撃する。それでいて噛むのを止められない。味に物理的衝撃が伴っていたら、俺の頭は吹き飛んでいたかもしれない。

 たまらず、ビールを流し込む。それでも飲み込めない。何度も何度も、ガムのように噛んで、やっと咀嚼し終えた。飲み込む。まるでウィスキーのように、肉の味が喉の奥で燃えている。

 

「なんだこれ……これがハウルボアか」

 

 あまりの味に、皆が衝撃を受けている。腹が落ち着くまで、料理に手が伸びない。すごい、やばいと口々に感想を言い合っている。

 

「こういうお肉ですので、ゆっくり、少量ずつ運ばせていただきます。しばしご歓談をお楽しみください」

 

 店員さんがそう説明してくれた。なるほど、一枚だけ持ってくるわけだ。何枚もあったら、逆に食欲が失せたかもしれない。

 

「社長、これは丁度良いのでは?」

 

 勝則からの言葉に、うなずく。

 

「あー……うん。そうかも。マリアンヌさん、よろしいですか?」

「ええ、そうしましょう。……さて皆様、しばしお耳を拝借いたします」

 

 彼女が語り出すと、皆が口を閉じた。社員達だけじゃない。店内はおろか店外まで会話を止めて聞きに回る。おそらく、皆がマリアンヌさんの言葉を待っていたのだ。

 

「まずはお礼を。このマリアンヌ・ヴァルニカ、皆様のおかげで命を救われました。さらには、それ以上のものを守っていただきました。その説明、さらには寄せられた様々なご質問。この場を借りて返答させていただきます」

 

 そう。あの場所に到達した者達は、多くの疑問を抱えた。何故、地下十階にいたのか。あの場所は何なのか。建物と魔方陣の意味は。そしてあの円錐塔とドラゴンは何だったのか。

 あまりに多くのそれを、一人一人が質問しては手間だった。そこで社内でまとめて、彼女に渡した。そしてその発表の場所を、こことした。

 ……なぜ慰労会の場を使ったか。簡単だ。きっとものすごい話が出る。腹が満たされ、酒が回ってなければ受け止められないようなのが。

 

「質問は多く、そして多くが一つに繋がっています。なので、なるべく時系列に沿ってお話させていただきたいと思います。まずは……魔法、プラーナ、マナ、アビリティ。これらについて語っていきたいと思います」

 

 この一言に、多くの者が前のめりとなる。ダンジョンが発生してから今日まで、解明されていない大きな謎だからな。

 

「古い記録を遡れば、遙か昔よりマナは地球に存在していたたようです。しかしソレは希少であり、場所も限られていた。それを知覚した者達は、利用法を研究。気の遠くなるトライ&エラーにより、ソレは少しずつ技術となり後継者へと伝承されました」

 

 やはり、魔法は地球にあった技術だったか。推測が当たって嬉しいような、そうで無いような。……こんなことで一喜一憂していられないか。まだ始まったばかりだ。

 

「その希少性、技術性から魔法使い達はそれを世間一般からは秘匿します。しかし情報伝達が難しい時代であっても、秘密を守り切るのは難しいもの。憶測や流言飛語も合わさって、やがて権力者の耳に入ることになります。特別であるというのは、黄金のように価値がある。多くの権力者がそれを求め争いました。結果的に知識が散逸することが多々あり、魔法使い達はさらに注意深く表舞台から隠れて暮らすようになりました」

 

 ダンジョンができるまで、魔法が一般的でなかった理由がこれというわけだ。社員達もなるほどなと頷いている。

 

「さて、次はプラーナについて。プラーナとは、生命の力です。故にマナとは違い、誰にでも扱える可能性があった。しかし古い時代では多くの民衆にとって生活そのものが大変でした。それの習得以前に、命をつなぐのも一苦労。結果的にプラーナもまた一般的な知識とはならず、秘匿されるものとなったのです。まあ、概念的には物語という形で色々伝わったようですけどね。ええと、なんでしたか。こういう形でプラーナを発射する作品があったような? 最近ですよね?」

 

 マリアンヌさんが、何かを掴むように指を曲げて両手を合わせてみせる。そしてそれを押し出す動作をしたので、何を言わんとしているかはよく伝わった。それに手を上げるのは、我が社のサブカルチャー専門家である歩である。

 

「先生。その作品、アニメは定期的に新作が作られましたが原作は三十年以上前に連載終了しています」

「三十年。やっぱり割と最近ですね」

「あ、はい」

 

 にっこり笑顔で言われて、歩はすぐに着席した。触れたらめんどくさい話題に発展すると理解したんだな。

 

「失礼しました。話が脱線してしまいまして……ええと最後、アビリティですね。これについてですが……すみません、私たちもまだ研究中なのです」

 

 えー? という声があちこちで上がった。俺としても、肩透かしを食らった気分だ。

 

「そもそも、アビリティはここ十年で現れた新たな異能なのです。最初は超能力だと考えていたのですが、あまりにも使用が限定されている。プラーナを消費しているにしては、魔法的な動きもする。個人によってばらつきも酷い。研究者も限られているというか、下手をすると表の学者のほうが詳しい部分まであります。というわけで、私からは新ジャンルのパワーとしかお答えできません。ごめんなさいね」

