神の寵愛   作:あばなたらたやた

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一話:初音/初華

 

 湯上がりの湿った空気がリビングに漂い、薄暗い照明が豊川祥子の姿を柔らかく照らしていた。彼女は白いタオルを首にかけ、濡れた髪から滴る水滴が床に小さく音を立てる。頬は湯気でほのかに赤く染まり、普段の鋭い眼差しはどこかぼんやりと霞んでいた。

 

 その無防備な姿に、三角初華の心は激しく波打つ。見ているだけで胸が締め付けられ、息苦しくなるほどの衝動が込み上げる。

 

 初華はソファに座ったまま、祥子を凝視していた。視線が絡まるたび、心臓が喉元で跳ね、抑えきれぬ熱が体を駆け巡る。祥子の濡れた髪が肩に貼りつき、タオルの隙間から覗く鎖骨があまりに鮮明で、触れたいという欲望が指先を震わせる。普段の祥子は凛として近寄りがたく、どこか遠い存在に感じられるのに、今はあまりに柔らかく、壊れそうに儚い。

 そのギャップが初華の理性を溶かし、彼女を強く引き寄せる。

 

「さきちゃん」

 

 声が漏れた瞬間、初華は自分の掠れた声に驚いた。低く甘く、まるで自分ではない誰かが囁いたかのようだ。彼女は立ち上がり、衝動に突き動かされるように祥子に近づく。足音が床に響き、静寂を破るたび、心の中で何かが弾ける。祥子の瞳が揺れ、初華の動きを追うが、逃げようとはしない。

 ただそこに佇む姿が、初華の胸を締め付け、疼かせる。

 

「ねえ、ちょっとこっち来てよ」

 

 初華は柔らかな笑みを浮かべ、祥子の手をそっと引いた。指先が触れた瞬間、湯上がりの温もりが伝わり、初華の心は一瞬で熱に包まれる。祥子は戸惑ったように眉を寄せ、わずかに抵抗する素振りを見せるが、初華の穏やかで誘うような眼差しに引き込まれ、従う。ソファに腰を下ろした二人の距離が縮まるたび、初華の胸は甘い疼きと不安で満たされていく。

 

 この距離が愛おしくもあり、壊してしまう恐怖もある。

 

「さきちゃんてさ、お風呂上がりってほんと綺麗だね」

 

 初華は囁くように言うと、祥子の濡れた髪に指を這わせた。冷たい水滴が指先に触れ、その感触が心地よくもあり、どこか切ない。祥子の肩が小さく震え、恥ずかしそうに視線を逸らす姿に、初華の心は疼きを抑えきれなくなる。

 彼女は愛おしさと独占欲に駆られ、もっと近づきたい、もっと感じたいと願う。

 

「そんな……大げさですわ」

 

 祥子の呟きは小さく、普段の強気な彼女とは別人のように弱々しい。その声が初華の心に刺さり、彼女をさらに煽る。初華は祥子の隙を見逃さず、そっと顔を近づけた。鼻先が触れそうな距離で、彼女の吐息が甘く祥子の肌に触れる。

 祥子の瞳が揺れ、戸惑いと好奇心が交錯するのを見て、初華の胸は期待と緊張で高鳴る。

 

「ねえ、さきちゃん……私のこと、もっと感じてみてよ」

 

 初華の手が祥子の頬に伸び、親指でそっと唇をなぞる。その柔らかさに心が震え、抑えきれぬ衝動が指先に宿る。祥子の唇がわずかに震え、初華の触れる指に反応するたび、彼女の心は熱く締め付けられる。初華はそのまま自分の指を差し出し、柔らかくも命令するような口調で続けた。

 

「舐めてみて。私の指……さきちゃんに感じてほしいから」

 

 その言葉に、祥子は一瞬固まった。瞳に浮かぶ戸惑いと羞恥が、初華の心をさらに掻き乱す。だが、初華の誘うような眼差しと甘い声に抗えず、祥子はゆっくりと唇を開く。彼女の舌が初華の指先に触れた瞬間、温かく湿った感触が初華を貫き、心が震えた。

 

 祥子の頬がさらに赤く染まり、恥じらいながらも従う姿に、初華は愛おしさと支配感が入り混じった感情に飲み込まれる。

 

