Re:ゼロから始める逆行生活   作:黒い柱

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第2話 剣聖との再会

「ここまで経験した通りだと、タイムリープにも納得がいくってもんだぜ」

 

 思わず笑いそうになってしまうスバルに対して、3人、トンチンカンが苛立ったようにこちらを睨みつける。

 

「おい、テメー。何ニヤニヤしてんだ」

 

「俺らをおちょくってんのか?」

 

 そのリアクションまで彼らと最初に出会ったときのものと変わらない。もはや、懐かしさすら溢れてくるくらいだ。

 

「いや、わりー。こっちの話だ。で、どうすっかな…」

 

 エミリアの騎士としてのスバルなら、彼らに勝つことは難しくはない。なんなら騎士になる前の召喚されたばかりのスバルでも一度は勝利を掴めたくらいだ。が、万が一というのもある。

 

「てめーはボコされる一択だろうがよ」

 

 ラチンスがこちらに歩み寄る。あと少しでスバルに触れようかというところで決断した。

 

「衛兵さーーーーーーーーん!!! 誰かーーーー! 男の人呼んでーーーーーーーー!!!」

 

 あのときのスバルの選択は最適解だったと今でも言い切れる。というか、ラインハルトが来ないとその後にいろいろ問題が生じてくるのだ。

 

「てめ……っ。ふざけんなよ!? ここで普通、いきなり大声出すか!?」

 

「出すわ! つーか、昼間からそんな危ないもん出して来られたら、なりふりかまってられないだろうが!」

 

 狼狽えながらも、武器を取り出すトンチンカン。スバルにとってはかなり前の記憶だが、彼らに斬られた記憶が思い起こされる。

 

(…まあ、アレのおかげで死に戻りに気づけたって考えれば無駄じゃあなかったけどよ)

 

 スバルにとって無駄な死は一度もない。が、成功例が示されているのに、わざわざトライアンドエラーをする必要もないだろう。

 

 そして、赤髪をたなびかせた青年の声が路地裏に響く。

 

「――そこまでだ」

 

 剣聖ラインハルトの姿がそこにはあった。

 

「たとえどんな事情があろうと、それ以上、彼への狼藉は認めない。そこまでだ」

 

 自分のことをスバルとではなく、彼と呼んでいる辺り、チート級のラインハルトですらスバルのことを覚えていないのだろう。

 

(まあ、ハナから期待はしてなかったけどよ…)

 

 とはいえ、ラインハルトのその実力に間違いはない。剣聖と名乗っただけで、その強さを知っているトンチンカンは蜘蛛の子を散らすように大通りへと逃げていった。

 

「お互い無事でよかった。ケガはないかい?」

 

 威圧感を消して、ラインハルトが声をかける。

 

「ラインハルト様でよかったですか? 助けてくれてありがとうございます」

 

「ラインハルトと呼び捨てで、あと敬語も使わなくて大丈夫だよ。君の名前も聞いても構わないかい?」

 

「おう、自己紹介がまだだったな。俺はナツキ・スバルだ」

 

「スバルか。よろしくね。ところで、君は珍しい髪と服装をしているね。王都ルグニカにはどんな理由で来たんだい?」

 

 ラインハルトの質問にスバルは言葉に詰まる。以前なら、大瀑布の向こうからと冗談染みた返しができたが、未来から来たなどと言って信じる人がいるだろうか。

 

「あー…。説明はちょっと難しいな。長い目で見ればラインハルトも関係してないわけじゃないと思うんだけど」

 

 彼と本当に共闘するのは2年後のプリステラでということになるのだが。

 

「言いにくいのであれば、誤魔化してるわけでもないだろうし、まあそこはいいか。でも、何かあって来たんだろう? 今のルグニカは平時より落ち着かない状況にある。僕でよければ手伝うけど」

 

 落ち着かない理由はおそらく王選絡みだろう。数ヶ月後に自分がそこに首を突っ込むことになろうとは、そのときには思いもしてなかった。

 

「それじゃ、せっかくだし1つ頼まれてくれないか?」

 

「もちろん。喜んで。世情には疎いから期待に応えられるか自信はないけど」

 

「人探しだから、たぶん大丈夫。白いローブを着た銀髪の少女に心当たりとかあったりしない? 猫の精霊を連れてる」

 

 当時のエミリアの姿を確実に覚えているわけではないから、服装には自信がない。名前を言ってもよかったが、下手に関係者と怪しまれるのも危ないだろう。まあ、パックのことを言えば、ラインハルトにも誰かは伝わったはずだ。

 

「…いや、見なかったな。もしよければ探すのを手伝うけど?」

 

「そこまで面倒はかけられねぇよ。大丈夫、あとはどうとでも探すさ」

 

 まあ、どこにいるのかはだいたい把握しているし。スバルは心の中で呟く。

 

「ともあれ、世話になったな。この礼はいずれ。衛兵の詰所に行けば会えるか?」

 

「そうだね。名前を出してもらえればわかると思う。それじゃあ気をつけて」

 

 手を掲げてラインハルトと別れる。向かう先は貧民街だ。

 

(そこに行けば、エミリアたんとフェルトがいる…。ムカつくことにエルザまでいる)

 

 今の状態ならもちろん精霊騎士としてエルザに挑んだとしても勝つのは不可能に近いだろう。腸を切り刻まれて終わりだ。

 

(ベアトリス…)

 

 自身の身体になんとなくベアトリスとの繋がりがあるのを感じる。この世界だと、契約するのは遠い未来のはすだが。それに加えてもう一つ気になることもあった。

 

(俺の死に戻りはどうなるんだ? この世界でもペナルティは適用されるのか?)

 

 スバルが死に戻りを利用して生き延びた場面はあまりにも多い。一度レムに殺されかけたので認めたくはないが、その魔女の匂いも幾度となく利用させてもらった。死ぬつもりは毛頭ないが、それが使えないとなると攻略法も考えなくてはならないだろう。

 

 いろいろ頭をフル回転させているうちに、スバルは貧民街に辿り着いていた。

 




無職をやりつつ、こっちもスローペースですが進めていきたいと思います
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