血に交われば薔薇になる   作:サンオツボンプ

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 リンダの異化の時、コアが生成されている描写をしていましたが、生成されていない描写に変更しました。
 コアが生成されたら終わり...それは当作品でも同じ、という事に致します。
 あまりにも無理があるなと、感じた為このように変更いたします。
 考えがあまく混乱を招くようで申し訳ありません。
 以後も、当小説をお読みいただけると幸いにございます。
 よろしくお願いいたします。



 PS.
 ディスク厳選周り大して緩和されてないやんけ!
 大して手に入らないアイテム3個も消費させといて+は依然ランダムかい...



⦅後篇⦆ 刀拳、虚ろの花を手折らんとす。

 旧エリー都 零号ホロウ “リンボ” 上層部  

 

 

 

 “はぐれホーネットをどっちが殺ったか” でいがみ合いながらニネヴェを追う雅とリンダ。

 2人は高濃度烈性エーテルで凶暴化したエーテリアスをなぎ倒しながら、零号ホロウ上層の外周部を疾走する。

 

 ニネヴェへ迫るにつれエーテル濃度が上がっていき零号ホロウ内での活動限界(タイムリミット)が着実に迫る中、ようやくニネヴェの反応があるエリアに辿り着いた。

 ラストアタックを前にどちらともなく顔を見合わせて小さく頷く2人は、奇襲を仕掛けるため徒歩に切り替えて移動する。

 

 反応が近いニネヴェを探しながら、雅は横のリンダへおもむろに話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 「リンダ、今度は大丈夫なのだろうな? 二度は助けんぞ」

 

 「一度たりとも助けられた覚え無ぇよ」

 

 「次に枯渇病を発症すれば、お前とてただでは済まんだろう。 そうなれば九分街は誰が守るのだ、無理はするな」

 

 「テメェは私をナメ過ぎなんだよ...!」

 

 

 雅のナチュラルな心配は意図に反してリンダの逆鱗をベタベタと触っている。

 顔面をピキらせながらエーテリアスを処理するリンダは、飛び掛かってきた半死のハティを苛立ちのままに雅へ向かってぶん投げた。

 驚きながらもそれを斬り捨てた雅は怒りの視線を向けるが、リンダはそれを無視して言い返す。

 

 

 「別に、お前が守りゃいいだろ」

 

 「なんだと...?」

 

 「H.A.N.D.に治安局、軍もいる、自警団やレイダーの連中もな。 私がいなくとも治安は保たれるだろうよ」

 

 「......貴様はそれで良いのか」

 

 「極論、誰が守るかはどうでもいいんだよ。 私はただ...」

 

 

 責任を取ってるだけなんだから。

 

 急に自暴自棄になったかの様な口調でリンダが発したその言葉に、雅はある噂話を思い出した。

 曰く、「九分街のホロウ災街っぷりはある時期から急に始まった」のだと。

 そしてそれは、「リンダ・ブラッドが九分街に居を構えた時期と完全に一致する」のだとか。

 果てには、「九分街の英雄が居る時にしか起こらない」なんて話も。

 

 噂話程度を本気にしてナーバスになる様な可愛げはこの女にはない...

 この弱音染みた発言には何かがある、そう考える雅はリンダへ単刀直入に切り込んだ。

 

 

 「...自分に起因するとでも?」

 

 「ああ、多分な。 思い当たるフシもある」

 

 「かと言って黒幕でもあるまい。 寧ろ、それを糾弾せんとする意志すら感じるが」

 

 「糾弾どころか処刑してやるわ。 まっ、プライベートな事情もあるしお前にゃ教えねーけど」

 

 「...どのみち、下手人がいるとすれば極刑は免れまい。 死刑執行のボタンを押すか、自らの手を血に染めるか、後者ならば...」

 

 「私を処刑するってか?」

 

 「お前を斬れるのは私くらいだろう。 だからこそ...流血を選んではくれるなよ」

 

 「...はい?」

 

 「お前を斬るのは、随分と...骨が折れそうだからな」

 

 「お前さ......ナメてんのかそうでないのか、どっちなんだよ」

 

 「どちらであろうと、お前に対する評価は変わらん。 次の許可証更新日も愉しませてもらうぞ」

 

 「私も、お前に対する評価変わんないと思うわ」

 

 

 ヤッパ、オマエ、キライ。

 またお前かよっ、とゲンナリするリンダを見て雅はしたり顔だ。

 そうして会話が途切れた所で2人は同時に立ち止まった。

 視線の先、崩れた建造物を越えた大きなヘリポートに、ホワイトとピンクの開花した頭部のようなモノが見える。

 リンボに咲いた麗しき大輪 “ニネヴェ” が、座してエーテルを取り込みリンダから受けたダメージを癒していた。

 

 彼女を見下ろせるビルの屋上へ移動した2人は作戦を確認する。

 

 