 指を優しく動かすたび、祥子の息が乱れ、その小さな変化が初華の心を狂わせる。彼女は祥子の表情を逃さず見つめ、羞恥と戸惑いに染まる瞳に自分の存在を刻み込みたいと願う。二人の間に流れる空気は甘く濃密で、時間が溶けていくような錯覚に陥る。

 

 湯上がりの祥子の熱と、初華の誘う仕草が混ざり合い、静かな夜を二人だけの世界に変えていく。初華の心は満たされながらも、もっと欲しいという渇望に苛まれていた。

 

 湯上がりの湿った熱がリビングに漂い、薄暗い照明が豊川祥子の肌を艶やかに照らし出していた。白いタオルが首に緩く巻かれ、濡れた髪から滴る水が彼女の鎖骨を滑り落ち、柔らかな曲線を描く。

 

 湯気で火照った頬は紅潮し、普段の鋭い眼差しは湿った睫毛に隠れて甘く霞んでいる。その姿はあまりに無防備で、禁断の果実のように三角初華の欲望を掻き立てる。

 

 初華はソファに腰を沈めたまま、祥子の姿に目を奪われていた。視線が絡むたび、彼女の喉が渇き、心臓が熱く脈打つ。祥子の首筋を伝う水滴が光に反射し、まるで誘うように輝く。触れたい、味わいたいという衝動が指先を疼かせ、初華の息は浅く乱れる。

 

 だが今、祥子の瞳には冷ややかな光が宿り、初華を見下ろすその眼差しは、苛立ちと秘めた情熱が絡み合った危険な色を帯びていた。

 

「酷い人ですわね。初華……いや、初音」

 

 祥子の声は低く響き、抑えた感情が言葉の端に鋭く滲む。

 初華に翻弄された己への苛立ちと、彼女を支配したいという暗い欲望が、祥子の胸を熱く締め付ける。

 

 初華は息を呑み、祥子の言葉に心が震えた。冷ややかな声に刺されながらも、その奥に潜む熱を感じ、彼女の体は期待に疼く。

 

 祥子が一歩近づくたび、初華の肌が敏感に反応し、首筋に滴る水滴が視界に焼き付いて離れない。そして次の瞬間、祥子が身を屈め、初華の首筋に顔を寄せたとき、時間が止まったかのように感じられた。

 

 祥子の吐息が初華の肌に触れ、熱く湿った空気が首筋を撫でる。そして、彼女の唇がそっと触れた瞬間、柔らかく熱い舌が初華の肌を這った。

 

 初華の体がびくりと跳ね、全身が電流に打たれたように震える。祥子の舌はためらいがちに動きながらも、確かな意志を持って首筋をなぞり、濡れた髪の冷たさと火照った肌の熱が交錯する。

 

 舌先が滑るたび、初華の喉から甘い吐息が漏れ、彼女の指がソファの布を掴んで締め付ける。

 

「さきちゃん……っ」

 

 初華の声は掠れ、官能的な響きを帯びて部屋に溶けた。彼女の首筋を這う祥子の舌は、ゆっくりと円を描き、熱い唾液が肌に残るたび、初華の体は熱く蕩ける。冷たい水滴と祥子の舌の熱が混ざり合い、甘い疼きが彼女の全身を支配する。

 

 目を閉じ、その感覚に溺れながらも、初華の心は祥子の意図に翻弄され、理性が薄れていく。

 

 祥子の胸は激しく揺れていた。初華への報復として始めた行為だったが、首筋に舌を這わせるたび、彼女自身の欲望が疼きを増す。初華の肌の滑らかさと微かな震えが舌先に伝わり、彼女を支配したいという衝動が熱い波となって体を駆け巡る。

 

 唇を離した瞬間、祥子は初華の瞳を見下ろし、そこに映る動揺と淫靡な光に自分の心が絡め取られるのを感じた。

 彼女の指が初華の顎を掴み、強引に顔を上げさせると、首筋に残る唾液の跡が照明に濡れて光る。

 

「酷いのは……どっちかしら」

 

