血に交われば薔薇になる   作:サンオツボンプ

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この小説では、序章「商機×怪奇×仁義」から1章「猫の落とし物」までを纏めて “1章“ にします。
プロローグ(序章)もうやっちゃったからね...
それと、本編にガッツリ関わりだすのは3章からになる予定、それまではほぼ日常パートです。


第1章  原作回避クライシス
リンダ・ブラッドはシュールに去るぜ


 新エリー都 ヤヌス区 六分街

 

 

 

 

 ホロウ災害における九分街内での自衛戦闘を許可する証 “公的機関代行戦闘許可証” の講習ビデオを受け取るため、六分街のビデオ屋を訪れたリンダ。

 

 

 慌ただしく入店していくツーサイドアップのピンクギャルを前にして「アイツら、痴話喧嘩か?」と面白そうなニオイを察知、手早くスクラッチを削り手に入れたあぶく銭をしまってビデオ屋に向かう。

 

 

 店の扉に手を掛けて、中へ入ろうとしたその時。

 馴染みの兄妹店主が、伝説的プロキシ『パエトーン』の名で呼ばれ、それに応えている瞬間に遭遇していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...お願い、伝説のプロキシ『パエトーン』!

 

 

今度は何をやらかしたの、ニコ?

 

 

 

 

 (───っ、しまった...もう本編開始か...)

 

 

 あっぶねー、声に出しかけたわ。 バレてないよな...?

 磨りガラス越しでも私の見た目だと特定されかねんし、急いでマンションの屋上まで飛んだけど───よし、出てこないな、大丈夫そう。

 

 

 「いやぁ、ビビったビビった。 まさか、被るとは...」

 

 

 ゲーム本編開始と私の予定がまさかのミラクルバッティングかい。

 そんなんアリ? 初見殺しじゃんか! 原作の修正力君は仕事しなさい!

 私がフィジカルエリートじゃなかったら回避出来なくて詰んでたかもな......

 望まぬ原作介入でキャラクターの見せ場を台無しに...なんて、真っ平御免だ。

 

 私はただ、普通に生きたいだけなんだ。

 なんの因果かは知る由もないけど、この世界の住人として転生したからには楽しんでやる。

 

 だから、それには、その為には。

 私自身の過去を清算しなければ───

 

 

 「───親和型異化統制計画(プロジェクト・ヘーミテオス).........残党共、全員引き摺り出してブッ潰す...!」

 

 

 〔親和型異化統制計画(プロジェクト・ヘーミテオス)

 私が受けた実験の名前で、最終目標は至ってシンプル...『自我を保持したコントローラブルな異化を実現すること』、端的に言えば『エーテリアスのシリオン』を作るようなものだ。

 

 私がこの世界で目覚めた時にはもう既に実験体の身の上で、いくら記憶を探っても自分の出自や来歴は分からなかった。

 私の生来の高いエーテル適正と、エーテルを含む毒性に対する強い自浄作用を持つ特異な白血球。

 それに目を着けた一人の研究者によって医療の発展のための研究が歪められ、ホロウを由来とする疾病専門の研究所という真っ当な事業を隠れ蓑にした、悍ましい人体実験へと変わっていった。

 

 私の細胞から作られた薬剤────エーテル汚染を促し体細胞と同化させながら徐々に異化・変異させる劇薬。 どうしようもなかったとはいえ、私がアイツらの手に落ちていなければこの計画が生まれる事もなかったし犠牲者も生まれなかった。

 自我を維持するプロセスの一環で心理学・社会学的観点からの拷問じみたアプローチまで行われていて、泣き叫ぶ大の大人や発狂ロリに人格崩壊したサイコパス.........BGMのバラエティには事欠かなかった。

 薬の副作用と体の変異による激痛、昼夜問わずに行われる拷問まがいの自我維持プログラム、プライバシーなど勿論無い。

 「尊厳? なにそれ捗んの?」とでも言わんばかりだった。 

 