 「確認すんぞ。 交戦開始と同時にニネヴェに張り付いてエリア移動を封じながら、私はエーテル結合破壊攻撃(デストロイヤー)の隙を伺う。 レミー、分かってるな?」

 

 「ナンナナン、ンナンナナ!(リンダの音動機で、戦闘用外骨格(パルヴァライザー)の稼働をリモートサポートだね!)」

 

 「よし、分かってんな。 枯渇病の進行状況のモニタリングも頼むぞ」

 

 「ンナワタ!(ガッテン承知!)」

 

 「私は、ヤツに再度お前の脆弱化が入ったのを確認したら速攻を仕掛け、目標値まで活性を下げる。  雑兵たち(ホーネット)は私が処理しよう、お前では時間が掛かりすぎる」

 

 「悪かったな、徒手空拳で攻撃範囲が狭くってよ」

 

 「適材適所だ、そちらは任せたぞ」

 

 「作戦の核だぞ私は、言われるまでもねぇ」

 

 「不覚を取った愚か者がどの面を下げて言っている」

 

 「テメェ...今に見てやがれ...!」

 

 

 目にもの見せてやっからよっ!

 そのセリフが狼煙となり、最後の戦いが幕を開ける。

 

 リンダは屋上から天高く跳躍、パルヴァライザーを起動してエーテルを吸収・増幅しながらニネヴェへ向かって飛翔する。

 レミントンは音動機を起動してパルヴァライザーと無線接続、空中投影ディスプレイを叩いてエーテルの流入量や圧縮効率などのパラメーターを適宜調整していく。

 雅は屋上から身を翻して飛び降る、着地と同時に愛刀・無尾の柄に手を掛け居合を放ちホーネットたちを間合いの外から斬り伏せる。

 

 下僕たちがエーテルの塵となり霧散し、突然の惨劇に警戒レベルを引き上げて急浮上するニネヴェ。

 強力なエーテル反応を感知し上空を見上げると、そこには漂うエーテルを足場に急降下して自身へ肉薄する赤いオーラを纏った怪物女の姿があった。

 

 落下の勢いそのままに車輪の様に回転し、エーテルの推進力も加わることで強烈な運動エネルギーを生み出しながら迫るリンダ。

 リンダの強襲に合わせるように、雅もまた爆発的な勢いで地面を蹴り一瞬でトップスピードに達すると、瞳を閉じて静かに無尾の鯉口を切る。

 

 

 「<コラプシング────

 「明鏡止水────

 

 

 完全に先手を取られたニネヴェ、もはや対応は間に合わない。

 パルヴァライザーを纏ったリンダの左足が強烈なエネルギーを伴って振り下ろされ、新エリー都最高戦力たる “虚狩り” 星見 雅の研ぎ澄まされた斬撃が奔る。

 赤と青の双閃が、虚ろの大輪で交錯した。

 

 

────ベル>!!」

 ────我が心」

 

 

 無防備なニネヴェに二人の攻撃が叩き込まれ、エーテル同士が反応し合い爆発を引き起こす。

 雅は距離を取り、やがて空に飛び上がり爆煙を抜けてニネヴェが姿を現した。

 2撃ともに完全なるクリーンヒット...しかし、彼女の体表に目立った深手は無い。

 枯渇病に侵されながらリンダが放った決死の一撃による脆弱化は、既に回復しきっていた。

 

 1次攻撃の奇襲と脆弱化、その後の苛烈な波状攻撃、リンダの捨て身の一撃......それは座して根を下ろしわざわざ回復させる程度にはニネヴェへ脅威を与えていた。

 先程の強襲といい、今までの()()()とは何かが違う────もはや、ニネヴェに油断は無い。

 

 

 [Qhuuuuuie... !!]

 

 「いざ...参る」

 

 

 明確に危険と認識したニネヴェはホーネットを無数に呼び出し雅を攻撃させ、残るもう一人を警戒する。

 すると爆煙の一か所に覚えのある高いエーテル反応を感知、高濃度烈性エーテルの奔流を纏い巨体に似合わない速度で突貫するが...そこには誰もいなかった。

 

 反応が消え、一瞬困惑を見せるニネヴェ────その一瞬の隙を突いて、爆煙からリンダが飛び出した。

 音動機とレミントンの補助の下にエーテルを操作し、その反応を周囲と同等レベルまで調整することで爆煙の中で姿を晦ませていたのだ。

 一瞬でニネヴェの懐に入ると、その豊かな双丘へ渾身のドロップキックを叩き込んだ。

 

 

 [Qxieeeaah !!]

