血に交われば薔薇になる 作:サンオツボンプ
あと18連で天井(すり抜け有)だ...光らせてぇよぉ...
それより、おシャメのバ先の喫茶店いくら調べても名前出て来ないんですけどぉ!
新エリー都 ヤヌス区某所 とある喫茶店
唐突な原作エンカウントをフィジカルごり押しで危なげなく華麗に回避したリンダ。
抗浸蝕コーティングの施工を終えた反省の色が薄いことにキレ気味の相棒のボンプ “レミントン” と合流し束の間の談笑の後に「このまま1章終わるまで大人しくしてよ」と講習ビデオを後回しにし、建物を飛び移り建造物侵入罪を積み重ねて新エリー都のさわやかな風を感じながら帰宅の途についた。
その後、ジョナサン財団からの依頼で郊外に行ったり、歌姫アストラのライブに現地参戦したりして数日を過ごしたリンダ。
「そろそろ、1章も佳境に入った頃かぁ?」と考えながら、財団からの依頼をこなしたそのままの足でレミントンと共にある場所へ向かっていた。
そこは繁華街の通りに面した、メイドによる給仕が好評を博している...とある喫茶店。
仕事の後のアフタヌーンティーと洒落込む為に、ついでに
レミントンを抱えるリンダはまたしてもビルを飛び移って移動する、体を撫でていく風でエーテリアスと戦った後の火照った身体を冷ましながら、喫茶店へと向かっていた。
「────はい、到着っと」
「ンナ?(留置所?)」
「んなワケねーだろ、メイド喫茶ね、メイド喫茶」
(んなワケあるんだよなぁ...)
「お? なーんか含みのある顔じゃんかぁ? 別にバレるような無法しねーって! ほら、入るぞー」
「ンナナァ...(ホントにしょうがない人だなぁ、リンダは...)」
いわれのない批判を受けた気がするけど...まぁ良いか、気がしただけだろ。 人気者の辛いところだぜ。
そんなことより小腹を満たそう、ついでに気だるげ鮫イドを冷やかして遊ぼう。
サボらずお仕事してるかなー?
カラン カラーン
『いらっしゃいませー!!』
入店と同時にベルが鳴って、メイドさんたちの歓迎の声が響き渡って...
あ”あ”~これだよこれ~
美少女とカワボのコンチェルトや~
ありとあらゆる理不尽なストレスが癒されていく~
これで胃袋まで掴まれたらもうプロポーズ待った無しですよぉ...
婚約指輪はエーテリアス3か月分(?)だぜぇ...
デッカイ結晶つけてやるからなぁ...
「ンフ......グフフ......」
「何名様でお越しでしょうかー?」
「...フッフッフ......ヘッヘッヘ.........」
「あ、あの~...? お客様ぁ~...?」
「ンナ! ...ナンナ、ンナナン(2名です! ...こっちは気にしないで、癒されてトリップしてるだけだから)」
「あっ...ごめんね? 私、ボンプ語には明るくなくって... どうしよう...!」アワアワ
...おや?
メイドさんに癒されてぶっ飛んでたら、なんだかメイドさんがアワアワしてて可愛いぞ。
でも、ここの人達はみんな多少はボンプ語分かる人たちだったハズだけど...新人ちゃんか?
「オネーサン、2名でお願いね。 テーブル席がいいな」
「あっ、かしこまりました! えーっと...1名と
「ンーナ...ンナ...(あーあ...始まっちゃった...)」
そら始まるだろぉ、聞き捨てなんねーもんよぉ。
1...
