宇宙世紀、アナハイムエレクトロニクス社は栄光を極めていた。
『スプーンから宇宙戦艦まで』のキャッチフレーズ通り、宇宙世紀では世界中のありとあらゆる場所でアナハイム製の商品を見ることができる。
これは、そんなアナハイムエレクトロニクスの中のおもちゃ部門の話である。
「構わないさ」
「本当によろしいんですか…!?」
アナハイム社の社員はある製品を作るため、ある男を訪ねていた。
…その男とは、一年戦争の英雄『アムロ・レイ』である。
アナハイム社の新製品…一年戦争で活躍した『ガンダム』をプラモデルとして売り出す、『ガンプラ計画』のため、アムロ・レイに商品化の許可を取りに来たのだ。
正直断られてもおかしくないと思っていたが、こんなにあっさりOKをもらえるとは…
「許可を取りに来たんだろう?断って欲しかったのか?」
「い…いえ!そんなことはありません!ただ…」
社員はゴクリと喉を鳴らした。
社員はアムロ・レイのファンでもあったのだ。
「ガンダムはテム・レイ氏…あなたのお父様が作ったモビルスーツです。あなたにとっても愛着があるはず…。それを、その…おもちゃにしてもいいのですか?」
社員の男は自信が無かった。
おもちゃ作りにはプライドを持っているが、それでも憧れの人物に「子供だまし」だと怒られる覚悟で来たのだ。
「そうだな…」
アムロは少し悩む素振りを見せた後、苦笑しながら言った。
「ガンダムは兵器だ。人殺しの道具だ。でもな…親父は生前、『子供が死ななくていいように、戦争を早く終わらせたい』…そんなことを言っていたそうだ」
「…」
「でも、あの戦争で多くの人が死んだ…連邦もジオンも…撃墜されたゲルググには学徒兵が乗っていたそうだ…」
社員の男は何かを言おうとしたが言えなかった。
「俺は親不孝者だよ…。親父のことも何もわかってなかった。」
「そんなことは…」
「でも、ガンダムがおもちゃになって、子供たちを笑顔に出来れば…いつかあの世で親父に、『ガンダムにできるのは人殺しだけじゃない』って言える気がするんだよ。どんな形であれ世界の役に立つなら、そんなに嬉しいことはないよ」
親父が許してくれるかは分からないけどな…
アムロはそう言ってまた寂しそうに笑った。
それを聞いた男は恥じた。
そうだ…アナハイムは死の商人と呼ばれているが、自分なら人を笑顔に…世界の役に立てるかもしれない…!
「アムロさん…!ありがとうございます…!作って見せます!誰かを笑顔にするおもちゃを!」