 

 「────私よりデケェやつ全員ブッ潰す!!」

 

 「...お前がいると肩の力が抜ける」

 

 〚ワタンナ、ンナナ...(ゴメンなさい、これ持病なんだ...)〛

 

 

 いまいち真面目になりきれない女が見苦しいヘイトをむき出しにしてニネヴェをボコしにかかる。

 振るわれる腕を弾き、鋭利な回転突進攻撃をいなし、短剣の様な花糸による軌道の読めない斬撃やビームの雨を悉く避ける。

 復讐の中で潜ってきた数多の死線が鍛えた極限の危機回避能力と、人体実験の中で獲得した超人的なフィジカル、そこに音動機とレミントンによるサポートに原作知識が掛け合わされ、ニネヴェの猛攻を前に無傷で耐えていた。

 

 

 [Qyaaa !! Qwoo !! Qxiaa !!]

 

 「ッハハァ!! すっかり私にお熱だなぁ!! 情熱的なのはポイント高いぜぇ!!」

 

 

 雅も無尾を振るい、絶えず襲い来るホーネットを斬りながらもニネヴェへ斬撃を飛ばしてちょっかいを掛ける。

 すると、放たれたビームの着弾箇所から追尾性のエーテルエネルギー弾が射出されリンダに向って飛んでいく。

 極超級エーテリアスの猛攻を捌きつつエーテル結合破壊攻撃(デストロイヤー)用のエーテルをチャージし続け、枯渇病のリスクにも晒されている彼女はワリと手一杯で攻撃に気付いていない。

 

 

 「世話の焼ける奴だ...助けてやるか」

 

 

 本人が聞いたら憤死モノの呟きと共に携えた刃を閃かせ、エーテルエネルギー弾を相殺する。

 戦いは続くが、ニネヴェとリンダは早くも膠着状態に入り...雅は際限なくやって来るホーネットを余裕を持って捌いているが、デストロイヤーによる脆弱化が決まらないと攻めに出れない。

 リンダにしても、レミントンと音動機によるサポートで侵食耐性と浄化効率が上昇しているとはいえ、高濃度烈性エーテルという名の病原体は着実に蓄積している。

 

 戦況はニネヴェが優勢、作戦の核であるリンダは消耗を強いられている。

 場合によっては作戦を逸脱してでも自分が始末をつける、雅が腹を決めたその時...戦況が大きく動いた。

 

 

 [Qhuuu...    ────Qyiaaaaaa !!]

 

 「...っ!! ぐっ、うおっ!?」

 

 

 ニネヴェがエーテルを炸裂させてリンダを大きく吹き飛ばすと、距離を取りながら追尾性の大きなエーテル弾を複数放った。

 人の背丈を越えるサイズの弾が高速で迫る。

 四肢を叩き込み、刀を振り、エーテル弾を相殺する2人...時間にして5秒も掛かっていないが、既に大きく距離を取ったニネヴェは周囲のエーテルを吸収しエネルギーを急速に高め始める。

 

 

 〚...!? ンナナ! ン、ナンナ!(...!? エネルギー上昇! 2人とも、なにか来るよ!)〛

 

 「...そう、すんなりとはいかんな」

 

 「こいつは...まさか...」

 

 

 リンダの脳裏に一つの技がよぎる、それは原作のニネヴェ戦で彼女が確定で放ってくる大技...回避必須の()()()()

 その予感は正しく、ニネヴェは少し高度を上げるとその逆さまの花の蕾の様な下半身へエーテルエネルギーを集約させ────猛烈な勢いで撃ち放った。

 

 

 [Quooooaaaaaah !!!!]

 

 「拙いっ! 身を隠せ、リンダ!」

 

 「ハッ...! 冗談じゃねぇぞっ!」

 

 

 破壊的なまでに高まったエネルギーは地面に衝突した勢いで波動となり拡散していく。

 高活性高濃度烈性エーテルの死の風が凄まじい勢いで2人へ打ちつける。

 ゲームの様に都合よく回避用の安地など出現しない、雅は瓦礫の壁に身を隠し、リンダはと言うと...

 

 

 「────ぐっ、ぅうお...!! っぐぅぅぅぅぅ!!」

 

 

 激しく打ちつけるエーテルの波動に、()()()()()()()()()()

 

 

 〚ンナッ!? ナンナッ!?(えっ!? リンダッ!?)〛

 

 「なにっ!? あやつ、遂に血迷ったか...!」

 

 「ぐぅ...ぎぎ...!! 半端、ない......キッ、ツい...!!」

 

 

 当たり前である。

 とは言え、いくらイカレ気味なリンダでも流石に自殺願望は無い、明確な思惑があってやっている事だ。

 

 戦況は停滞...リスクを背負う以上こちらが不利とすら言える中で、脆弱化が確実に決まる程のチャージはまだ出来ていない。

 そこでリンダは戦闘が長引くのを避ける為に強硬手段を取った。

 エーテルエネルギーを直接放つ類の、非物理エーテル属性攻撃を直接吸収するという力技を使ったのだ。

 音動機を使い、レミントンのサポートを受け、パルヴァライザーを併用すれば十中八九可能、仮に残りの一・二割を引いたら...その時は()を使って異化すればいい、今回は枯渇病で誤魔化せるだろう。