通じなくとも伝える努力はしろと常々言ってんのにぃ、それをしないのは嘘ついてんのと同じなんだからぁ。
「ンナァ...(なんか言い訳がましいような...)」
「オネーサァン、その呼び方は無いんじゃなーい? 人の
「...あっ...! えと、も、申し訳ございませんでした...! 気を付けます...!」ワタワタ
「“した” ってどういうこと? まだ終わってねーから」
「あ、え...っと.........その...」オロオロ
「謝罪ってコミュニケーションだからな? 相手から返ってきて初めて成り立つんだよ、オネーサァンが謝っただけじゃただの独り言なワケ。 お分かり?」
「あ...っとぉ......は、はぃぃ...」ショボーン
「そもそもさぁ、私ちゃんと “2名” って言ったよなぁ? なんで、わざわざ言い直したワケ? なぁ、オイ」
「ひぃぃぃ......ぅぅ...」グスン
「オネーサァンの根底にボンプ差別があるからそうやっt「リンダ、何やってんの?」 あっ...」
「あっ...せ、先輩~!」パァァ
「ンナナー(はい、終了ー)」
ヤッベ、来ちゃったぁ...ちょっと話し過ぎたか...!
新人ちゃんの反応が可愛いばっかりに
ともあれ、逝く前に弁解だけはしとくか。(汗)
「〈エレン・ジョー〉審問官、発言の許可を求めます」
「許す」
「新人ちゃんっぽかったんで、ちょっとおちょくってみました。 反応が新鮮で可愛かったです」
「...ええっ!? おちょくっ...! お、お客様ぁ~!」
「ンナナ、ンナンナ(申し開きだけじゃなくて、赦しを請いなよ)」
「反省と後悔は私の辞書にありません、赦してください」
「ナンナ...!(道徳が終わってる...!)」
「そ、それでなにを赦せると...?」
「即時死刑、跪いて頭を垂れろ」
「そんな殺生な!? 赦してマイシスター!?」
「はあ...どうせレミントン絡みの失言でダル絡みしたんでしょ。 サナ、気にしなくていいから、コイツのこれはじゃれてるだけだし」
さっすが可愛い妹分だ、以心伝心って感じ。
にしても、サナちゃんって言うんだー。 可愛い名前だねー。 ごめんね脅かしちゃってー。 お詫びに “貸し1” にしとくからさー。 なんかあったら頼ってよー。 はい、これ私の連絡先ねー。 メイドさんたち皆知ってるから、忘れたら教えてもらいなー。 遠慮しなくていいからねー。
「こ、これはご丁寧に...ありがとうございますぅ...!」
「私わりと常連だからさぁ、客からダル絡みとかハラスメントされたら言ってね? 相手、砂にしてやるから」
「ホントですか...? 分かりました! 助かりますぅ!」
「わかっちゃダメ、コイツはホントにやるから。 あたしに言いな、めんどいけど...助けるから」
「せ、せぇんぱぁ〜い ────じゃなくて!? マイシスターって!?
「いるワケ無いじゃん、てかリンダはシリオンでもないし」
「そうそう、私が勝手に妹分扱いしてるだけ」
「妹分、ですかぁ...なにかエピソードがあったりするんですか?」
「あー、それよりさ。 アンタそろそろ仕事戻ったら? 今日店長いる日だし、ドヤされるよ」
「はぁっ!? そうでした!?」
「アッハッハ! 急いでドジんなよぉ~」
新人メイドのサナちゃんは「ごゆっくりどうぞ!」と深々頭を下げてパタパタと仕事へ戻っていった。
私たちも元気にバイト中の妹分 “エレン・ジョー” に連れられて奥のテーブル席へと腰を落ち着け、小腹を満たすために注文する。
なににしよっかなー、『アフタヌーンセット(お給仕付き)』かなぁ...『オムライス(美味しくなる魔法付き)』も定番だよなぁ...『ケーキセット(も~、ほっぺにくっついてるよ♡付き)』を頼んでマイシスターを指名する*1のもアリか...