 祥子の声は震え、自嘲と情欲が混じった笑みが唇に浮かぶ。彼女の吐息は熱く、初華の肌に触れるたび、二人の間に濃密な空気が渦巻く。初華は言葉を失い、ただ祥子の瞳を見つめ返す。

 

 その視線の中で、欲望と感情が絡み合い、静かな夜を淫らで深いものへと変えていく。祥子の舌が残した熱は冷めることなく、初華の首筋に刻まれた甘い痕跡として疼き続けていた。

 

 湿った空気が、二人の間に濃密な熱を孕んでいた。豊川祥子は、首筋に残る初華の唾液の熱をまだ感じながら、三角初華を見下ろしていた。

 

 彼女の瞳には冷ややかな光と燃えるような情欲が交錯し、唇の端に微かな笑みが浮かんでいる。初華の首筋を這ったばかりの舌が残した甘い余韻が、祥子の心をさらに掻き乱し、彼女を支配したいという衝動を抑えきれなくさせていた。

 

 

 祥子はゆっくりと身を進めた。彼女の手が初華の肩に触れ、そのままソファに押し倒すように力を加える。初華の体が柔らかく沈み、背中がクッションに埋まる瞬間、彼女の息が小さく乱れた。

 

 祥子の動きは緩慢で、まるで獲物を味わう獣のように計算されている。初華の瞳が揺れ、驚きと抗えない感情が混じり合うが、逃げる術を知らない。

 

「さきちゃん……?」

 

 初華の声は掠れ、不安と期待が入り混じった響きを帯びていた。だが、祥子は答えず、ただ冷たくも熱い眼差しで初華を見据える。そして、彼女の膝が初華の腰を跨ぎ、滑らかな足が初華の太ももに絡みつくように動いた。祥子の足が初華の体を押さえつけ、逃げられないようにしっかりと固定する。

 

 その重みと熱が初華の肌に伝わり、彼女の全身が微かに震えた。

 

 初華の体がソファに沈むたび、祥子の足がさらに深く食い込み、柔らかな肉と布の感触が交錯する。初華の手が無意識に祥子の腕を掴もうとするが、祥子はそれを許さず、片手で初華の両手首を掴んで頭上に押し付けた。彼女の指が初華の肌に食い込み、痛みと熱が混じり合った感覚が初華の神経を刺激する。

 

「私が良いと言うまで、逃げてはいけませんわ。ねぇ、初音」

 

 祥子の声は低く甘く、命令と誘惑が絡み合った響きで初華の耳に流れ込む。彼女はわざと「初音」と呼び間違え、その言葉に微かな嘲りを込める。唇が初華の耳元に近づき、熱い吐息が首筋を撫でるたび、初華の体がびくりと反応する。祥子の髪が初華の頬に触れ、濡れた髪の冷たさと彼女の肌の熱が混ざり合い、官能的なコントラストを生み出す。

 

 初華の心は混乱と熱に支配されていた。祥子の足に押さえつけられ、逃げられない状況に追い込まれた恐怖と、彼女の支配的な眼差しに飲み込まれる悦びが交錯する。

 

 彼女の肌が祥子の足の圧迫で疼き、息が浅く速くなる。首筋に残る唾液の跡がまだ熱を持ち、祥子の存在が全身に刻み込まれていくような感覚に溺れていた。

 

 祥子は初華の反応を見逃さない。彼女の瞳が揺れ、唇が震えるたび、支配する悦びが祥子の胸を満たす。だが同時に、初華の柔らかな肌に触れる足先や、彼女の吐息が耳に届くたび、祥子自身の欲望が疼きを増す。

 

 彼女は初華を押さえつけたまま、唇を首筋に近づけ、再び舌を這わせる衝動を抑えきれなかった。舌先が初華の肌に触れた瞬間、熱い唾液が滑り、初華の喉から甘い喘ぎが漏れる。

 

「逃げられないわ、初音……貴方は……私の騎士でしょう」

 

 祥子の声はさらに低く、独占欲と情熱が溢れていた。彼女の足が初華の体をさらに強く押さえつけ、二人の間に流れる空気は熱く淫靡に渦巻く。初華の瞳に映る祥子の姿は、冷たくも熱い支配者そのもので、彼女はその視線に絡め取られ、逃げることも抗うことも忘れていた

 

 

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