 

 そんな思惑があり、リンダは原作ゲームにおける即死攻撃に己が身を投じたのである。

 

 

 「っくうぅぅぅ!! 長っげぇな!! 早く...終わ、れ...!!」

 

 「まさか、あやつ...直に吸収しているのか! なんと無茶な...!」

 

 〚ンナ! ンンナ!(無茶だよ! リンダ下がって!)〛

 

 「いいから調整に集中しろっ!! 今っ...乱れたらヤb「いかん、避けろっ!!」っ!? 嘘だろ────」

 

 

 と、その時。

 ニネヴェの呼び寄せたホーネットが、打ちつける波動に紛れて不快な羽音と共に飛来する。

 大技の最中にホーネットを呼ぶ...原作でそんな挙動は無いが、ここは創作でなく現実の世界だ。

 “対極超級エーテリアス(枯渇病デバフ増し)” という極限状態におかれたTS転生者リンダは、創作物のニネヴェと実物のニネヴェというギャップに嵌ってしまった。

 迫る凶針は避ける余裕の無いリンダの無防備な腹部へ、深々と突き刺さった。

 

 

 「────がぁ......ぁあ!!」

 

 〚ナンナァァァッ!?(リンダァァァッ!?)〛

 

 「貴様...!」

 

 [Quooo──── !!]

 

 

 不意打ちを喰らいコントロールが乱れたことで、吸収していたエーテル波動が制御を失い周囲を巻き込み爆発を引き起こす。

 攻撃を止め大きな爆煙から抜け出したニネヴェは、浮遊してこの場を離れるように飛んでいく。

 雅は爆発で吹き飛んできたリンダを受け止め横抱きにすると、ビル屋上へ跳びレミントンの下へと合流した。

 

 

 「...い"っ.....づぁ....ぅぐ..」

 

 「ナンナ、ワタ!? ンナナンナ!(リンダ、大丈夫!? だから下がれって言ったんだよ!)」

 

 「ぐっ...いやいや......コレはアイツが、卑怯だろ...! あのタイミングで...ホーネットとか、マジで...!」

 

 「ワタンナ!(言い訳しない!)」

 

 「...落ち着け、2人とも。 リンダ、貫通しているが脊椎は無事だ。 私は...ヤツを追う」

 

 

 後は任せろ。

 雅はリンダの身体────右目と流血する腹部から咲いた結晶に目を向けながらそう言った。

 短時間での枯渇病の再罹患。

 ジョナサン財団の見立てが甘かったのか、本人が無茶をし過ぎたのか...もうこれ以上はリンダが持たないと判断した雅は、作戦を踏み倒し自分がニネヴェを撃退する腹を決める。

 

 

 「ナンナ...ンナンナ?(リンダ...分かってるよね?)」

 

 「...お前こそ、分かってんな?」

 

 「......ナァ...ンナ、ンナワタタァ(......はぁ...本当、言う事聞かないんだからさぁ)」

 

 「...? とにかく時間が無い、お前たちはここで柳たちを待て...いいな」

 

 「いくない」

 

 「...何だと?」

 

 「断るってんだよ。 やっぱお前、私の事ナメてるだろ?」

 

 「そんな状態でまだ戦えると?」

 

 「一発分のチャージは溜まった、絶対に外さねぇ...いいからさっさと行けよ、直ぐに追う」

 

 

 リンダはそう言って立ち上ると腹部に咲いた結晶を握り砕いた。

 視線を向けると、既に腹部の失血は止まっており、侵食症状も収まり始めている。

 雅は「私はこやつと同じ種族の生物なのか...」と若干引きながらも「あまり遅いと終わらせてしまうぞ」と発破をかけニネヴェを猛スピードで追って行った。

 

 そして残された2人。

 どちらともなく顔を見合わせると、レミントンがリンダへおもむろに問いかけた。

 

 

 「ンナァ、ンナナァ...ワタ(あのさぁ、最近なんかさぁ...運ないよね)」

 

 「ね」

 

 「ナ、ンナ。 ンナンーナ(ね、じゃないよ。 見事に低確率引いてるじゃないか)」

 

 「だぁから、そりゃ私のせいじゃ────って、もういいっつーの。 レミー、()()だ、準備しろ」

 

 「ンナ、ンナナ? ナンナ、ンンナ?(本当に、良いんだね? リンダ、使()()んだね?)」

 

 「なんかのフリかよ」

 

 「ンナナ? ワタナ? ンナタ?(誤魔化せるんだよね? ボロ出さないでね? 絶対バレないでね?)」

 

 「お前、言霊って知ってる?」

 

 「ナ? ンナ、ナン(え? いや、知らないけど)」

 

 「...あっそ、まぁいいや。 さっさと異化すんぞレミー、サポよろ」

 

 「ナァ......ンナッ(ふぅ......了解っ)」

 

 