 道徳的にも倫理的にも色々と終わっている場所、旧都陥落の混乱に乗じて纏めてブッ潰したけど...治安局や防衛軍の連中が救出に来るより先に研究所内を一掃する、とかいうエグいタイムアタックをやるほか無かったせいで、碌に研究資料を見れないまま瓦礫にしてしまった。

 技術協賛企業や出資した連中の中にも隠れて関与した奴はいる......表向き真っ当な企業だからその辺は大抵調べがつくけどそういう奴らはとっくに星になってる。

 問題は運良く逃れて闇の中に姿を消した奴らだ、他の奴らを打ち上げた時にコツコツ回収した資料から名前も動きもある程度までは辿れるが、正直もう私自身を餌にするほか方法がない。

 

 故に、ここ最近は割と手詰まりムードが漂っているのが現状だった。

 

 

 「『讃頌会』なんかも怪しいっちゃ怪しいけど、何処で何してるかこっち以上に謎だしなぁ...」

 

 

 私がプレイ済みの5章時点でも讃頌会の存在は描写されたし、主人公’sとの何らかの関係も示唆されてはいた。

 が、結局それ以上プレイ出来ず詳しいことを知れないまま転生してしまったし、ゲームでの描写から察して仮に主人公’sを叩いたとてホコリすら出ないだろうな。

 

 まあ、それでも光明は薄っすら残ってるけど。

 

 

 「ここ1・2年で悪化傾向にある九分街(ウチ)のホロウ災街っぷり.........状況証拠的には()()()()()()()()とみるのが自然だし、根気強く尻尾を出すのを待つしかねぇか」

 

 

 4年前までは新エリー都中を飛び回って “オシオキ” したり危ない橋渡って追われたりで半分根無し草状態だった、九分街に住んではいたし住所も登録済みだったけどはっきり定住し始めたのはそこからだ。

 それまでも突発的なホロウの発生は目立ってたけど、私が九分街に落ち着いてからは明らかに増加してる。

 

 しかも、私が九分街にいる時に決まって発生しやがる。

 試しに郊外へ一か月以上滞在してから戻ってみたらホロウの規模がデカくなりやがった、あれはビビったね......ホロウ拡大の速度が速すぎてレミーがバッテリードーピング(?)キメてたし、私も焦ってちょっと異化使ったし。

 

 とにかく、感覚的に “ホロウ災街” は私を起点にしてる筈だ、なら相手は否が応にも私の誘いには乗る他無い。

 

 

 「何度来ようが叩き潰す、街の皆も護ってみせる。 私は無敵なんだよ、下衆共が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「────ンナナァ...?(なに浸ってるの...?)」

 

 「ファァァァァァァァァァァ!?!?」

 

 

 今のクソデカ独り言聞かれてたんかい! ふざっけんな! お約束とはいえ恥ずいわ!

 つーか、コイツいつの間に来たのよ!? 気配無かったぞ!? 忍者かお前は!?

 タラち〇んやドラ〇もんよろしく足音鳴るように改造してやろうか!?

 

 

 「ンナ、ンナンナ(リンダ、バレるバレる)」

 

 「いや誰のせいだと...っ!  ...ったく......お前ね、逃げた先で脅かすんじゃねーよっ」

 

 「ンーナナッ(そっちが勝手に驚いたんじゃないか)」

 

 「んだとぉ?  大体なぁ、オマエ今日は抗浸蝕コーティングの日じゃねーかっ、まだ終わる時間じゃねーだろ? それはどしたのよ?」

 

 「ンナン(もう終わった)」

 

 「嘘こけ、前回より大分はえーよ」

 

 「ンナナ、ンーナンナッ(前回は完全にダメになったぶん、下処理が大変だったんだよっ)」

 

 「あー......確か、私の武器の件で()()()()()()()が投げてきた依頼ん時だっけか?」

 

 「ンナァ...?(なんでちょっと他人事みたいなのさ...?)」

 

 

 ジョナサン財団────“TOPS財政ユニオン” の一角に名を連ねる、医療・エーテル関連分野の雄的存在の大企業。

 コアなエーテル事業を掌握しているとかで都の健創に携わってて、医療分野では侵食医療の研究・提供が有名だな。 変わり種だと体毛のあるシリオン向けのヘアケア用品や、鱗を持つシリオン向けの保湿クリームなんかも出してる。