「う~む、悩ましいな...」
「早くしてよ、あたしまでドヤされるじゃん。 レミントンは?」
「ンナナン!(『過冷却電解シュワワン』*2と『電磁バーガー』*3)にする!」
「セットの方が安いし変えとくから。 あとデザート選べるけど」
「ンーナ(『バッテリムース・チート味』*4)で!」
「...ん、了解(どんな味なんだろ...)」
単品注文をセットに変えて値段安くするとは気が利くじゃないか。
店のセットメニューの仕組みを十全に理解してないとこのムーブは出来ないぞ、しかもこれで腕も立つと来たもんだ。 なによりクールで可愛い! そっけない仕草もまた良い!
うんうん、しっかりお仕事してるみたいだな、流石はヴィクトリア家政の中核メンバーと言ったところか。 パッと見はただの “ものぐさダウナー鮫イド” でも蓋を開ければこの有能さだ。
一体、新人研修で何をやってコイツのやる気を引き出したのやら...
「で、リンダは? 早くしてくんない? あたし今日
「おおっと、そりゃ拙いな...あんまり暴れたら出禁になっちまう」
「じゃ、早く頼んで」
「『ケーキセット(も~、ほっぺにくっついてるよ♡付き)』、エレンちゃん指名で*5」
「は?」
「ドリンクは『愛言葉キュン死ュワワン』*6で、こっちもエレンちゃん指名ね*7」
「...は?」
「あ、両方『美味しくなる魔法』トッピングでよろ。 あ、エレンちゃん指名な*8」
「 」
おお...おシャメちゃんお口あんぐりで草、実にメダパニ。
しかしこれも職務のうちである以上、店員の感情で拒否することは不可能! 残念だったなマイシスター! 私は普通に注文しただけだぁ!
「ン、ンナァ...(胆座りすぎだよリンダ、君に怖いものは無いのか...!)」
「私が怖れるのは母ちゃんのゲンコツくらいだぜ。 エレンちゃん、注文以上でよろ」
「...かしこまりましたークソバカ、少々お待ちくださいやがれ」
「はーい!」
「...ンナワタァ(...僕はどうなっても知らないから)」
控え伝票を置いて引っ込んでいく鮫イド、若干機嫌が悪くなったような様な気がしないでもない。
まあ、気がしただけだろ。 来た時は毎回こんな風に絡んでるけどちゃんと相手してくれるし、ウザがられてなんてないもん。
後日、何故かヴィクトリア家政から協力要請来て「上級エーテリアス生け捕りにしろ」とか「金持ちのガキがホロウ散歩するからデコイになれ」とかクソ面倒な事やらされるけど、腹いせじゃないもん。
マイシスターはそんな報復みたいな事しないもん!
「ナンナ(絶対報復じゃん)」
「やっぱそうだよな」
「ンナッ(どっちだよっ)」
「もう、どっちでも良いかなって」
「ンナナ?(エレンちゃんが友達といる時間増えるから?)」
「そゆこと」
「ン~ナ~(素直じゃないなー)」
「ほっとけ。 こういうやり方じゃねーと他人の好意受け取んねーもんよアイツ」
「ンナンーナ(それリンダだからだよ)」
「え?」
「ンナ、ンナタ(友達とか仕事仲間からの好意は素直に受け取ってるよ、リンダだけだね)」
「 」
(お口あんぐりで草)
ま、まあ...アレだ......隠し事のいらない雑に扱っていい身内って1人いると色々と救われるもんだから。
QOL上がるから、マジで。
精神衛生的に効きまくるから、ホント。
何もかも整えてくれる存在だから、冗談じゃなく。
アイン〇ラハト・フラン〇フルトと日本代表のレジェンド “長〇部 誠” さん級の整え力だから。
マイシスターにとっての長〇部が私 “リンダ・ブラッド” ってワケ、お分かり?