「老師でもご存じないのか……」

「致し方があるまい。あの方の本分ではないし、手も回らなかったであろうから」

 

 外野がそんな話をしている。まあずっとあんな所にいたのなら、研究なんて無理だろう。この世の全ての秘密を彼女が知っているわけもなし。……しかし、新しい異能、なあ。時代が進めば不思議なものは少なくなっていくと思っていたのだが、そうではなかったようだ。

 

「さて。先ほどマナは稀少なものだとものだと申し上げました。しかしそれに変化が訪れます。今から数十年前、世界各地でマナの増加が確認されました。私たちが感じたのは、喜びと困惑です。マナがあれば、いろんな魔法が使えます。しかしもしこれがなにかの災厄の兆候だとしたら。世界各地、様々な組織が原因の調査を始めました……そして私たちはそれに気づいたのです。こことは異なる世界。すぐ隣の異世界、蛮族の楽園(サベージ・パラダイス)を」

 

 蛮族の楽園。彼女が語るところによれば、そこの最大の特徴は果ての分からぬ巨大な地下世界であるということ。洞窟、遺跡、迷宮、都市。それらが上下左右に複雑に絡み合い、巨大なダンジョンを作っている。太陽はないが、様々な光源はある。しかし住みやすい場所は限られているため、知性の有る無し関わらず様々な生き物が奪い合っている。

 そんな中、強さ一つで成り上がり部下を引き連れるものが現れる。それが蛮王。数多くの蛮王が、資源と場所を巡って争い合う。平和などない。永遠の生存競争の地。まさしく、蛮族の楽園なのである。

 

「彼の地にはほかにも特徴があります。それは莫大な、地球とは比べものにならないほどのマナの量。当然そこにはそれを前提とする技術が発展していました。……我々にとって幸いだったのは、争いばかりの土地なので大きな発展がなかったこと。もし文明文化、国家と呼ぶべきものが生まれていれば、到底抗うことはできなかったでしょう」

「はい! ってことは、異世界人は本当にいるんですか?」

「ええ。私たちと同じ人類。獣の要素を持つ獣人。エルフ、ドワーフ、ハーフリングなどの妖精。ゴブリン、オーガなどの妖鬼。そのほか様々なモンスター、果てはドラゴンまで。物語の中の存在が、あちらにはいるのです」

 

 宏明の質問。その返答には多くの者が反応を示した。疑いを持つのは、やはり地下十階のアレを体感していない者達。外野も、知識の差があるようだ。

 俺たちはと言えば、納得と困惑が半々である。やはりあれは、通常のダンジョンモンスターではなかった。今まで戦ったソレとは、全く違う怪物たちだった。アレが異なる場所から来ているというのは、少しばかり安心を覚えた。あんなのが自分たちの住んでいる場所の下にいたら、流石に俺だって逃げ出したくなる。

 そして困惑の理由だが、それは単純だ。何で連中はこっちに来たのか?

 

「あちら側を調べた結果その思惑、動機を理解できました。ソレは至ってシンプル。太陽です。太陽の恵みを無制限に受ける、地表。そこから得られる全てを、蛮王は欲しています。そう、つまりは……略奪が目的なのです」

 

 その一言に、多くの者からうめき声が上がった。冗談じゃない、こんな迷惑な話はない。よそに行ってくれ、という話になる。

 おずおずと、手が上がる。なんと流の父親、健平だった。こういう話題に乗ってくるとは思わなかったな。

 

「あの……交渉や、交易などはできないのでしょうか。もっと平和に……」

「結論から言えば、不可能ではないと思います」

「おお、では」

「ですが圧倒的に足りないのです。力が。蛮王を納得させる戦力が。マナ、魔法、プラーナ、アビリティ。これらを学ぶ者なら分かるはずです。物理一辺倒しかできない地球国家では、勝てない相手が必ず出てくると。事実私は、それらをいくらでも無効化できます。ほかにも、そういった手立てを持つ者はいますね?」

 

 彼女の問いかけに、外野の幾人かが頷いている。御影兄妹もそうだった。

 

「なにより、相手は国家ではないのです。蛮王Aと交渉が成立してもBが殴りかかってくるでしょう。それらと交渉が成立してもCがAとBを倒してしまう可能性もあります。交渉よりも、力。向こうと同等以上の実力がなければ、平和など夢物語なのです」

 

 なんともまあ、酷い話である。隣の異世界が、チンピラが無限に沸いて出る所とか。こんな酷い話ってある? 初遭遇が敵対的宇宙人、みたいなSF映画のようだ。

 

「さて……そうして調査を続けた後に私たちはマナが増えた理由を知るのですが、ちょっと休憩、よろしいかしら?」

「はーい。腹も落ち着いたし、次の料理お願いしまーす」

「酒もー! 俺ビール! ほかに頼む人ー!」

 

 次々と手が上がる。俺もビールのおかわりをもらおう。案の定、酒がないと飲み込めない話でやんの。……マリアンヌさんも豪快にビールをあおっていらっしゃる。

 

「……話すの、お疲れになりませんか?」

「ふう。いいえ、大丈夫ですよ。今日のためにゆっくり休ませていただきましたし。何よりこれはお礼であり、義務ですから」

 

 そう言って微笑む彼女。どこか楽しそうでもある。であれば、今の内は止める必要はなさそうだ。今後は分からないが。

 

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