 

 私はこのジョナサン財団との間にちょっとした契約を結んでる。

 “超人的エーテル適正&毒性*1絶対殺すマン白血球” とかいうホロウ環境に中指立ててる特異体質をエサに釣って、武器や社会的な後ろ盾なんかを融通してもらっている。

 代わりに、ジョナサン財団の研究センターで隔週末の定期健診......という名目の検体採取と各種検査を受け、侵食医療を含むホロウ疾患医療の発展に協力する────という契約だ。 

 

 因みに、財団から派遣された私専属らしい医師はこの特異体質を “一つの疾患” と考えている様で、扱いに関しては慎重な姿勢を取っている。

 そのせいでちょくちょく心配と小言を貰うんだけど、それが鬱陶しくもあり嬉しくもある。

 えっ、私...ちょろすぎ...?

 

 で、そんなジョナサン財団からは時たま依頼を振られることがある。

 今、レミーが若干キレかけてる話もそれ関連......財団に用意させた私の武器を改良するのに物資が必要とかで、ホロウに呑まれた財団の古い保管倉庫まで回収しに行ったワケだ。

 

 まあ、コイツにはとんだ災難でしかなかったみたいだが...

 

 

 「その節はスンマセンした」

 

 「ンナ、ンナンナ、ンーナッ(ホントだよ、裏に通り道があるとはいえ、高濃度エーテル汚染水の滝に突っ込ませるなんて何考えてるのさ)」

 

 「仕方ねーだろが、跳ね橋下げるには陸路じゃ無理だから飛べるお前が空路使うしかねーし、私は運転しなきゃいけねーもんよ」

 

 「ンナンーナナ(ゴリンダなら持ち上げて飛び越えれるじゃないか)」

 

 「あれ、10000ガロン級の長距離タンカートレーラー*2だぞ? 無理に決まってんだろ、あと誰がゴリラだボケが」

 

 「ンナナ(ゴリラなんて言ってないよ)」

 

 「言わずとも示唆しただろーが」

 

 「ンーナ、ンナナン? ンナッ?(言っちゃ悪いけどボクが愚痴を言うのは妥当だと思うけどね、風を受けるせいで直ぐに乾いて全身ベッタベタだよ? 体験してみる?)」

 

 「ちっ、うっせーな......反省してまーす」

 

 「ンナァ...(まったくもう...)」

 

 

 うぅ...ごめんな、レミー。

 ホントは...ホントは素直に謝りたいんだけど...お前とくだらない言い合いするの楽しいんだもん。

 分かるよ? お前がベッタベタになって帰ってきたとき「うわ......」って素で反応しちゃったし、お前も見た事ない顔してたし、1000%私が悪いって自覚あるんだけどさぁ...

 

 しょうがないじゃんか! ちょっかい掛けたくなるんだもん! お前が可愛いのがいけないと思います!

 

 

 「可愛いは罪、よってレミーも悪い」

 

 「ンナァ...ンナナ。 ンナ、ンナ(はいはい...そういう事で許してあげるよ。 それでリンダ、肝心の武器の調子はどうなのさ?)」

 

 「[近接格闘用武装外骨格(Close Combat Armed Exoskeleton) “パルヴァライザー04.LE” ]は好調だぞ」

 

 「ンナワタァ(長ったらしい正式名称がかっこいいと思ってそう)」

 

 「事実、カッコ良いだろ」

 

 「ンーナンーナ、ンナ(でも、バトル系のジャンルじゃあそういう説明口調は負けフラグだよ)」

 

 「ぐうの音も出ねぇ...!」

 

 「ンナ、ンナーナ(ってことで、柳さんにはメールで伝えといたからね)」

 

 「んん? 柳に? なんて?」

 

 「ンナー(お宅の課長さん、喧嘩売られてますよ って)」

 

 「許してねーじゃねーか!?」

 

 「ンーナナ、ンナナー(改良したパルヴァライザーでパルッて泣かせてやんよ とも伝えた)」

 

 「しっかり根に持ってるし!?」

 

 

 勝手に喧嘩売った上に拍車まで掛けただとぉ!?