私にしか曝け出せない一面があんのよ。
学校の三者面談とかアレだぞ、リナさんや犬ッコロん時と私ん時であからさまに態度違うらしいからな。
「ンナンナ(そりゃ、弱み握られかねないって分かってて同席されたくないでしょ)」
「違いますぅ~、照れ隠しですぅ~」
「ンナナ、ンナーナ...(確かに赤面してたけど、あれどっちかと言えば[照れ]より[怒り]だったと思う...)」
「じゃあ聞いてみるかぁ? ちょうど来たし」
ダベッていたらあっという間に料理が到着、楽しい時間ほどあっという間だ。
エレンちゃんに付き添われ、新人のサナちゃんが出来上がった料理を乗せたワゴンを運んでくる。
愛嬌たっぷりの笑顔で「お待たせいたしました! こちらセットの電磁バーガーと───」と何事もなく料理が並べられていき、仕事が残ってるエレンちゃんを置いて「ごゆっくりどうぞー!」と去っていく。
心なしか、残されたエレンちゃんから若干の物悲しさを感じる。
「エレンちゃ~ん、そんな顔したってお仕事は無くなりませんよぉ~? たっぷり
「ンナァ...(うわぁ...)」
「お客様ぁー、当店はウェイトレスを冷やかすお遊びは提供しておりませーん」
「なにを失敬な! 冷やかしてなどいない! 本気だ! 結婚してくれ!」
「お客様ぁー、当店はウェイトレスとのマッチングサービスは提供しておりませーん」
「なんて融通の利かないメイドだ...! サービスが悪い! そんな格好で誘惑しておきながら口説くなとはけしからん! このエロメイドめが!」
「お客様ぁー、当店は従業員用ホットラインがございまーす、コンプライアンスにはお気を付けくださーい」
「な、なんという言い草だ! 私は神様だぞ!」
「ンナナ(思い上がり、ここに極まれり)」
あ~楽しいw
こんなプロレスができる上にコール&レスポンスまであるんだから、やっぱ純喫茶ぶるのは無理あるって。
次来るときにはサナちゃん指名しよ、エレンちゃんと同じノリにならないよう気を付けないと。
で、それはそうと......
「...マイシスター」
「あー、ちゃんとやるってば。 最初、美味しくなる魔法からね」
「いや、それよりさぁ。 なんかあった?」
「...え?」
「嫌な事でもあった? 明らかに私に起因しない不満不服を感じるけども」
「......アンタ、ホントこういうの目敏いよね」
「ンナナ(それだけじゃ帳消しに出来ないくらいダルいんだけどね)」
「お前、私が財布だってこと忘れんなよ? バーガー食っちまうぞ」
「ンーナ(一撃で腹壊すよ)」
「何で出来てんだマジでよ」
お前らの食いもんマジでどうなってんの? 怖いんだけど...
って、そうじゃなくて。
エレンちゃんだよ、エレンちゃん、何があったのか教えてもらわないと。
事と次第によっちゃあ砂にしないと。
新しい店長の用意は良いか?
「んで? マイシスター、どした?」
「うん...別に大した事じゃないって。 ただ、カリンちゃんがホロウで迷子になったっぽくて...迎えに行けって言われただけ」
「ほーん、地味にトラブってんじゃん。 ホロウでま...い子.........
「しかも、
はい来たぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 嫌な予感的中ぅぅぅぅ!! 原作ですこれぇぇぇぇぇぇ!!
嘘だろエレンちゃん!? 神回避したし大人しくしてりゃ1章はもう大丈夫だと思ったのに!?
原作じゃ確か、同行者とはぐれたカリンちゃんが主人公たちと遭遇して、制御室までの道中協力する代わりに出口まで案内してもらう流れだったハズ...
それが何で迎えに行くなんて話になんの!? ...え? 同行者がキャロット持ってたから先に脱出して助け呼んだぁ...? な、なんて余計なことを...!
エレンちゃんは今日バイトなら、ホロウに迎えに行くのは大人組のどっちかでいいだろ!
なんでダブルブッキングっ!?
ヴィクトリア家政のシフト管理どーなってんの!?
