アナハイム社ホビー部門   作:雁木まりお

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時系列はゼータ本編が終わった後ぐらいを想定してます
ダブルゼータが始まる前くらいかな


光る!鳴る!DXズムシティ公王庁!

月面都市グラナダに本社を構えるアナハイム・エレクトロニクス、その中の一つの会議室ではホビー部門の面々が商品開発のために企画会議を行っていた。

 

ガンプラは今やホビー部門だけでなくアナハイム全体を支える人気商品だが、技術の進歩を反映した新たなバリエーションや新商品を発売しなければならない。

月は満ちれば欠けていく。

頂点を取ったならばそれを維持するために更なる努力が必要なのだ。

 

この会議で作られた商品の中には買収したジオニック社から権利を取得したザク、地球連邦軍から許可を取ったジムのプラモデルなどがある。

社員たちは人々の需要に応え商品を作り、アナハイム社を支えることに誇りを持ち、会議はいつも熱気に溢れていた。

 

しかし今回の会議はいつもと違う妙な雰囲気に包まれていた。

社員たちは皆困惑の表情を浮かべ、机に置かれた商品のサンプルを眺めていた。

 

「なにこの…何?」

「なんでこんなものが売れているんだ?」

「作った我々にもなぜ売れているのかわからんのです」

 

机の上に置かれた商品…ズムシティ公王庁のおもちゃが異彩を放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡って数か月前、その時も会議室では商品開発のための会議が開かれていた。

 

「ザクやジムのバリエーション商品は好調です。既存の商品の金型を流用できコストを抑えても売り上げを伸ばせます」

「しかしそれでもガンダムを売り上げは圧倒的ですな。新商品を売るよりガンダムだけ売っていたほうがいいのでは?」

「しかしそれだけではいつか飽きられてしまいます。やはり新商品の開発は必須です」

 

その時の会議は停滞感や焦りに支配され行き詰っていたと言っていいだろう。

中々アイディアが出ずにああでもない、こうでもないと堂々巡りを続けていた。

 

「ガンダム以外のおもちゃは相対的に売り上げが低くなっていますが…それでも需要はあるのです。一度モビルスーツ以外の商品を作ってみませんか?」

「しかしねえ…我々は採算のとれないおもちゃを売るわけにはいかないのだから…」

 

新商品が提案されては却下されていき、段々と空気が重くなっていく。

その時、一人の社員が口を開いた。

 

「あー、じゃあシャア専用ザクってどうすか?ガンダムのライバルといったら赤い彗星じゃないっすか。売れると思うんすよ」

「なるほど…!」

 

確かにそれなら他のバリエーション商品と同様の手間でそれ以上の売り上げを期待できる。

赤い彗星のネームバリューなら宣伝も捗るだろう。

 

「しかし今赤い彗星は行方不明だったはず…本人に許可を取ることはできませんな」

「じゃあ俺がジオン共和国まで許可をもらいに行ってきますよ!」

「ジオンに?危険じゃないか?」

 

ジオンは連邦に敗北し、公国から共和国になった後も旧ジオン残党は敗北を認めず度々テロを起こしている。

果たして首を縦に振るだろうか?

ましてやシャア・アズナブルはジオンの英雄である。

 

「平気っすよ!まあ見ててくださいって!」

「不安だ…」

「ついでにこのおもちゃの許可も取ってきていいすか?」

「なんだこれは…?」

 

それはおそらくズムシティ公王庁だろう。

おそらくと付くのはそれがデフォルメされたデザインのおもちゃだったからだ。

元々悪の居城のようなデザインだったが、それがさらに強調されたデザインにされている。

安全面からか角ばった箇所は丸めにされているが、それがさらに滑稽な感じを際立たせもはやギャグにしか見えない。

 

「やめとけ殺されるぞ!絶対許されないって!」

「駄目だコイツ…おもちゃのことを考えすぎて頭が狂ったのか?」

「今すぐ有休を取れ!」

「なんて最悪なセンスだ…」

「酷い言われようっすね…わかりましたよ!シャアザクの許可だけ取ってきます!」

 

そうして無事許可を取れたシャア専用ザクは売れた。

ガンダムと同じくらい売れた。

なんならザクと一緒に飾るためガンダムも更に売れた。

会議に同席した社員たちは「本当にあいつで大丈夫なのか?」と期待していなかった分喜びも大きかった。

そして話は現在に戻る…

 

 

 

 

 

 

「お前結局コレの許可も取ってきていたのか!?」

「よくこんなものが許可されたもんだ…」

「しかも売れている…」

 

社員の一人がズムシティのおもちゃをいじると、窓が光り「ぐぽーん」と音が鳴る。

そしてガギゴガと動きだし人型…モビルスーツに変形した。

 

「どうやってこんなのの許可を取って来たんだ?」

「いやーうちの会社ってジオンにガンプラあんまり流通させてないじゃないですか。お土産にガンプラあげたらあっさり許してくれましたよ」

「ええ…?」

 

ジオンにとってガンダムはヒーローではなく白い悪魔である。

そのためジオンでは売れないだろうという考えでガンプラは流通させていなかった。

しかしジオンにもガンプラを作りたいという層は一定数いた。

ジオン国民のオタクたちはガンプラを買いたくても買えないガンプラ難民と化していたのだ。

 

「たまたまアポを取れた人がガンプラのファンだったみたいなんすよ。やっぱおもちゃは国境を超えますね!」

「そうかなぁ?…」

 

『ジーク!ジオン!ジーク!ジオン!ジーク!ジオン!』

 

「やっぱりこれが売れているのはおかしいって!」

 

アナハイム社の会議室で、ツッコミと公王庁ロボが勝利の雄叫びを上げる声が響き渡っていた…。




続く
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