 瞳を閉じ顔を伏せて集中し始める相棒を前に、レミントンはリンダの音動機の深層領域へアクセスする。

 呼び起されたのは “異化の制御システム” 。

 親和型異化統制計画(プロジェクト・ヘーミテオス)の過程で異化をコントロールする補助装置として開発された音動機が、異化統制用小型知能機械(ボンプ 個体名:レミントン)の手により本来の機能を発揮する。

 

 

 「レミー」

 

 「ワタ、ナンナ(行くよ、リンダ)」

 

 

 

 

侵食フロー/正常

 

 

エーテル波パラメーター/閾値超過

 

 

体エーテル活性ステータス/臨界点到達

 

 

拘束術法有効化/ブラッドリンケージ活動停止

 

 

異化制御システム/オールグリーン

 

 

──────  異化、開始  ──────

 

 

 

 

 被検体に共通する特殊なエーテル波を検知しリンダの遺伝子マーカーを識別、励起された左腕の術法が自浄能力を封印することで異化因子が活性化。

 音動機を使いレミントンがそれを統制することで、安全かつ効率的にリンダの身体を変生させていく。

 

 活性化したエーテルが奔流となってリンダを覆う。

 特殊なエーテル波を受けて血の様に赤く染まったエーテルが流れ込み、異化したリンダが姿を現す。

 赤いオーラを纏う人型の怪物は相棒を抱きかかえ、血色の残光を残しながらニネヴェを追って走り去った。

 

 

 「...ンナナ、ンナワタ?(...いつも思うけど、自分で飛べるよ?)」

 

 「うっセェ、いいかラ抱かセろ」

 

 「ンナナ!(発言がヤバすぎる!)」

 

 

 




 


 「────追い付いたぞ、此度も私が勝つ」


 先んじてニネヴェへ追い付いた雅。
 無秩序で混沌としたホロウを駆けて迫ると、宙に浮く瓦礫を足場にして加速しニネヴェへとすれ違い様に神速の居合を叩き込む。
 作戦の趣旨から外れるのを良しとした事で遠慮がなくなり、本来の冴えが戻った一撃はホーネットごとニネヴェを斬り裂いた。

 
 [Qhuaaaa...!!]

 「往生するがいい」


 傷を負い敵を認識したニネヴェ、速度を落とさず飛び続けながらもホーネットを呼びエーテルエネルギー弾やビームで応戦する。
 宙に浮く瓦礫を踏みしめて縦横無尽に駆けて跳ぶ雅、鍔鳴りと共に無尾が閃き無数の斬撃が奔る。
 少し攻防が続くと、両者は同時に何かを感じ取った。
 ニネヴェは()()()()()()()()()()()()を、雅は()()()()()()()()()()()を。
 

 
「見ツけた」



 戦いは止まない、しかし攻防が続く中で確実にその反応は大きくなっていく。


 
「見つケた見ツけた」



 危険を感じ取ったニネヴェは攻撃を弾いて大きく距離を取り、雅は「巻き込まれては叶わん」と抵抗せずにそのまま弾き飛ばされ安全圏に脱出。
 すると、間髪入れずに “何か” が猛スピードで姿を現した。


 
「見ツけた見つけタ見ツケた見ツけタ見ツケタ見ツケタァァァァァ!!!」



 歓喜と憤怒が混じり合い狂ったように叫びながら、血色の残光を()く怪物がニネヴェへ一直線に突貫した。


 「ブち壊レろぉォォ!!!   ────<ゴア・デストロイヤー>!!!


 力を使い異化したことによって劇的に強化されたエーテル結合破壊攻撃(デストロイヤー)がニネヴェへ炸裂した。
 反応を許さない程の速度で放たれた一撃は爆発と爆光を伴い最大級の脆弱化を齎して、ニネヴェの巨体を大きく吹っ飛ばした。


 [Qyiooo────]

 「アッはっハっハッハっはァ!! 飛ンだ飛んダァ!! あっはッハ───アれ?」

 「...む、これは────」


 打ち込んだ反動で距離を取り雅の近くへ着地したリンダ。
 辛酸を舐めさせられた相手が咆哮を上げて吹っ飛んでいく様に笑いが止まらない。
 が、雅共々直ぐに異変に気付く。

 煙が晴れるとそこにニネヴェの姿は無く既に距離を取られていて、またしても逃げられていたのだ。
 冷や汗をかくリンダ、無言で鯉口を切る雅...沈黙が場を支配する。
 すると、フライトモジュールで飛びながらサポートしていたレミントンも着地して、リンダにプリプリと詰め寄った。