「ふ、ふーん......ダブルブッキングじゃんっ。 大変だなっ! 早くこっち終わらせて迎えに行けよっ!」
「...」ジィー
「...(汗)」イヤナヨカン
「...リンダ、代わりに行ってくんない? どうせ暇でしょ」
「え"っ!?」
じょ、冗談じゃねぇぞぉぉぉぉ!? 今は例え小さな綻びでも、やがて成長して大きな崩壊に繋がるんだよぉぉぉぉ!?
邪兎屋と顔見知りにでもなって5章で駆り出されてみろ...あの話はにっくき虚狩り、むくつけき星見雅アンチキショーが主役だ...! 水と油の私が関わる羽目になれば原作チャート崩壊は必至、暴走した虚狩りの相手とかさせられかねねぇぞ...!?
他にもアレとか...! コレとか...! ソレとか...!
ダメだ、考えれば考えるほど不安が募りまくりやがる、何とかして回避しねぇと...
────そうだ! エレンちゃんにホロウ行かせて私がメイドさんになればいいんだ!
「ねぇ、リンダ? 聞いてるんだけど? シカトしないでよ」
「あっ...ご、ごめんねエレンちゃん。 えっとぉ、お姉ちゃんそれは無理かなぁ...って」
「は?」
「わ、私みたいなアウトロー女じゃあカリンちゃんビビっちゃうって! エレンちゃんが行きなよ! 私メイドさんやるからさっ! ねっ!?」
「ンナ...ワタァ...(ええ...きっつ...)」ドンビキィ...
「そんな目で家族を見るな」
コイツ...他人事だからって......まぁ、自分事になるわけないと言えばそりゃそうなんだが。
原作とかTS転生とか言えるわけないし、言う気も無い。
そもそも、私の原作知識って5章までだし...半端な知識を暴露して共有して何になるんだ、って感じだ。
私の夢は〔なんてことない生涯〕を送ること、その為には...
────原作回避が不可欠なんだよぉ!!
「.........いや...リンダのサイズ無いし。 てか、雇用契約なしで働かすのヤバすぎ、不法就労じゃん」
「うっ...それは、そうだけど...! な、なら迎えに行くのもどうなんだ? それも不法就労になるだろ? 私にはどっちもムr」
「そっちはエージェントとしての依頼じゃん。 たまにあたしも振ってるし、普通に合法だから」
「ぐ、ぐうの音も出ない!」
逃げ道どこぉぉぉぉ!? 光が見えないんですけどぉぉぉぉ!? お先真っ暗なんですけどぉぉぉぉ!? 人生設計の危機なんですけどぉぉぉぉ!?
マジで嫌だマジで嫌だマジで嫌だマジで嫌だ!!
ただでさえ転生で身の上ガチャ大爆死して厄ネタ持ちだってのに!! 原作にまで関わりたくねぇっつーの!!
え? なんだって?
「なら、メインキャラと交流してんのおかしいだろ」だって?
このアホが! メインキャラがメインキャラとしか交流しないわけねぇだろーが!
エレンちゃんにしたってバ先でモブメイドと接点あるし、依頼ごとに主人も変わるだろうし、原作に描写がないだけで生きとし生けるモブが存在するの!
私はそんなモブでありたい!
ありたい、のに。
「...なんでそんな嫌がんの? 理由もないのにさ。 いつもは引き受けてくれんじゃん」
案の定、私の事情なんて知る由もないエレンちゃんからド正論が飛んでくる。
「これ以上の面倒事は抱えたくないんです! 原作はヨソでやっていてください! お願いしますぅ!」なんて。
そんなこと、かわいいマイシスターに言えるわけもなく...
「────ねぇ、お願い、いいでしょ......?
”リンダお姉ちゃん”」
「まかせろ」
「ンーナァ...(鼻の下ゴリゴリんな...)」
はい、抵抗できませんでした...
「リンダお姉ちゃん」はアカンでしょうが...
ああ、サヨウナラ、穏やかな人生。 こんにちは、世紀末ストーリー。
お姉ちゃん代わりに迎えに行くから...カリンちゃん待っててね、今行くよ...
.........でも、とりあえず────自分、美味しくなる魔法、いいっすか?