 私が痛い目見るまで全く許す気無ぇじゃねーか! そんな嫌ならもっとテンション上げて文句言って!?

 

 クッソ、屋上でダベッてる場合じゃねぇ...! 時速200kmオーバーの辻斬りがやって来る...! 鉢合わせたら終わりだ...!

 レミーをオフライン駆動にしてさっさとここから逃げ────

 

 

 「────ん? いや、なんで痛い目見る(負ける)前提で考えてんだ私? 別に勝ちゃいいじゃんね...?」

 

 「ンナ...(いっつもボロ雑巾になってるのによく勝てると思えるね...)」

 

 「バッカ、お前考えても見ろ? アイツが街中で暴れたらあちこち刀でスッパスパで被害ヤベーだろ? ってことは力をセーブせざるを得ないワケ、対して私は格闘だから周りに被害なんて出ねぇ......しかもストリートファイトは私に分がある。 イケるぞコレ...!」

 

 「ンナナ...?(水を差すようだけど、街中じゃやらないと思うよ...?)」

 

 「つまり、何処ぞに連行される前に潰せと......エンカウントしたら柄頭*3足でロックしてそのまま顎揺らすわ。 勝ったわコレ...!」

 

 「ンーナ...ンナワタァ(楽観的だなぁ...相手は虚狩り(VoidHunter)なの忘れてない?)」

 

 「悲観的だなぁ、私が虚殺し(HollowSlayer)なの忘れてないか?」

 

 「ンナナ、ンナンナ(まあ、しかと見届けさせてもらうよ。 精々、気張るがいいさ)」

 

 「発言的にお前が一番強者っぽい件」

 

 

 さてと、イアスはニコに連れられてホロウに行ったし、私らも行きますか。 

 勝ち確とはいえ(アンチクショー)と態々エンカウントしてやる必要もないし、今日はもう家に帰って大人しくしてよう...

 なんかの神のお告げだ、そうに決まってる。

 レミー、帰るぞー。

 

 

 「んっ...んん~...っふう~」

 

 「ンーナ?(背伸びって気持ちいいの?)」

 

 「殺人的な快感だね」

 

 「ナンナ(公序良俗に反さないでよ)」

 

 「絶頂じゃねーから」

 

 「ンナナ~?(ホント~?)」

 

 「私は痴女でもスキモノでもないわっ」

 

 「ンナワタァ(普段の立ち振る舞いや言動を振り返ってほしい)」

 

 「.........はい、振り返りました」

 

 「ンーナ(感想をどうぞ)」

 

 「スーパーパーフェクト美女でした」

 

 「ワタタァ(脳ミソ洗った方がいいよ)」

 

 「お前帰ったら覚えてろよ...」

 

 

 

 

 

 それまでの愚痴や不満はどこへやら、和やかに話しながら九分街の自宅へと向かうアウトロー系長身イケメン美女1人に木目柄のフードを被ったミリタリー風ボンプ1匹。

 レミントンからの謂れのない酷評を受け、なんらかの仕返しを決意したリンダ。

 ちょうど屋上にいるのを良い事に、横着してビル伝いに飛んで移動していく。

 

 

 相棒の豊かな胸に抱えられるレミントンは、明らかな軽犯罪を行きがけの駄賃とばかりに積み重ねていく無法っぷりに慣れた様子で静観の構え。

 (朱鳶さんにチクれば、押収したバッテリーまた貰えるかなぁ?)と、家族兼相棒を売るのに内心前向きであった。

 

 

 知らぬが仏────新たな災難の訪れを微塵も知りえない哀れなリンダ。

 レミントンに裏切りフラグが立っている事など気付きもせず、仕返しの内容を考えながら帰宅の途についたのであった。

 

 

 