 「ンナ! ンンナ! ンナナ!(バカリンダ! 逃がしてどうするのさ! もう何しに来たんだよ!)」 

 「ナンだよ! MAX脆弱化ぶチ込んだじャネーか! 面目躍如、ってカンジだろ!」

 「ワタンナ!(少しは悪びれろ!)」

 「私ハ悪くねェ! 私は悪クねェ!」

 「貴様ぁ...みすみす逃げられておいて、よくも言えたものだな...!」

 「ああン!? 逃ガシてねーヨ、距離取らレただケダわ!」

 「取られ過ぎだ、と言っている...!」

 「ンナもんわーットるわ! さッサと追うぞオラッ! レミーは巻き込マレねぇように着いてコい!」


 やいのやいのと言い合うリンダ達と共にニネヴェを追う雅は、変わり果てたリンダの容姿へ目を向けた。
 発言や行動から悟性や理性が健在である事は分かった為に考えるのを後回しにしたものの、こうして見ると明らかに...()()()にしか見えない。

 生物の鱗にも騎士の鎧にも見える、有機的な印象を受ける鋭利なエーテル結晶の外殻は四肢と胸部を覆う。
 そこから覗く病的なまでに青褪めた肌には判読できない複雑な文様が奔り、健康的な血色の良さは見る影もない。
 右目から右側頭部にかけて咲く花、赤黒い全眼に金糸の瞳の左目、トレードマークの赤髪が風にたなびき、同色のオーラが光の帯となって辺りを追従する。
 そして何より────左胸を貫通するように突き出た血色の結晶。
 規則的な点滅を繰り返して発光するそれは、もはや彼女の身が人のソレから外れたのだと......そう告げているように思える。

 発狂する怪人、赤髪の邪崇、鮮血の人型エーテリアス......大抵はそんな印象を持つだろう。
 雅はリンダの横に並び、言い合いの仲裁も兼ねてその変わり様をリンダへ問い詰めた。


 「────2人共、その辺りにしておけ。 それよりも...リンダ」

 「あン?」

 「お前が平然としている故、一時は流したが。 その姿...()()なのだろうな?」

 「なンだぁ? ビビってんノカぁ? 虚狩りっつっても大しタ事ねェナぁ!」

 「応戦する」Slash!

 「ああアアッぶねえエェぇぇェ!? 丸腰に刃物はナイんじゃないノ!?」Dodge!

 「ンナンナワータ(そのナリで丸腰は無理があると思いまーす)」

 「いや、心配シろや!」

 「ンナー(自業自得だよー)」


 息を吐くように喧嘩売るリンダ。
 反射的に攻撃してしまった雅は一瞬「しまった...」と思うが、斬りかかられた当人は驚きつつもサラッと避けて平然と文句を言っている。

 どうやら本当に正気を保っているようだな...
 内心驚愕しつつ、雅は話を戻して改めて説明を求める。


 「それで、どうなのだ。 大事無いのか? ニネヴェに接触して完全に異化したならば...私がお前を斬るぞ」

 「出来るモンなら...と言いてぇトコロだが、ソいつぁ杞憂ダな」

 「その心は?」

 「レミーの助けもアッて今ンとこ侵食は制御下にあル...つマり単にパワーアップしタダけだ、問題ねぇ」

 「エーテルによる侵食を制御するだと...? ジョナサン財団の侵食医療がそこまで進歩しているとは知らなんだ」

 「コりゃ咄嗟の思イ付きダ、御上ハ関係ねェよ」


 そう言うとリンダは手短に説明した。
 雅が先に行った後、再び罹患した枯渇病を浄化していたリンダは、一度目とは違い体に感じる不調が極端に少なく見た目ほどの影響がない事に気付いた。
 高濃度烈性エーテルから受ける毒性が通常のエーテルと同程度のレベルまで落ちた、順当に考えれば...()()()()()()()()()()()()()()()()という事になる。
 ニネヴェが撒く病原体は今のリンダにとってただのエーテルと同じ...であれば、吸収・増幅による枯渇病の発症リスクはもはや無視できる筈。
 何度かヘマを重ね、残された時間は少ない。
 浄化を中断したリンダは、“エーテル侵食への耐性及び自浄能力” という自分のポテンシャルを信じフルパワーでエーテルチャージを行った結果────


 「────体に残ッタ結晶()が反応シて、全身に広がっちマッた...ってワケ。 オ分かり?」

 「ンナ、ンナワタ(安心して、モニタリングしてるけど侵食は完全に停滞してるよ)」

 「ふむ...そうなのか。 レミントンが言うのなら間違いはあるまい」

 「それナンか含みがネェか?」

 「む、見えたぞ」

 「む、じゃねぇンダよ、どういうツもリだテメー」

 「...! ナン、ンナナ! ワタナ!(...! 雅さん、柳さんたちだ! ほら向こう!)」
 
 「オメーもかよ! おイ! 無視すんなコラァ! オい!」


 雅とレミントンによるナチュラルなディスりコンボを喰らいキレるリンダ。
 怒れる怪物に目もくれず2人は視線を右下の上層外周部へ向けると、そこには駆ける柳たちに目を向けた。