躍起になって原作回避しようとするワリには逃げ道を碌に用意していない
原作の流れにさえ関わらなければ大丈夫だと高を括った、原作知識を持つ弊害であった。
あるいは、単に詰めが甘いだけとも言える。
当然の帰結として、エレンには ”謎に駄々をこねる煮え切らない姉貴分” としか映っておらず、軽々と論破されデッドエンドホロウまで迷子のカリンを迎えに行くことになるのであった。
開幕早々、受難が確定。
世紀末ゼンゼロワールドに生まれたリンダの〔なんてことない生涯を送る〕というささやかな夢は、第1章にして早くも暗雲が立ち込めるのであった。
それからというもの
ちょうど
リンダは娘の塩対応にしょぼくれる父親の気持ちになりながらも、レミントンと談笑しつつ食事を終える。
対象は7番テーブル、了解。
ダウナーメイドのおざなりなおもてなしと共に、冷徹な捕食者の如く声音が微かに聞こえてくる。
「
店内が、急に騒々しくなった。
「探せ! 奴はここだ!」
「あっちを探してくる!」
「どこ行きやがったんだ!」
20代くらいの男たちが数人店内へと押し入ってきて、声を荒げながら誰かを探し始める。
物々しい雰囲気で店内は騒然とし始め、客たちに動揺が広がる。
「...なんだなんだぁ?」
「ホロウレイダーとか...?」
「なんかの抗争か? 巻き込まれるのはゴメンだぜ...」
店内を探し回る男たちを観察しながら、リンダは「
「ただ者じゃない雰囲気してたもんなぁ...こっちから声かけてりゃワンチャンこんな事にならずに済んだかも...」
「ンナ? ワタタ、ンナナー(まだ言ってるの? もう後の祭りなんだから、後はエレンちゃんの仕事だよー)」
(.........つーか、これアレだな...「お願いエレン様!」だな...)
ほらほら、カリンちゃん迎えに行くよー。
レミントンにそう促されたリンダは(エピソードの時系列明言しとけや避けよう無ぇだろ)と内心キレ散らかしながら重い腰を上げる。
片付けやすいよう食器を通路側へ一纏めに寄せ、脱いでいたジャケットに袖を通し店を出る用意をする。
周りでは「いたぞ! あそこだ!」「今度こそ逃がさねぇ」「従業員通路だ!」と状況が進展しているが(興味ないね...)とお構いなし。
「ひとつ、ふたつ...みっつ、よっつ、いつつ......あ、むっつ」と呟きカートを引くエレンを尻目にソファに立ち、抱っこされる気満々でバンザイしてリンダを見上げるおなかいっぱいのレミントン。
その愛くるしい姿に思わず胸キュンして少し留飲を下げながら、可愛い相棒を抱きかかえて席をたったのだが。
「行きたかったなぁ、勉強会...」
「っし、んじゃ行くかレm────」
「オイッ! 退けっ!」
「なんだこの
「時間の無駄だっ! ヤれ!」
「......あ"あ"?」
「......サイアク...」
エレンが、男達が、まさか自分たちのテーブルがあるエリアに集結するとは夢にも思っておらず...立ち上がるタイミングがミラクルジャストミート、哀れにもターゲッティングされてしまうのであった。
本編どころかキャラエピソードすら回避できない体たらく。
哀れ、実に哀れである。
たった1日で人生設計に暗雲が漂い始めたリンダは、雑魚に喧嘩を売られた事が拍車を掛けもはや苛立ちを隠さなくなっていた。
「...やってられっかよクソッタレが」
「ああ!? 今なんつった!?」
「るっせーんだよ口臭ぇなテメェ。 野犬風情が、咬みつく相手も選べねぇか...あ"あ"?」
「このっ...! クソアマァ! 調子に乗んなよっ!」
