ガンプラ…それはアナハイム・エレクトロニクスが生み出した新しいおもちゃである。
接着剤不要、塗装不要で誰でも簡単に作ることが出来るそのおもちゃは、小さな子供から大きなお友達まであらゆる人々を魅了し飛ぶように売れた。
手も汚れず、手間をかけず作れる新時代のプラモデルはセンセーショナルな未来のおもちゃとして様々な機関で報道されーアナハイム社には報道部門もあるー知名度を一気に上げた。
おもちゃ屋には列ができ、工場はフル稼働し従業員は嬉しい悲鳴を上げた。
いくら作っても供給が需要に追い付かないのだ。
なんと簡単に作れるハズのガンプラを塗装や改造を施すプロモデラーまで現れた。
そしてある日、とあるニュースが宇宙世紀を駆け巡った。
ー日本のダイバーシティに実物大ガンダムのレプリカが展示決定!ここでしか買えない限定ガンプラも発売開始!ー
その日、宇宙世紀が沸いた。
地球にあるダイバーシティ…そこには以前までは存在しなかったとあるモビルスーツが立っていた。
白く輝く巨体、天を衝くV字アンテナ、射貫くような視線を感じさせるツインアイ。
それは紛れもなくガンダムであった。
無論本物ではなく精巧に作られたレプリカである。
だが頭部バルカンやビームサーベルなどの兵器以外、つまり見た目は完全にガンダムを再現している。
多くの来場者が足を止め感嘆の声を上げていた。
「こちらがイベント会場になります」
「なかなか盛り上がっているじゃない」
開発部長となった男は月の女帝マーサ・ビスト・カーバインを内心冷や汗をかきつつ案内していた。
彼らが作っているのはおもちゃだが、そのモデルとなったのはモビルスーツである。
ガンプラが生み出した経済効果も測り知れず、いつかは会社の上役が来るだろうとは思っていた。
しかしマーサ程の大物が来るとは…
「これがガンダム…のレプリカね。兵器の割に派手なのね」
「はい!ガンダムやその母艦であるホワイトベースは白を基調としています。噂では目立つ色は囮に使うためだったという説もありまして!」
「…なるほど、そういう噂話をプラモデルの説明書に書いておけば男どもが喜ぶというわけね…」
しまった…つい早口になってしまった…
若干マーサが引いている。
「…ええー、ともかくガンプラやガンダムレプリカの展示は大成功ということです…今日だけで売れたガンプラは過去最高記録です」
「なるほどね…ところであの連中はなんなの?」
「俺は見た!棚に並ぶガンダムを!そして思った!棚ごと買い占めてやろうと!これが財力!大人の力よ!」
「ボッシュ…!そういうことはしなくていい…!」
そこにはテンションがおかしくなった部下をいさめる一年戦争の英雄アムロ・レイの姿があった。
「しかしアムロさん!買わせてください!そうでなければ有休をとって来た甲斐というものがありません!」
「常識的な範囲で買えと言っているんだ!」
アムロとブライト達はたまたま取れた休みで展示会にやってきていた。
ブライト達の家族旅行や部下たちの息抜きも兼ねてのんびりしよう。ハサウェイたちに昔話をするのも悪くない…そう思っていたが会場は想像以上に人が集まっており、ブライト達とははぐれてしまった。
さらに熱気に当てられたのかボッシュのテンションがおかしくなってしまった。
「くっ…ブライト達はどこに行ってしまったんだ!」
「おい!あそこにいるのはアムロ・レイじゃないか!?」
「うおお!本物だーー!」
そこでアムロにとっては運悪く熱心なファンに見つかってしまった。
「しまった!囲まれてしまった…!いつの間にかボッシュまでいない!」
慌てて周囲を見渡すアムロだったが、ほんの一瞬で抜け出せなくなっていた。
「待ってくれ!今日は友人たちとはぐれてしまっていて…!…ん?」
「なんてったってアムロさんはよ…俺がガンプラでもって…」
「ボッシュ!!」
アムロの声は野次馬に生き生きとアムロの話をするボッシュには届かなかった…。
「なんか…えらいことになってるな…」
まあアムロなら大丈夫だろう…。
遠くから見ていたブライトは家族を優先することにした。
続く