 「一体どこだぁ────! あんなとこに!」

 「ボスだぁ! やっと見つけたぁ!」

 「!? ンナナ! ワタ!(!? ボスの背後に未知のエーテリアス! 危険だ!)」

 「...いえ、あれは────?」


 ────リンダ、さん...!?
 柳のその一言で、悠真たちも雅に迫るエーテリアスの正体に気付く。
 右目に花を咲かせた赤髪の怪物...パッと見では異化した人間にしか見えないが、首から胸元にかけての特徴的なタトゥーとイヤリングでギリギリ判別できた。
 変わり果て、明らかな異化状態にあるリンダの姿。

 並走する雅とレミントンが平然としていることから問題なさそうではあるが...
 そう思った矢先、柳と視線が交錯したリンダが右手でハンドサインを送った。
 意図を読み取った柳は立ち止まり皆へ情報を伝える。


 「副課長、今のハンドサインって...?」

 「...何故知っているかは兎も角、六課内で使用されるサインと一致しますね────ニネヴェは課長たちが片を付けます、私たちは」

 「邪魔がはいらないように、エーテリアスたちをやっつけるんだねっ!」

 「その通りです、蒼角。 課長たちがニネヴェに専念できるようにお掃除しましょう」

 「...ンナ! ンナナンナ!(...警告する! 複数のエーテリアス反応が急速に接近中!)」

 「ふう、それじゃあ...露払いといきますか────!」


 ウチのボスの邪魔はさせない。
 薙刀を抜き、刃旗を構え、弓に矢を番え、銃のスライドを引く。
 柳たちがエーテリアスとぶつかり合った。

 一方その頃、ニネヴェへ追い付いた雅とリンダ。
 眼前には未だ癒えず脆弱化状態にあるニネヴェと、彼女へ追従するホーネットの軍勢。
 多勢に無勢、相手は極超級、大抵の者にとっては絶望的状況だが...この2人が膝を折るには少々役不足であった。


 「私が斬ろう。 合わせろ、リンダ────!!」

 「しゃーナシだ。 手ェぬクなよ、雅────!!」


 神速の踏み込みから姿のかき消えた雅、無尾の剣閃が縦横無尽に駆け抜けてホーネットの軍勢を一網打尽にする。
 リンダはニネヴェの上空目掛けて全力で跳躍、エーテルチャージと共に左胸の結晶と体の文様が一際強く光を放ち始める。
 今作戦、4度目となる雅・リンダとニネヴェの衝突は、遂に終わりを迎えようとしていた。


▽▼▽▼▽▼▽


 ホーネットを一掃した雅がニネヴェの前へ躍り出る。
 向かってくる邪悪を睥睨すると無尾に宿る化身に目配せ一つ...鞘へ戻し『骸討ち・無尾』の力を解き放つと、瞳を閉じ心を研ぎ澄ます。
 ──────
 ───
 ─
 思えば今まで、これほどバタついた事はなかった。
 あの戯け者の責とはいえ、私が二度も取り逃がすとは...修行が足りんな。
 リンダ・ブラッド、九分街の虚殺し、そして...()()()()()()()()()()()()
 街を守らんとする想いも、己が禍根を絶たんとする決意も汲もう。
 だが、お前の抱える事情が何であれ、私の心は揺るぎはしない。

 「スゥ.........フゥゥ────!!」

 “除悪務本” ...私は、この道義を貫き通す。


▽▼▽▼▽▼▽


 ニネヴェの上空に到達したリンダ、先日の変異ブッチャー戦とは比にならない一つの太陽と見紛う程のエーテルを纏って。
 眼下のニネヴェへと光の尾を曳いて墜落する。
 ──────
 ───
 ─
 うーん、絶対ビビって損しタよなぁ...
 今思えば、枯渇病もエーテルやホロウに由来スる事に変ワりねぇワケで、そラ浄化するワな。
 第一、私ノ死がエーテルに起因スルことは有り得ねェ。
 コの身体は()()()()()()()()()弄ラレてんだカラな。
 コの世界に生キる限り、私ハ......無敵なンだ。

 「黙っテ見てナァッ────!!」

 再創せヨ コの身ハ煌めク 星辰ゆエニ


▽▼▽▼▽▼▽


 「こいつでっ...最後っ!」

 活性化したエーテリアスと戦う柳たち。
 ラスト一体を射抜いた悠真は、仲間の方に振り返る途中でやけに眩さを感じて光の差す方に顔を向けた。
 
 「────!? 副課長! あれって...?」

 「あれは────! 課長と、リンダさん...!」

 「ナナンナ、ワタンナ...!(計算するまでもない、凄まじいエネルギー活性値だ...!)」
 
 「うわぁ...! 2人とも、太陽とお月様みたいだよ!」


 すごく綺麗!
 そんな蒼角の言葉に全員が息を吞む。
 視線の向こうにあったのは、太陽の如く輝く超高活性エーテルを纏ったリンダと、無尾の力を解き放ち青い狐火と光を放つ雅の姿。
 遠目からでもはっきりと分かる程の赤と青。
 それは、既に離れつつある他の部隊にも届いていた。