目の前の反抗的な態度の女に罵声を浴びせられ、逆上した男たちはナイフを構えて勢いよく向かっていく。
群れが大きければ気も大きくなるものだ、数で勝り武器も持っていて何より相手は女、自分たちの圧倒的優位を疑わず碌に警戒もしていない。
無論、そんな有象無象のアホ共がどうにかできるレベルの女ではない。
左腕にレミントンを抱えたまま相対するリンダは、先陣を切った逆上口臭マンが突き出すナイフを指で摘まんで止めるとそのまま肘関節を狙って足を振り上げる。
人体が壊れる鈍い音と共に男の腕が機能を失い力なく垂れさがる。
激痛による叫び声が店内に響き渡り、それを見た男たちの威勢が途端に鳴りを潜めた。
「ぎゃあああああ!? お、俺のう、腕がぁぁぁ「うるせぇっての」ゴスッ ぎゃっ!?」
「ちょ、ちょっとリンダ? やりすぎだって」
「あん? なんでよ? どのみち犯罪者だろ」
「店の中で惨劇はライン越えだから」
「あー...それはそうだわ。 了解、流血沙汰にはしないから」
「......いや、それより早く行って欲しいんだけど」
「喧嘩売られたの私だぞ? 私が終わらせるに決まってるっしょ、マイシスター?」
「...はぁ......じゃ、早くして」
「あいよ────ってなワケで、私ら予定が立て込んでてなぁ...あんま構ってらんねーんだわ」
物足りないかもだけど、ワンパンで我慢してね。
サディスティックな表情を浮かべてそう言いながら、床で呻く腕プラプラ口臭マンを行きがけの駄賃とばかりにぶん殴って意識を奪い、残りの男たちをワンパンすべく歩を進める。
「テメェ―ら、よくも私のアフタヌーンティーを台無しにしやがったなクソボケ......私の『美味しくなる魔法』どうしてくれんだよ、あ"あ"?」
「ま、魔法だとっっ...!? んなもん知るかっっ!! さっさと退きやg「ツバ飛ばすなや!」ガスッ ぐぁっ────」
口臭マンの次はツバ吐きマンかよ、とゲンナリしつつも宣言通りワンパンで黙らせたリンダ。
掠り傷一つ負わせられず、軽く瞬殺された仲間を前にして動揺する男たちにも沈黙が訪れる。
「どいつもこいつも碌なのが居ねーな...んで? どうすんのよ?」
「なっ、なんだよ...ど、どうするって...!?」
「魔法だ魔法、どうすんだって聞いてんだよ口噤んでる場合じゃねぇだろーが! 萎えるオチつけやがったらなぁ、私が魔法掛けてやるよ...ボロ雑巾になる魔法をよぉ!」
「それ魔法じゃなくて物理だし、やられるのはもう確定じゃん」
「魔法少女フィジカルりんだ! 全力全壊! メテオライトスマッシャー!」
「うわ...キッツ...」
第1章とキャラエピソードが同日に発生するというミラクル。
詰めが甘いせいで逃げ道を失い、ストーリーへの関与が確定。
挙句には、キャラエピソードにすら関与してしまう不可抗力。
たった一日、たった数時間で、これまで計画し進めてきた人生設計にガッツリ暗雲が立ち込めるという不幸。
ダウナー鮫イドのドン引きボイスというご褒美を思いがけず手にしたフィジカル系魔法少女は、怒りと悲しみという明らかにダークサイドなパワーで男たちをワンパンしていく。
瞬く間に床へと転がされていく男たちは、やがて喫茶店の表にむさ苦しい山を築いた。
エレンとヴィクトリア家政によって到着した治安官へ証言がなされ、件のターゲットは無事に安全を確保。
治安官が来る前に既にホロウへと向かったリンダは、行き場のない悲しみと悔しさでぐぬぬ顔。
そして...喫茶店からずっと胸に抱えられっぱなしのレミントンは、おなかいっぱいの幸せとリンダの体温の心地よさで、ホロウに着いて起こすまで終始夢の中なのであった。