*1
エーテル含む

*2
しかも満タン

*3
刀の持ち手の先端




 一方その頃、ビデオ屋 “Random Play”


 
 リンダが原作回避という名の自己防衛に成功するも、辻斬り襲来の憂き目に遭いかけている裏で。
 駆け込んできたお騒がせピンク......ニコの怪我の手当てと仕事の準備をしていたパエトーン兄妹もまた、ちょっとしたトラブルに見舞われていた。



 「────あっ...忘れてた!?」

 「イッタァ!? ちょっとアンタ、キツく巻過ぎよ!?」

 「ああ!? ご、ごめんニコ!?」

 「全く...何をやっているんだか...」



 緊急事態にもかかわらず、突然大声を出し手当てにも身が入っていない妹に少し呆れるアキラ。
 いきなり押しかけてアポ無しで依頼を受けさせ、依頼料やツケの支払いをゴネて、挙句に怪我の手当てまでしてもらうという中々に態度のデカい依頼主、ニコ。
 そんなジャイアニズムな友人の抗議にも律儀にも謝るリン。

 アキラは『H.D.D』の準備をしつつ、妹に何を思い出したのか尋ねた。



 「随分と大きな声を出していたけれど......リン、一体なにを思い出したんだい?」

 「お兄ちゃん、リンダさん! 許可証の講習ビデオ受け取りに来るって言ってたよね!?」

 「!! しまった...失念していたな...! もういつ来店しても可笑しくない時間だ、そろそろ動き始めなきゃいけないのに...!」

 「...? リンダって、“九分街の英雄” のこと? アンタたち、あんな大物ともエージェント契約結んでたの?」

 「そんな訳ないでしょ? ただのお得意様だよ、私たちがプロキシだって事すら話してないんだから!」

 「彼女は九分街の事でかかりっきりだろうし...そもそも、治安局直々に九分街内での自衛や武装を許可されていたり、侵食医療の分野でジョナサン財団と契約を結んでいたりと、立場上は政府寄りの人だからね」

 「今時、どこに目や耳があるか分かんないし...プロキシ稼業なんてリンダさんには教えられないよ」

 「なるほどねぇ......まぁ、確かに? 明け透けそうに見えて実はドデカい爆弾隠してますってタイプよねぇ...」



 思いがけず訪れた裏稼業(プロキシ)バレの危機。
 準備を終えたアキラは、リンとニコをH.D.D部屋に残して店の表を確認しに向かった。



 (18号(トワ)はドア越しにも誰も見てないって言っていたし、看板もCLOSED(閉店中)にしてある......表を確認したら直ぐに“急用”のメールをいれよう)

 

 そうしてドアを開けて表に出る、すると────



 ガクンッ‼
 
 「っ!? うわぁ!?」

 「ンナァ!?(アキラ!? どうしたんですか!?)」

 「痛たた...今、何かに躓いたような.........えっ? なんだこれ、()()している?」

 「ンナナ!?(うわ!? ドアの前がめちゃくちゃに!?)」

 

 店のドア前の敷石が()()()()()()()()()()()しており、アキラはそこに躓いてしまった。
  それは明らかに、唐突な原作開始にビビってビル屋上へフィジカルごり押しジャンプを決めた “九分街のゴリンダ” の仕業であった。
 人の家の敷地を破壊しておいてそれに気付きもせず、勝手に胸を撫で下ろしてメイドカフェへと去っていった主人公(カス)は、こんな所でも罪を重ねていたのであった。


 その後、敷石を破壊する程の慌てっぷりを疑われたニコが「失礼ねっ!? どこから見てもか弱い美女じゃないのよ!」と機嫌を損ね。
 支払いの約束が反故にされては堪らない、とまたしても律儀に謝るリン。
 アキラはそんな女子たちを横目に強かに打った膝をさすりながら、リンダへ “急用につき本日閉店” のメールを送る。


 で、ビルからビルへ飛び移りながら届いたメールを開いたリンダは、“店に来る時は気を付けて” と添付された陥没写真を見て大いに動揺......足を踏み外し、危うく転落死し掛けたのであった。
 さもありなん。

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