 「虚狩り殿と...あれは────隕石でありますよっ!?」
 「すっごいエネルギー活性率だね~、触れたらひとたまりも無さそ~」
 「...あのアホめ、一体なにを隠している...?」

 「たーいーちょっ! これ見て見てぇ!」
 「竜鱗さん、ヤバいっすよ!」
 「喧しいぞ貴様ら! 一体────なっ、なんだこれ!?」

 「休憩中すみません。 代表、これを...」
 「うん? ......おやおや、こいつはなんという僥倖。 動け、責任は私に」
 「承知しました。 素性を洗った後にアポイントメントを準備します」

 
 オボルス小隊、エレクトラ―小隊、ホロウ調査協会(HIA)
 ニネヴェへと刀耕作戦の幕を引かんとする一撃を叩き込もうとする2人を目にして、思惑は違えど誰もが驚愕し畏怖していた。
 ────これは、人の身で到達できる次元の強さなのか...と。
 

[Quoo......Qxyieaaaa !!]


 ニネヴェが一際大きな咆哮をあげると同時に、極めて爆発的な勢いでエネルギーと活性率が上昇する。
 彼女もまた、この戦いに終止符を打つ一撃を放たんとしている。
 消耗など意にも介さず、まるで厄介な羽虫を潰すかの様だ。
 流石にすんなりと喰らってはくれない、同じ事を思う2人の視線が一瞬だけ交わる。


 一切加減も遠慮もせんぞ。

 もし、くたばったとしても。

 その時は──────お前が雑魚だっただけのこと。
 

 「終わりだっ────!!」
 「終わリダァ────!!」


 青い月が閃いて、赤い太陽が墜ちる。
 その手で命を奪わんと迫るニネヴェを迎え撃つは、“一心無我” 虚狩り(VOIDHUNTER)の星見雅。
 上空からニネヴェへ墜落する煌々と照る星辰は、“九分街の英雄” 虚殺し(HOLLOWSLAYER)のリンダ・ブラッド。
 澄み渡る青と鮮烈な赤の双光が、虚ろの大輪を包み込む。




 
「この刀に誓おう!!!!」

 
「<マレフィック・フェルダウン>!!!!」






 〈星見雅〉という名の月が煌めいた。
 〈リンダ・ブラッド〉という名の太陽が墜ちた。
 [ニネヴェ]という名の大輪が咲き狂った。
 それは辺り一帯を粉塵に帰すほどの破壊的な爆発と衝撃を伴って、溶け合い、混ざり合い、光となって空間を満たした。


 光が収まり柳たちが目を開けるとニネヴェは既に何処かへ去っていた。
 雅とリンダの共闘により過去トップクラスの戦力となったにも拘らず、枯渇病により一時は危機に瀕する波乱もあった今回の刀耕作戦。
 土壇場で病を(こく)し異化したリンダと、無尾の力を解放した雅が力を合わせる事によって、幕が引かれることとなった。


 「ナンナ―!(リンダー!)」「雅!」「ボスー!」「課長!」「ンナナ!(雅課長!)」
 無事、ニネヴェを撃退した2人へとレミントンと柳たちが駆け寄る。
 流石に互いの健闘を称える言葉くらい出てくるかと思いきや、相も変わらず張り合う雅とリンダの姿が、そこにはあった。


 「私が斬った」フンスッ

 「わ・タ・シ・が! ブッ飛バしたンだよっ!」イラッ


 ちなみに、後日談。
 異化状態にあったリンダはリンボ離脱後に程なくして完全に自浄され、本人の思惑通り “枯渇病と体質がぶつかり合った影響による一時的な変異” という事で誤魔化せた。
 刀耕作戦終了後にその場で行われた検査も、財団の侵食医療センターでの検査も余裕でパス、史上初のエーテリアス化から回帰した実例として秘匿して記録された。
 厳密には、体質による浄化を外部機器(音動機)とボンプの補助を介してコントロールすることによって、エーテル侵食とそれに伴う変異を限定的な制御下においた...というのが正しい。
 異化の進行を抑制しつつ、ホロウに起因する超人的な能力を()()()()()()()行使した。
 なのでエーテリアスから人に戻った訳ではないのだが、そこはTOPSの思惑が蠢くところ...
 そもそも、1から10まで(つまび)らかにする訳にもいかないので、ジョナサン財団に身を寄せる立場のリンダは良いように扱われるしかない定めなのであった。


 「ンナンナ? ンナワタナ?(ところでリンダ? 雅さんに()()見せてよかったの?)」

 「良かねぇよ、更新行きたくねぇ...もう許可証返納しちまうか」

 「ワタンナ!?(衝撃の一言!?)」


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